光の三原色 赤+緑+青 → 白 !?

①光の三原色
眼の仕組み
人間の眼には錐体という感光物質が赤・緑・青
の三種類あり、それぞれ異なる波長に対して感
度を持ちます(右図参照)。これらの3種の錐体
を、どのように刺激するかによって光の色が認
識されます。たとえば波長が450nmの光は青く
見えますし、650nmの光は赤く見えるわけです。
それでは、複数の錐体を刺激するような光を見
ると、何色に見えるのでしょうか?
人の眼の錐体の相対感度曲線
赤+緑+青→???
実際に赤・緑・青の光の色を混ぜてみましょう。
下図の装置の「スイッチ」を複数同時に押して、光を混ぜてみて下さい。
組み合わせによって、黄色・マゼンダ・シアン、そして白色の光が見えますね。
光を混ぜることによって複数の錐体が同時に刺激され、眼には異なる色とし
て認識されるわけです。また、赤・緑・青の光の分量を調節すれば、他にも
様々な色を再現できます。これが「光の三原色」の由来です。
絵の具を混ぜる時の「色の三原色」と全く異なりますが、絵の具は「光を吸収
することで残りの光の色を帯びる」ために、このような違いが現れます。
ところで、私たちが普段眼にして
いる蛍光灯や太陽光などの白色
光も、様々な色の光が含まれて
いるのでしょうか?
⇒「②分光器のしくみ」へ
②分光器のしくみ
分光器
分光器とは、プリズムや回折格子を利用して光を様々な色に分ける装置で、
上図は、光源(白色LED)を回折格子で分光する様子を描いたものです。
少し専門的に言うと、回折格子によって光の干渉が起こるとき、強めあう方
向が波長によって少しずつずれるため、スクリーン上に波長の異なる光が順
に並ぶわけです。
白色光の分光
白色LEDには様々な色の光、つまり様々な波長の光が含まれ
ているので、スクリーンには虹のような像が映ります。人の眼
には同じ白色に見える光でも、分光してみると成分が異なるこ
とが分かります(右図:白色LEDと青+緑+赤の色可変LED)。 白色LED(上)と
太陽光も似たような白色光で、虹に現れる鮮やかな色彩は、 青+緑+赤の色可
変LED(下)
水滴によって光が分光されるために生じます。
この分光技術を用いると、分子構造や電
子状態の情報を得ることができます。右図
は「原子スペクトル」と呼ばれるもので、特
定の波長の光(輝線)が断続的に含まれて
います。
ネオンランプ
水銀ランプ
③スペクトるん♪
光のスペクトル
どの波長の光がどの程度含まれるかを示したグラフを、「光のスペクトル」と
呼びます。スペクトルを測定することで、光の放出や吸収に関する様々な情
報を得ることができます。
パソコンで操作できる便利な分光器を使って、スペクトルを撮ってみましょう。
分光器の使い方
様々なスペクトル
操作は至って簡単で、光ファイバー
を発光体の方へ向けて、「撮影」ボ
タンを押すだけです。
青LED
緑LED
赤LED
白LED
光ファイバー
強度
豆電球
右図は様々な発光体のスペクトルを
測定したものです。
青・緑・赤LEDは「光の三原色」で用
いたものです。同じ白色光でも、白
LEDは眼に見える範囲に連続的に
拡がっていますが、豆電球は長い波
長の成分(赤外光)が多く含まれて
いますし、蛍光灯は複数の鋭いピー
ク構造になっています。
水銀やネオンなどの原子スペクトル
には鋭い輝線が複数現れ、レー
ザーは特定の波長の光が鋭く現れ
蛍光灯
液晶モニタ
水銀ランプ
ネオンランプ
レーザー
300
400
500
600
700
波長 (nm)
800
900
④光の万華鏡
回折格子フィルム
このフィルムを透過した光は、8方向に分け
られ、さらに白色光は虹色に分光されます。
仕組みはやはり回折格子による光の干渉
で、縦横斜めに格子が刻まれているために、
8方向に分光されるわけです。
光の万華鏡
このフィルムを2枚重ねて片方を回してみると、万華鏡のような鮮やかな
模様が現れます。
元のLED
注意:レーザー光を当てると散
乱光が眼に入るので危険です。
レーザー光を当てないで下さい。
一枚のフィルム
の透過光
二枚のフィルムの透過光
担当:秋山研究室 井原章之