障害者の職業能力調査 ~その実態と今後の方向~ 厚生労働省 平成20年度障害者保健福祉推進事業 「新体系サービスの質の向上を目指した研究開発事業」 ・ 就労訓練事業所に在籍する障害者の職業能力と 事業所が取り組む職業能力向上と経営体質強化について調査 障害者の職業能力実態調査実行委員会 1 一次調査 就労訓練事業所(就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型の 各事業所、および旧法の授産施設・福祉工場)利用者の職業能力の実態と 賃金について調査 ・調査票 : 厚生省心身障害研究「知的に障害のある人たちの福祉的就労 と社会参加」(平成5~9年)の中で作成された「職業能力評価表」を使用 ・評価者 : 各事業所の職員 ・調査対象事業所の選定 : 全国を3ブロックに分け、各ブロックの担当研究 員(2~5名)に一任。 ただし、総対象者数を1,000名確保するため、各 ブロックで350名前後の対象者を確保する方向で協力事業所を選定。 ・調査時期 : 平成20年8月 2 評価表の体系 大項目 能 力 評 価 計 中項目 小項目 手腕能力 6 9 体 4 5 作業意欲の維持・安 定性及び適応性 7 14 人間関係 2 2 社会常識 2 3 21 33 力 5 注1) 各小項目を10点満点で評価(評価基準に基づき) 評価点の合計は330点 (33項目 × 10) 注2) 評価基準は、非正規の雇用条件で働いている中高年齢の人をモデルに作成 3 調査対象者の属性 1.地域別・事業種別 事 業 所 数 調 査 対象者数 (人) 就労移行 新 体 系 A型事業 旧 体 系 B型事業 その他 授産施設 福祉工場 東日本 32 638 144 125 263 73 30 3 中日本 36 641 246 246 111 32 6 0 西日本 25 562 40 220 229 67 0 6 93 1,841 430 591 603 172 36 9 23.3 32.1 32.8 9.3 2.0 0.5 計 割合(%) 88.2 11.3 0.5 4 2.事業種別・障害別 知的 就労移行 身体 精神 知+身 知+精 精+身 計 (%) 不明 329 3 72 16 8 1 1 430 (23.4) A 型 519 20 25 18 8 0 1 591 (32.1) B 型 395 36 111 26 28 3 4 603 (32.8) 旧授産施設 165 0 1 5 1 0 0 172 ( 9.3) 旧福祉工場 20 9 4 0 3 0 0 36 ( 2.0) 3 4 0 2 0 0 0 9 ( 0.5) その他 計 (%) 1,431 (77.7) 72 ( 3.9) 213 (11.6) 67 ( 3.6) 48 ( 2.6) 4 ( 0.2) 6 ( 0.3) 1,841 5 3.障害程度区分 知 的 身 体 精 神 計 (%) 知+身 知+精 精+身 不明 145 区分1 127 7 4 4 3 0 0 2 240 7 10 13 5 0 1 276 (38.4) 3 153 3 12 11 6 0 0 185 (25.8) 4 81 1 1 4 2 0 1 90 (12.5) 5 9 3 0 4 0 0 0 16 ( 2.2) 6 5 1 0 0 0 0 0 6 ( 0.8) 計 (%) 615 (85.7) 22 ( 3.1) 27 ( 3.8) 36 ( 5.0) 16 ( 2.2) 0 2 ( 0.3) (20.2) 718 6 調査の結果 7 全評価・各大項目について、 各障害者(単独)間の差を統計処理した結果 知 全評価 手腕能力 作業意欲等 人間関係 社会常識 的 知的 身体 ○ 精神 ○ 身体 体 ○ 知的 体 力 身 精 神 ○ ○ ○ 精神 ○ ○ ○ : 統計上、有意な差があった 8 能力評価 非雇用型 1.非雇用型と雇用型 ・就労移行 ・B型 ・旧授産施設 % 70 雇用型 ・A型 ・旧福祉工場 60 50 非雇用型 雇用型 40 1 2 3 4 5 6 30 : : : : : : 手腕能力 体 力 作業意欲等 人間関係 社会常識 全評価 20 1 2 3 4 5 6 9 2.障害種別比較(1) 雇用型 非雇用型 80 80 知的 身体 精神 70 70 知+身 知+精 60 60 1:手腕能力 2:体 力 50 50 3:作業意欲等 4:人間関係 5:社会常識 40 40 30 30 1 2 3 4 5 6 6:全評価 10 1 2 3 4 5 6 2.障害種別比較(2) 知的・身体・精神 雇用型 非雇用型 80 80 知的 身体 70 70 60 60 精神 1:手腕能力 2:体 力 50 50 3:作業意欲等 4:人間関係 40 40 30 30 1 2 3 4 5 6 5:社会常識 6:全評価 1 2 3 4 5 6 11 評価賃金と現行賃金(時給) 1.非雇用型と雇用型の比較 円 600 510 500 400 409 367 評価賃金 現行賃金 300 200 174 100 0 非雇用型 雇用型 12 評価賃金と現行賃金(時給) 2.障害種別比較 非雇用型 円 雇用型 円 700 700 600 600 500 500 400 400 精 知 + 身 + 身 的 知 知 + 身 + 精 身 知 知 知 0 神 0 100 精 100 精 200 神 200 体 300 的 300 体 評価賃金 現行賃金 13 評価賃金と現行賃金(時給) 2.障害種別比較 (知的・身体・精神) 非雇用型 円 雇用型 円 700 700 600 600 500 500 400 400 神 精 精 身 知 体 0 0 身 100 100 知 200 神 200 体 300 的 300 的 評価賃金 現行賃金 14 労働時間(平均) 1.非雇用型と雇用型の比較 H 7 7 6.5 6 6 労働時間 5.5 5 非雇用型 雇用型 15 労働時間(平均) 2.障害種別比較 H 8 7 6 5 非雇用型 雇用型 4 3 2 1 精 知 + 身 知 + 神 精 体 身 知 的 0 16 労働時間(平均) 2.障害種別比較 8 (知的・身体・精神) H 7 6 5 非雇用型 雇用型 4 3 2 1 神 精 体 身 知 的 0 17 勤務日数(平均) 1.非雇用型と雇用型の比較 日 23 22 21.6 21.4 21 20 19 勤務日数 18 17 16 15 14 非雇用型 雇用型 18 勤務日数(平均) 2.障害種別 日 23 22 21 20 非雇用型 雇用型 19 18 17 16 15 精 知 + 身 知 + 神 精 体 身 知 的 14 19 勤務日数(平均) 2.障害種別 (知的・身体・精神) 日 23 22 21 20 非雇用型 雇用型 19 18 17 16 15 神 精 体 身 知 的 14 20 月額賃金(平均) 1.非雇用型と雇用型の比較 円 76,398 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 月額賃金 22,550 20,000 10,000 0 非雇用型 雇用型 21 月額賃金(平均) 2.障害種別比較 円 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 非雇用型 雇用型 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 精 知 + 身 知 + 神 精 体 身 知 的 0 22 月額賃金(平均) 2.障害種別比較 (知的・身体・精神) 円 100,000 90,000 80,000 70,000 60,000 非雇用型 雇用型 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 神 精 体 身 知 的 0 23 年齢と能力評価(全評価) 70 60 50 平 均 値 (%) 1 : 16~19才 ( 89) 2 : 20~29才 ( 621) 40 3 : 30~39才 ( 513) 4 : 40~49才 ( 301) 5 : 50~59才 ( 208) 30 6 : 60~64才 ( 41) 7 : 65才以上 28) ( 計 1801人 20 1 2 3 4 5 年 齢 6 7 24 1 : 16~19才 2 : 20~29才 3 : 30~39才 年齢と能力評価 4 : 40~49才 5 : 50~59才 6 : 60~64才 7 : 65才以上 体 力 手腕能力 % 人間関係 作業意欲等 社会常識 70 70 70 70 60 60 60 60 60 50 50 50 50 50 40 40 40 40 40 30 30 30 30 30 20 20 20 20 20 70 1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 6 7 25 労働時間と能力評価(全評価) % 70 60 50 平 均 値 (%) 40 1 : 20h未満 2 : 20~30h未満 3 : 30~40h未満 30 4 : 40h以上 20 1 2 3 年 齢 4 26 1 : 20h未満 2 : 20~30h未満 労働時間と能力評価 3 : 30~40h未満 4 : 40h以上 手腕能力 体 力 社会常識 人間関係 作業意欲等 % 70 70 70 70 70 60 60 60 60 60 50 50 50 50 50 40 40 40 40 40 30 30 30 30 30 20 20 20 1 2 3 4 1 2 3 4 20 20 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 27 労働時間(週)と時給 600 569 500 400 円 300 290 290 289 222 200 100 0 20H未満 20~30H未満 30~40H未満 40H以上 平均 28 障害程度区分と能力評価(全評価) 70 60 区分1 : 145(人) 2 : 276 50 平 均 値 (%) 3 : 185 40 4 : 90 5 : 16 6 : 6 計 718(人) 30 20 1 2 3 4 障害程度区分 5 6 29 障害程度区分と能力評価 手腕能力 % 作業意欲等 体 力 人間関係 社会常識 70 70 70 70 60 60 60 60 60 50 50 50 50 50 40 40 40 40 40 30 30 30 30 30 20 20 20 70 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 20 1 2 3 4 5 6 20 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 障害程度区分 30 障害程度区分と労働時間(週) 40 39 38 37 36 週 労 働 35 時 間 34 33 32 31 30 1 2 3 4 障害程度区分 5 6 31 障害程度区分と時給(性別) 500 400 300 円 男性 女性 200 100 0 1 2 3 4 障害程度区分 5 6 32 性別と能力評価(大項目) 70 60 平 50 均 値 40 (%) 30 20 手腕能力 体力 作業意欲等 人間関係 社会常識 全評価 33 男性 女性 二次調査 ・実態調査の結果を踏まえ、作業能力向上のための取組を行う ・作業能力向上のための目標値を設定 ・目標値をクリアするための具体的な取組(資料参照) ・取組期間:平成20年11月中旬~21年2月中旬(約3ヶ月間) ・評価:一次調査を実施した8月の評価と比較 34 取組事業所数と目標設定項目内訳 事 業 所 数 移行型 (授産含) 目標設定項目 手腕能力 体 力 作業意欲等 人間関係 社会常識 37 19 13 23 7 8 A型事業所 (福祉工場含) 27 12 8 13 3 5 29 13 7 10 9 6 B型事業所 35 能力評価の現状と改善目標(率) A型事業 移行型 % B型事業 1:手腕能力 2:体力 3:作業意欲等 4:人間関係 5:社会常識 100 100 90 90 80 80 70 70 60 60 60 50 50 50 現状 40 40 40 改善目標 30 30 30 20 20 20 10 10 10 0 0 100 90 80 70 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 36 作業能力向上の取組結果 (1)形態別 回 答 者 数 574 移行型 (授産含) 503 A型事業所 (福祉工場含) 409 B型事業所 計 1486 変 化 有 り 140 能力評価(総合評価) 向 上 110 (24.4%) (78.6%) 56 42 (11.1%) (75.0%) 70 51 (17.1%) (72.9%) 266 (17.9%) 203 (76.3%) 後 退 30 (21.4%) 14 (25.0%) 19 (27.1%) 63 (23.7%) 注)回答率:80.7% 37 作業能力向上の取組結果 (2)非雇用型と雇用型の比較 回 答 者 数 非雇用型 雇用型 983 503 変 化 有 り 210 (21.4%) 56 (11.1%) 能力評価(総合評価) 向 上 161 (76.7%) 42 (75.0%) 後 退 49 (23.3%) 14 (25.0%) 38 目指すべき方向と課題 39 職業能力と賃金 1.現 状(イメージ図) ※出縄研究員作成 金賃 非雇用型 職業能力 40 2.目指すべき方向 賃 金 職業能力 41 課 題 ・全国共通の客観的な職業能力評価基準の確立と 定期的な能力評価の実施 ・就労関係各事業の位置づけと守備範囲の明確化 ・非雇用型事業所利用者の労働性の問題 ・事業者の意識改革 ・経営体質の強化 ・生活支援の強化・拡充 42
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