システム制御Ⅱ 第2学期 火 1, 2限 8:40-10:50 5号館 第16講義室 担当:平田 健太郎 補足スライド 行列式 Systems Control II 1 行列式 正方行列 に対して, 行列式 det あるいは| | が定められる. 定義は以下のとおり 幾つかの相異なる要素を並べ替えることを置換という. (あるいは順列) 2つの要素を入れ替えることを互換という. 任意の置換は, 互換の繰返し で表現できる. 偶数回(奇数回)の互換で表現できる置換を偶置換 (奇置換)という. 数列 1,2, ⋯ のひとつの置換を , の全体を とおく. sgn は 置換の符号であり, 偶置換のとき 1, 奇置換のとき 1 である. このとき det sgn sgn ∈ ⋯ ∈ (先の定義とは行と列が入れ替わっているが本質的に同じ) Systems Control II 2 0 ⋮ 0 1 0 ⋮ 1 を 番目の単位(縦)ベクトルとする. の第 列ベクトルを 次の正方行列 とすると det は次の3つの条件を満たす. i) det ⋯ ii) det ⋯ iii det ⋯ 1, ⋯ ⋯ det ′⋯ ⋯ det ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ , det ⋯ ′⋯ . 性質1: 条件 ii) から, 2つの列が等しい行列の行列式は0 である. Systems Control II 3 det det ∑ ∑ ⋯ ∑ に対し, 条件 iii) を適用して行列式を展開する. ここで性質1より, 非零の項は重複のない , , … , (のスカラ倍)の並べ替えから なるものであることが分かる. さらに 条件 iii) からスカラの係数を 括り出し, 残りの行列部分を ⋯ とすると det ⋯ sgn det ⋯ sgn . ∵ 条件 i) よって, 括り出した係数を含めれば det sgn ⋯ ∈ となり, 先の定義に等しい. Systems Control II 4 行列式の展開 第 列ベクトルを det det と分解すると ⋯ ∑ det : ⋯ ⋯ ∵ iii) Δ Δ Systems Control II ⋯ det ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ 0 ⋮ 0 1 0 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ : 余因子 5 Δ det ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ 0 ⋮ 0 1 0 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ sgn Δ ∈ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ : 余因子 sgn ⋯ ∈ のとき (第 列から1つの要素が選ばれるとき), 0 , 1 である. よって Systems Control II なる置換だけを取り出せばよい. 6 Δ det ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ 0 ⋮ 0 1 0 ⋮ 0 ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋯ ⋮ ⋮ ⋮ ⋮ : 余因子 (主対角線上に1がある)ならば, 番目は初期状態から よって 動いていないとみなせるので, その要素を取り除いても互換の回数 および置換の符号は同じ. したがってΔ は 行 列を取り除いた 小行列の行列式に等しい. 1が主対角線上にない場合は, 列の入れ替えによって1を主対角線 回の互換が必要で, これによって 上まで移動させる. このとき 置換の符号は 1 だけ変化する. (あとは同じ) Systems Control II 7 , (偶, 偶), (奇, 奇) 1 1 1 , (偶, 奇), (奇, 偶) 1 1 1 したがってΔ は 行 列を取り除いた小行列の行列式に, 符号数 1 をかけたもの等しい. Systems Control II 8 積の行列式 ⋯ ∴ det , det ⋯ 先と同様に, 行列式を展開すると非零の項は重複のない , ,…, (のスカラ倍)の並べ替えからなる. スカラの係数を 括り出し, 残りの行列部分を ⋯ とすると det ⋯ sgn det ⋯ sgn det . 括り出した係数を含めれば det sgn ⋯ det det det . ∈ Systems Control II 9
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