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第 1144 号(1963 年 2 月 15 日第三種郵便物認可)
2016 年
6 月 25 日
野党 も市民 も本気 で共闘 を
年国会での成立である。
女性会議
発行所:
こ の よ う な 形 で﹁ お 試 し 改 憲 ﹂︵ 現 代
日本の知的水準を示す愚劣な言葉であ
る︶によって、国民を改憲に慣れさせた
上で全面改憲に進む︱というのが、今日
はっきりと見えてきた安倍政権の改憲へ
の道である。
しかし、従来の憲法にいくつかの条文
的には可能になった。専守防衛のための
力に対して先制攻撃を加えることも原理
自衛隊は、同盟国とともに他国や武装勢
ゴールの前には、国民の﹁心理的ハード
然 と 強 く な る。 ゆ え に 全 面 改 憲 と い う
後者においては、国民の心理的抵抗は自
も の に 取 り 換 え る こ と は 大 き く 異 な る。
を付け加えることと、全部捨てて新しい
最小限の自衛能力として﹁憲法9条と矛
ルを下げる﹂ことが狙われると、私たち
こ の 憲 法 解 釈 の 原 則 的 変 更 に よ っ て、
盾しない﹂とされてきた自衛隊の定義
は想定する必要がある。
全面改憲させないために
ともなく決められたのだから、新安保法
あると予測すべきである。
追加が行なわれた後に﹁有事﹂の発生が
すなわち、現行憲法に緊急事態条項の
◆有事
は、根本的に変更された。
この重大な変更を実質的に下したの
は、2014年7月1日の閣議決定であ
制反対運動という形で激しい反発が生じ
る。いかなる選挙の審判の機会を経るこ
たのは、当然のことであった。
女性会議中央本部
参 議 院 選 挙 が 近 づ い て き た が、 一 応
ものとなる。ここで、全面改憲︵=戦後
Fax:03-3816-1824 /Tel:03-3816-1862
Mail:[email protected]
〝自由で公正な国政選挙〟が行なわれる
ている﹂という状況が現実になれば、そ
憲法の破棄︶に対する国民の心理的ハー
お名前と送付先・
電 話 番 号、 購 入
冊数を明記の上、
下記までファッ
クスかメールで
ご注文ください。
それは、実際の紛争・武力行使として
生 じ さ せ ら れ る か も し れ な い。﹁ 日 本 国
そして次の段階は、来る参院選だ。与
こに発生する矛盾の巨大さは、9条と自
◆ 緊急事態条項を皮切りに⋮
が、目論み通りに進行するならば、政権
党としてはここで改憲勢力の議席を3分
衛隊の存在との比ではない。
6月5日の毎日新聞によれば、ある自
(送料実費)
税別 1500 円
のは、この選挙が最後となるかもしれな
い。
に敵対的なメディア、知識人、さらには
の2以上確保し、憲法改正の発議を行な
の〝 軍 事 組 織 〟
︵=自衛隊︶が戦争をし
政党が、自由に自己の主張を展開したり
いたい。だが、自民党は選挙戦では憲法
民党関係者が﹁改憲は自民党の党是。隠
というより、むしろ現状追認にすぎない
局は政権に対して批判的なキャスターを
女性会議 発行
井上 輝子 監修・
安倍政権の目指す﹁憲法改正﹂の過程
宣 伝 し た り す る こ と が 今 後 で き る の か、
問題の争点化を避けるであろう。
そうなったとき、9条の廃止は、改憲
全く予断を許さない。現に、大手テレビ
降板させ、屈服した。私たちは﹁相手の
こ の 段 階 で は、 テ ロ で あ れ 紛 争 で あ
ドルは、大幅に下がる。
た方がいい。参院で3分の2が取れたら
れ、有事が発生してしまえば﹁国家緊急
しているわけではないが、今は声を潜め
改憲に動き出す﹂と語ったという。徹底
事態の発生﹂と見なすことができるのだ
﹁言論の自由の一時停止﹂によって封じ
的に卑劣だが、彼らが卑劣であるのは今
出方﹂をできるだけ正確に予測しなけれ
ばならない。
◆ 狙いは﹁全面改憲﹂
しかも、そこで提起される改憲は、全
ることもできる。それゆえ私は、今回の
から、政府や改憲の試みに対する批判を
面改憲でないばかりか、9条とは無関係
参院選が最後の自由な選挙になる可能性
に始まったことではない。
その企みは段階を踏んで徐々に進みつつ
のものとなるはずだ。焦点は、緊急事態
に言及した。
安倍晋三が執念を燃やす﹁憲法改正﹂。
ある。ゴールは全面改憲であり、自民党
条項の追加である︵さらに焦点外しのた
私たちが今置かれている状況は以上で
め、環境権等が盛り込まれる可能性も高
い ︶。 同 条 項 の 必 要 性 を 訴 求 す る に 際 し
あ る。 こ の 流 れ を 止 め る 唯 一 の 手 段 が
による憲法草案そのもの、あるいはそれ
ては、ひたすら自然災害対策が引き合い
﹁ 共 闘 ﹂ で あ る が、 こ れ に 本 気 で 取 り 組
に近いものに現行憲法を書き換えること
第1段階はすでに済んだ。集団的自衛
に出されるだろう。﹁戦争﹂については、
である。
権の行使が可能だとする憲法解釈の変更
むべきことは言うまでもない。
20世紀を駆け抜けたフェミニスト
京都精華大学 人文学部専任教員
ほとんど言及されないはずである。
田中寿美子の足跡
白 井 聡(しらい・さとし)
であり、新解釈に基づく新安保法制の昨
*3面から6面は選挙特集号
女性会議の新刊
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