動機付け - 愛知県

病院における
禁煙支援の実際と地域連携
2008.11.11 ウィル愛知
国立病院機構 名古屋医療センター
愛知県がんセンター 中央病院
禁煙外来専任看護師
谷口 千枝
[email protected]
地域で!
地域での禁煙支援実施施設
病院・診療所
保健治療
それぞれの施設が
特徴のある介入を
実施している!
薬局
OTC薬の販売
簡易介入
保健所
個別禁煙教育
歯科
動機付け
簡易介入
地域での禁煙支援実施施設の問題点
すべての施設が個々の介入に留まり、
情報が共有できていない!
1)患者の背景(依存度、支援の必要度など)
に合わせた支援が出来ていない。
2)一度失敗したら、それ以上の介入なく患者
の禁煙は失敗となる。
3)患者の禁煙介入を様々な職種で実施しにく
い環境にある。
地域での禁煙支援施設で
ネットワークを作り
情報交換したい!
目的
名古屋市での禁煙支援実施施設でネットワー
クを作り、禁煙サポートを効果的に実施すること
で、地域での禁煙成功者の増加を目指す。
1)OTC薬利用人口の増加
2)OTC薬貫遂率の増加
3)OTC薬による禁煙成功率の増加
4)保険治療受診人口の増加
5)保険治療による禁煙成功率の増加
地域での禁煙支援実施施設
病院・診療所
保健治療
紹介状
パス
紹介状
薬局
OTC薬の販売
簡易介入
保健所
個別禁煙教育
禁煙サポートカード
歯科
動機付け
簡易介入
禁煙は、サポート力が重要!
病院・診療所
保健治療
保健所
個別禁煙教育
患者
歯科
動機付け
簡易介入
薬局
OTC薬の販売
簡易介入
地域でのサポート力の底上げ
学校で!
子どもの心
ダメと言われることに,反発したい気持
ちが生まれる
大人に近づきたい年齢である。大人はよ
くて子どもはダメという指導は逆効果で
ある。
子どものニコチン依存の特徴
ニコチン依存に陥るのが早い。
本数は少ない。
隠れて吸うことを知っている。
ニコチン離脱は早い
未成年と一般喫煙者の禁煙治療の比較
未成年に対する禁煙治療
保険による
禁煙治療
禁煙治療の方針
禁煙補
助剤の
使用
不可
一般喫煙者に対する
禁煙治療
可
(患者要件を満たすことが
必要)
禁煙カウンセリングに重点 禁煙カウンセリングと
薬物療法の組合せ
ニコチン製剤
慎重投与
(主治医判断により処方ま
は使用の推奨可)
可
バレニクリン
禁忌ではないが、臨床試験
のデータなし
可
子どもの禁煙指導で重要なこと
喫煙に対し罰を与えるのではなく,
病気として捉え治療を勧めること。
動機付けに疾患のリスクの必要性が
低い。子どもに合った動機付けを。
子どもだから吸わないのが当たり
前・・・?禁煙できたら賞賛し,言
葉の花束をあげましょう。
小児の禁煙外来
愛知県内の小児専門の禁煙外来に受
診しましょう。
無理な場合は,まず電話で相談しま
しょう。
病院との連携として・・・
電話相談
実際の治療の方針と
家族カウンセリング
学校・両親との連携
実際にどんな指導を
したらいいの?
禁煙外来患者数
60
50
保険診療開始
40
看護師のカウンセリング開始
30
20
10
0
1 1 1
9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 2 3 4 5
0 1 2
月 月 月 月 月 月月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月月 月 月 月 月 月 月 月
月月月月月
月月月
新患 3 7 3 3 3 1 4 3 0 1 2 1 2 3 4 3 2 4 4 3 5 3 4 4 6 4 5 3 4 4 2 3 9 10 17 21 18 24 6 15 13 8 15 16 10
再診 0 3 6 1 5 5 3 2 4 4 3 2 3 5 14 14 12 12 26 21 11 13 11 11 10 14 13 12 13 14 10 6 12 19 28 40 50 60 38 26 37 24 26 43 28
2003
2004
2005
2006
2007
多職種の禁煙介入は
効果がある!!
禁煙支援の効果は・・・
暴露時間ではなく
暴露回数に関係する
重要なのはわかっているけど
なかなか時間が・・・
禁煙指導は、
3分間でも効果がある!
Clinical Practice Guideline
Treating Tobacco Use and Dependence AHRQ 2000.
3分以内の禁煙アドバイスによって、禁煙
率は1.3倍有意に増加する。
地域での禁煙サポートに
期待すること
禁煙サポートのステップケアモデル
依存度 軽度 /合併症(-)
第1段階
(minimal)
セルフヘルププログラム
依存度 中等度 /合併症(+)
第2段階
(moderate)
日常診療や病棟での
短時間の指導
+ニコチン代替療法
依存度 高度 /合併症(++)
第3段階
(intensive)
禁煙のための専門治療
(外来や入院)
+薬物療法
個別健康教育 禁煙サポートマニュアルより
その前に・・・。
禁煙支援の基本的な考え方
喫煙者とそのステージ
無関心期
準備期
やる気なし
準備OK
③
①
行動
②
関心期
どうしようかな?
中村正和らによる
簡易的禁煙支援
5A
5Aアプローチ
外来診療などで短時間にできる禁煙治療の手順
●ステップ1:Ask
喫煙者を系統的に把握する
●ステップ2:Advise
すべての喫煙者に禁煙を促す
●ステップ3:Assess
禁煙を積極的に考えている喫煙者を識別する
●ステップ4:Assist
禁煙したいと思っている患者を支援する
●ステップ5:Arrange
フォローアップの診察の予定を決める
禁煙ガイドライン Circ J. 69(Suppl IV) : 1011, 2005より一部改変
Ask
すべての人に喫煙状況を確認しましょう。
喫煙者に対しては、喫煙者と一目でわか
るように目印をつけましょう。
(カルテの背表紙に禁煙マークを貼る 等)
「この1ヶ月間に
1本でもタバコを吸いましたか?」
Advise
すべての喫煙者に対し、禁煙を促しましょう。
point
必ずきっぱりと禁煙するように伝えます。
「できればやめましょう。」や「本数を減らしましょ
う」というあいまいなものは避けましょう。
「あなたの健康にとって、最も重要なことは禁煙
です。禁煙しましょう!」
Assess
禁煙の関心度を測ります。
無関心期
関心期
準備期
「禁煙に関心がありますか?」
Assist
関心度に合わせた指導を実施します。
無関心期
禁煙を考えることの出来ない時期です。
無理強いをせずに、禁煙がしたくなったときに
役立つ情報を提供しましょう。
また、提供すると同時に簡単な動機付けも行
います。
情報提供
• 「今は保険を使った禁煙治療ができるように
なりましたよ。のみ薬も使ってご自分でされる
よりよっぽどラクに禁煙できるそうです。」
動機付け
• その方の関心ごと,基礎疾患等から結びつけ
た動機付けをする。
• リスクを話しても,継続していくと危機感は薄
れてしまうめ,継続した動機の強化にはメリッ
トを押すことが必要
「趣味の山登りも、禁煙できたらとっても気持ち
よくできそうですね。」
テキストを使おう
関心期
中心は動機付け
禁煙に対してハードルを自分で高めている
人もいるため、自信の強化も行う。
自信の強化をするには
多くの患者様の禁煙成功への自信
(自己効力感)には、共通性があります。
そこで,こう言われたらこう!
というのを覚えましょう。
資料参照
準備期の人には
具体的な禁煙方法を指導する。
ニコチン依存度が保険対象外の方には、
OTC薬を勧め、指導を実施する。
ニコチン依存度の高い人には
治療をすすめる。
Arrange
その後の喫煙状況を把握し、フォローする。
• 出来ていれば賞賛し、自信を強化する。
• 出来ていなければ保険治療を紹介する。
おわりに
5Aアプローチ
外来診療などで短時間にできる禁煙治療の手順
●ステップ1:Ask
喫煙者を系統的に把握する
●ステップ2:Advise
一番大事なのは、
●ステップ3:Assess
Action
禁煙を積極的に考えている喫煙者を識別する
●ステップ4:Assist (やってみる!)
すべての喫煙者に禁煙を促す
禁煙したいと思っている患者を支援する
●ステップ5:Arrange
フォローアップの診察の予定を決める
禁煙ガイドライン Circ J. 69(Suppl IV) : 1011, 2005より一部改変
今日のまとめ
• 禁煙治療とは
・保険による禁煙治療は12週に5回
・薬物療法とともに看護師の支援を実施
• 禁煙外来で行う禁煙支援
・看護師の支援の中心は、セルフエフィカシーの向上
• 地域との連携 あいち禁煙推進ネットワーク作り
・様々な施設と連携し、地域での禁煙導入率の状昇をはかります。
• 学校との連携
・喫煙は嗜好ではなく、病気です。風邪を引いたらお医者さんに
いくと同じように、完治しうる疾患という理解をしましょう。
• 地域での禁煙支援に期待すること
・禁煙支援の効果は暴露時間ではなく、複数の支援者からの暴
露回数に関連します。是非禁煙支援をしてください!
名古屋医療センター禁煙外来
いつも笑顔がいっぱい