日本における、行政行為の附款の機能に関する議論 はじめに 目 次 行政行為の附款の機能 一 二 機能に関する基本的認識iドイツにおける議論の検討 三 行政庁と私人との合意としての附款ー行政指導との類似点 附款の類別毎の機能 五 四 ω負担の概念 負担 ラ a ︵ ω 負担の機能 ω 負担留保の概念 負担留保 b ︵ ω 負担留保の機能 ω 条件の概念 条件 ラ C ︵ 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 森 稔 九九 樹 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ ω条件の機能 ⑥期限 ω期限の概念 働期限の機能 ω 撤回権の留保の概念 @ 撤回権の留保 ω 撤 回 権 の 留 保 の 機 能 一 はじめに 一〇〇 日本において刊行されているものであれ、ドイツにおいて刊行されているものであれ、行政法総論の教科書は、必 ず何らかの形で行政行為の附款を扱っている。ドイツにおいてオットー・マイヤー︵98ζ塁巴により行政法学に 附款の概念が導入されて以来、行政行為の附款は重要な行政手段の一つとして論じられてきた。日本においても、明 治三六年︵一九〇三年︶にオットー・マイヤー︵美濃部達吉訳︶・猫逸行政法全四巻が出版されて以来、美濃部や上 杉愼吉らによって行政行為の附款が論じられ始めた。大正八年︵一九一九年︶に出版された美濃部達吉・日本行政法 ハ レ パ レ 総論は、現在に至るまでの日本における行政行為の附款論の原形を呈示した。 しかし、附款の機能について説明をする教科書はほとんどない。それだけでなく、論文ですら附款の機能を論ずる ものは少ない。このことは、とくに日本の学説にあてはまる。だが、最近になって、やや事情が変わりつつある。時 代的には一九八○年代頃から、行政行為の附款が有する機能に触れ、さらにはそれを検討する教科書・論文が現れて いる。 他方、日本よりも行政行為の附款に関する議論が活発なドイツにおいても、附款が有する機能についての本格的な 研究は、それほど多くはない。しかし、以下において概観するように、附款、とりわけ負担が有する機能については、 幾つかの論文において詳細に論じられており、この点において日本の学説が参照すべき成果も少なくない。 勿論、行政行為の附款の概念、そして行政庁が行政行為に附款を付すことに対する統制を論ずることは、重要であ る。とは言え、行政行為の附款がいかなる機能を有するか、という問題は、附款に対する統制を検討するための前提 として欠くべからざるものである。何故なら、いかなる場面において附款が用いられ、いかなる機能を附款は果たし うるかという事柄に対する考察がなければ、附款に対する統制を論ずるにしても、あまり意味がないからである。行 政行為の附款という概念が存在するからには、そのための理由があるはずである。行政行為の附款がいかなる機能を 有するか、そして、附款が存在することにより行政活動に現れる長所とは何か。これらのことが明らかにならなけれ ば、附款が有する短所をいかに克服するか、換言すれば、附款をいかに統制するかという問題は、本来なら論じられ ないはずなのである。 そこで、本稿では、行政行為の附款がいかなる機能を有するかを考察し、そして行政活動にとっていかなる存在意 義を有するかを明らかにすることを目的とする。 二 日本における、行政行為の附款の機能に関する議論 上杉愼吉、美濃部達吉、佐々木惣一をはじめとして、日本の学説は、行政行為の附款を論ずる際、まず附款の概念 ︵定義︶から論ずるのが通例であり、附款が現実にいかなる機能を有するのか、さらに、附款が有する基本的機能と パ レ は何かということについては、ほとんど検討を加えなかった。このような、阻款の機能に関する考察の欠如が、附款 パ レ 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一〇一 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一〇二 についての議論を妨げた原因の一つであるのではないかと考えられる。 日本の学説において、行政行為の附款が有する機能について論じられるようになったのは、一九八○年代に入って からである。その早い代表例として、菊井康郎の﹁行政行為の負担﹂という論文、および、塩野宏の﹁附款に関する一 ︵5︶ 考察﹂という論文がある。両者ともに、基本的にはドイツの議論の紹介にすぎず、しかも菊井は負担しか扱っていない。 しかし、新たな流れとして注視しておく必要がある。このうち、菊井論文が負担の機能について検討を加えている。 菊井は、負担の機能として﹁個別的な規制の役割﹂をあげ、さらに、その役割を﹁法規による規制への補完的な機 能﹂と﹁権益供与拒絶に対する代償機能﹂とに分ける。 パ レ このうち、﹁法規による規制への補完的な機能﹂とは、各種の行政法規による﹁標準的ないし共通的な規制﹂では パヱ ﹁個別の事案の特性に的確に即応しない場合﹂に﹁法令上の一般的な義務を補充する役割﹂である、と説明される。 ︵8︶ さらに、﹁法令による一般的な規制について、個別の事案に即応した規制の具体化の役割を営む場合﹂があることも 指摘されている。次に、﹁権益供与の拒絶に対する代償機能﹂は、文字通りのものであり、菊井もこれをさらに詳説 してはいない。ただ、﹁申請どおりの処分が不適当と認められる場合﹂に﹁申請の全面的な拒絶よりも、負担の設定 による許可等のほうが申請人の利益にかなう場合が少なくない﹂。また、これらの機能は﹁抽象的属性の面﹂におい パ レ て﹁主権の存在、人権保障体制、行政裁判所等による直接的な影響を受けないのが通例であ﹂り、﹁現実的な展開の 局面では、流動的・可変的な色調を帯びる傾向がある﹂と述べられる。 ︵10︶ 菊井の論述は簡単にすぎ、具体性に乏しいと思われる。しかも、論述が負担の機能に限定されているため、附款一 般にいかなる基本的機能が存在するのかが全く明らかにされていない。また、﹁法規による規制への補完的な機能﹂ と﹁権益供与の拒絶に対する代償機能﹂とは、相互補完的である、と言うより、同じ機能を違う角度から捉えたもの にすぎない。後に見るドイッの学説における議論よりも粗い議論である。 そこで、行政行為の附款が有する機能に着目した、日本の学説における議論のうち、最も注目に値するものとして、 芝池義一による﹁機能的付款論﹂を検討することとする。 芝池による﹁機能的付款論﹂は、概念的な附款論とは別個のものであり、機能の分類も附款の概念的種別とは別個 に行われる。芝池によれば、附款は、機能の面から﹁拒否処分の回避のための付款﹂、﹁独立行政行為的付款﹂、﹁予告 的付款﹂、﹁計画法的付款﹂とに分けられる。以下、これらを概観し、検討してみよう。 パも まず、﹁拒否処分の回避のための付款﹂とは、行政庁に羅束裁量または自由裁量が認められる場合で、申請に対し て公益確保のために附款を付して許可・認可などを行う場合を指す、とされる。 ︵12︶ 次に、﹁独立行政行為的付款﹂とは、﹁許認可の申請が法定要件を充足している場合において、法律の規定の不備を 補い、あるいはよりよき行政目的の達成のために付されるもの﹂とされる。例としては、河川敷の占用許可に伴う占 用期間に関する附款︵河川法第二四条を参照︶などがあげられている。 ︵13︶ ﹁予告的付款﹂は、﹁将来における行政庁の措置を予告する付款﹂とされる。これにあたるものとして、撤回権の パき 留保、および﹁付款により課された義務の変更の留保﹂が、例としてあげられている。なお、﹁付款により課された 義務の変更の留保﹂が負担留保のことなのか、その他の何らかの類型をも含むものかは、明らかにされていない。 そして、﹁計画法的付款﹂とは﹁行政の計画的遂行のために付される付款﹂とされる。例として、﹁墓地経営のため の風致地区での木材伐採の許可の効力の発生を墓地経営の許可の付与にかからせる付款﹂︵都市計画法第五八条第一 項を参照︶があげられている。この例につき、芝池は、﹁こうした付款が考えられるのは、木材伐採の許可の要件が パぎ そろっていても、墓地経営の許可の見込みがないのに、木材の伐採を認めることは合理的ではないからである﹂と述 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ ︸〇三 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一〇四 べている。 ︵16︶ 以上が、芝池の﹁機能的付款論﹂による附款の分類である。このような試みは、日本の学説においてこれまで附款 の機能に関する考察がほとんどなされなかっただけに、評価に値するものではある。しかし、次に述べるような問題 点も存在する。 第一に、﹁機能的付款論﹂の意昧である。たしかに、右の四類型のうち﹁予告的付款﹂は附款の機能を表したもの と評価しうる。しかし、その他の類型については、附款の機能というよりも、むしろ附款を付する目的に着目したも のであると言いうる。 例えば、﹁独立行政行為的付款﹂について言うならば、﹁許認可の申請が法定要件を充足している場合において、法 律の規定の不備を補い、あるいはよりよき行政目的の達成のために付される﹂という目的を有することは認められる。 しかし、機能についても同様かということには疑念が生ずる。行政行為の附款が﹁法律の規定の不備を補﹂う機能を 有する、ということは認められるものとしよう。だが、﹁よりよき行政目的の達成﹂という言葉は、必ずしも意味の 明らかなものではない上に、このようなことを考慮しつつ行政行為に附款を付すならば、それが他事考慮として違法 となるおそれがないのであろうか。附款がこのような機能を有するか否かは、さらに検討する必要性が残されている と言いうる。 ﹁計画法的付款﹂についても、﹁行政の計画的遂行﹂という目的を有することは認められるが、それが機能として 評価されうるか否かは、別の間題ではなかろうか。 第二に、以上の四つの類型が相互に排他的であるか否かが判然としない。例えば、撤回権の留保は﹁予告的付款﹂ の性質を有すると同時に﹁拒否処分の回避のための付款﹂の性質を有するということはないのであろうか。このこと は、負担留保についても言いうる。行政行為に附款を付するということは、単純な肯定でも否定でもない回答を行政 ︵17︶ 庁が相手方に示すことであると考えられる。従って、行政行為の附款のいずれの類型も、さらには﹁内容的制限﹂も、 単純な拒否によって相手方の意向を無にしないための行政庁の意思表示なのではなかろうか。行政庁は行政行為に附 款を付すことにより、自らの意思と相手方の意思とを調整しうるのではなかろうか。その上で、附款がいかなる機能 を有するかということを個別的・具体的に判断する以外にないと思われる。 第三に、いかなる附款が以上の類型のいずれかの機能を有するかということが十分に明らかにされていない。撤回 権の留保および負担留保が﹁予告的付款﹂の性質を有することは、芝池自身により述べられている。また、﹁独立行 政行為的付款﹂は、主として負担を念頭に置いたものと思われる。だが、それでは条件・期限は上記のいずれの類型 に属するのか。﹁計画法的付款﹂に属する阻款とは何か。行政行為の附款は、基本的にはいずれも﹁拒否処分の回避 のための付款﹂の機能を有しているのではないか。ここにあげたような疑問1その他にも同様の様々な疑問が浮か ぶが、ここで詳述することは避けておくーに対する解答を、﹁機能的付款論﹂によって求めることは困難である。 それでは、行政行為の附款は、いかなる機能を有するのか。まず、これについては、附款一般に関する基本的認識 を明確にしておく必要がある。そこで、項を改め、ドイツ行政法学における議論を参照しつつ、附款の機能に関する 基本的認識を確定する。 三 機能に関する基本的認識iドイツにおける議論の検討 オットー・マイヤーは、行政行為の附款を主として警察許可の項目において論じた。彼は、撤回権の留保i期限 ︵掲︶ の箇所において論じられているーを、事業者の﹁警察適合的許容性を確かめるため﹂のものとしていた。また、負 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一〇五 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一〇六 い場合には、既に許可がなされたにもかかわらず、警察違反があればそれに相応する処置をとるための行政庁の留保 ︵珀︶ 担について、﹁許可された事業から生じうる警察上の損害を予防する目的のための規定﹂と定義し、﹁これを遵守しな ヤ ヤ ︵20︶ ︵21︶ を意昧する﹂と述べた。これらの記述は、マイヤーが附款の機能に留意していたことを示すものであると言うことが できる。 行政行為の附款を行政法総論の中に体系づけたコルマン︵ζ二囚。毒”暮︶も、とくに負担の存在を重要視してお り、警察許可や経済法における認可などにおいて頻繁に用いられることを、実例を示して述べており、法人の創設に ︵22︶ 際しての監督権および認可権の留保をも負担の存在意義としている。コルマンも直接的に附款の機能を論じてはいな いが、やはりそれに留意していたと言うことはできる。 行政行為の附款は、当初は主として警察法の分野における道具であり、オットー・マイヤーおよびコルマンはこの ことを念頭に置いていたものとみられる。その後、水法、鉄道法、道路法などの分野においても、行政行為の附款は 法的道具として定着し、近年に至って多くの重要な行政領域においても附款が用いられるようになっており、このこ ︵23︶ とはドイツにおける行政行為の附款論の発展に、おそらくは相当な影響を与えたと考えられる。 しかし、附款の機能に関する本格的な議論は、ドイツにおいても第二次世界大戦後にようやく始められたようであ る。ドイッにおいて、行政行為の附款の機能はとくに経済行政との関連が念頭に置かれて論じられることが多いが、 日本の学説にはこのような視点が存在しなかったので注意する必要がある。 クリューガー︵浮吾の辞丙昌鴨吋︶が一九五五年に発表した﹁経済行政の手段としての負担﹂という論文は、負担の みについてではあるが、機能に関して基本的認識を述べる。すなわち、負担は経済行政において特別の需要に譲歩す ハぬレ る手段であり、行政庁が許認可をなす際に負担によって非常に豊富かつ詳細な効果を規定しうることを指摘している。 負担がなければ、許認可の申請に対する行政庁による回答は富または箒ぎしかありえない。負担を付すことは、宣と ︵25︶ 2Φぎとの間にある様々な回答ーそれは宣るび震という回答に纏められる∼の余地を残すことである。ここから、 負担は行政実務に柔軟性をもたらすという機能が帰結されるであろう。 右のようにクリューガーにより示された認識は、その後ドイツにおいて附款全般に一般化され、さらに発展させら れているように思われる。その現われはエルスター︵↓ぎ&興田ωけ包、およびシユナイダー︵浮房−ざω9 の。﹃①宣巴の見解に代表されるであろう。 ︵26︶ ︵2 7︶ ︵28﹀ エルスターは、附款の機能として次の三点を指摘する。すなわち、①相手方の意図と行政庁の決定とを合致させる こと、②行政手続における経済性、③第三者の利益さらに公益との調整、である。ここで、これらについて補足的に 述べると、①は、相手方による申請が要件のうちの或る一部を充たすが他の一部を充たさない場合、附款がなければ 唯一つだけの要件不充足によって申請が拒否されることとなり、問題が生ずるので、附款により適切な解決を図ると いうことである。次に、②は、行政庁にとっては申請拒否による再申請に対する再審査の手間を省くことが可能にな ︵29︶ り、相手方にとっても申請拒否による新たな行政手続をとる必要がなくなって、﹁行政庁の裁量が事後に変更され、 ︵30︶ または法規の変更が要望︵相手方のi引用者注︶にもはや関わらなくなる﹂という﹁安定性﹂が得られるというこ とである。そして、③は個別の行政分野との関係を有することであり、とくに負担について論じられることが多いの で、そのような議論をみることとする。 1︶ 例えば、エルスタi自身は、補助金交付の際に付せられる負担が助成を受けた者の行動を助成する側の決定方針に ︵3 沿わせることにより、経済政策上の手段をより実効的にするような望ましい経済行動を達成する旨を述べている。ま た、附款は﹁環境保護を達成するため﹂の古典的手段である旨をも述べる。 ︵32︶ 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一〇七 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一〇八 へおレ シャッヘル︵甘房曽富9亀も、補助金行政において負担が主たる行政行為に匹敵する役割を果たす旨を述べてお り、環境保護行政などの幾つかの行政領域においては﹁行政は附款なしに問に合わせることはできない﹂として、附 款の登場しない場面はない旨を述べる。また、彼は﹁金銭給付負担﹂という論文において、﹁第三者の権利に対する、 パ レ 企図︵ 申請者の。引用者注︶の不利益な効果は、第一に、適切な負担によって防止され、または排除されなけれ ばならない﹂と述べており、負担が第三者の権利・利益保護に資することに注目している。 パ エルスターおよびシャッヘルが言及する補助金法の分野に関して、フライク︵O霞富三コ巴αq︶は、補助金法にお いて行政行為の附款がいかに利用されているについて概説している。それを要約すると、附款は、行政庁が補助金を 交付する目的︵補助金受給者に対して、補助金の交付目的に沿う支出をさせ、その支出の対象を利用させ、補助金を 6︶ 利用したことの証明をさせる︶を確保し、補助金受給者に対する反対給付などの賦課を承知させる機能を有する、と いうことになる。 ︵3 さらに、計画法の分野における附款について、バドゥラ︵評§田2邑は、計画策定または認可の段階において パむ 附款が行政行為の相手方の利益の第三者の利益とを調整する機能を有することを指摘し、﹁第三者の私的利益を考慮 に入れた計画策定の附款は調整機能を有し、かつ、ー権利形成的計画の領域としてー計画分野上の考慮命令 ︵38︶ ︵§9一習魯ω9霧>薯凝彗鵬詔魯亀という特別な特徴を有する﹂と述べる。つまり、計画策定において附款を付す ることにより第三者の利益を保護することが可能になるという訳である。 計画法の領域において行政行為に付された負担が第三者の権利・利益保護を図る機能を有することは、既にドイツ の判例においても認識されている。また、連邦行政手続法第七四条第二項第二文は﹁計画策定行政庁は、企画の主体 パ に、公共の福祉のために、または他人の利益に不利益な効果を与えることを回避するために必要な予防措置、または 設備の設置および維持を命じなければならない﹂と定める。このような命令は同第三六条第二項第四号に定められる 負担に該当することが、一般的に認められている。 ︵40V このようにみるならば、附款、とりわけ負担が第三者の権利・利益保護にも資することが、ドイツにおいて認識さ れていることは明らかであろう。 ︵41︶ 次に、シュナイダーの見解をみる。彼は、附款を、行政実務に柔軟性を与えるものと位置づける。そして、二つの、 附款の典型的な利用領域を指摘し、やや類型別的な検討をなしている。シュナイダーの主張は、次のようなものである。 まず、或る授益的行政行為を、後に変化する事実的、法的、または経済的な諸事情に適合させようとする場合であ る。そのための手段の一つとして行政行為の︵職権︶取消もしくは撤回がある。しかし、これらは連邦行政手続法第 四八条ないし第五〇条に定められた要件を充足しなければなされえない。もう一つの手段は附款、その中でも解除条 件、終期または撤回権の留保である。解除条件または終期ならば、行政行為の︵職権︶取消もしくは撤回に求められ ︵42︶ るような要件はない。撤回権の留保も、同第四九条第五項によって、相手方に補償をすることなく相手方の受益を終 了させうる。ただ、この場合、行政庁に行政活動の柔軟性を与え、それとともに、私人に対して﹁認可や許可に基づ 3︶ く経済的な自由処置︵豆省。三段窪︶を困難にし、または全く不可能にする。すなわち、一度なされた決定に関する ︵4 適応のリスクと適応のためのコストは﹂私人に﹁転嫁される﹂。 次に、授益的行政行為が関係人に、間接的ではあっても重大な経済的利益を与える場合である。この場合には、行 政庁が行政行為に停止条件または負担を付加することにより、授益的行政行為によって私人が得られた利益を、行政 庁は﹁吸い上げる﹂︵ぎω99雪︶ことができる。つまり、行政庁は私人に対して行政行為によって利益を与えると ︵44V ともに、その行政行為によって私人が得ることのできた利益を、附款によって、いわば行政行為によって利益を与え 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一〇九 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 二〇 パ たことに対する反対利益として得ることができる訳である。 こうして、エルスターやシュナイダーらにより論じられた行政行為の附款の機能は、マウラー︵浮旨⋮け ζ窪おしにより、要約的に次のように述べられている。 ﹁附款は、無制約の認可を妨げるような法的な障害、または事実上の障害をも排除する目的を有する。行政庁は無 制約の認可について間題が存在したとしても申請された認可を拒絶する必要はなく、むしろ一定の留保をつけて認可 を与えることができる。すなわち、拒絶という厳格なZΦ冒の代わりに、附款の付いた認可という制約された夕 ぎ興が登場するのである。従って、弾力性のある行政を可能とし、市民の利害に応ずることができる﹂ ︵46︶ ここで述べられていることは、附款という法技術がなければ行政庁は私人の申請に対して肯定・否定の二者択一と いう選択しか存在せず、それでは却って私人の利害に合致しないということである。置ぎ巽という行政庁の選択は、 とくにぎ霞という意思表示によって行政行為に負担などの附款を付し、行政庁の意向を示しうるとともに、附款の 内容に応じて行政庁の選択肢を増やす結果に繋がる。 また、私人にとっても、申請通りの完全な行政行為がなされず、あるいは申請通りの完全な行政行為に何らかの義 務づけが付加されたとは言え、ともかくも意図した行政行為によって自ら欲した活動︵例えば、営業活動︶をなしうる のである。その意味で、附款は行政庁と私人との問でなされる利害の調整という機能を果たすものであると言えよう。 右のマウラーの指摘には、第三者の利害さらに公益との調整という視点が明示されていないが、これは﹁無制約の 認可について問題が存在﹂する場合に含まれるものであろう。相手方にとっては無制約の認可が利益となる場合で あっても、第三者さらに公益にとっては、無制約の認可が﹁法的な障害、または事実上の障害﹂となる場合も当然想 定しうるからである。 ︵47︶ マウラーの指摘は、日本の学説においても近時採用されている。基本的認識としては、まずこの指摘を押さえる必 要がある。すなわち、附款が有する基本的機能とは、行政庁と相手方との利害の一致1これは行政庁の意思と相手 方の意思とを合致させるということでもあるー、行政実務の柔軟性、相手方の利益と第三者の利益ないし公益との 調整、これらを附款が果たしうるということである。 なお、右の基本的認識は、とくに負担・負担留保に妥当するものである。ミューラー・ウーリ︵寄罵ζ自睾¢こ によれば、附款のうちの期限・条件・撤回権の留保は、行政庁による、.夕き言⋮.、または・.2Φ登毒呂⋮、.という意思 表示である。同様に、部分認可や﹁内容的制限﹂は.、↓亀ωす鼠一ω匿巨.、という意思表示であり、﹁変更負担﹂は 、.Z。旦呂震.、という意思表示である。しかし、いずれも、行政庁と相手方との利害の一致、行政実務の柔軟性、相手 ︵48︶ 方の利益と第三者の利益ないし公益との調整という諸機能を有する。このことに変わりはない。 なお、このような機能を附款が有するならば、附款を付すことに対する制約、あるいは付さないことに対する制約 i換言すれば、附款を付す義務ーが、当然ながら問題になる。しかし、これは本稿の主題から外れるため、機会 を改めて論ずることとしたい。 ︵49︶ 四 行政庁と私人との合意としての附款ー行政指導との類似点 既にみたように、行政行為の附款が有する基本的機能とは、行政庁と相手方との利害の一致、行政実務の柔軟性、 相手方の利益と第三者の利益ないし公益との調整、この三つであるという結論を得た。これらが、行政行為の附款 1さらに﹁内容的制限﹂もーが有する機能に関する基本的認識として確定されるべきものである。 但し、もう一つだけ、附款の機能として述べておくべきことがある。それは、行政行為の附款が行政庁とその相手 行政行為の附款の機能︵森 稔樹﹀ 一一一 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一一二 方との同意の結果を示すという機能である。このような機能を有するものを﹁行政庁と私人との合意としての附款﹂ と称することができよう。 この﹁行政庁と私人との合意﹂を表示する機能自体は、右の基本的機能の一側面である。しかし、ドイツにおいて は、事前折衝︵<。籍Φ昌弩色盲鵯昌︶などの﹁インフォーマルな行政活動﹂との関連を要するものであることに注意 ︵50︶ する必要がある。 例えば、私人が許認可の申請をなし、行政庁が許認可をなすまでの問に、私人と行政庁とが事前に﹁許認可の見通 む し﹂や﹁要件の存否﹂などにつき折衝を行い、その結果が負担などの附款として現れることがあるという。行政契約 がなされる際にも、行政庁と相手方たる私人との間で何らかの合意が得られるのであり、この点において、行政行為 の附款、とくに負担と行政契約との間には、決して無視しえない共通点があると言えよう。フライクは、補助金契約 につき、補助金交付の承認をなす行政庁︵浮&一凝琶ひqωげ。まa。︶が承認決定︵ゆ霧まαq琶鴨げ89Φ5をなす代わり に補助金申請者と補助金契約を締結することが連邦行政手続法第五四条第二文により認められ、これによって補助金 受給者による反対給付という特定の行為を意図するという経済的支配︵ぎ蕾9聾ω一自ざ梶︶の措置を採ることがで きる旨を示し、このような、契約において規定される補助金受給者による反対給付の確保という機能が附款つきの行 パおレ 3︶ 政行為に引き継がれている旨を述べている。 ︵5 また、日本の行政指導と行政行為の附款との類似性を示唆するとみられる見解も、日本の学説には存在する。行政 指導は、日本の行政手続法第四章において規定されるに至ったとは言え、あくまでも事実行為であるのに対し、行政 ︵54︶ 行為の附款は法的行為であるという相違は存在する。しかし、行政行為の附款は法律に規定されていない事項、例え ば何らかの義務づけや行政行為の効力の制約を行政庁がなす旨の意思表示であり、他方、行政指導は必ずしも法律 ︵行政作用法︶を根拠とせずに法律の規定にない事柄に関して行政庁の意向を実現しようとするものである。従って、 両者はともに法治行政の原則の観点からは例外的な事象であり、両者の機能にその限りにおいての類似性が存在する と言いうる。 事実、日本の最高裁判所において争われた事件の中には、行政庁が行政行為をなす前の段階において行政庁とその 相手方たる私人との問に折衝がなされたというものーこの場合、行政庁が私人に対して何らかの行政指導をしたこ ︵55﹀ とも考えられるー、または行政庁に対し私人が自らに不利な内容の附款を付すことを認めたというものがある。 但し、行政行為の附款と行政指導との共通性については、さらに実務の動向などをとくに行政指導について詳細に 検討する必要がある。また、ドイツにおける﹁インフォーマルな行政活動﹂は、日本における行政指導に類似する点 があり、それ自体が詳細な研究の対象とされるべきである。さらに、ドイツにおいても﹁インフォーマルな行政活 動﹂に対する研究が本格的になされ始めたのは近年である。そのため、本稿においては、機能面での行政行為の附款 と行政指導との類似性については理論面での仮説として提起するに留め、詳細な検討は後の機会を待つこととする。 ここでは、許認可に付された附款が事前折衝などの﹁インフォーマルな行政活動﹂における行政庁と私人との合意の 結果を示すことに注目しておきたい。 五 附款の種別毎の機能 附款一般が有する機能に関する考察は、これまでにも不十分ながらなされてきた。しかし、従来、行政行為の附款 とされる諸類型の各々が有する諸機能は、負担を除いてほとんどなされることがなかった。 私は、行政行為の附款一般が有する基本的機能以外に附款がいかなる機能を有するかについて、最終的には個々の 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一一三 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 二四 状況に応じて個別的・具体的に判断せざるをえないと考える。しかし、附款の類型毎に機能を考察することも決して 無意味ではない。それだけでなく、附款論の理解にも有用であると考える。 私は、別稿において行政行為の附款の類型を負担・負担留保、条件・期限・撤回権の留保とした。従来の行政行為 の附款とされてきたものには、主たる行政行為の効力を制約する態様が異なるものが混在している。条件・期限・撤 回権の留保は、いずれも主たる行政行為の効力を時間的側面において制約するものであり、負担・負担留保は、それ 自体としては主たる行政行為に付随してなされる義務づけにすぎず、結果的に主たる行政行為の効力の制約に繋がる ものであるにすぎない。しかし、いずれも主たる行政行為の効果を、内容的側面において完全に保つものである。負 担・負担留保については言うまでもない。条件・期限・撤回権の留保についても、主たる行政行為がその効力を有す るときには、これに対して何ら内容的な制約を加えるものではない。それに対し、法律効果の一部除外は、とくに法 律の明文の根拠がなければ付しえないとされるのが一般的であるから、附款の一類型とする意昧に乏しく、理論的に も、主たる行政行為の効果を内容的側面において完全に保つものではなく、その他の類型とは異質であるため、附款 の類型には含まれないものと解すべきである。 ︵56︶ そして、右に示した個別類型の概念からそれぞれの機能を考察することも可能であり、理解のためにも有益であろ 、つQ 但し、ここで、附款の各類型の概念および性質について検討を加えなければ、機能を考察するための前提が不十分 なまま残されることとなる。そのため、まず、附款の類型毎に概念および性質について検討を加え、それから行政行 為の附款とされる諸類型の各々が有する機能について私見を呈示する。なお、ここでの機能論は一つの試論にすぎな いことをお断わりしておく。 @負担 ω負担の概念 ︵57︶ ︵58﹀ 条件と負担との区別は、一九世紀のドイツ民法学の影響を受けて、オットー・マイヤー以降のドイツ行政法学に よってなされたのであり、日本行政法学においても明治時代よりなされたところである。 負担は、主たる行政行為の効果の相手方に対して何らかの義務づけを行うものであり、主たる行政行為の効力は即 時に発生し、負担の不履行は当然に主たる行政行為の効果の消滅に繋がるのではない。 しかし、概念上は条件と負担との区別が容易であると言っても、実際にはその区別が困難である場合がある。︵日 本においてとくに妥当することであるが︶立法および行政実務が行政行為の附款を﹁条件﹂と総称してきたことにも 原因が存在するが、より重要な理由としては、条件の中に行政行為の効果の発生または終了を行政行為の相手方の条 件履行の有無に委ねる場合︵随意条件︶が存在することがあげられる。行政庁が行政行為をなす時点において自ら付 した附款が条件か負担かを明示するならば、とくに困難は生じない。しかし、行政庁の意思表示が明確でない場合、 すなわち、行政庁が付した附款が条件か負担か不明確である場合には、その附款の効果を何らかの基準によって明ら かにしなければならない。この問題は、とくに附款のみを独立させて訴訟において争いうるかという問題に繋がるた めに重要である。それだけでなく、機能の面においても差異が生ずるが故に、ここで条件と負担との区別の基準を明 ハ らかにしておくことが必要である。 日本においては条件と負担とを区別する基準がほとんど論じられていないし、判例の立場も明確でない。これに対 し、ドイツにおいては、条件と負担とを区別する基準を行政庁の意思に置くかそれ以外のものに置くかに関して議論 がなされる。 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一一五 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 二六 右の基準を行政庁の意思に置く説は、フォン・マンゴルト︵=輿§目<8ζ§αq・算︶、アスファルク︵冒Φ§ 1︶ ︾ωω琶αq︶、ヴァイロイター︵頷身≦Φ胃窪爵霞︶、フォルストーフ︵国導ω貯問o参903、オーバーマイヤー︵困弩ω パ ○げΦ毒昌包によって主張される。例えば、アスファルクは、行政行為に付された附款が条件か負担であるかは最終 ︵6 的には行政庁の意思によって判断されざるをえない旨を述べる。また、オーバーマイヤーは、行政庁の意思を確かめ ハ るために民法第コニ三条を準用することを認める。だが、フォルストーフは﹁相手方に課されたものが行政庁にとっ て、もし相手方が行政行為に適合するならば行政行為に法的効力を与えていたということからなされるほどに非常に ︵63︶ 重要なものであることが明らかであるならば、条件である﹂と述べ、主に行政庁の意思を基準とはするものの、副次 パ 的にはそれのみを基準とするのではないとする立場を採るものとみられる。 これに対し、条件と負担との区別の基準を行政庁の意思以外のものに置く説は、古くはプロイセン上級行政裁判所 が、そして近年においても多くの学者が採る。しかし、論者によって基準の内容は様々である。プロイセン上級行政 裁判所は、羅束行政行為︵許可︶に付せられた﹁条件﹂を負担、自由裁量行政行為に付せられた﹁条件﹂を講学上の 条件と解していたようである。しかし、このような見解は現在みられず、何を基準とするかについて必ずしもコンセ ハ ぱ レ ンサスがある訳ではない。少なくとも外見上は、論者によって差異が存在する。 まず、ヴォルフ”バッホフ”シュトーバー︵浮霧い≦。民\○§田。ぎぐ寄一あ8ぴ巴は、﹁附款は、疑わしき場合 ︵66︶ は、その附款の履行が行政行為の有意義な執行にとって必須である場合にのみ、条件である。行政庁の意思は問題に ならない﹂と述べる。この主張からは、行政行為に付される附款は通常は負担であるという趣旨が述べられているよ うにも読み取れる。 次に、シュテルケンス︵評巳の琶冨房︶は、﹁条件であるか負担であるか疑わしき場合は、解釈の問題である。 ⋮:基準となるのは、行政庁の主観的観念ではなく、客観的な表示の内容である﹂として、附款の内容により条件か ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ヤ ︵67︶ 負担かを決定せざるをえない旨を述べる。他にこの立場を採る者として、ラウビンガー︵浮串≦Φ葦段ゼ弩獣髭$ ︵ 6 8 ︶ およびヘンネッケ︵頃きω−O旨け震額言のぎVがいる。 ︵69︶ ︵70︶ エーリヒゼン︵属きωと毒国旨房窪︶は、比例原則に従い﹁相手方に対し、より少ない制約として負担に優位が与 えられる﹂と主張する。芝池義一も同旨の見解を採る。また、レーレッケ︵OΦこ寄亀9冨︶は﹁行政行為の維持に ハれレ ついての利害﹂を基準とする。さらにローザー︵醤。暴ωぎ器しは、少なくとも解除条件は﹁高権的措置の最大限 ︵72︶ 安定性の原則﹂に反するので疑わしき場合は負担と解すべきである旨を主張する。 行政行為に付された附款が条件か負担か不明瞭である場合、行政庁の意思を基準とするならば、その意思は行政不 服審査または行政訴訟の場においてはじめて明らかにされることも考えられ、行政手続の観点からみても妥当ではな い。行政庁の意思表示が不明確な場合にまで行政庁の意思を尊重しなければならない理由が、果たして何処に存在す るのか。この立場は拒絶されざるをえない。 他方、行政庁の意思以外のものを基準とする諸説についても、それらを十分な説であるとは言い難い。シュテルケ ンスらの主張については、附款の内容が判然としない場合が多い。また、他の見解に対しては、相手方の利益保護に 資するのは負担のほうであると必ずしも言い難いのではないか、あるいは﹁行政行為の維持についての利害﹂や﹁高 権的措置の最大限安定性の原則﹂によっていかなる性質のものでも負担を優先させうるのかという疑問が生ずる。結 局、ヴォルフ”バッホフ髄シユトーバーの見解が妥当であると考えられる。なお、手続的観点からは、行政庁が行政 ︵73﹀ 行為に附款を付す際、その附款の性質、およびその附款を相手方が履行しなかった場合の行政行為の効力について、 文書などで明らかにしておくことが望ましい。 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一一七 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 二八 働負担の機能 行政行為の附款の中で中心的な位置を占めるものとされる負担は、既に述べた附款一般が有する機能を最も強く有 するものである。マウラーが附款の機能として述べたことはクリューガーの説から受け継がれ発展させられたところ から明らかであるように、主として負担を念頭に置いたものであると言い得る。まず、負担は、行政行為の効力を完 全に保ちつつ、行政庁が特別にこれに付随して命令をなすというものであるから、行政行為の相手方たる私人の権 利・利益を最大限に尊重しつつ行政庁の意思をも実現させるものである。その際、行政庁の意思としては、オッ トー・マイヤーおよびコルマンが主張したように、相手方に利益を与えはするが同時に相手方に対する監督権ないし 認可権の留保というものが考えられる。このことは、フライクによりなされた、補助金法における行政行為の附款の 機能に関する説明に表現されている。すなわち、補助金受給者が補助金の交付目的に沿う支出をし、その支出の対象 を利用させるということである。仮に補助金受給者が交付目的に沿わない支出をするなどの行為をなした場合には、 連邦財政法第四四a条第一項による撤回︹但し、全ての補助金を撤回しうるのではなく、寄付金︵N仁幕且仁凝︶に限 られている︺および連邦行政手続法第四九条第二項第一文第二号による撤回を示唆することにより、相手方に交付目 的の遵守を強制することができるであろう。このようなことが行政庁による監督権の留保であると考えられる。補助 金受給者が交付目的に沿わない支出をするなどの行為をなすということは、当然ながら予測可能な事柄である。負担 による監督権留保とは、現時点において予測可能な、行政行為の相手方によって引き起こされる事態に対処する権限 の留保であると言いうる。勿論、監督権の留保は補助金法の分野のみならず、あらゆる行政分野において存在する。 ︵74﹀ 認可権の留保についても同様に考えてよい。 また、クリューガi、シャッヘル、バドゥラらが個別行政分野における負担の機能を論じているところから明らか であるように、ドイツにおいて負担は行政行為の相手方たる私人の権利・利益と第三者の利益ないし公益を調整する 最適の手段であるとされる。すなわち、行政行為の効力を完全に保つことによって、相手方の権利・利益を尊重しつ つ、特別の義務づけをなすことによって第三者の利益ないし公益をも予測可能な事態による侵害から保護するという パおレ 機能を有する。 尤も、負担だけが相手方に対する特別の義務づけという機能を有するのかという問題は残る。条件ーとりわけ随 意条件ーおよび撤回権の留保にも特別の義務づけという機能が存在するのではないかと考えられる。これについて は後に検討を加えることとする。しかし、負担の不履行が当然に主たる行政行為の効果の消滅に繋がるのではない故、 負担は行政行為の相手方たる私人の権利・利益を最大限に尊重しつつ行政庁の意思をも実現させるという機能を最も 強く有するのである。 ㈲負担留保 ω 負担留保の概念 負担留保は、行政庁が行政行為をなす際、事後に負担を付すこと、または行政庁が既に行政行為をなす際に付加し た負担を事後に変更し、もしくは別に負担を補充することを留保するというものであり、連邦行政手続法第三六条第 二項第五号により附款の一類型として規定される。負担留保は、将来の或る不特定の時点において行政行為の相手方 に対して何らかの義務づけをなすことによって、結果的にではあるが行政行為の効力を制約するものである。そのた め、負担を事後的に付加、変更または補充することは行政行為の効果を一部撤回することに繋がるとされる。また、 ドイツにおいて、撤回権の留保の場合は連邦行政手続法第四九条第二項第一文第一号および同第五項第一文の規定に より、行政行為の相手方の信頼保護を考慮せず無保障の撤回をなすことが認められる。負担留保の場合も、行政行為 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一一九 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一二〇 ︵76︶ ︵77︶ ︵78︶ の相手方の信頼保護 新たな義務づけを受けないという信頼の保護1が排除される。このため、負担留保は撤回 権の留保と類似することが指摘される。負担留保は本質的に撤回権の留保と同一視されるという見解も存在する。 しかし、学説の多くは、負担留保を独立の類型の附款とする。その理由として、①撤回権の留保の場合に留保され ハカレ る撤回は独立の行政行為であるのに対し、負担留保の場合に留保される負担は附款であること、②撤回権の留保の場 ︵80︶ 合は行政行為の全部または︼部を撤回することが可能になるのに対し、負担留保は新たな義務づけを可能にすること、 ︵鋭︶ ③負担留保の場合には﹁単なる授益の制約を超える範囲において行政行為の相手方に不利益を課す﹂場合がありうる ことがあげられる。 また、撤回権の留保が主たる行政行為に付された場合、行政庁が撤回権を行使すれば行政行為は自動的に失効する のに対し、負担留保が主たる行政行為に付された場合、行政庁が事後に負担を付加・補充・変更したとしても主たる 日本の学説においては負担留保を負担の一種とする見解が存在する。しかし、負担は行政行為がなされた時点にお 行政行為の効力は失われない。この点も見逃されてはならない。 ハみロ いて即時に効力を発するのに対し、負担留保は、行政庁が事後的に負担を付加・補充・変更し、その意昧において結 ︵83︶ 果的に行政行為の一部撤回と同様の意味を有する場合があるため、これを独立した類型の附款と考えてよい。 働 負担留保の機能 右に検討したように、負担留保は撤回権の留保が部分的に撤回権の留保との共通性を有する概念である。そのため、 機能においても撤回権の留保との共通性が存在する。一方、留保される負担は行政行為の附款としての負担であるか ら、その点においては負担と共通する機能を有することとなる。 負担留保は、行政庁が事後的に主たる行政行為に負担を付加・補充・変更するという意思表示である。そのため、 負担が何らかの予測可能な事態に対処する権限を行政庁に与えることを意味するならば、負担留保は行政庁に対して 何らかの予測不可能な事態に対処する権限を予め与えるという機能を有する。この点において負担と異なる。しかし、 負担留保が付せられることによって行政行為の効力が当然に消滅する訳ではないーこの点においては撤回権の留保 と異なるーー。従って、相手方の利益は維持される。その意味において、撤回権の留保よりも相手方の権利・利益の 保護に資することとなる。しかし、行政庁が事後的に主たる行政行為に負担を付加・補充・変更するということは、 相手方の利益よりも第三者の権利・利益ないし公益の保護に重きを置くことを意味すると思われる。その意味におい て、負担留保は、負担よりも第三者の権利・利益ないし公益の保護に重きを置く意思表示として捉えられると考えら れる。 すなわち、負担留保は、将来の或る時点において予測不可能な事態が生じた際に、主たる行政行為の効力を存続さ せることにより相手方の権利・利益を保護すると同時に、負担を付加・補充・変更することにより第三者の権利・利 益ないし公益の保護を図り、両者の調整を行うための手段を、行政庁に予め与えるという機能を有するのである。 @ 条件 ω 条件の概念 負担の概念との区別の問題については既に述べた。条件は、主たる行政行為の効果を発生の不確定な事実にかから しめる意思表示であり、その事実が発生することによって主たる行政行為の効果を生じさせるものが停止条件、逆に 行政行為の主たる効果を消滅させるものが解除条件である。 また、一九世紀のドイツ民法学以来、単純条件と随意条件との区別がなされている。随意条件は、行政行為の効力 の発生または消滅を行政行為の相手方による何らかの行為−作為、受忍、不作為のいずれでもよいーにかからし 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一二一 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一二二 めるものである。これに対し、単純条件は、行政行為の効力の発生または消滅を行政行為の相手方による何らかの行 為以外のものにかからしめるものをいう。その他の附款の類型との区別という概念上の問題、および機能上の問題を 考える際には、随意条件が重要である。そこで、機能については主として随意条件を考察の対象とする。 ω条件の機能 負担が相手方に対する義務づけの機能を有することには問題がない。しかし、条件が義務づけの機能を有するか否 かについては見解が分かれている。 条件と負担との区別については、フォン・サヴィニー︵写一Φ量99二<8留く蒔ξ︶による、﹁条件は⋮⋮停止さ せるが強制しない、負担は強制するが停止させない﹂という﹁公式﹂が有名である。ここから、条件には相手方に対 パ レ する義務づけの機能がないという見解が主張される。日本においては、菊井康郎が﹁条件は、相手方を法的に義務づ パ マ 6︶ 7︶ けるものではない﹂と述べ、条件に義務づけの機能を認めない。ドイツにおいても、マウラーが﹁停止条件は義務づ ︵8 けるものではなく、よって実行されうるものでもない﹂と述べる︵解除条件についての言及はない︶。ムチュラー ︵8 ︵C三9ζ暮ω9騨︶もフォン・サヴィニーの﹁公式﹂を引用し、条件に義務づけの機能を認めない。 しかし、行政法学においては条件に義務づけの機能を認める見解も存在する。 まず、コルマンは、﹁条件は停止させ、または解除するが、強制しない﹂、そして停止条件と異なり﹁負担は停止さ せないが、強制する﹂という前提を採る。しかし、解除条件については、それによる義務づけの履行が行政行為の存 ︵88︶ 続に向けられているから義務づけの不履行は当然に行政行為の失効に至る。これに対し、負担の不履行は行政行為の 撤回の理由となるにすぎない旨を述べる。コルマンの主張は、解除条件について義務づけの機能を認めていることを パゆレ 示している。 ︵90︶ エーリヒゼンは、条件と負担との概念上の差異につきフォン・サヴィニーの﹁公式﹂を肯定する。しかし、その差 異は﹁附款が行政行為の相手方に一定の行動を課する場合に﹂問題となることがあり、行政行為に付せられた附款が 負担か随意条件かを判断するには、﹁行政が主な規制の内的効果を︵相手方に︶課した行動に左右させようと望んで いるか否か﹂によるという。このことから、エーリヒゼンは、実際上、随意条件に義務づけの機能を認めている。 パけマ また、ヴォルフ“バッホフ”シュトーバーは、フォン・サヴィニーの﹁公式﹂を引用しつつ、負担が付加される行 パガレ ︵93︶ 政行為の効力が負担の不履行と直結しない旨を述べる。これに対し、条件を行政行為に付加することは﹁行政行為の 4︶ 取消または撤回を省きうるがために目的適合的であ﹂り、負担と異なり﹁独立して行政強制とともに実行されえない。 ︵9 すなわち、条件から生ずる﹃強制﹄は間接的なものにすぎない﹂。この主張は随意条件を念頭に置いたものであり、 その限りで条件にも義務づけの機能を認めることを意味する。但し、義務づけの意味が負担とは異なるとされている のであり、この点は注意を要する。 日本においても、例えば、芝池義一は﹁条件としてより重要なのは、相手方の義務の賦課を内容とするものであ る﹂と述べ、条件に義務づけの機能を認める。また、判例においても、神戸地判昭和五〇年九月一二日行裁例集二六 パみレ 巻九号九八三頁は、ガソリンスタンドの設備変更許可に付された隣接住民の同意書の提出という附款︵停止条件︶を 消防法第一一条第二項に違反するものと判断したが、その理由は同法に規定される許可が罵束行為であるからという ︵96︶ ものであり、右の条件に義務づけの機能を担わせたという理由によって違法という判断がなされたのでない。 或る行政行為に付された附款が随意条件である場合、それに示された内容を相手方が履行しなければ、主たる行政 行為の効力は発生せず︵停止条件︶、または消滅する︵解除条件︶。しかも、行政庁は随意条件に示された内容の履行 を相手方に強制することはできないし、する必要もないであろう。その意昧において、随意条件に負担と同意義での 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一二三 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一二四 義務づけの機能を認めることはできない。 しかし、随意条件が付された主たる行政行為の内容たる授︵受︶益を利用することを相手方が望むのであればi 通常は望むであろう 、相手方は随意条件に示された内容を履行せざるをえなくなる。例えば、公衆浴場の営業許 パのレ 可に﹁許可の日より一年以内に風呂釜の構造を送り込み式または男女別二本差込式に改造すること﹂という附款が付 せられていたとする。この附款が随意条件かつ解除条件である旨が表示されていたとするならば、許可を受けた者が 一年以内に風呂釜の構造を改めなければ営業許可は失効する。これに対し、負担であるならば、一年以内に風呂釜の 構造を改めなければ行政庁によって履行を強制され、場合によっては営業許可の撤回に至るが、負担の不履行が直ち に許可の失効に繋がる訳ではない。その意味では、負担よりも義務づけの拘束力が強いこととなる。 ︵98V 従って、随意条件には1負担とは異なる意味においてー相手方に対する義務づけの機能が存在すると解するの が妥当である。なお、随意条件でない場合︵単純条件︶には、相手方の意図を客観的状況に適合させるという機能が 存在することになる。 ⑥ 期限 ω期限の概念 フォルストーフが指摘したように、期限の概念自体は﹁自明である﹂。ドイツにおいても日本においても、期限の ︵99︶ 概念自体に関する論争は存在しない。 ㈲期限の機能 行政行為の効力が無期限である場合、受益者たる私人の能力の推移、客観的情勢の変化など、その行政行為の効力 を維持させるに相応しくない状況が生ずるおそれがある。こうした場合、その行政行為を撤回するのも一策ではある が、紛争に至ることも考えられる。また、受益者たる私人の能力の推移を審査しなければならないことにもなろう。 行政行為に終期︵解除期限︶を付すことにより、右の事態は避けられる。すなわち、行政行為が効力を有する期問を 一定にすることにより、受益者たる私人の能力の推移や客観的情勢の変化などに対応しうる。そして、期限が到来す る前後、私人が行政行為の効力の継続を申請する際、行政庁は私人の能力の推移を定期的に判断しうる。また、行政 行為に始期︵停止期限︶を付す場合は、私人の受益を公益や客観的情勢に合致させることが可能となる。 @ 撤回権の留保 ω撤回権の留保の概念 ︵㎜︶ 撤回権の留保という概念は民法学に存在しない。そのため、法的性質および法的効果に関して議論がなされている。 このうち、法的効果は行政裁量論の一環として論じられるべきものであるために検討を控え、本稿では、まず法的性 オットー・マイヤーおよびコルマンは、撤回権の留保を期限の一種と見倣していた。しかし、ズルザー︵内畳 質について検討する。 ︵皿︶ の器巴およびフォン・マンゴルトが撤回権の留保を解除条件と見倣して以来、撤回権の留保を解除条件またはその 一種とするのが通説である。 ︵麗︶ 行政庁による行政行為の撤回は将来において発生することの確実な事実ではない。行政庁が、例えば一九九六年三 旦三日に行政行為を撤回するという意思表示をするならば、それは行政行為に終期を付すことと変わらない。従っ て、撤回権の留保を期限と考えることはできない。また、行政庁による行政行為の撤回は行政庁による何らかの義務 パ レ づけ︵負担︶と解することもできない。それ故、撤回権の留保は解除条件の一種と考えざるをえない。また、撤回権 パお の留保が行政行為の効果の消滅を行政庁の撤回にかからしめるものであることから、撤回権の留保を随意条件と見倣 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一二五 ︵燭V 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一二六 す論者もある。この見解も正当なものであると考えられる。 しかし、撤回権の留保は解除条件と区別され、独立の類型とされる。その理由を、シュナイダーは大要次のように 述べる。 解除条件の場合、条件の成就により行政行為が自動的に失効するのに対し、撤回権の留保の場合、その実現の際に 新たな行政行為、すなわち撤回行為を必要とする。このため、解除条件の場合、行政行為の相手方が仮の救済を求め るには行政裁判所法第一二一二条に基づく仮命令しかない。これに対し、撤回権の留保の場合、独立した行政行為とし ての撤回に対する異議審査請求および取消訴訟が行政裁判所法第八○条第一項により停止的効力を有するため、相手 方が有する法的地位は確定力ある行政裁判所の判断がなされるまで侵害されない。また、解除条件の場合は、条件の 成就によって行政行為が自動的に失効するので、連邦行政手続法第四三条第二項に従い、行政による授益も同時に消 滅する。しかし、撤回権の留保の場合は、連邦行政手続法第四九条第三項により、行政行為による授益の消滅を、撤 回が効力を発生する時点よりも遅らせることが可能である。 ︵溺V 日本においては、行政不服審査法第三四条第一項および行政事件訴訟法第二五条第一項により、審査請求および取 消訴訟による処分の執行不停止原則が採られ、連邦行政手続法第四三条第二項および第四九条第三項に相当する規定 がない。このため、シュナイダーの説明は行政行為が自動的に失効するか否かに関する部分しか妥当しないであろう。 尤も、行政庁が撤回権の留保を主たる行政行為に付加する場合、行政行為による授益の消滅を、撤回が効力を発生す る時点よりも遅らせることも、相手方の利益保護の観点から必要となることもありうるのではなかろうか。 ⑥ 撤回権の留保の機能 既に負担留保について検討した際、負担留保が撤回権の留保との類似性を有するという事実をみた。このことから、 撤回権の留保は負担留保と同様の機能を有することとなる。 しかし、負担留保とは以下の点において異なる。すなわち、撤回権の留保は、何らかの予測不可能な事態が将来に おいて生じ、相手方への授益の存続が第三者の利益ないし公益を害すると認められる場合に、授益を消滅させるため に備える措置である。撤回権の留保の法的効果については問題があるーこれについては機会を改めて論ずるー。 しかし、少なくとも行政行為の撤回が適法と認められる場合において行政庁が撤回権の留保を付すことは、将来の或 る時点における行政行為の撤回の適法性を確認的に明示するという機能を有する。それと同時に、行政庁による撤回 に対する防禦の機会を相手方に与えるという機能をも有する。また、撤回権の留保は解除条件の一種であるから、相 手方に対し一定の事項i作為、受忍または不作為1を命ずる手段としては、相手方に対する拘束力が最も強いこ ととなる。 ︵1︶ 日本行政法学において行政行為の附款という概念が導入された経緯につき、塩野宏﹁附款に関する一考察﹂行政過程とその統制︵一九八九 教科書も同様である﹂と述べる。たしかに、例えば、織田萬・増訂再版日本行政法論︵一八九七年︶、法治協会編纂・行政法論叢︵一九〇三年︶、 年︶一四六頁は、﹁明治期の代表的教科書にも、附款の項目が欠けている⋮⋮。附款の概念の不存在は、ドイツ行政法系と目される学者の初期の 美濃部達吉・日本行政法上巻︹三版合冊版︺︵一九二年︶において、行政行為の附款に相当する法技術に関する記述は見られない。しかし、右 の事実は、明治時代に行政行為の附款なる概念が全く知られていなかったということを意味しない。明治時代に出版された行政法学の教科書には、 訳︶・濁逸行政法第二巻︵一九〇三年、一九九四年復刻︶九四頁︵之38げΦωけ冒臣琶αq震に﹁附随ノ定﹂という訳語があてられる︶、上杉愼吉・行 行政行為の附款という語こそ用いないが、附款の概念に含められる期限・条件・負担を扱うものもあった。オットi・マイヤー︵美濃部達吉 政法総論︵一九〇四年︶四三五頁︵負担に該当するものを﹁附帯ノ義務﹂と表記する︶を参照。一木喜徳郎述・行政法論︵出版年度不明、中央大 もしれない︶。一木は、一八九三年に末岡精一の後任として東京帝国法科大学の行政法講座を担当している。 二七 学中央図書館所蔵︶六一頁にも右の上杉の著書と同様の記述が見られる︵あるいはオットー・マイヤーの右訳書刊行以前になされたものであるか ︵3︶ 同旨、塩野・注︵1︶一五五頁。 ︵2︶美濃部達吉・日本行政法総論︵一九一九年︶一五七頁を参照。 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一二八 ︵5︶ いずれも本稿注︵1︶および︵4︶に掲げたものであり、田中二郎先生追悼論文集・公法の課題 ︵一九八五年︶に収録されていた。この時期 ︵4︶菊井康郎﹁行政行為の負担[存在意義]﹂行政行為の存在構造︵一九九五年︶一四八頁を参照。 ︵8︶ ︵7﹀ ︵6︶ 菊井・注 菊井・注 菊井・注 菊井・注 菊井・注 ︵4︶ ︵4︶ ︵4︶ ︵4︶ ︵4︶ 一五四頁∼一五五頁。 一五四頁。 一五四頁。 一五四頁。 一五三頁Q になってようやく行政行為の附款が有する機能が注目され始めたという事実に注意すべきである。 ︵9︶ 芝池義一 ・行政法 総 論 講 義 ︹第2版︺︵一九九四年︶一八六頁。また、同書一八四頁には、﹁自由裁量と鵜束裁量との区別がかなり相対化して ︵10︶ いることは別としても 、自由裁量の観念は司法審査の許容性に関連して用いられるものであり、この観念を、付款論において用いることは適切と ︵n︶ ︵14︶ ︵13︶ ︵2 1︶ 芝池・注︵11︶ 芝池・注︵11 ︶ 芝池・注︵11︶ 芝池・注︵11 ︶ 一八七頁。 一八七頁。 一八七頁。 一八七頁。 一八六頁。 はいえない﹂という記 述 が あ る 。なお同書七二頁、七七頁を参照。 ︵15︶ の概念については、拙稿﹁行政行為の附款の境界ー﹃制限﹄の体系と行政行為の附款ー﹂早稲田大学大学院法研論集七六 芝池・注︵11︶ ﹁内容的制限 ﹂ ︵16︶ ︵17︶ 号 ︵ 年 一 九 九六 ︶において検討を加えた。 ︵1 8︶98ζ塁2浮9ω98くΦ﹃≦畏章αq巽g算ドωき血﹂。>鼠一品ρ一〇 〇⑩伊ψ8刈 。・ ︵1 9︶ζ醸霞︵︾ロ目﹂o 。︶あ。80 ︵21︶ ︵20︶ 置塁角︵>馨﹂G。︶払80。。傍点は、原文における隔字強調箇所。 塩野・注︵1︶一五五頁は﹁単純に許可を与えたりする代わりに行政庁は条件の下に、すなわち、民法上の期限、負担、本質的条件に相応す テ與ヘラル・コトアリ﹂という記述が見られるが、附款の機能については何も述べられていない。 る様々な附款を付して与えることができる﹂というオットi・マイヤーの記述︵竃貰段︵>馨﹂o。︶あN箋︶を、附款の﹁現実的機能を叙述するも の﹂と評価する。しかし、この記述は単に現象を捉えたものでしかない。上杉・注︵1︶四三五頁にも﹁許可ハ或ル期限條件又ハ附帯ノ義務ヲ附 シ cR ︵22︶ <αq一民毘国o毒曽目一ω遂8日α。=9算詔8。げ聾=9露の富器曽ζρ一⑩一〇︵2Φ区毎畠一㊤①N︶讐oo◆一ω。 ︵23︶く尊↓訂&自国巨9望。q雰呂鵯呂Φく①著9 ⊃一け§暢欝8巨田当お琶。q①P曽房。ξぎざ農窪¢区き欝鴨P這おφ望。 ︵%︶ く鵬一﹃囚﹃⇔磯Φ﹃︵>pヨ。卜o“γの。ωo o刈。 o刈 ︵塞︶ くひq一.頃①ぺび①冨囚﹃仁鵬①﹃層O冨︾仁匡曽磯Φ毘ω騨ω賃属巳Φ7けα①﹃ぐ5詳ωoげ鉱房<o﹃讐巴け信昌堕Oくω一一〇㎝9ωりooo ︵26︶ <騨田器二︾馨9器︶あ、韻,なお、芝池・注︵11︶一八六頁による﹁機能的付款論﹂のうち、﹁拒否処分の回避のための付款﹂ および﹁独立 <騎一、国一ωけΦ﹃︵︾昌ヨ隆NG Q︶”の﹃㎝刈■ 行為的付款﹂は、本文に示した、エルスターによってあげられる附款の機能の①および②に該当するものと思われる。 。・日本の学説において同様の指摘をするものとして菊井・注︵4︶一五六頁がある。 くαq一扇耳霞︵>§器︶あ㎝o 国一ω什Φ粍︵>⇒目。NもOyの。㎝刈り Qyの ㎝㎝。 <鵬一,国一ω貯O﹃︵︾昌ヨ NG ︵28︶ ︵27V ︵30︶ 閏︸一ωけ①﹃︵>昌 目 ● N q O y の ㎝ o o, く磯一●国一のけの﹃︵>﹃⇒奪 Nωγの ㎝○ ○。 ︵29︶ ︵2 3︶ ︵1 3︶ oωyの・NO のOプ90げΦ一︵︾昌目,G <磯ピ︺OPωのOケ曽OげO一噛2Φσ㊦Pぴ①ω賦目目仁旨磯Φ昌Nβ<Φ﹃譲帥犀¢昌α身のの闘什①昌−一〇刈りーの NO。 <αq一,O①ぺげ餌﹃α問同讐堕の偉σ<Oロ菖o⇒ω﹃ΦOげ戸一冥句﹃曽昌N民︸Φ一昌︵=堕yO旨①昌菖8げ①ω閃陣コ餌昌N﹃ΦOげρN ︾偉自帥晦ρ一■OOGQ”<一幻P刈Oo噸O Qど一■ONRこ]■O⑩。<頓一’α曽N¢ 一Φ昌ωのOげ帥OげΦ一”O巴位一Φ一ωけ信昌のω曽β匡曽αqΦ昌響U<切一一りo OO”の。]■OωQ O。 ︵4 3︶ ︵33︶ ︵36︶ ︵35︶ く臓一 勺ΦδΦ﹃閃帥α口﹃費のOげ舜けNU粍一露の﹃含β﹃072のσのpびΦωけ一舞ヨβ昌鵬のP①陣p①吋勺一費昌︷Oωけω6Φ=βp鵬oα①﹃OΦβΦ7旨幽㎝q信β槻’幽p”国①﹃げの吋けピΦ炉舅四昌⇒\ゆo吋p7帥﹃匹O﹃o罰− ω − ① 一 O o < = 口 臓 ρ 一■⑩○○㎝−Gり 一一① o O ﹃ ︵ 餌犀 ω 吋 ① O﹃ ¢一菖O胃 曽 洋 一ω > = αq β ① 一昌 ︵7 3︶ Ohい Q①○ <磯一。ω<Φ﹃≦O一⊂﹃け <。]■斜◎一bOり一⑩刈⑩層2︸<﹃]■⑩○ OO曽ω.NG ゆ螢α⊆﹃簿︵>b一β も ○刈yの ]■㎝。 い 0 9 巨 Φ 二 国 。 ω a 9 呂 o 罵 仁 ,目 ○① Φ㎝ σ¢﹃貯ωけ餌αq層一■OOO⑩いQり ω。 騰⑦箆\ Φ ﹃ く o 一 ひ q 、 y 問 ﹃ 弾 h 弩 男 [ 鼻 Φ の N ︵39︶ ︵38︶ このようなものは、一般に﹁保護負担﹂︵oり魯暮墨邑轟Φ︶と称される。<αq一﹄・甲田一冒冒9げ蒙閃8ぎβ評三の邑寄3\国Φ営ミ89ぎ >注謎ρ一8ω諭誤評面o 1︶一八七頁は﹁計画法的付款﹂をあげるが 。Rなお、芝池・注︵1 ωO昌犀\竃8げ帥Φ一ω四〇げω一く①吋毛9犀qP鵬の<Φ﹃団餌げ﹃のPωΦqΦωΦ貯N︸轟。 ︵40︶ これ は 第 三 者 利 ・利益保護という観点が希薄である。 の 権 誌一あ9塗留二︾§占︶︾の一鐸<αq一3呂ぎαqo<8ζ言90震≦幕畦象。。︿。吾Φげ異馨く巽語ぎ贔曽の3貯﹂N這象あ。認い芝池・注︵11︶一 ︵41︶ <笹国翠呂08あ。ぎΦ幕き浮冨9裟馨馨凝。昌琶qく①暑葺巨鵯箕。器鉾るQ・一あま・菊井・注︵4︶一五三頁も、附款がもたらす﹁弾力性及 的 性 障 割 び具体 妥 当 の 保 の 役 ﹂ を述べる。 ︵2 4︶ の07昌Φ一傷O﹃︵︾⇒目・轟一yの 一■O。 照 “Q 八七頁 も 参 ︵43︶ 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一二九 、 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 4︶ 4<尊の。ぎΦ幕﹃︵>馨◆蔭yの﹂9 一三〇 のみならず行政契約︵とくに交換契約︶によっても果たされうる。く管3讐的耳巽︵︾§器︶あ謡線る①倉鼠馨ぎ野一ぎ磯9く巽霞謎βaく雫 ︶ 4 5く韓曽ξ&霞︵ぎ幹自︶︸ω屋このことについては、菊井・注︵4︶一五四頁も参照。なお、この機能は、行政行為の附款︵とくに負担︶ ≦昌§晦旨尊這爵あふω讐浮﹃目旨ζ霊おき≧一鴨馨ぎ①ωくΦ箸聾琶。qω§算り>琶甜ρお謹︸㈱区寄8.大橋洋一﹁行政契約の比較法的考察﹂ 現代行政の行為形式論︵︸九九三年︶一九八頁も参照。 ︶ 石川敏行﹁附款の限界と争訟手段﹂成田頼明編・行政法の争点︹新版︺︵一九九〇年︶七八頁、塩野宏・行政法1︹第二版︺︵一九九四年︶一 4︶ 6 竃9霞段︵>馨9ホy㈱旨寄N, 四九頁、村上武則編・基本行政法︹改訂版︺︵一九九五年︶一五四頁[横山信二執筆]。また、芝池義一による﹁機能的付款論﹂もこのような基本 47 的認識の上に立つものと思われる︵芝池・注︵11︶一八○頁を参照︶。しかし、芝池による論述からは明らかでない。 ︶ ドイツにおいて、この問題が論じられることは多い。とくに、行政庁が行政行為に附款を付さなければならない場合の存在は、日本の行政法 勾。一h累ロ=。﹃と﹃江讐国ヨの﹃9睾≡曽\之一ざ一きε四ぎ3ξ\即。一hζ自①﹃−9一層くΦ毫四犀琶αqωお。ヌ9>琶おρ一8“讐野。三幻P㎝曽 4︶8 49 学においてほとんど想定されていなかったため、注目に値する。ドイツにおける、附款についての行政庁の裁量およびその統制に関する議論は、 なければならない場合については一四六頁以下︶において詳細に検討されている。また、菊井・注︵4︶一六六頁は、負担の付加義務の存在を肯 人見剛﹁西ドイツにおける行政行為の附款論﹂兼子仁編著・西ドイツの行政行為論︵一九八七年︶一一〇頁以下︵行政庁が行政行為に附款を付さ 定し、その﹁基本的理由﹂として、﹁義務性の保障が生存権保障の理念に基づく不可避の要請とみるべき場合がある﹂ことをあげる。 附款を付さないことに対する制約は、行政裁量論の一環として扱われるべき問題であり、それ自体として慎重に検討を加えなければならない。ま しかし、本稿は、行政行為の附款が有する機能に関する考察を目的とするものである。行政行為に附款を付することに対する制約、あるいは についての考察を行っていない︶。そこで、私は、本稿においてこの問題についての検討をなすことを控え、附款についての行政庁の裁量および た、日本の実定法秩序との関連、とくに行政手続法および行政事件訴訟法との関連を念頭に置かなければならない︵人見、菊井の両者とも、これ その統制とは、行政行為に附款を付することに対する制約という側面のみならず、行政行為に附款を付さないことに対する制約という側面も存在 50 ︶ これは、大橋洋一﹁行政指導の比較法研究﹂現代行政の行為形式論一〇三頁において用いられる語である。ちなみに、私が確認した範囲内で する、という点のみを指摘しておく。 あるが、日本の行政指導を﹁インフォーマルな行政活動﹂︵巨。§色8くΦ著葺§鴨げき量⇒︶と表現するドイツ語の論文として、↓。ざる窪評一富 ︵害R器算く曾ζ手宰一a=9需量あ馨量巽馨一〇琶鵬琶αωq。幕二a一讐誌身零三三。§巴一8く段語ぎ謡ω訂区Φ﹃ぎ宣冨p乞く≦N一8企の﹂認壁 ︶詳細は、大橋・注︵50︶一一〇頁、一一二頁、および同・行政規則の法理と実態︵一九八九年︶三七九頁を参照。なお、これらの論文・著書 がある。 51 において参照・引用される国ω。日ρU震巨。§幕寄9誘9鉾這o。一は参照しえなかった。 2︶ 誌一男蛋曳>馨器y≦寄’89 ︵5 3 ︵ 5︶ 人見・注︵49︶一〇四頁を参照。 ︵54︶ 日本の行政手続法第二条第六号および第三二条第一項の規定は、このことを当然の前提にしていると思われる。行政手続法における行政指導 庁行政管理局編・逐条解説行政手続法︵一九九四年︶三四頁、二〇二頁、宇賀克也・行政手続法の解説︵一九九四年︶三九頁、一一七頁、佐藤英 の位置などにつき、青木康・行政手続法指針︹新版︺︵一九九一年︶一六五頁、同・行政手続法の解説︵一九九三年︶一二六頁、三一四頁、総務 条例制定の手引︵一九九五年︶七五頁[椎名慎太郎執筆︸、仲正・行政手続法のすべて︵一九九五年︶六五頁、一〇九頁、二二六頁、二二四頁、 善編著︵地方自治総合研究所監修︶・自治体行政実務行政手続法︵一九九四年︶一四二頁[田村達久執筆]、兼子仁“椎名慎太郎編著・行政手続 これについても、注︵17︶にあげた拙稿において詳細に検討を加えたので、参照を乞う。 例、最大判昭和三三年四月九日民集一二巻五号七一七頁、最小三判昭和三八年四月二日民集一七巻三号四三五頁。 行政手続法︿第n回﹀H本法の内容︵その9︶﹂ジュリスト一〇七二号︵一九九五年︶一五三頁を参照。 宇賀克也﹁行政手続法の検討﹂行政手続法の理論︵一九九五年︶二二七頁、小早川光郎“塩野宏⊥局木光“仲正ロ浜川清目芝池義一﹁︽研究会︾ ︵55︶ ︵6 5︶ o一国o﹃ヨ効葺︵>昌ヨ旨yの一ωoo。 〇︶、の﹄④O <αQ一﹃ζ塁〇二︾”日・一〇 上杉・注︵1︶四三五頁、一木・注︵1︶六一頁。 ︵57︶ ︵58︶ この問題に関するドイツの状況については、人見・注︵49︶一六〇頁を参照。 G いoyの﹂一㎝粋99費︾ωω邑堕 <αq一・帯毒螢目<8ζ昏磯oざ戸Z魯Φ旨8曽一目ヨ琶鴨pσ2お。耳ωαq睾節ぼ①区窪くの著包ε凝ω躊8戸<。毫≧魯G。刈︵一⑩。 ︵59︶ ︵60︶ 一⑩①り層 ψ器鯉甲屋什3扉90跨響溶耳ど3α8<①薯葺琶Φqω話3貫田区一讐ε︾琶濃ρる謡層ψ留㎝一遷窪ω○常毒亀貫囚o言ヨ①⇒け弩墜目 轟 位 α 露 三 霞 び Φ の お る0ω ①っ8のお鮒震費類①緒話葺冨鉾Oげ雲.、田5①象轟琶篶昌、、︸Oく匹 の5α > G自 窪 β5 ゆ aβ q β轟 び Φま 一 一9 国 二雲 a のの の 色び け 雪α 餌 潟胤 9お 9巽 切o冴葺o睦︵>昌野①OyψOま >のωh包αq︵>⇒5①Oyoり﹂⑩一 ︿ R 8 ①N く霞類 毘 葺 畠ω 富 ξ o 房磯 貫>鼠一甜ρ一⑩⑩ρ留①ヵp“oo頃 人見・注︵49︶六二頁を参照。 <αq一。○げ巽目瑠雲︵>昌ヲ①O︶諭oo①勿昌﹃㎝O糞 ︵63︶ く範国器二>馨﹄ω︶あ。。9<。ζき箆舞︵︾馨8︶ゆの=ω●但し、条件と負担との区別の基準を行政庁の意思に置く説に立つとみられる判決 ︵61︶ ︵64︶ ︵2 6︶ ︵65︶ ℃きヨ邑ぎβ日汐三〇〇邑冨拐\幕ヨε8魯目ω。爵\言9鐘の零冨く霞毛簿きひqの<Φ碁ξ窪茜3①貫トき隔一鼠ρ留①寄謡,傍点は、原文におけ 国弩ω唇類o一睦\090ゆ鋤90脇\即o罵の8げΦ5く霞≦巴9轟のお魯二弘O︾仁自謬ρ一⑩⑩全籔刈勾p一〇。 もある 。 くαq一﹂器仁問o毎90h父︾昌ヲOO︶あ﹄扇 ︵66︶ る太字強調箇所。 ︵67︶ 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 一三一 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ ︵σ畠﹃§αΦけ︶響くR壽一窪凝ω<雲壁ぼgω鴨のΦ貫鼻。>亀甜ρ一⑩謹諭G。①評●伊ω =壬一 。ρψ旨9田3−O旨舅浮嘗穿ρ5.浮累旨89ぎ囚き畠 6︶ 8 =きωキ①旨震審5ヨαqΦ50器ど。。け窪α段2。げ自げ裟暮馨お①P名一く①署一りo 6︶ 9 浮8と蓄閣コ9器Pヨ評参と壽日8房雪︵国αqy≧奮馨旨霧証著聾§賜お。算5>亀轟ρ6¢㎝諭=寄為﹃く箕○Φ益閃・の幕畠ρ08①箪 70 ︶ 芝池・注︵11︶一八二頁。 巳農蒔蚕唇⋮暑¢区<Φ⋮葺琶ひqω§茎喜Φ>亀濃窪琶。ω&凝琶鴨pOOく一8・。あ。。。。心 7︶ 1幻。の=Φ。幕︵>馨①りyのG。。。㎝● 0︶にあげたアスファ 7︶ 2 ↓﹃§器寄紹﹃あ一且︾色p閃窪琶αゆa一⇒讐お窪溶ま色一3①﹃野一鎧言一器3。一房霞区茜きh①33震っ扇ω這雪あ◎89注︵6 ︶ 条件と負担との理論的な相違に関する問題として、負担の独立性がある。とくに、負担を独立の行政行為とみる見解がドイツには根強く存在 ルクの論文と同題名のこの論文は、アスファルクの見解に対する批判を内容とするものである。 73 する。しかし、この問題は行政行為の附款の機能という問題とは無関係であるため、本稿においては検討を控えることとする。 7︶ 4 く嘘コ曽αq︵>馨,3y≦刃昌﹂8鉾呂霞<αq一鼠讐頃仁讐︸◆浮ゴP≦聾歪轟ω§耳臣αα験琶喜8寄Φ&薯Φの9ぼ即翠N田§︵持︶り ︶ なお、菊井康郎﹁官公庁舎の管理使用﹂雄川一郎11塩野宏闘園部逸夫編・現代行政法大系第九巻公務員公物︵一九八四年︶三三四頁も参照。 O睦含簿98コ召目 お 。 耳 ︸ N > 日 一 甜 9 く 勾 昌 O O 75 7︶ 6の。﹃。幕二︾馨﹂一yの﹂9曽舞①3︵>§.①刈y留①肉旨G。① ︶ く範o 。一あまNぴ9孟。Φ二ぎヌ占︶あ﹂9霊旨一轟①ぺ り98匿︵>馨器︶あ●&這巽紹吾ρZΦげΦ旨婁馨日巨鴨⇒旨くΦ薯貰旨αqω接8P甘茜おo 。、ゑ一年一Φα要o畢≧一鴨馨言8く震ミ巴ε轟畦Φ9酔る。︾巨謬ρ一〇りどのN一〇。” ︵>⇒5①o oyoっ憲o 77 7︶ 8 零急昌きOO開8Pく巽語一けきαqω︿①﹃壁ξ9詔ΦωΦ貫㎝,︾琶品ρ一㊤⑩一諭ω①菊Pωω層≧h8ωOΦ3\○琶貫≦8箒嘗。葺寄げΦ呂婁巨旨毯αq窪ヨく。下 。。日本においては、成田頼明目南博方H園部逸夫編・行政法講義下巻︵一九七〇年︶二五三頁[南博方執筆]が、 ≦璋旨鴨躊89冒のるo。ρのミo 負担の事後的付加または変更を撤回権の留保と解する。 。ωO⑦ ︶ 7 9 冬9毘困。8醇ヒ震︾⊆︷冨窪<。吾魯9D一9虫くΦ署聾茸αqω爵9P9Φく①蒙9ひ犀琶αq一㊤胡層o り9器幕芸︾§占︶あ﹂O,注および本注の文献によって指摘された相違は、撤回権の留保を訴訟において独立して争いえないのに対し、負 0︶ し ﹃8 9︶諭。。①寄。も。o。︶。 り﹄ω一 担留保の場合は、これを訴訟において独立して争いうる︵但し、という通説を前提とする︶という相違に繋がることとなる︵<咳の琶訂3︵>§。 ︶塩野・注︵47︶一三八頁。 82 8︶ 1の。冒匿震︵>馨。含yの占隆く管ω琶箒諺︵>馨。09︾ゆωO寄”8。 ︶ 塩野・注︵ 1 ︶ 一 五 七 頁 を 参 照 。 83 写医﹃喜9二<9の曽≦αq昌一の誘8ヨ号ω箒呂αq窪δ目一ω99幻Φ。算ωる帥区ω﹂o。轟ρo 8︶4 ︶ 菊井・注︵4︶一五五頁。 85 8︶ 6ζ雲﹃Φ二︾馨。&y脅N寄’嵩 く雪緯讐轟詔歪昌αΦPお刈企のる ⊂三9ζ暮ω。 幕 さ 乞 ① び Φ ⇒ ぴ 8 ロ 身 馨 鑛 窪 8︶7 89 ︶ 内oペヨき昌︵︾昌ヨ器︶あ。一〇〇〇 〇 88 ︶ 国o噌旨鋤翠︵︾昌βNNyω一ω試, 91 ︶ 申一9のの口︵>⇒旨OΦ︶諭=閃昌8 90 ︶ 甲8房霧︵>昌B①り︶諭竃幻昌刈 92 ︶ ≦o属\田30h\の8ぴR︵>p匿8︶諭ミ閃p9 N9﹃ 93 ︶ ≦○一ミ田99\の8σ段︵︾p目。①O︶−留刈穿り傘 ︾8目四巳お窪αq窪魯馨磯琶αq ロa 魯① N乱器ω一讐o詳 旨﹃段 く①﹃≦①且仁夷 N巽 >霧﹃碧目雪鵬 <8 94 ︶≦。一ミ浮9。ぐの8幕二︾p目●8︶諭ミ穿ふく管国&の8げ2N畦ギ。三。暴鼻8ω貿畠きの一ω=○量α8紹暮ω震g冨区窪獲a韓お9多UO< ま鍛この問題については、人見・注︵49︶六二頁も参照。 1︶一八一頁。 芝池・注︵1 一りo o ♪ψ 96 ︶ 本判決の控訴審である大阪高判昭和五五年一〇月二八日行裁例集二八巻一〇号二九〇頁も、同旨の判断を示して控訴人︵被告︶の請求を棄 95 ︶ 。 また、随意条件が争われた事件に対する判決としては、他に最小二判昭和四〇年四月一六日民集一九巻三号六六七頁がある。随意条件が 却した 、 撤回権の留保についても妥当する︵東京地判昭和三五年一二月一四日行裁例集一一巻一二号三三九一頁を参照︶。随意条件の適法性の問 ことは 別 の 意 昧 で の 義 務 づ け 判 例 に お い て 問 題 と さ 負担 とは の 機 能 を 有 す る こ と 自 体は れ て い る 訳 で は な く 、黙示的に承認されていると思われる。この その義務づけの機能自体においてではなく、義務づけの内容において存在するのである。 題は、 日行 裁例 同 じ 判 断 を 示 し た 。しかし、行政庁がこのような附款を随意条件︵かつ解除条件︶と明示して主たる行政行為に 集 一 三 巻 四 号 七 八 七 頁 も ここにあげた例は、神戸地判昭和三四年八月一八日行裁例集一〇巻九号一七八五頁をもとにしたものである。実際には、原告は本文に示した 97 ︶ 解 除 条 件 と 解 し 附款を て い た が 、右判決は被告︵兵庫県知事︶の主張を容れて負担と解している。右の控訴審判決︵大阪高判昭和三七年四月一七 る こ と も 可 能 で 付加す あ る 。本文において示したように、附款の内容を相手方が履行しなかった場合に主たる行政行為の効果がいかなる状態にな なお、日本の行政手続法において、附款がいかなる位置付けを与えられているのかという問題が考えられる。同第二条第四号の規定を素直に う こ と を 、 行政庁が主たる行政行為をなす際に明示しておくことは、手続面における人権保障の観点に適うこととなろう。 るか とい る 限 り 解釈す 、 附款が﹁不利益処分﹂に該当するという解釈は採りえない。行政行為の附款は、授益的行政行為に付加される賦課的な意思表示に 一三三 しかし、事後的に附款が付され、または負担留保によって留保された負担の事後的付加・補充・変更される場合があること、撤回権の留保に すぎず 、 ﹁特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分﹂であると言い難いからである。 行政行為の附款の機能︵森 稔樹︶ 早稲田法学会誌第四十六巻︵一九九六︶ 一三四 よって留保された撤回行為が実際に行使される場合があること、そして条件の成就を判断する権能が結局は行政庁に帰することから、附款は部分 的ではあれ﹁不利益処分﹂に該当すると解釈することも可能である。そうであれば、同第一三条第一項第二号によって弁明の機会の付与が必要と ︶ 鉄道事業法第八条第一項によれば、鉄道事業者は、鉄道施設につき﹁工事計画を定め、免許の際運輸大臣の指定する期間までに、工事の施行 されることとなる。この点については、宇賀克也・行政手続法の解説︹本稿注︵5 4︶︺三三頁を参照。 98 の認可を申請しなければなら﹂ず、仮に鉄道事業者が申請をなさなかった場合には、同第一三条第二項により鉄道事業免許は失効する。例えば、 という義務を事業者は負わされることとなる。これらの規定は、随意条件の効果を法律の明文とした﹁法定附款﹂の規定である。従って、純粋な 新路線を敷設しようと事業者が意図した場合、免許を付与された際に三年以内という指定がなされたならば、三年以内に工事施行の認可を受ける 一九条第一号も同旨の規定であった。但し、同第一九条第三号ー工事施行の認可に付された工事着手の期限までに工事に着手しない場合にも事 随意条件に該当するものではない。しかし、いずれにしても、随意条件の性質をよく表す例である。ちなみに、旧地方鉄道法第二二条および同第 業免許が失効する旨の規定iに相当する規定は、現行の鉄道事業法に置かれていない。 9︶ 9問。嘆の浮&︵>毒。①O︶あN一㎝ んど議論されることがなかった。但し、織田萬・改訂増版行政法上巻︹第五版︺︵一九一八年︶一〇七頁、一〇八頁は、撤回権の留保を期限の一 ㎜︶ 日本の学説において、撤回権の留保の法的性質は、美濃部・注︵2︶一六二頁により撤回権の留保が独立した類型の附款とされて以来、ほと 惣一・日本行政法論総論︵一九二一年︶六〇八頁は、撤回権の留保を独立の行政行為とみていた。その理由は、撤回権の留保が行政行為の効果を 種として論じた︵オットー・マイヤーの説からの影響によるものか。一九﹃○年に出版された同書の初版は、参照しえなかった︶。また、佐々木 制約するものではなく﹁其自身猫立ノ一箇ノ意志表現タル行政庭分ナ﹂るところに求められている。しかし、これは留保された撤回行為について 論は、その後の日本行政法学に全く影響を及ぼしていない。 妥当する説明であって、将来の或る時点における撤回行為を留保する意思表示の説明とはなっていない。ちなみに、佐々木による行政行為の附款 型としている。 。なお、マイヤーは撤回権の留保を独立した類型としていないが、コルマンは独立した類 瓢︶ ζ醸段︵︾§﹂o。Vφ80 。魯象暴雪︵︾馨NN︶あ区○ <αq一むω曾︵>旨饗一8V響φ一お甲 の。蕃魯①一︵︾昌eo ooo yのNOくαq一。 評霧勺Φ§εのΦp≦一3震鼠讐一凝震くΦ毫曽一ε轟器ζρ一8NΨ¢ 一斜9 麗︶ く あ 昌 ψ ζ 一 ① 帥 轟o 身 ︵︾ ロO 鴇 ︶層しリニ曾ζ﹃一の三ωΦさ望島凝舅αq偉且︾亀囲ρ一〇一Pψo。い α q一 9 器箆 霞 ︵> 臣 &﹀ 、器戸く 鵬︶ の。ぎ。己巽︵>昌β占yのミ の琶訂房︵>昌β雪yゆω①菊口曽 イプゼンも同旨であると思われる︵く磯=陽雪︵︾p旨﹂8︶あ一轟ε。 鵬︶ 鵬︶ 鵬︶
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