2013 現代文明論 10 3つめの原理 資本主義 科学革命、資本主義、産業革命の 連関 • 「ヨーロッパの科学的学問世界の成立が資本 主義の発展と産業革命に結びついていること を否定するわけにはいかない」(盛山和夫、 近代世界の形成とヴェーバー・テーゼ、UP, p . 46) 資本主義の定義 • 資本主義とは、機械や土地のような生産手段 (資本)を所有する「資本家」が「労働者」を賃 金で雇って市場向けの生産をおこなうこと (「世界史詳説」山川出版社、330ページ) 資本、資本家、資本主義 • 「資本主義」という用語は、ヴェルナー・ゾンバ ルト『近代資本主義』1902年による。(カール・ マルクス「資本論」にはない。) ブローデルによる定義 • 資本(つねに働き続けている財源、単なる蓄 財ではなく、利用可能な労働の成果) • 資本家(社会そのものの存立基盤たる不断 の生産過程への資本の投入を指揮する人間 ) • 資本主義(資本投入という絶えざる賭のあり よう) • (「資本主義のダイナミズム」(邦訳「歴史入門 」65頁による) • 市場経済と資本主義 • 西ヨーロッパの特殊性 「歴史上で、資本主義が生まれたのは、むしろ、 高利の貸借や商業取引による暴利の取得が 罪悪視され、営利追求が社会的、宗教的にき びしく取り締まられていた地域であった。」(中 村雄二郎、21世紀問題群、21ページ) • 広松渉による産業資本主義の要因 ー 東西への大航海のもたらした外在的要因を重 視(キリスト教わけてもプロテスタンティズムの存在やいわゆる西 洋的科学・技術の独自の発達といった因子を、重視はしない。137 ページ) (東方との直接的交易のもたらしたインパクト、および新大 陸の略奪的経営・開発、この大陸との物資流通のもたら したインパクト、このヨーロッパ外的要因の介在を抜きに しては、西欧において産業資本主義があのようなかたち で成立することはありえなかったであろうと考える。137138ページ) 3つの資本主義 (フェルナン・ブローデルによる) • 商業資本主義(16世紀、ヴェネツィア) • 金融資本主義(16世紀、ジェノヴァ) • 産業資本主義(18世紀末から19世紀、イギリ ス) 経済=世界という考え方 (フェルナン・ブローデル) • 経済圏(中心、半周辺、周辺)→世界システム 論(ウォーラーステイン) 経済=世界の中心は移動する • 16世紀 ヴェネツィア • 16世紀後半 ジェノヴァ、アントワープ(ベル ギー) • 17世紀 アムステルダム(オランダ) • 18世紀後半 ロンドン • 20世紀後半 ニューヨーク 近代世界システム論 • 近代世界システム論(用語はウォーラーステ インによる) • 長い16世紀(1450年から1650年まで)の間に 近代世界「システム」が資本主義的経済=世 界という形をなした 近代世界システムの3つの枠組み • 1 経済=世界は、世界全体に拡大する。 • 2 経済=世界は、交互にA局面(拡大)とB局面 (後退)が入れ替わる周期的なモデルに従って、ま た、変化しつつある地理的な役割分配に従って、進 展する • 3 経済=世界は、百年にわたる内的変化のプロセ スに従う。そのプロセスとは、技術上の進歩、工業 化、プロレタリア化、こうした変化への政治的抵抗と いったものである。(ステネール、封建君主とブル ジョワ、 『ブローデル帝国』、179ページ) • ミシェル・ボーとウォーラーステインの世界シ ステム論の比較(別紙PDF)
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