お風呂に入る ~安全に~

聴いて健康!講演会 131019
温泉入浴による健康増進
東栄町国民健康保険東栄病院
丹羽 治男
お風呂、温泉に入りたい!
Q お風呂好きな方は?
Q ゆったりと温泉に入ると天国にいるようだ?
47℃のお風呂に入っていると脳内麻薬の
βエンドルフィンがでる → 熱湯依存
Q お風呂で死ねるのなら、本望だ?
本日のお話
• 入浴(温泉)の効果
• 東栄町民の温泉入浴状況
• 入浴の危険性
• お風呂の入り方
温泉・入浴の作用機序
1.温熱作用
・全身の血管拡張、血圧低下、心機能改善
・好気的代謝化
・発汗促進
・コラーゲン線維の柔軟化
・筋・関節可動域の改善
2.浮力
・水中での早期立位、歩行訓練
3.水の抵抗
・全方向性の抵抗運動、転倒防止
4.静水圧
・COPDリハ、下肢浮腫の改善
4.温泉の含有成分の効果
塩化物泉
皮膚表面のタンパクや皮脂と薄い「塩類被膜」
を作って放熱を抑え、湯冷めを防ぐ
殺菌効果あり外傷治癒に
飲むと便秘に効果
炭酸泉
・炭酸水素塩泉
タンパク、皮脂を溶かしてつるつる(美人の湯)
保温性は低い
・二酸化炭素泉 竹田市長湯温泉
皮膚から二酸化炭素が
浸透して血管拡張
• 温泉の熟睡効果
就寝1時間前の入浴寝るまでの時間短縮
• リラックス効果
副交感神経の活動を促す
露天風呂
ぬるめのお湯
・地域活動の場として
”はだかの付き合い“
足湯
• 服を着たまま、どこでも手軽に
• 体全体が温まり、全身の血行が良くなる
• 心臓・肺などの内臓に負担が少ない
下半身の血液循環改善
自律神経の安定
体の芯からリラックス
和温(わおん)療法
室内は天井から足元まで60
度。15分間入ると、深部の体
温は1.0〜1.2度上昇する
。その後、安楽椅子で肩まで
毛布にくるまり、頭もタオルで
包んで保温し30分間休む。
温泉の抗老化作用
• リラックス
ストレスに強くなる
• 血流増加
免疫力高める
老廃物除去
自然治癒力
本日のお話
• 入浴(温泉)の効果
• 東栄町民の温泉入浴状況
• 入浴の危険性
• お風呂の入り方
東栄町運動器検診(平成24年度~)
• 浜松医科大学の協力のもと、50歳以上でま
だ介護認定を受けていない方を対象
• 問診、診察、レントゲンなどから、運動器現状
をチェック
• 温泉に関するアンケートも実施
温泉に入る頻度について
①週に1回以上
②月に2~3回
③半年に1回
④今まで入ったことがない
200
150
100
50
0
50代 60代 70代 80代 90代 50代 60代 70代 80代 90代 50代 60代 70代 80代 90代 50代 60代 70代 80代 90代
①
男性
女性
1
②
4
8
13
4
17
8
2
3
③
27
26
16
27
57
9
2
④
10
44
67
27
1
19
67
119
43
2
3
2
8
15
10
22
16
2
温泉の効果について
250
①痛みが和らぐ
②認知症の予防になる
③リラックスできる
④仲間ができる
⑤その他
200
150
100
50
0
①
50 60 70 80 90
50 60 70 80 90
50 60 70 80 90
50 60 70 80 90
50 60 70 80 90
②
③
④
⑤
代 代 代 代 代
代 代 代 代 代
代 代 代 代 代
代 代 代 代 代
代 代 代 代 代
男性
3
11 27 19
1
1
3
12 65 68 39
0
1
4
10
7
1
1
5
17 13
1
女性
5
26 65 34
1
5
2
22 88 155 30
5
0
4
21 14
1
0
5
3
0
12
温泉へ一緒に行く人について
200
①ひとりで
②家族で
③近所の人と
150
100
50
0
①
50代
60代
70代
80代
90代
男性
4
28
37
29
女性
2
10
29
8
②
50代
60代
70代
80代
90代
2
9
46
64
34
0
16
83
119
34
③
50代
60代
70代
80代
90代
1
1
8
9
12
0
2
4
19
79
33
2
本日のお話
• 入浴(温泉)の効果
• 東栄町民の温泉入浴状況
• 入浴の危険性
• お風呂の入り方
でも危険もある
日本人の死因
① 入浴事故
年間 2万人
② 交通事故
年間 1万人
③ 自殺
年間 3万人
お風呂の危険性
• ころぶ
• おぼれる
• やけど
• 内科の病気
心臓発作 脳卒中 血圧低下
40歳の人が寒い脱衣所に行くと…
25℃の部屋では
血圧 124/81
脈拍 73
5℃の脱衣所へ移動
血圧 143/90
脈拍 84
人によっては 血圧30~50/ 程度上がる
浴槽にドボンとはいる
41℃の浴槽に入ります。
その前にかけ湯をすると…
初めの収縮期血圧 118
0回 146
3回 140
5回 129
7回 124
9回 124
お風呂に長くつかる
血圧低下
血管拡張
脱水
一気に下がると失神!…脳梗塞…
首までつかると胸圧迫される
血圧 20~30程度低下
肺活量 10~15%低下
お湯の温度
41℃のお風呂につかると
10~15分で体温が1℃上昇する
30分つかると
35.7℃ ⇒ 38.4℃
朝は危ない!
• 血液粘度がもっとも高くなる
• 自律神経の嵐
血圧、脈拍、呼吸数の増加
お風呂に入るときどうしてますか?
① 浴室、脱衣所をあたためる
② 誰かに声をかける
失神したら、助けを求められない!
はやく発見
心配停止状態 → 戻る人なし
心臓動いていれば生き返る可能性ある
お風呂の中で気分が悪くなったら
① まず助けを呼ぶ
② 頭を下げて、浴槽から出る
③ 足を挙げて、横になる
東栄病院へ救急搬送された入浴事故
2008 - 2012
・入浴関連事故 / 全搬送患者
34(2.7%) / 1268
・男性:女性 18:14
・年齢 平均72.9歳 (2~96歳)
・発生場所 自宅 20人 温泉浴場 14人
・発生位置 脱衣所 9人 浴槽外浴室 7人
浴槽内 16人 不明 2人
・発生時期 11月~4月 27人 5月~10月 7人
・主訴
一過性意識障害 11人
脱力 5人 転倒 4人 胸痛 2人
心肺停止 7人
・転帰
死亡 8人
当院での入院 8人
転医 4人
帰宅 12人
)
死亡症例 8例
・年齢 72~96歳
・自宅発症が7人
温泉では1人だけ
・発見時心肺停止状態が7人
1例 胸痛で発症し、搬送途中で心停止
・発生時期 11月~4月 6人 5月~10月 2人
・死因はほぼ不明
心筋梗塞疑い 1例
クモ膜下出血疑い 1例
入浴事故死
・ 老人
・ 冬
・ 夜
入浴事故死
・ 病死
・ 溺水
・ 原因不明
健康とは?
• からだの健康
• 心の健康
• 「周囲との関係」の健康
• 家族、地域の健康
本日のお話
• 入浴(温泉)の効果
• 東栄町民の温泉入浴状況
• 入浴の危険性
• お風呂の入り方
入浴事故防止1
・入浴前後の飲酒を避ける
・入浴前の睡眠薬の服薬を避
ける
・早朝の入浴は避ける
入浴事故防止2
・水分を取ってから入る
・部屋をあたためる
・声をかける
入浴事故防止3
・かけ湯は5回
・お湯の温度は41℃以下で
10分以内
・半身浴
・浴槽の蓋を胸の前に置く
入浴事故防止4
・浴槽からの立ち上がり、
その後の移動はゆっくりと
・出た後にコップ1杯の水分摂取
・食事運動は1時間程、間隔を
あける
安全で健康的な入浴
• 入り方
• 環境整備
• 体調管理
• 家族、地域とのつながり