新しい言葉

第五課
東京回顧写真展
新しい言葉
※
「新しい言葉」部分は基本的に予習に回すが、重点及び要注意新
出語は、例文を提示する。
興(きょう)じる
○遊びに興じる。
○笑いに興ずる。
華やぐ: ○華やいだ雰囲気
○気分が華やぐ。
焦る:
○気ばかりが焦る。
○功を焦る。
駆り立てる:○国民を戦争に駆り立てる。
○殴りたい衝動に駆り立てられた。
ささやか:
○ささやかな料理
○ささやかな家
新しい言葉
萎れる:
○花瓶の花が萎(しお)れる。
○彼は近ごろいやに萎れているね。
気難しい:
思しき:
○気難しい父親
○犯人と思しき人相の人
有り触れる:
巣食う:
○有り触れた品
○町に巣食う暴力団とそれに野合する政治家。
新しい言葉
※
白茶ける(しらちゃける)、別棟(べつむね)等
「混種語」のうち、「重箱読み」「湯桶読み」について
多くの漢字は、二つ以上組み合わせられ、熟語として使われる。
この場合、上を音読みすれば下も音読み、上を訓読みすれば下も訓
読みするのが普通である。
しかし、「重箱」のように、古くからの習慣で、上を音読みして下
を訓読みするものや、「湯桶」のように、上を訓読みして下を音読み
するものもある。前者のような読み方を、俗に、「重箱読み」、後者
のような読み方を「湯桶読み」と言っている。
新しい言葉
重箱読みの例(カタカナは音、ひらがなは訓)
役場ヤクば ・中古チュウぶる ・肉屋ニクや
台所ダイどころ ・雑木ゾウき ・本場ホンば
湯桶読みの例(カタカナは音、ひらがなは訓)
見本みホン ・場所ばショ ・組曲くみキョク
月別つきベツ ・身分みブン ・古本ふるホン
※
例をそれぞれ五語ずつ探すこと。
新しい言葉
練習:次の熟語を[湯桶読み]と[重箱読み]に分類せよ。
縁組
油絵
親分
地主
職場
金具
生地
図柄
先手
手製
手帳
荷物
台所
土手
本筋
場所
本棚
大道具
懐中物
言葉の学習
※
この部分において次の文型のみを重点的に扱う。
例(ためし)がない:从未有过
○
彼は競馬が好きだが、予想は一度も当たった例がない。
○
政権がどんなに変わっても、あの人は失脚した例がない。
○
私は今まで、女の子に持てた例がない。
※
短文作り
①
遅刻
②
先生に叱られる
言葉の学習
~とも~ともつかぬ:既不像~又不像;既不是~也不是
○
喫茶店とも飲食店ともつかぬ小さな店がある。
○
真由美は驚きとも喜びともつかぬ声を上げた。
○
冗談とも本気ともつかぬ口調で聞いた。
※
短文作り
①
和式
洋式
古びた旅館
②
評論
雑談
つまらない文章
言葉の学習
~はおろか~も:
别说~就连~也
○
企業はおろか、役所にもよく不祥事が起きている。
○
今年の冬は異常気象で雪はおろか、雨も降らなかった。
○
被災地では食べ物はおろか、水さえも足りない状態だ。
※
①
大企業
②
海外旅行
中小企業
国内旅行
就職
言葉の学習
よりに(も)よって:
○
偏偏挑,偏巧这时,偏巧
よりによってあんな男と結婚しなくてもいいのに。結婚
して一年も経たないのに離婚するなんて。
○
何ということか。普段余りテレビを見ない私だが、より
にもよって今日見ているときに停電になった。
○
よりによって二人だけの時間を楽しもうというときに友
達が来るとは。
※
金曜日の夜
面白くもない特別講座
表現の学習
※
教科書137ページの例文を真似して即席で短文を作る。
語や語句の構成
1
~かける
:
動詞連用形 +かける
①
「~し始める」
②
「途中まで~する」
③
「~その作用を向ける」
④
「もう少しで~する」
飲み
吸い
書き
死に
飲みかける
吸いかける
書きかける
死にかける
などの意味を表す。
飲みかけたビール
吸いかけのタバコ
書きかけの随筆
死にかけている患者
語や語句の構成
2
~ぬく
:
動詞連用形
①
「最後までする」
②
「ひどく~する」
生きる
打つ
追う
書く
勝つ
知る
困る
見る
生き
打ち
追い
書き
勝ち
知り
困り
見
+ぬく
生き抜く
打ち抜く
追い抜く
書き抜く
勝ち抜く
知り抜く
困り抜く
見抜く
語や語句の構成
3
~合わせる
:
動詞連用形
+あわせる
「二つ以上のものを一緒にする」という意味
居る
向かう
座る
乗る
繋ぐ
待つ
組む
混ぜる
居
向かい
座り
乗り
繋ぎ
待ち
組み
混ぜ
居合わせる
向かい合わせる
座り合わせる
乗り合わせる
繋ぎ合わせる
待ち合わせる
組み合わせる
混ぜ合わせる
作品の読解
○
作者:小池真理子
1998年『恋』で直木賞受賞。
○
『東京回顧写真展』は、小説『欲望』の一部分
『欲望』の粗筋
○
[私]は、作品中の人物=青田類子
作品の読解
①
白茶けたような濁った色を見せているものの、今日も東京空には雲
一つない。
(虽然天空像是褪了色的颜色,但今天东京的天空还是万里无云。)
②
世話になった医師に、どうしても心ばかりの礼の品物を贈っておき
たかったからである。
(因为无论如何也想要给关照我们的医生送点表表心意的东西。)
作品の読解
①
もとより身体があまり丈夫ではない夫が、具合が悪くなったと言っ
ては通いつめているうちに、世間話に興じるようになった。
(原本身体就不够结实的丈夫,因病情加重而频繁就医的过程中,渐渐
聊得投机起来了。)
②
少々、値段が張るのを気にしつつも、私は本を手にレジに並んだ。
(虽然感到价钱有点过高,但还是拿着书在付款处排起队。)
作品の読解
①
場違いと思われるほど気難しそうな視線が、本のページの上を泳ぎ
回っていて、どこか近づきがたいような印象があった。
(让人感到不合场合的怪癖的视线,在书页上游来游去,给人一种难以
接近的印象。)
②
そう思うと、ふいに床が緩やかに波打って、立っていられなくなる
ような錯覚にとらわれた。
(想到这里,忽然发生错觉,感到地板缓缓摇动,站立不稳。)
作品の読解
①
いい年をした男が、餓鬼のころからの浅い思いを未だに引きずって
いるというのは恥ずべきことに違いありません。
(挺大的人了,还没从孩童时期的淡淡的思慕中跳出来无疑是件羞耻的
事。)
②
どうしてうちの父親が二つ返事でOKしようとするのを阻止できな
かったのか、と悔やんでさえいます。
(现在都后悔,为什么当时父亲慨然应允说OK时我未能阻止。)
作品の読解
※
①
作品を読んで、次のことについて考えて見よう。
[新築記念ガーデンパーティー」の写真は、[私]とど
のような関わりがあるのか。
②
阿佐緒と秋葉正巳、それから[私]、その人物関係は?
③
中学生の正巳の目から見た[私]はどんな人間だったの
か。
④
こんな[私]に自分を打ち明ける正巳の気持ちについて
想像して見よう。
総合練習問題
一、扉
宴
七分袖
老舗
癪
侘しい
手垢
観音開き
通夜
萎れる
萌黄色
鎧
二 1、シラチャケル→白茶ける
2、カキワリ→書割
3、サキミダレル→咲乱れる
4、フセイ→不整
5、ベツムネ→別棟
6、ムエン→無縁
7、イチリンザシ→一輪挿し
8、ハッソウ→発送
9、リンカク→輪郭
10、サダカ→定か
11、ソウザイ→惣菜
12、シンソコ→心底
総合練習問題
四、1、不義理を重ねている
2、そろった
⇒
⇒
受けた恩恵の始末を怠っている
一貫した
3、華やいだものとは無縁の生活
4、気の利いたもの
⇒
⇒
素朴な生活
しゃれているもの
5、掃除に手が回らない
⇒
掃除するゆとり
6、人の気配はなかった
⇒
人のいる様子
7、二つ返事でOKしようとする
8、我ながら呆れます
⇒
⇒
気軽に引き受ける
自分がしたことに自分が驚いた
9、三文の値打ちもないくだらない神経が愚かしくも研ぎ澄まされて
いくばかりです
⇒
価値のない精神だけがばかげに益々鋭くなる
総合練習問題
五、1、あたる
①時
②担当する
③たずねる・調べる
④相当する
⑤降られる
2、ただ
①単に
②ただし
③ひたすら
④何か仕返しがある
3、かかる
①覆う
②渡され
③着手
④修飾 ⑤はねる
⑥身に及ぶ
⑦関係
総合練習問題
六、
①叩き起こ
②興じ
③不義理
④手が回り
⑤華やい
⑥駆り立て
⑦きびきびした
⑧上の空
⑨けばけばしく
⑩くたびれ
⑪面影
⑫雨足
総合練習問題
七、
1、できて間もなく
2、しないうちに
3、失敗してからというもの
4、座ろうとしたとたん
5、出すや否や・出したかと思うと
6、暗くなったとたん・暗くなったかと思うと・暗くなる
や否や
7、奪うなり
8、気づくなり
9、に控えて
10、見つけた次第
総合練習問題
八、
• 1、事情を知らない人間が見れば、何の変哲も無いラーメン屋に過ぎなかっ
ただろうが、そこで恐ろしい事件が起こったといれば、やはりどこか不気味な
雰囲気が漂っているように思えたはずだ。
• 2、「どうですか、このまま別れるのでは寂しいですよ。駅まで見送ってくれま
せんか。」と王さんは言い出した。半分、冗談ともつかず、本気ともつかぬ顔
付きだった。
• 3、乗降客の数は少ない。停留所に着くたびに、ぽつりと一人が降り、一人が
乗ってくる、といった具合だ。まだ夏休みが始まったばかりのせいか、休みを
利用して見学方々遊びに来たと思しき家族連れの姿も見えなかった。
総合練習問題
八、
• 4、平常心で事に退所できないので、何かというとすぐ文句だ。 こんな生き
方
では、自分さえも疲れるだろうに。
• 5、王さんはしっかり者で、あまり自分のことを言いたがらない性質ですから、
わりに仲のよい私にも、本当の生活はよく分かりません。でも、浮いた噂は一
度も着たことがありません。ですから、今度の事はみんなびっくりしているしだ
いです。
• 6、これは見込みのある研究だ。学校が補助してでも、その研究を続けさせて
いくべきだ。
総合練習問題
八、
• 7、私が悪いんだ。よりによってこんな大事な時に病気になるなんて、まったく
悔しくてたまらない。
• 8、あの工務店は納期を急がせると手抜き工事をする始末で、困ったものだ。
• 9、「前途が不安だ」という議論がよくある。しかし、前途の事は基本的には分
からないし、「未来が不安だ」というのも、何も今に限った事ではなく、そもそも
人生の本質ではないか。
• 10、このプロジェクトは思っていたよりも経費が張って、やりくりが難しい。今ま
で一つのプロジェクトにこんなに莫大な費用を投資したためしがなかった。
総合練習問題
九、1、
①
ア 捻挫
イ 年功
ウ 懸念
エ 燃料
丹念
②
ア 正午
イ 唱和
ウ 紹介
エ 照会
照合
③
ア 究明
イ 要求
ウ 給養
エ 窮屈
追究
④
ア 遺伝
イ 以外
ウ 意向
エ 異同
異議
⑤
ア 介抱
イ 放送
ウ 手法
エ 四方
快方
⑥
ア 点数
イ 転落
ウ 天板
エ 典型
有頂天
⑦
ア 救急
イ 窮屈
ウ 給電
エ 糾弾
急迫
⑧
ア 体制
イ 態度
ウ 耐久
エ 滞在
体制
⑨
ア 干渉
イ 観照
ウ 緩和
エ 寒天
緩衝
⑩
ア 携帯
イ 継続
ウ 父兄
エ 景品
連携
総合練習問題
九、2、
①
口車に乗せられた⇒
旨い具合に言いくるめられた
②
筆不精⇒
③
馬耳東風⇒
何を言われても全く気にかけないこと
④
水掛け論⇒
言い張って結末の着かないままになる
⑤
道草を食った⇒
文章を書くことが嫌いだ
色々他の事に時間を無駄にした
総合練習問題
九、3、B
①
春子は本を持って走っていく一郎の後を追いかけた。
㈠
春子は本を持って、走っていく一郎の後を追いかけた。
㈡
本を持って走っていく一郎の後を春子は追いかけた。
②
年老いた母は悲しげに去っていく娘を見送っていた。
㈠
年老いた母は悲しげに、去っていく娘を見送っていた。
㈡
悲しげに去っていく娘を年老いた母は見送っていた。
総合練習問題
九、3、B
④
㈠
㈡
⑤
昨日私が紛失した時計が見つかった。
昨日、私が紛失した時計が見つかった。
私が昨日紛失した時計が見つかった。
見知らぬ男がニコニコしながら絵を見ている僕に近づ
いてきた。
㈠ 見知らぬ男がニコニコしながら、絵を見ている僕に近
づいてきた。
㈡ ニコニコしながら絵を見ている僕に、見知らぬ男が近
づいてきた。
総合練習問題
十、問10
私は、高野山不動坂の数知れず立ち並ぶ老樹から
受けた底力のある興奮が、地下の烈しい営みからの隠
れたる努力の威圧による敬虔の情けであった事を知り、
根の浅い自分に気づいた。