第五講 蛋白質と生体膜(1)

1.生命界 エネルギー流概観
2.水と生体分子
3.細胞 生命の基本単位
4.生体エネルギーと酵素
5.蛋白質と生体膜(1)
6.蛋白質と生体膜(2)
7.定期試験(6月7日)
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
目的
①細胞の生命活動は様々な蛋白質の働きによることを理解する
②特に、蛋白質の様々な作用が重層的なネットワークを構成し、
複雑に絡み合っているが、その具体的な詳細は殆ど未知といって
よい
③生体膜の各種の働きも、各々に固有の蛋白質の働きであること
を理解する
④イオン輸送には、膜電位・情報伝達・ホメオスタシス・栄養補給・
エネルギー生産など様々な機能があることを理解する
⑤イオンの電気化学的ポテンシャル勾配を理解し、これに基づいて
受動輸送や能動輸送の違いについて理解する
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
①様々な蛋白質
ECBより
①様々な蛋白質
ECBより
①様々な蛋白質
ECBより
①様々な蛋白質
ECBより
①様々な蛋白質
ECBより
①様々な蛋白質
ECBより
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
蛋白質同士の相互作用
Fig. 2. Functional group interaction map based on Fig. 1 (modified from [10]). Shown are interactions between
functional groups of yeast proteins. Each line indicates that there are 15 or more interactions between proteins of
the connected groups. Connections with fewer than 15 interactions are not shown because one or a few
interactions occur between almost all groups and often tend to be spurious – that is, based on false positives in
two-hybrid screens or other assays. Note that only proteins with known function are included and that about onethird of all yeast proteins belong to several classes. Adapted from Trends in Cell Biology 11, 102-106 (2001)
生命の特徴
まとめ
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
動的秩序(自己組織化・散逸構造)
自己複製(自己増殖)
生命サイクルは遺伝的プログラムの実現過程
Ⅳ
Ⅴ
Ⅵ
刺激応答(環境適応)
恒常性維持(ホメオスタシス)
生命の基本単位は細胞である
始めへ
③生物学的仕事の統合
蛋白質作用の重層的ネットワーク
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
①生体膜概観
(1)生体膜(=細胞膜)と蛋白質
ECBより
①生体膜概観
(2)膜タンパク質の存在様式
ECBより
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(3)生体膜の様々な蛋白質
ECBより
①生体膜概観
(4)膜電位と細胞内イオン濃度①
①生体膜概観
(4)膜電位と細胞内イオン濃度②
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(1)人工脂質二重層の『選択的』透過性
ECBより
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(2)人工脂質二重層と生体膜
ECBより
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(4)イオンチャネルとキャリアー蛋白質①
ECBより
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(5)イオンチャネルとキャリアー蛋白質②
イオンの場合は、濃度勾配を電気化学ポテンシャル勾配と読み替えよ
イオンポンプへ
ECBより
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(6)イオンチャネルの構造
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(7)イオン透過性を決めるのはイオンチャネル
ECBより
②生体膜の選択的透過性とイオンチャネル
(8)イオンチャネルの開閉を決める因子
ECBより
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
イオン輸送の駆動力は何か?
・イオン輸送は濃度勾配による駆動力
と膜電位による駆動力の二つのバラン
スによって決まる
①膜電位差ゼロの細胞を考える
・取り決めにより、この駆動力を『内
濃度勾配によりK+は外向きに拡散
向き』輸送の駆動力として表現する
②濃度勾配は減少(外向き駆動力の減少)
・内向き輸送の駆動力は、内向き輸送
膜電位は増加 (内向き駆動力の増加)
に伴う自由エネルギー変化に等しい。
図の状態では、依然として
これを電気化学ポテンシャル勾配と呼
外向き駆動力>内向き駆動力
ぶ。
③この過程は、外向き駆動力=内向き駆動
力まで続く
⊿G外⇒内=⊿G膜電位+⊿G濃度勾配
K+
本例の場合、出発点では
⊿G膜電位=0、⊿G濃度勾配=+
より、⊿G外⇒内=+ (外向きへ拡散)
この拡散により
⊿G膜電位の負値が徐々に増加するとともに
⊿G濃度勾配の正値が徐々に減少し、
この正負が相殺した(⊿G外⇒内=0)時点で
平衡に達する
内
外
生
体
膜
膜電位
K+
濃度勾配
電気化学ポテンシャル勾配の膜電位成分(1)
1molの+電荷が、1mVの膜電位差に沿って
(つまり、自由エネルギーを減少させることによって)
++
内
生
体
膜
--
外から内へ拡散するとき放出する(失う)自由
エネルギーは
9.65x104x0.24x10-3 = 0.023 kcal/mol
自由エネルギー変化は -0.023kcal/mol
∴ 1molの+電荷が、膜電位差V(mV)に沿って
外から内へ拡散するときの、
自由エネルギー変化は 0.023V (kcal/mol)
膜電位が負であれば自由エネルギー変化も負
外
∴ 1molの価数zの電荷が、膜電位差V(mV)に
沿って外から内へ拡散するときの、
自由エネルギー変化は 0.023zV (kcal/mol)
高校物理の復習
①1C(クーロン)の電荷が1V(ボルト)の電位差に沿って流れるときに発生す
るエネルギーは1J(ジュール)=0.24cal
②ファラデー定数(F)= 9.65x104 C/mol
電気化学ポテンシャル勾配の膜電位成分(2)
⊿G膜電位=0.023zV(kcal/mol)
++
内
生
体
膜
・内向き輸送についての⊿G
・膜電位は外に対する内の電位
・zはイオンの価数(-4~+4)
・負値が内向き駆動力を表す
・正値は外向き駆動力
V=-100mV, z=+1 (K+)の場合
⊿G膜電位=-2.3 kcal/mol
2+)の場合
V=-100mV,
z=+2
(Ca
外
-⊿G膜電位=-4.6 kcal/mol
V=-100mV, z=-4 (ATP)の場合
⊿G膜電位=+9.2 kcal/mol
1molの価数zの電荷が、膜電位差V(mV)に沿って外から内へ拡
散するときの自由エネルギー変化は 0.023zV (kcal/mol)
電気化学ポテンシャル勾配の濃度勾配成分
(1)
化学反応(A⇒B)の自由エネルギー変化は
⊿G=⊿G0+2.3RTlog(B/A) であった
イオンXの生体膜透過(外⇒内)の場合、
⊿G濃度勾配項=2.3RTlog(Xin/Xout) となる
・標準自由エネルギーの項は、内外で相殺される
・気体定数R=1.987×10-3 kcal/mol/degより
⊿G濃度勾配=4.57x10-3Tlog(Xin/Xout) kcal/mol/deg
・ T=298K(25゚C)のとき、
⊿G濃度勾配=1.36log(Xin/Xout) kcal/mol
・負値が内向き駆動力、正値が外向き駆動力
まとめ
イオン駆動力=イオンの電気化学ポテンシャル勾配
内向き輸送の駆動力として表す
・⊿G膜電位=0.023zV kcal/mol
・ T=298K(25゚C)のとき、
⊿G濃度勾配=1.36log(Xin/Xout) kcal/mol
・負値が内向き駆動力、正値が外向き駆動力
・⊿G外⇒内=⊿G膜電位+⊿G濃度勾配
Caポンプ
膜電位を-70mVとすると、、、
外(mM)
K+
5
0.36
Na+ 145
-3.19
Ca2+
10
内(mM)Xin/Xout
140
10
10-4
Naポンプ
⊿G濃度勾配
28
0.069
10-5
⊿G膜電位
⊿G外⇒内
1.97
-1.58
-6.8
-1.61
-1.61
-3.22
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
①膜電位とイオンチャネル
(1)細胞膜電位(静止電位)の大半はK+の平衡電位に起因する
・細胞膜(形質膜)はK+に最も透過性である
(K+チャネルは開いているが、
Na+チャネルやCa2+チャネルは閉じている)
・ T=298K(25゚C)のとき、
⊿GK外⇒内=⊿G膜電位+⊿GK濃度勾配
=0.023zV+1.36log(Kin/Kout)
=0 より、
K+の平衡電位Vkeq=-(1.36log28)/0.023=-86 mV
・細胞膜電位を作る他の要因はNa+ポンプ(動物)やH+ポ
ンプ(植物)などの起電性イオンポンプの作用である
K+
膜電位を-70mVとすると、、、
外(mM) 内(mM)Xin/Xout ⊿G濃度勾配
5
140
28
⊿G膜電位
⊿G外⇒内
1.97
-1.61
①膜電位とイオンチャネル
(1)細胞膜電位(静止電位)の大半はK+の平衡電位に起因(つづき)
問題
下図から結論できることを述べなさい
解答
①この場合、膜電位は外部K+濃度に
強く依存するが、外部H+やNa+濃度に
は殆ど依存しない
②この膜の透過性、K+には高いが、
H+やNa+には極めて低い
③膜電位は、K+の平衡電位に極めて
近いものと考えられる
外部濃度が低まるにつれ、K+流出
は増加し(+電荷の排出により)膜
電位を上げる
ただし、この場合でも、膜電位は
K+の平衡電位だけに起因するわけで
はない
『植物によるイオン吸収』(ボーリング、産業図書、1976原著)より
補足
電荷の僅かな分極によって大きな『電場の強さ』が生まれる
(電場の強さE)×(距離d)=電圧V
①電場の強さ E=105 V/cm=100 mV/(10nm)
・・・膜電位を生む電場の強さにほぼ相当
②電場の強さは、面電荷密度と、二枚の面電荷に挟まれた物質の誘電率によっ
て決まる。生体膜の誘電率をe=10 とすると、①の電場の強さを与える面電荷
密度は σ= 10-7C/cm2 となる
③価数1の電荷1モルの電気量は約105C(ファラデー定数)であるから、②の
電荷密度は1cm2あたり10-7/105mol = 10-12mol = 1 pmol) のK+に相当する
④径20mmの細胞の表面積は約1000mm2=103×(10-4cm)2=10-5cm2。③の電荷密度は、
10-12×10-5 mol = 10-17mol = 10-5 pmol= 6×106個のK+に等しい
⑤この細胞の体積は4plであり、K+の細胞内濃度を300mMとし、水分を80%とす
ると、K+の細胞内含量は、(4×10-12)×(300×10-3)×0.8 mol
≒10-12 mol=1 pmol = 6×1011個と計算される
⑥つまり、細胞内の10万分の一のK+が流出するだけで、膜電位を約100mV上げ
ること(過分極)になる。同量のNa+が流入すれば100mV脱分極。
++++++
e
-
E ≒ 1013 × s/e
但し、sは面電荷密度 (C/cm2)
ECBより
①膜電位とイオンチャネル
(2)植物や菌の場合、細胞膜電位(静止電位)の半分程度は
起電性イオンポンプ(特にH+ポンプ)に由来する
チャネルとキャリヤーの違い
『植物の知られざる生命力』(岡本尚、大月書店、1991)より
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
②キャリヤー蛋白質(1)分類
イオンポンプへ
ECBより
②キャリヤー蛋白質
(2)エネルギー源による能動輸送のタイプ
②キャリヤー蛋白質(3)ナトリウムポンプ
膜電位を-70mVとすると、、、
外(mM) 内(mM)Xin/Xout ⊿G濃度勾配 ⊿G膜電位 ⊿G外⇒内
K+
5
140
28
1.97
-1.61
0.36
Na+ 145
10
0.069
-1.58
-1.61
-3.19
三個のNa+を汲み出し、二個のK+を汲み入れるためには、何分子のATPが必要か?
⇒必要な自由エネルギー変化は2×0.36+3×(-(-3.19) = 10.3 kcal/mol
ATP加水分解によって放出される自由エネルギーは、11~13kcal/mol
よって、一分子のATPが必要
②キャリヤー蛋白質(3)ナトリウムポンプ(その2)
⊿G=⊿G1+⊿G2+⊿G3<0
⊿G3<0
細胞内での
ATP加水分解
⊿G1+⊿G2>0
3Na+
内
⊿G1>0
2K+
外
⊿G2>0
②キャリヤー蛋白質
(3)ナトリウム駆動力によるグルコースの能動輸送
②キャリヤー蛋白質
(3)ナトリウム駆動力によるグルコースの能動輸送
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
③ホメオスタシスと信号伝達
(1)ナトリウムポンプとカルシウムポンプ
Na+もCa2+も内向き駆動力を持っているが、
細胞内Na+とCa2+は低濃度に保たれている
・⊿G膜電位=0.023zV kcal/mol
・ T=298K(25゚C)のとき、
⊿G濃度勾配=1.36log(Xin/Xout) kcal/mol
・負値が内向き駆動力、正値が外向き駆動力
・⊿G外⇒内=⊿G膜電位+⊿G濃度勾配
Caポンプ
膜電位を-70mVとすると、、、
外(mM)
K+
5
0.36
Na+ 145
-3.19
Ca2+
10
内(mM)Xin/Xout
140
10
10-4
Naポンプ
⊿G濃度勾配
28
0.069
10-5
⊿G膜電位
⊿G外⇒内
1.97
-1.58
-6.8
-1.61
-1.61
-3.22
③ホメオスタシスと信号伝達
(2)ナトリウムポンプの機能
(い)浸透圧調節及びNa+毒回避
(ろ)静止状態(非興奮状態)の保持
・興奮:Na+チャネルの開門による脱分極
・再分極:Na+チャネルの閉門による流入
抑制とNa+ポンプによる汲み出し
(は)能動輸送の駆動力(前出)
Naポンプ
Caポンプ
膜電位を-70mVとすると、、、
外(mM)
K+
5
0.36
Na+ 145
-3.19
Ca2+
10
内(mM)Xin/Xout
140
10
10-4
⊿G濃度勾配
28
0.069
10-5
⊿G膜電位
⊿G外⇒内
1.97
-1.58
-6.8
-1.61
-1.61
-3.22
③ホメオスタシスと信号伝達
(3)カルシウムポンプの機能
(い)Ca2+毒回避
(ろ)静止状態(非興奮状態)の保持
・興奮:Ca2+チャネルの開門による濃度上昇
・安静:Ca2+チャネルの閉門による流入抑制
とCa2+ポンプによる汲み出し(濃度
低下)
(は)Ca2+振動
Naポンプ
Caポンプ
膜電位を-70mVとすると、、、
外(mM)
K+
5
0.36
Na+ 145
-3.19
内(mM)Xin/Xout
140
10
⊿G濃度勾配
28
0.069
⊿G膜電位
⊿G外⇒内
1.97
-1.58
-1.61
-1.61
タンパク質と生体膜
Ⅰ蛋白質の重層的ネットワーク
①様々な蛋白質
②蛋白質の行う生物学的仕事
③蛋白質の重層的ネットワーク
Ⅱイオン輸送の駆動力
①細胞膜概観
②細胞膜の選択的透過性とイオンチャネル
③電気化学的ポテンシャル勾配
Ⅲイオン輸送の機能
①膜電位とイオンチャネル
②キャリヤー蛋白質(輸送担体)
③ホメオスタシスと信号伝達
④エネルギー変換 呼吸鎖と光合成電子伝達
④エネルギー変換
(1)概観
呼吸鎖と光合成電子伝達
④エネルギー変換
(1)概観(その2)
呼吸鎖と光合成電子伝達
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(1)概観(その3)
1.光化学系Ⅰ&II
1.クエン酸回路
2.光合成的電子伝達系
2.呼吸鎖
3.ATP合成酵素
3.ATP合成酵素
呼吸基質
光
励起Chl
NADH
⊿GH
⊿GH
ATP
1
ATP
1
2
3
2
3
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(1)概観(その4)
MCB Fig. 14. 3 より
④エネルギー変換
(2)呼吸と呼吸鎖
呼吸鎖と光合成電子伝達
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(3)呼吸鎖のH+駆動力
膜間腔
⊿GH外⇒内
ミ
ト
コ
ン
ド
リ
ア
外
膜
⊿G膜電位
⊿G濃度勾配
ミ
ト
コ
ン
ド
リ
ア
内
膜
H+ポンプ
マトリックス
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(4)H+駆動力とATP合成酵素
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(4)H+駆動力とATP合成酵素(その2)
④エネルギー変換
(5)呼吸鎖の構造
呼吸鎖と光合成電子伝達
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(6)ミトコンドリアと葉緑体
④エネルギー変換
(7)光合成の概要
呼吸鎖と光合成電子伝達
④エネルギー変換
(8)光合成的電子伝達系
呼吸鎖と光合成電子伝達
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(9)光合成的電子伝達系の構造
(④
10
)エ
呼ネ
吸ル
鎖ギ
と
光ー
合変
成換
的
電
子呼
伝吸
達鎖
系
のと
構光
造合
比
較成
電
子
伝
達
(④
11
)エ
呼ネ
吸ル
鎖ギ
と
光ー
合変
成換
的
電
子呼
伝吸
達鎖
系
のと
H+
光
駆
動合
力成
比電
較子
伝
達
④エネルギー変換
呼吸鎖と光合成電子伝達
(12)光合成的電子伝達系のH+駆動力
チラコイド内腔
⊿GH外⇒内
チ
ラ
コ
イ
ド
膜
⊿G濃度勾配
10-5
⊿G膜電位
ストロマ
チ
ラ
コ
イ
ド
膜
H+ポンプ
10-7
10-8
葉
緑
体
内
膜
10-7
葉
緑
体
外
膜
細
胞
質
本講のまとめ
①蛋白質の様々な作用が重層的なネットワークを構成し、
複雑に絡み合っている。その具体的な詳細は殆ど未知といってよい
②生体膜に選択的透過性を持たせているのはイオンチャネル蛋白質で専ら受動輸送に
関与する
③静止膜電位は-70mV前後である。
④動物細胞の場合、静止膜電位の大半はK+の平衡電位である。
菌や植物の場合は、K+の平衡電位による寄与と起電性H+ポンプによる寄与がほぼ
等しい。
⑤ニューロンは興奮するとNa+チャネルが開き、脱分極する
⑥イオンポンプは、イオンキャリヤー蛋白質の一種で、能動輸送に関与する
⑦イオン輸送の駆動力はイオンの電気化学ポテンシャル勾配であり、
内向き駆動力として表現する。これは、そのイオンの内向き輸送に
伴う自由エネルギー変化に等しい
⑧Na+ポンプは浸透圧調節に働く。ニューロンでは興奮を可能にする。
小腸ではグルコース輸送の駆動力をつくる。
⑨Ca2+ポンプは細胞をCa2+毒から守るとともに細胞興奮を可能にする
⑩H+ポンプはATP生産や他の溶質の能動輸送に対するエネルギー源として働く
⑪呼吸鎖や光合成電子伝達のエネルギーはH+駆動力に変換され、H+駆動力はATP合
成酵素を働かせてATP生産を行う
⑫光合成電子伝達のエネルギーは、ATP生産の他、NADPの還元にも用いられる
⑬呼吸鎖と光合成電子伝達のエネルギー源は各々呼吸基質(⇒NADH)と光(⇒励
起クロロフィル)
前半部全体のまとめ
①地球生態系の生産力は年間約100PgCで、これには海の生産者がほぼ半分寄与する。
海の生産者の現存量は地球生態系全体の現存量の約3%である。
②イオンや極性分子は水に溶けるが、非極性分子(疎水性分子)は水には溶けないで
油に溶ける。
③共有結合は分子の骨格を作るが、非共有結合は分子内や分子間の相互作用に働いて
分子の形を決めたり、分子の反応性を決めている。
④共有結合の強さは紫外線の強さにほぼ等しく、可視光線では切断できない
⑤生体膜のリン脂質二重層を作る力は疎水結合、蛋白質の二次構造を作る力は主に水
素結合である
⑥DNAの相補的塩基対形成に働く力は水素結合である。ただし、AT対形成、GC
対形成の精度は、酵素が介在しない場合、約90%程度である。
⑦生命界を体制で分類すると原核生物と真核生物の二つに、進化的系統で分類すると、
真正細菌、古細菌、真核生物の三つに大別される。
⑧動物細胞の生体膜は95%以上を内膜系で占める
⑨粗面小胞体のリボソームでは、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、形質膜に含まれる
蛋白質や細胞外へ分泌される蛋白質が合成される。
⑩細胞質基質の遊離リボソームでは、細胞質基質や核質に含まれる蛋白質のすべてと、
葉緑体やミトコンドリアに含まれる蛋白質の大半が合成される
⑪細胞内各区画への蛋白質の局在化には、局在化のためのシグナル配列と、細胞内各
区画がそのシグナル配列を認識するための受容体蛋白質が必要である
⑫ミトコンドリアや葉緑体は少数ながらゲノムをもち、内部のリボソームでタンパク
質合成を行う。このリボソームは、細胞質のものとは異なり原核生物のものによく似
ている。
前半部全体のまとめ(その2)
①ミトコンドリアは、古細菌または真核生物にα-プロテオバクテリア(真正細菌の
一)が共生することによって誕生した、と考えられている。
②葉緑体は真核生物にシアノバクテリア(真正細菌の一)が共生した一次共生と、緑
藻が共生した二次共生によって誕生した、と考えられている。
③宇宙のエントロピー(乱雑度)は増大する
④自由エネルギーは、エネルギーのうち仕事に転換可能な部分の最大値である
⑤反応に伴い、自由エネルギーは必ず減少する。言い換えると、仕事の効率は100%で
は有り得ない。(生命活動の仕事効率はおよそ25%前後である:摂取した自由エネル
ギーのうち25%が仕事に変換され、残り75%は熱として散逸する)。
⑥生命の秩序形成の基本は、酵素によって媒介される反応共役にある。
⑦熱力学的に可能な反応が、現実的な速度で生ずる為には、酵素による活性化エネル
ギーの減少が必要である。酵素は、非触媒反応に比べ、反応速度を50万倍~14京倍高め
る。典型的な酵素の分子活性は1000~10000/秒である。
⑧反応系や反応回路の流速は律速酵素の活性によって調節される。
⑨パスツール効果では、通気によるATP生産速度の上昇によって、解糖系の律速酵素PFK
が抑制され、その結果としてグルコース消費速度が低下する。
⑩代謝パターンは最大反応速度の原理によって決まる。
⑪負のフィードバックは安定化のメカニズムであり、ホメオスタシスの基本である。
⑫正のフィードバックは代謝振動のメカニズムになっていて、細胞内の信号として機能
する。
⑬イオンの電気化学ポテンシャル勾配は、そのイオンの内向き輸送に伴う自由エネル
ギー変化である。この勾配に逆らう輸送を能動輸送という。
⑭イオンチャネルによるイオンの流れはイオンキャリヤーに比べ1万倍以上速い
前半部全体のまとめ(その3)
①静止膜電位は負値で数十mVの範囲にある。大半はK+の平衡電位に起因するが、植物や
菌では半分は起電性のH+ポンプに由来する。
②ニューロンでは興奮によってNa+チャネルが開き、Na+の平衡電位の近くまで脱分極す
る。
③Na+ポンプの基本機能は浸透圧調節であるが、ニューロンでは興奮状態から静止状態
に復帰させる機能があり、小腸細胞などではNa+駆動力がグルコースの能動輸送のエネル
ギー源となる。
④Ca2+ポンプは、細胞をCa2+毒から守るとともに、刺激待機状態をつくる。内外の刺激に
よりCa2+チャネルが開きCa2+が流入する。この流入による細胞内Ca2+濃度の上昇が、内
外の刺激に対する細胞内の信号(シグナル)となる。
⑤H+ポンプはATP生産や他の溶質の能動輸送に対するエネルギー源として働く
⑥呼吸鎖や光合成電子伝達のエネルギーはH+駆動力に変換され、H+駆動力はATP合
成酵素を働かせてATP生産を行う
⑦光合成電子伝達のエネルギーは、ATP生産の他、NADPの還元にも用いられる
⑧呼吸鎖と光合成電子伝達のエネルギー源は各々呼吸基質(⇒NADH)と光(⇒励
起クロロフィル)