氷室の献立

氷室の献立
・ちくわの磯辺てんぷら ・太きゅうりの酢の物
・じゃがいものそぼろ煮 ・びわゼリー
金沢では、毎年7月1日を氷室の日とし、お饅頭を食べる独特の食文化があります。
氷室
まだ冷蔵庫などが無かった江戸時代、冬に降り積もった雪を
「氷室」と呼ばれる小屋に貯蔵し、6月の末に江戸の将軍家に献
上していました。
冬の雪の時期から何か月もの間、氷が溶けてしまわないように
大事に氷室で保管し、加賀から江戸への長距離をなるべく溶かさ
ないように運ぶ工夫は、とても大変なものでした。
氷を届ける道中の無事を祈って、神社に供えた饅頭が氷室饅頭
の由来といわれています。
氷室饅頭の他にも金沢では、お嫁さんの実家から嫁ぎ先へ竹輪(ち
くわ)を贈る習慣があります。このちくわを、氷室ちくわと呼びま
す。氷室ちくわは、普通のちくわに比べ太いのが特徴です。ちくわ
は、竹の周りに魚のすり身を塗りつけて作ります。この竹には殺菌
作用があるため無病息災を祈願して食べた、という風習に由来して
贈るそうです。今日は、太い竹輪ではありませんが、ちくわを磯部
揚げにしました。
また、むかしは「中風(脳卒中)が、でないように」と、氷室の日に、杏やびわ
を食べる風習が一般的でした。このほかにも、きゅうりや太きゅうりを食卓にのせ
る家庭も多いようです。
給食では、
太きゅうりの酢の物と、
びわゼリーにしました。
饅頭の糖質、ちくわのたんぱく質、旬の野菜や果物のビタミン、ミネラルを上手
に取り入れた、昔の人の知恵がうかがえます。
伝統行事と旬の食材、そして家々のコミュニケーションが重なり、地域の食文化
として受け継がれています。廃れさせることなく、大事に継承していきたいですね。