「内閣は、国会に対して 連帯して責任を負う」 その1 第5章 内閣 第66条 【内閣の組織、国会に対する連帯責任】 第1項 内閣は、法律の定めるところにより、そ の首長たる内閣総理大臣及びその他の国務 大臣でこれを組織する。 (日本国憲法) 解説 本条は、内閣の組織と構成員の資格を定め、内閣 は議会の支持の上に存立し、国会に対して責任を 負うという、 いわゆる 議院内閣制 を採用する ことを定めています。 内閣は、内閣法2条により、内閣総理大臣と 14 名 の国務大臣をもって組織するものとし、 特別の必要が ある場合には、 3 人を限度にその数を増加し、 17 人 以内にすることができます。 第2項 内閣総理大臣その他の国務大臣は、 文民でなければならない。 「 文民 」 とは、何でしょうか? 職業軍人でない者とされています。 つまり職業として軍務に服していない者のことです。 軍部からの政治への介入を抑制し、民主政治 を守るという、いわゆるシビリアンコントロール ( 文民統制 ) を及ぼしています。 第3項 内閣は、 行政権 の行使について、 国会に対し連帯して責任を負ふ。 「内閣は、国会に対して 連帯して責任を負う」 その2 内閣は三権の一つである 行政権 を担当し ます。この 行政権 の行使全般について、国 会に対して連帯して責任がある、ということです。 つまり、国会が作った 法律 をきちんと執行 し、行政の責任を果たす、という意味になります。 ですから、一義的には何か具体的なものを 指すわけではありません。 しかし、具体的にその「責任」が明確になること もあります。 一つは 内閣不信任決議 の場合です。衆 議院が、連帯責任者である内閣に対して不信 任を表明すれば、内閣としては存続できないこ とになります。だから、10日以内に衆議院 の 解散 か、 総辞職 かを選択するのです。 また、解散がなくても4年たてば衆議院は総 選挙です。その選挙後には、新たな国会が召 集されることになりますから、その新しい顔ぶれ の国会に対して連帯して責任を負うべき内閣も、 新たに組織されることになります。 行政のトップである内閣は、天皇に辞めろ! と言われても辞任する必要はないですけど、 国民の代表者から成る国会から、お前ら内閣 やめろ!辞職しろ!と言われたら、原則みんな 辞職しなきゃならんのです。(ただ議会を解散さ せるという喧嘩もできますが) 「連帯して」というのは、国会からこの内閣は 信用できん!辞職しろ!といわれたら(内閣不 信任決議)、内閣総理大臣一人だけ辞職とか、 農水大臣一人だけ辞職するんじゃなく、全大臣 が辞職する(総辞職)ということで、連帯責任な のです。 当たり前じゃんそんなのと思うかもしれません が、大日本帝国憲法時代では、大臣は天皇に 対して責任を負うこととなっており、天皇にお前 辞めろと言われた大臣は、その辞めろと言われ た人だけが辞職する仕組みになってたのです (連帯責任でなく個別責任だった)。 憲法66条3項が定める、内閣の国会に対する 「連帯責任」とは、法的責任ではなくて、政治的 責任です。要は、国会は、閣僚の一人が何か不 祥事や政策の失敗を犯したにすぎない場合でも、 内閣全体の不信任決議や問責決議をしてよい、 逆に、内閣のメンバーはその旨覚悟して、自分 の所管事務だけに閉じこもらず、国家全体を見 据えた政策を立案遂行しなさい、ということです。 閣議は全員一致制が伝統的に採用されてい ること、内閣総理大臣に任意の閣僚罷免権が あること(憲法68条2項)、それからご指摘の内 閣の総辞職の制度(同法69条)などは、この (政治的)連帯責任が背景にあります。 • 2項の 「 文民 」 とは、職業軍人でない者と されています。 つまり職業として軍務に服し ていない者のことです。 軍部からの政治へ の介入を抑制し、民主政治を守るという、い わゆるシビリアンコントロール ( 文民統制 ) を及ぼしています。
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