GKH020804

4
5
「
『
英語が使 える日本人』 の育成のための戦略構想」
と同構想が進める 「
英語教員の資質向上のための
主要な施策」の影響 と問題点
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〔
キーワー ド〕 英語教育改革,「
『
英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」,言
語政策,「
国際語 としての英語」,英語教月の資質向上
は
じ め
に
「
『
英語が使 える 日本 人』の育成 のための戦略構想一 英語力 ・国
)を発 表 した。 また203年 3月には,
「
戦略構想」 に具体
「
戦略構想」
20
02年 7月,文部科学省 は
語力増進 プラ ン」 (
以下
的計画が加筆 され
,「『英語が使 える 日本人』の育成のための行動計画」 (以下 「行動計画」)が
策定 され,我が国の英語教育の抜本 的な改革 を目的 とした,具体 的な諸施策の実施が始 まった。
これに よ り,我が国の英語教育 は全 く新 しい時代 に突入 した と言 えるだろう。 ところが, これ
だけ大 きな教育的,言語政策的,そ して社会的な改革が進みつつあるに もかかわ らず,マスコ
ミを通 じて もその断片的な付随事項,例 えば 「
/
」
、
学校での英会話授業の導入」等が時お り報道
され る程度で,改革の全体像 に対す る一般社会の認知度 は極 めて低 い。それ どころか,英語教
,
戦略構想」や 「
行動計画」が 目指す改革 の全体像, またそれ らの
育 に携 わる教員の 中に も 「
可能性 と問題点 に関心 を持たない者が多 く,一般 的には 「これによ り英語教育が活性化 される
46
天 理 大 学 学 報
のは良いことだ」 とする無批判 な歓迎論か,「
教員の職務や研修会が増 えるのはいやだが, し
かたがない」 といったあ きらめ意識ばか りが広がっているO確かに英語教育 を担 う中 ・高 ・大
の教員 にとってみれば,次か ら次へ と文部科学省か ら通達 される課題 と業務 に翻弄 され,例 え
仕事で英語が使 える人材
ば 「
実践的コミュニケーシ ョンの育成」 (
中学 ・高校)であるとか,「
大学) とい う個々の具体的な課題 にばか り気 を取 られ, この改革が もた らす影響の
の育 或」 (
全体像 にまで関心 を向ける余裕がないことは理解で きる。 しか し,今,我が国の言語政策のあ
り方 を左右するか もしれないこの改革の全体像 とその問題点 を認識 してお くことは,外 国語教
戦略構想」及 び 「
行動計 画」 には,
育に携 わる者 たちに とっての責務 だ と考 える。 なぜ なら,「
英語教育 を改善す る大 きな可能性 だけでな く多 くの問題点 も存在 していると考 えるか らである。
戦略構想」(
「
行動計画」
)の意義 と問題点 を整理 し,それ らが我が
本稿の 目的は,第一 に,「
国の英語教育 に与 える影響 について明 らかにす ることである。 またここでは,我が国の英語教
戦略構想」(
「
行動計画」
)に関わる動向 も,同時に点検 してお きた
育 に責任 を負 う諸学会の,「
い。第二の 目的は,「
戦略構想
(
「
行動計画」
)によ り始め られた中学 ・高校の仝英語科教員-
の集中研修会 5カ年計画 (
通称 ,「
悉皆研修」
)に参加 した教員の意識 を分析 し,教員研修 に関
する問題点 を探 ることである。具体的には,本年度奈良県の研修 に参加 した教員に実施 した意
「
行動計画」
)に示 された具体的な政策の うちか ら
識調査 の結果 を基 に論 じたいO「
戦略構想」 (
特 に教員研修 を取 り上げた理 由は,今後我が国の英語教育が変革で きるか どうかは,ひ とえに
戦
様 々な政策 を実行 に移す主体 である教員 と,その資質 にかか っているか らである。なお,「
略構想」 と 「
行動計画」 はその方向性 と政策課題 において同様 の内容であ り,理念的には 「
戦
略構想」が先行す るので,本稿では 「
戦略構想」 を主に取 り上げ論 じてい く。
.
1 「戦 略構 想」 の構成 と内容
(
1
)
「
戟略構 想
」 は,趣 旨,経緯,具体 的政策
(
2
)
(
「
英語力の達成 目標」 と 「
主 な政策課題 とその
)か らな り,「行動計画」では 「戦略構想」 に 「実践的研究 に関する計画」が加 えられた
目標」
形 になっている。 ここでは,「
戦略構想」 を中心 に して, 1
)「趣 旨」 とそれをもた らした 「経
緯」, 2)「
英語力の達成 目標」 とそれを可能にするための 「
主な政策課題 とその 目標」 の順 に
見てい く。
1- 1 「戦略構想」の 「
趣 旨」,及び それをもたらした 「
経緯」
以下は 「
戦略構想」の 「
趣 旨」全文である。
経済 ・社会等の グローバル化が進展する中,子 ども達が2
1
世紀 を生 き抜 くためには,国
際的共通語 となっている 「
英語」の コ ミュニケーシ ョン能力 を身に付 けることが必要であ
り,このことは,子 ども達の将来のためにも,我が国の一層の発展 のためにも非常 に重要
な課題 となっている。
その一方,現状では, 日本人の多 くが,英語力が十分でないために,外 国人 との交流 に
おいて制限を受 けた り,適切 な評価が得 られないといった事態 も生 じている。同時 に, し
っか りした国語力 に基づ き, 自らの意見 を表現する能力 も十分 とは言えない。
このため, 日本人に対する英語教育 を抜本的に改善する目的で,具体的なアクシ ョンプ
ランとして
「
『
英語が使 える 日本人』の育成 のための戦略構想」 を作成す ることとした。
あわせ て,国語力の滴菱 も図ることとした。
「
『
英語が使 える日本人』の育成のための戦略構想」 と同構想が進める
47
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響と問題点
趣 旨」が述べ る 「
英語教育 を抜本的に改善」す る目的は,
これを読めば明 らかな ように,「
あるい くつかの前提の上に成 り立 っている。それ らは :
1)現在,世界の経済的 ・社会的グローバル化が進み,それには抗 えない。
2)英語は, このグローバル化 した世界での 「国際共通語」である。
3) グローバル化 した国際社会で 日本が経済的 ・社会的に生 き残 るためには,これか らの
日本人には 「
国際共通語」である英語 を使 ったコミュニケーション能力が求め られる。
これ らの前提 は,一見極めて もっともである。 しか した とえそれ らを認めるに して も,その
前 にそれ らが内包する様 々な問題点 を点検す ることな しでは,英語教育の 目的に関す る偏 りを
もた らす可能性がある。
これらの前提か ら導かれる文部科学省が考 える英語教育の 目的 とは,「
技能 としての英語力
の習得」であ り, これ まで文部科学省 (
文部省) 自身が提 唱 して きたその他 の 目的,例 えば
戦略構想」 と 「
行動計画」の どこにもそれ らの記
「国際理解」等 は割愛 されている。事実,「
戦略構想」の 目的は,市場原理 に基づいた英
述 を見つけることはで きない。平た く言 えば,「
語力獲得であ り,それ 自体 は一概 に間違 ってはないが,それ以外,それ以上の 目的には全 く関
戦略構想」の 「
趣 旨」 を もた らした 「
経緯」 の項 には,この改
心が置かれていない。 また,「
革の提案が 「
経済政策」の一環であったことが,いっそ う明確 に述べ られている。つ ま り 「
経
英語指導方法等改善の推進 に関す る懇談会」 の報告 (
2
01
年 1月)を受 けて 「
英
緯」では,「
2
02年 1- 5月,計 5回)が開催 され,有識者の意見 を踏 まえ
語教育改革 に関す る懇談会」 (
て,「
『
英語が使 える 日本人』の育成のための戦略構想」が とりまとめ られ,最終的には⊥壁避
2
02年 6月25
財政運営 と構造改革 に関す る基本方針」 (
下線 は筆者 による) として閣議決定 (
日) されたことが報告 されている。
「
英語教育改革 に関す る懇談会」 は座長 として河合隼雄 を擁 し,委員の一人である船橋洋一
の提言 を受けて,懇談会報告で 「
英語 を第二公用語 とす ることも視野に入れる」 旨の示唆 を し
たことは記憶 に新 しい。 この提案の現実性 は,多 くの外 国語教育関係者により疑問視 もしくは
否定 されたが,社会的には前記 した 3つの前提 を認知す る意識の醸成 には大 きく貢献 した。
また 「
趣 旨」の最後 には,「
あわせ て,国語力の滴養 も図ることとした」 とい う提案が盛 り
込 まれている。 もちろん近年,生徒達の国語力低下が教育上の問題 にされてはいるが, うがっ
英語教育の強化 はさらに国語力の低下 をもた らす」 と懸念す る人々
て解釈すれば, これは,「
へのエ クスキューズであるとも考 えられる。
1- 2 「英語力の達成 目標」,及び それを可能にするための 「主な政策課題 とその 目標」
以下は,「
戦略構想」 の達成 目標の全文である。
◎国民全体 に求め られる英語力一
一中学 ・高校での達成 目標 を設定。
・中学校卒業段 階 :挨拶や応対等の平易 な会話 (
同程度の読 む ・書 く ・聞 く)がで きる
(
卒業者の平均が英検 3級程度)0
・高等学校卒業段階 :日常の話題に関す る通常の会話 (
同程度の読 む ・書 く ・聞 く)が
で きる (
高校卒業者の平均が英検準 2級 -2級程度)。
◎国際社会 に活躍す る人材等 に求め られる英語力-各大学が,仕事で英語が使 える人材 を
48
天 理 大 学 学 報
育成する観点か ら,達成 目標 を設定。
ここでは 日本人に求め られる英語力 を 2つのカテゴリーに分類 している。第-は 「国民全体
に求め られる英語力」であ り,高校卒業時 をその習得期限 と している。今回の英語教育の改革
が これ まで と異 なる点は,その妥当性 はともか くとして も, 目標 となる学力 を数値で提示 した
ことであ り,英語教育の 目標が初めて具体化 された と言 える。第二 に求め られる英語力 は,
「
国際社会 に活躍する人材等 に求め られる英語力」であ り,大学卒業時以上 をその習得期限 と
してるが,後述する 「
主要な施策」 に登場す る 「スーパー ・イングリッシュ ・ランゲージ ・ハ
イスクール」構想 とのセ ッ トで,高校か ら大学以上 を貫いた英語エ リー トの育成 を狙 っている。
エ リー ト育成の導入は, これまでの英語教育の改革の限界 を大 きくを越 えている。
次に 「
主 な政策課題 とその 目標」 を見 るが,簡単 に 「
主 な政策課題」 (
ローマ数字) とそれ
に含 まれる 「
主要な施策」のみ を以下に列挙す る。なお,本稿で議論する項 目については下線
を付す。
Ⅰ.学習者のモテ ィベーシ ョン (
動機付 け)の高揚
(
D英語 を使 う機会の拡充
○民間語学教育施設 との連携強化等学校 と地域が一体 となった英語教育の推進。
☆ 「
外国人 とのふれあい推進事業」☆ 「
高校生の留学促進施策」☆ 「
大学生等の海外留学
促進施策」
(
参入試等の改善
☆ 「
高校入試」☆ 「
大学入試」☆ 「
企業等の採用試験」
Ⅱ.教育内容等の改善
(中学校 ・高等学校 )
- 4技能の有機的な関連 を図 り基礎的 ・実践的 コミュニケーシ
○新学習指導要領の推進 (
0
ョン能力 を重視)
○ 中学 ・高校 において,生徒の意欲 ・習熟の程度 に応 じた選択教科の活用又 は補充学習の
実施等,個 に応 じた指導の徹底。
☆ 「
スーパー ・イングリッシュ ・ランゲージ ・ハ イスクール」 :高等学校等 (3年間で計
1
0校指定)における先進的な英語教育の実践研究。
☆ 「
外国語教育改善実施状況調査」☆ 「
外 国語教育 に関する先進的指導事例集の作成」
(大学 )
○優れた英語教育が ノキュラムの開発 ・実践等 を行 う大学や,特 に全課程 を英語で授業す
る大学 (
又は学部)を重点的に支援。
☆ 「
英語 による特別 コースへの参加の促進」
Ⅲ.英語教員の資質向上及び指導体制の充実
①英語教員の資質向上
○国内研修 (
指導者講座):毎年 2千名 (4週間)。
1
8人,長期2
8人。
○国外研修 :短期 1
☆ 目標設定 :英語教員が備 えてお くべ き英語力の目標値の設定 (
英検準 1級 ,TOEFL5
5
0
点 ,TOEI
C7
3
0点程度)。英語教員の採用の際 に目標 とされる英語力 の所持 を条件 の 1
つ とする事 を要請。教月の評価 に当た り英語力の所持 を考慮する事 を要請。
「
『
英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」 と同構想が進める
4
9
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響と問題点
☆研修 : 「
英語教員 の資質向上のための研修計画」:平成 1
5
年度か ら 5カ年計画で中学 ・
高校の全英語教員 6万人に対 し,集中的に研修 を実施 (
都道府県等-の補助事業)。
大学院修学休業制度 を活用 した 1年以上の海外研修希望の英語教員の支援 (
年 に計 1
0
0
名,各都道府県 2名ずつ)。_
(
多指導体制の充実
OALTの配置 (
JETプログラムにより5,
5
8
3人,地方単独事業 によ り2,
7
8
4人,計約8
,
4
0
0
人)。
☆ 目標設定 :中学 ・高校の英語の授業 に過 1回以上は外 国人が参加することを目標。 これ
全体で11
,
5
0人を目標)。
に必要な ALT等の配置 を促進 (
☆JETプログラムによる ALTの有効活用
☆外国人 (
ネイテ ィブ)の正規の教員への採用の促進
☆英語 に堪能 な地域社会の人材の活用促進
Ⅳ.小学校 の英会話活動の充実
☆ 「
/
J
、
学校 の英会話活動支援方策」
☆ 「
小学校の英語教育 に関する研究協力者会議の組織」 (
検討課題)
V.国語力の増進
2.「戦略構想 」 の問題 点 と今後 の英 語教 育 の課題
2- 1 報告- 「戦略構想」 をめぐる英語教育 に関する各学会の動向
まず最初 に,「
戦略構想」に対す る,最近の各英語教育関係学会の動 向 を見 てお きたい。そ
れが,以下で述べ る 「
戦略構想」の問題点 を整理する助け となるか らである。
ACET (
大学 英 語教 育 学 会),
ここ数年,我 が 国 の英語教 育 に関す る 3大学 会 で あ る,J
JACELE (日本英語教育学会),JALT (
全国英語教育学会)のすべてが,「
戦略構想」 を意識
した研究大会のテーマ を設定 し,「
戦略構想」が もた らすであろ う英語教育改革の流れ に対応
しようとしている。
2
0
の年度の J
ALT大会では,「『
英語 が使 える 日本人』の育成 のための戦略構想- その成功
ACET副会長 (
森住衛),
に向けて語 り合 う」 とい うタイ トルでの公 開 フ ォーラムが催 され,J
JACELE会長 (
松畑照一),J
ALT監事 (
柴 山森二郎),他 には元 国連事務次長の明石康,文
部科学省大臣 (
当時)の河村建夫 (
ただ し当 日は急 な所用 により代理が出席)が一堂 に会 した。
戦略構想」の作成 に参画 したことを自負 し,構想 に極めて肯定的 な
特 に顕著だったことは,「
ACELEを代表 して 「戦略構想」の意義 と成果 を賛美 したことであ った。
立場 を取 る松畑が ,J
これに対 し,森住 は,個人的な意見 だ と断 りなが らも,「
戦略構想」の理念 と教員研修のあ り
方等 に疑義 を呈 し,松畑 との間で議論 になった。
0
の年度の J
ACET大会では,テーマ を 「「国家戦略」 と しての外 国語教 育- そのあ
次 に,2
るべ き姿 を求めて」 とし,台湾,韓国か ら国家の言語政策 を担い英語教育改革 に取 り組 む専 門
家 を招蒋 して,それぞれ基調講演 を行 った。そこで明 らかにされたことは, グローバル化の影
響で英語教育の強化が避 けられない という国家の事情 と同時に,それぞれの国がマイナスの影
響 にも苦 しんでいる姿であった。台湾では,英語が小学校 に導入 されるにつれ,中国語の授業
(
3
)
が減 り,台湾人 としてのアイデ ンティテ ィ ・クライシスが起 こっている様子.エ リー ト教育 と
現在の)Engl
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一般教育のギ ャップが広がる様子が,韓国か らは,第 7次 (
50
天 理 大 学 学 報
よ り生徒の英語習得が進 んでいる成果の影で,過激 なテス ト重視 も進み,課外 での英語個人授
業参加 による教育上の問題 と教育費の増加 により家計が圧迫 されてている姿 (
課外授業の受講
(
4
)
率 は小学校 で8
3.
3%,中学で71
.
2%,高校で6
0.
5%)が報告 された。
これ ら二つの学会に参加 して感 じたことは,第- に, 日本では 「
英語 を外 国語 とす る近隣諸
国に遅れをとるな」 との論調が多い ものの,実際 にはそれ らの国で も英語教育強化が もた らす
問題 を抱 えていること,第二 に, どの学会 にも全般的に 「
戦略構想」 を既成事実 として受け入
れる姿勢 はあるものの,参加者それぞれの 「
戦略構想」の評価 と解釈 に温度差が存在する, と
い うことであった。
2
0
0
4年度 の JACET大会では,「
戦略構想」の議論 を一歩進 め, 日本人が習得すべ き英語 の
バラエテ ィについての議論が行 われた。「「国際語」 としての英語- その教育 目標 と基準」がそ
(
S
)
のテーマに選ばれ,すでに第 2言語 としての英語 を確立 したイン ドとマ レーシアか ら研究者 を
EI
L) とは,
呼び,それぞれの国での英語学習の課題が報告 された。「国際語 としての英語」(
今後 「
戦略構想」 を実際 に進める上で整理が必要 となる概念である。つ ま り,現在,第二言語
もしくは外 国語 として習得すべ き 「
国際語 としての英語 」(
EI
L) とい う概念が確立 されつつ
あ り,それは具体的には,これ まで我々がモデル として きたアメ リカ英語やイギ リス英語 とは
(
6
)
国際語 としての英語」(
EI
L) について Ri
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dsは以下の ように述
全 く違 った ものである。「
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s
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t
uat
i
o
nswhe
r
et
hel
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a
ne
r
rhasapr
ag
ma
t
i
cne
e
df
o
rs
uc
hi
nf
o
m at
r
i
o
n.
つ ま り,「
国際語 としての英語」(
EI
L) とい う考 え方では,英語 は もはやアメ リカ ・イギ リ
スの ような英語圏の言語であることを越 え,世界の共通語 とな りつつあ り,そのためアメ リカ
英語やイギ リス英語, さらにはアメリカ文化やイギ リス文化が学習上のモデルではな くなって
r
l
dEng
li
s
he
s
,例 えばシンガポール英語,ケニア英語等,その
いる。 また世界中で様 々な Wo
国 ・地域 に根 ざ した英語が確立 される中で,これか らは,それぞれの英語バラエティ (
変種)
が,それ までの ように 「
英米の英語ではない,劣 った変種」 とい う扱 いを受 けるのではな く,
それぞれが確立 された言語 として尊重 されるべ きである とい う考 え方が定着 して きている。こ
の点,「
戦略構想」が言 う 「国際的共通語 としての英語」 とは 「
国際語 としての英語」(
EI
L)
とは異なる極めて暖味で実態のない概念であ り,今後 日本 として もどの ような英語バ ラエティ
Lや Wo
r
l
dEngl
i
s
he
sといった視点か らの検討 を始 め る必
の習得 を目指すのか について,EI
要があると考 える。それな しでは,英語が現在の ように国内では滅多 に意志疎通の道具 として
使用 されることのない 「
外 国語」 としての地位 か ら抜け出す ことは難 しいだろう。 この ように,
戦略構想」 によって碇起 された様 々な課題 に,い
英語教育の改善 に寄与すべ き諸学会で も,「
ま取組み始めたばか りである。
51
「
『
英語が使 える日本人』の育成のための戦略構想」 と同構想が進める
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響 と問題点
2-2 「戦略構想」の 「趣 旨」が提起 する 「英語教育の 目的」 に関する問題点
ではまず 「
戦略構想」 に表れる 「
英語教育の 目的」 について議論する。 ここでの議論 は,質
約すれば 「
何 のための外 国語 (
英語)教育か」 と言 うことになるだろ う。「
戦略構想」 に至 る
までには, 日本 における外国語 (
英語)教育の目的に関す る長い論争の歴史がある。簡単 に言
と
(
えば,それは 「
教養 としての英語」派 と 「
実用 7
しての英語」派の間で交わされデ
ィベー トで
)
あ り,1
9
7
0年代半 ばに起 こった 「
英語教育大論争」,1
9
8
0年代 よ り続 く 「コ ミュニケーシ ョン
(
8
)
能力」 を重視する指導法の隆盛 ,1
9
9
0年代 に起 こる 「グローバ リゼーシ(
ョン」
I
T社会」
9
) と 「
,「実用 とし
の到来 による 「グローバ ル ・リテラシーとしての英語習得 の必要性」議論 を経 て
ての英語」派が絶 えず優勢の立場 を取 って きた。そ して実用重視の傾 向 は,今回の 「
戦略構
想」の登場でいっそ う明確 なものになった。方や実用一辺倒の傾向に抵抗する形で 「
英語帝国
(
1
0
)
主義論」 を展開す る識者たちが,英語教育の方向性 は国民の主体性 をも左右す る問題である と
の警鐘 を鳴 らして きた。それ よ りもよ り実用性 とのバ ランス を取 る立場で ,「
教養 としての英
語」の流れを継承す る英語教育関係者 も多 く存在 し,技能習得 だけでない英語教育の意義 と目
人間教育」,「
人権教育」,「
平和教育」,「開発教育」 としての
的,例 えば 「
異文化理解教育」,「
I
l
い
英語教育が果たす役割 を重視 した教育内容の構築を目指 した取 り組み も多 く存在する。 またこ
(
1
2
)
つつある。
ところが前記 したように,「
戦略構想」の 目的は市場原理 に基づいた英語力獲得 に しか ない。
(
1
3
)
そのこと自体 は決 して間違 ったことではな く,岡戸浩子が指摘するように,グローバル化 した
市場原理 を中心 とした社会的要請 にみ られる諸現実 を無視 し
社会での言語政策においては,「
てはいけない とい うことである。「
社会的要請」 と 「
教育理念」のそれぞれの理論 は きわめて
微妙 な均衡状態 を保 って相互浸透性 を有 しなが ら存在 している (
1
9
4ページ)
」。 しか し 「
戦略
構想」の開通は,英語教育の 目的を,市場原理 と 「
技能 (
道具) としての英語力の習得」 にの
み求めていることである。必要なことは,英語教育の 目的 に対するバランスの取れた姿勢では
り
1
)
なかろうか。モテ ィベーシ ョンに関す る研究 を持 ち出す まで もな く,人は 「
道具的動機」 だけ
(
1
5
)
で言語 を習得す るものではない。実用性 とのバ ランスは,筆者 を含めた検定教科書作成者 にと
って極めて重要な課題であ り,それは学習者のモテ ィベーシ ョンの問題であるだけでな く,外
国語 (
英語)教育 に関わる者の教育理念が問われる問題だか らで もある。長 らく検定教科書の
(
1
6
)
編纂 に携 わって きた森住衛が 「
戦略構想」 をもって 「
哲学が見 えに くい」 と看破 したことも当
然のことであると考 える。
2-3 「戦略構想」 における言語政策的視点の欠如
外国語教育はまさに一国の言語政策の問題であ り,それゆえ社会的 ・政治的な問題で もある
が
,「戦略構想」 には健全 な言語政策 としての視座が欠落 している観がある。前記 した各英語
教育学会の動向で も取 り上げたが,一国の外国語 (
英語)教育の構築 には言語政策の視点が不
可欠である。言語政策的な視点 とは, まず英語が国際的な立場で どの ような位置 を占め, 日本
として どうそれに関わるのか とい う問題があ り,次 に国内的には, ます ます進みつつある 「内
なる国際化」の中で,英語以外の外 国語教育 をどうするのか とい う問題 に要約で きる。
(
1
7
)
まず第一の問題 に関わって,世界における英語の立場 を見 る。Cr
ys
t
a
l(
1
9
97)は,英語話者
を以下の ように 3つ に分類 して算定 している。
5
2
天 理 大 学 学 報
1.I
nne
rCi
r
c
l
e(
第一言語 としての英語話者) 3億2
0
0
0
万 -3億8
0
0
0
万人
2.0ut
e
rCi
r
c
l
e(
第二言語 としての英語話者) 1億 5
0
0
0
万 -3億人
3.Ex
pa
ndi
ngCi
r
c
l
e(
外国語 としての英語話者) 1億 -1
0億人
この数値は極めて暖昧であるが,英語の話者数 について考える際 には,上記のような 3つの地
域構成 を考 える必要がある。つ ま り,まず第一言語 (
母語) として英語 を話 しているアメ リカ,
イギ リス,オース トラリア,ニュージーラン ド, カナダなどの国々,次 に第二言語 として英語
を話 しているイン ド, タンザニア,パキス タン,バ ングラデシュ,ナイジェリア,ケニア, シ
ンガポールの ような国々,そ して最後 に,外 国語 として英語 を話す (
学ぶ) 日本 を含めた極め
て多数の国々である。そ して,大 ざっばに言えば,それ ら 3つの構成要素の国,地域 を合わせ
ると,程度の差はあれ,何 らかの形で英語 を使 っている者 は,世界の人口6
0億人の 3人に一人
とい うことになる。 またその総数は急激 に増加 し続 けている。 このように,英語はその圧倒的
な話者数か ら,当然の こととして 「コミュニケーションにとって もっとも便利 な国際語」 だ と
認識 されている。英語が便利 な言語であることは揺 るがせ ない事実だが, しか しそのことは決
して他の言語の価値 を否定する ものではない ことを確認 してお きたい。 また今後は,それぞれ
のサークルにとっての英語の立場 を分けて考 えることが,英語教育には必要 になってい くだろ
う
。
Expa
ndi
ngCi
r
c
l
eに属す る我 々 日本人 にとっては,EI
L (国際語 と しての英語) としての
英語の役割 を しっか り理解 し,これ までの I
nne
rCi
r
c
l
eの言語である英語やその文化 に対 し
て抱いていた (もしくは,教育 を通 じて抱かせていた)認識 を変 えてい く必要がある。 ところ
が 「
戦略構想」 には, 日本人が習得すべ き EI
Lの姿 については何 の ビジ ョンも示 されてい な
い。ただ当た り前のように 「
英語 は国際共通語だ」 と規定 されるだけな ら, これまで通 りの英
nne
rCi
r
c
l
eの言語 と文化 にす り寄 る姿勢 しか生 まな
語 との関係,つ ま り英米 を中心 とした Ⅰ
いだろ う。いま,我 々に EI
Lとしての英語の諸要素
についての認識があるだろ うか。例 えば
(
1
8
)
e
nk
i
nsは EI
Lの観点か ら,それぞれの英語変種 が音声上の理解可
発音 は どうであろ うか。J
能な 「コア」 さえ共有 していれば,それぞれの国家 ・地域で独特の音声要素が用い られて しか
るべ きである, と提案 している。 ところが,い まだ英語 は 日本人にとって 「
借 り物」 であ り,
独 自の英語バラエテ ィが確立 されてはいない。 もちろん 「日本英語」 の確立 を提唱する研究者
(
1
9
)
たち,例 えば 日本独 自の英語 ,「イ ングリック」 を提唱 している鈴木孝夫 な ど,が存在す るが,
それ らの実現性 は低いだろう。言語政策 として, どのような英語バ ラエティの習得 を目指すの
か とい うビジ ョンのなさは,「日本での英語 は社会生活で使用 されている言語ではない」 とい
t
e
r Ci
r
c
l
eに住 み,我 々 自身の Wo
r
l
d
う根元 的 な問題 の裏返 しで もあ る。我 々は まだ,ou
Eng
l
i
s
he
sの変種 を必要 とす るところには至 っていない。
)また,言語政策か ら見れば,英語以
(
2
0
外の外国語教育 に対する視点 も求め られるだろう。岡戸 も認めるように現在の ような言語教育
の環境では,「グローバル化の象徴言語である英語が圧倒的な地位 を保 ち, ます ます偏 った言
(
2
1
)
語観が醸成 されることにつなが りかねない (
1
9
4ページ)」。 この点,手塚順孝 は,これか らの
英語教育の研究 には,言語政策 を研究する CAL(
Cr
it
i
c
a
lAppl
i
e
dLi
ng
ui
s
t
i
c
s
)の視点が導入
されるべ きだ と提唱 してお り, これは傾聴 に値すると考 える。
「
戦略構想」問題 は, また教員や研究者の側 の問題で もある。 これまでの英語教育 には言語
政策の視点,つ ま り言語教育が及ぼす社会的な影響 に関する研究が乏 しく, このままでは教授
戦略構想」の波 に飲み込 まれ,今回の改革が全体的にもた ら
法の研究 に没頭 している間に,「
「
『
英語が使 える日本人』の育成のための戦略構想」 と同構想が進める
53
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響 と問題点
p
a
nd
i
ngCi
r
c
l
eに属
す負の影響 に支配 されるようになるか もしれない。上記 した ように・Ex
す る台湾や韓国で も英語教育の強化 によるアイデ ンテ ィティの喪失問題 に悩 むなど,各国にと
って言語政策上取 り組むべ き問題 は多い。
2- 4 個 民全体 に求められる英語力」 と 「小学校の英会話活動の充実」の問題点
「
戦略構想」では, 日本人 に求め られる英語力 を,第- に 「
国民全体 に求め られる英語 )
J」,
第二 に 「
国際社会 に活躍する人材等 に求め られる英語力」 と分類 し,第二ではエ リー ト教育 を
導入 している。そ して 「国民全体 に求め られる英語力」では,小学校への英語教育導入がその
,「主な政策課
目玉 となっている。 さて,「
戦略構想」では,小学校 と英語教育の関係 について
,「英会話活動 の充実」 を求めるに とどめている。 しか し 「検討課題」の項
,「小学校 の英語教育に関する研究協力者会議の組織」 を立 ち上げることが示 されている
題」の項 において
では
ことからも,今後 「
英会話活動」 を発展 させて,英語 を小学校の教科にする意図が読み とれる
。
2
02年度から公立小学校 に導入 された 「
総合的な学習の時間」で 「
英会話」が可能 となったが,
すでに一般の教員の間では,これによ り英語教育 自体が開始 されたとの誤 った認識が広が りつ
つあ り,雰囲気はすでに醸成 されたと言える し,次期の学習指導要領では英語は確実 に小学校
。
での教科 とされるだろう 「
戦略構想」はこれを確実 に後押 しする形 となっている。 しか し研
究者の間では,小学校での英語教育導入に対する立場は 3つに分かれている。 まず,例 えば唐
(
2
2
:
)
(
23)
須教光の ように諸手を上げて賛成する立場か ら,大津由紀雄のように徹底的に異議を唱える立
(
2
4
)
場, さらには松川穐子の ように 「
国際理解や異文化理解 を強調する外 国語体験的なプログラ
,
ム (
FLEX) の一環 ならば展望で きる」など,条件 をつけて賛成する立場がある。ここではそ
れぞれの議論 を検証することは避 けるが,今後何 らかの形で小学校英語が教科化 されることは
必至 だと考 える。 しか しその際で も,反対派である大津の提起する以 卜の視点は極めて重要な
意味 を持つ と思われる。またこれは,先にも述べた英語教育の目的論や教育理念の問題で もあ
る。言語教師 として, この内容は肝 に銘 じてお きたい。
筆者は,教員の側 に完壁な英語運用能力 を期待 しているのではあ りません。ある程度は
教員の発音が独特の癖 を持 ったもので もかまいません。 しか し,教員が持 っていない と困
るものがあ ります。それは, しっか りとした言語観 (
外国語観 を含 む) と言語教育観です。
なぜ英語 を教 える必要があるのか とい う問いに対 し,教えな くてほな らないか らであると
か,国際共通語である英語 を身につけるのは間 うまで もな く当然のことである, といった
程度 の意識 しかない教月による教育が どれほど危 うい ものであるかはい くら強調 して も強
調 しす ぎることはあ りません。(
5
8頁)
2-5 「国際社会に活躍する人材等に求められる英語力」 とエ リー ト育成の問題点
,「スーパー ・イング リッシュ ・ランゲージ ・ハ イスクール」の構想 で,英語
文部科学省 は
教育のエ リー ト校 を作 り,英語 を使い授業 を進める 「イマージョン教育」 による高度 な英語運
,
用能力の育成 を目指 そ うとした。この計画は2
0
0
3
年度 に開始 されたが,前記 したように 「日
本での英語は社会生活で使用 されている言語ではない」 とい う現実のためか,たとえ選抜 され
たのは公立 ・私立のエ リー ト枚であったとして も,全校 を上げた 「
英語漬け状態」の実現 には
(
25)
無理があったようである。前学習指導要領の起案者である和 田稔 は 「イマージ ョン教育」構
,
,「スーパ ー ・イングリッシュ
想は初年度 よ り限界が見 えたため,文部科学省は 2年 目に して
5
4
天 理 大 学 学 報
・ランゲージ ・ハ イスクール」の目標 を 「イマージ ョン教育」 か ら 「
特色のある英語教育」 に
下げた, と述べているo また地域社会の意識 として も 「
偏差値の高い」エ リー ト校 ばか りを選
,
別することには抵抗があ り,2年 目である2
04年度 には 「政治的な配慮」 によってエ リー ト
,
校 をはず した当該校の選定が行 われた との見方 もあるOつ まり, 2年 目に して 「スーパー ・
イングリッシュ ・ランゲージ ・ハイスクール」の目標 は トーンダウンしたことになる。高校か
らの英語エ リー ト育成が軌道に来るかどうかは,今後の成 り行 きを見てい く必要があるだろう。
次に 「
優れた英語教育 カリキュラムの開発 ・実践等 を行 う大学や,特 に全課程 を英語で授業
す る大学 (
又は学部)を重点的に支援」す るとい う,大学でのエ リー ト教育の開始であるが,
,
これ については 「
現代 的教育ニーズ取組支援 プログラム③仕事 で英語が使 える E
]本 人の育
成」 とい う名の下で取組 に参加する大学の募集がなされ,2
0
0
4年1
0月に初年度の選抜校が発表
された。エ リー トの養成 に関 しては,高校以下 とは違い,大学での実施 はよ りスムーズに行 く
もの と考 えられる。
「
英語エ リー トの育成」 とは, 日本の教育行政が初めて一歩踏み込んだ施策であるが,我が
国の教育風土 に公教 育でのエ リー ト育成が馴染 むのか,果 た して EFL (
外 国語 としての英
請)環境で英語 イマージ ョン教育が可能なのか,台湾や韓国で も見 られるような学習者の二極
化 をどうするのか,など今後の課題 も多い。2
0
0
4年度の学会では,「スーパー ・イングリッシ
ュ ・ランゲージ .ハ イス クール」の実践報告 はあったが
,「現代的教育ニーズ取組支援 プログ
ラム」 に関する大学か らの報告 はあ と 2年待 たな くてはならない。今後の動向に注 目したい。
3.「英語教 員の資質向上」 とその 「主要 な施策 」の問題 点
31 1
「
英語教貞の資質向上」のための 「
政策課題」
,
前記 したように,筆者は 「
戦略構想」の様 々な政策課題の うち 「
英語教員の資質向上」,特
,
にその中の 「
教員研修」が重要だ と考 える。なぜ なら 「
戦略構想」が提起 し目指 している英
語教育の抜本的な改革は,すべて英語教育 を担 う教員 によって実施 されるか らである。 この章
では 「
戦略構想」が示す 「
英語教員の資質向上」 の問題点 を論 じ, また,実際,研修会 に参加
した教員たちの意識か ら問題点 を明 らかに したい。
「
英語教員の資質向上」 についてのは政策課題 としては,大 きく二つの項 目が上げ られてい
,
る。第- は,中高の 「
英語教員が備 えてお くべ き英語力の 目標値」で あ り 「
英検準 1級,
TOEFL5
5
O点,TOEI
C7
3
0点程度」 という数値が設定 されたO第二は,教員の資質向上のため
国外
の研修計画であ り, これは,臼)
指導者育成のための 「国内指導者講座」 (
年 2千名) と 「
研修」 (
短期 1
1
8人,長期2
8人) と,②一般教員 を対象に した 「
英語教員の資質向上のための研
修計画」 (
通常 は 「
悉皆研修」 と呼ばれ る) に分類 されている。(
参は,都道府県等への補助事
業 として,平成 1
5
年度か ら 5カ年計画で中学 ・高校の全英語数 貞 6万人に対 し,集中研修-の
参加 を原則 として義務つけるとい うものである
。
3-2 「英語教員が備 えてお くべき英語力の目標値」
筆者は目標値 自体 には否定的な見解 を持たない。すでに教職にある者が,何 らかの方法で英
語力の維持 と向上に努 めることは当然であ り,現在約 6万人い る中高 の英語教員 に,漠然 と
「
英語力 を高めなさい」 と啓蒙す るよりも,具体的な測定方法 と数値 を示す ことはモテ ィベー
シ ョンを高めることに繋が るだろう。 また,今後 これらの数値が,教員採用における目安 とさ
れることも理解で きる。ただこれ らの資格試験の長所 と短所 を理解 してお く必要があるだろう。
「
『
英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」と同構想が進める
55
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響と問題点
例 えば英検 には,合格級内に学力の幅が存在するとい う短所はあるが ,3つの検定試験 中,唯
ら 3つの測定方法の どれ もがアメ リカ英語 とい うバ ラエテ ィーに偏 りす ぎているとい う共通の
欠点 もある。要は英語力 として, これ らの検定における目標値 「
程度」が求め られているだけ
であると理解すべ きだろう。
しか し 「目標値」提示の最大の問題点は, この発表により,英語教員に求め られる資質が,
検定試験で測定 されるような技能中心の語学力だけに接小 して意識 されて しまう危険性がある
(
2
6)
ことだろう。金谷憲 によると, これ まで英語教師の資質については,それを論 じること自体が
タブーであったため,ほ とん ど研究がなされてこなかった とい う。金谷は,英語力のみ を取 り
上げて も,何 を持 って英語力 とするのか,英語力が高い教員がはた して優れた教員 なのかなど,
まだまだ研究 しな くてはいけないことも多い とも述べている。学校英語教育 に関わる教員 に必
要な資質は,教授法研究の発展 とともにます ます広範な ものになってお り,そ こには言語使用
に関する技能以外 にも様 々な知識 ・能力が含 まれるだろう。例 えば基礎的な言語学の知識 は言
うに及ばず, コミュニケーシ ョン能力の育成に関わる社会言語学や語用論の知識,再評価 され
o
ns
c
i
o
us
me
s
sを高めるための新
ている音声指導 を促進する指導法の理解 と実践力,学習者の c
しい文法理解 と指導法,生徒 の 「なぜ ?
」 に答 えるための英語史の知識, さらには様 々な文化
や人権問題全般 に関す る理解な どがあ り,あげればキ リがないほどである。 ところが,地域の
熱心 な教員達が運営す る自主的な研修の場 においてで さえ,参加者たちに教授法 に関する系統
的な理解が欠けていると感 じることが多い。従 って,教員の資質向上 を考 える際 には,検定試
験 による 「
英語力 目標値」 は単なる前提条件の一つ程度 と考え,様 々な資質 を開発す る研修制
度の充実の方こそを重視する必要があると考 える。
3-3 「教員研修」の問題点
教員研修 については, まず指導者育成の海外研修制度 を見る。文部科学省が海外 に派遣する
のは, 1カ年研修が全国で2
8名,半年研修が 1
1
8名であ り,派遣枠 は一定拡大 された と言 える
だろう。「
構想」では,今後 これに加 えて,「
大学院休業制度 を活用 した 1年以上の海外研修希
望の英語教員 (
毎年,各都道府県で 2名程度 )
」 を支援す るとしてお り,予算等 を考 えて も精
一杯の提案であるか もしれない。 しか し現在海外 か ら招聴 される ALTが 7千人 もい ることを
考 えると,これ らの数字は極めて少 ない と言 えるだろう。
英語教育全体の底上げに寄与するのは,海外研修の援助 よりむ しろ,全英語教員 6万人 に対
する国内での研修 , 5カ年計画 (
「
悉皆研修」)のあ り方であろう。その最大の課題 は,いった
い誰 に,いつ, どの くらいの期間研修が行われるかであ り, さらにはどの ような内容の研修が
誰 によってなされるかである。はた して,5年間で仝英語科教員が研修 を受けることが, また
それぞれの年度の参加者が約1
0日間研修 を受けることが, どの ような意味 を持つのか を検証す
る必要がある。 また,前記 した ように,英語教員 に求め られる資質にはさまざまな ものがある
が,それ らが現在,文科省 によって整理 されているわけではない。事実,各県で実施 され る
「
悉皆研修」の講義内容 と講師の選定基準 は,県 によりばらば らで一貫性がない。 また現行の
研修の場では,当面の課題 (
例 えば最近では 「
絶対評価の導入」 など)が先行す ることが多 く,
全体 を見据 えた研修 になっているとも思 えない。 また強制 された研修会では参加者の意識が低
い とい う問題 もある。研修制度の充実 については, まずは公的な研修 を企画する文部科学省が,
研修の質的な改善策 を検討 し,その内容 を整理 し具体的に提示す る必要があると考 える。 さら
56
天 理 大 学 学 報
には,教員が 自主的に運営する学会,研修会 を支援 した り,それへの参加 を容易 にする手だて
(
27)
の充実 も求め られている。池田真澄 は,研修 を受ける高校教員の立場か ら,教員研修 プログラ
ムの問題点 を, 1) これでは教員の多忙化 に拍車 をかける, 2)教育 よ りも点数を目的 とする
教員が増 える, 3)全員強制研修では自主的研修活動 は育たない, 4) 自己研修 を援助す るこ
とこそ教育行政の責務である,の 4点 にまとめてお り,指摘する問題点は筆者 と重 なるものが
(
2
8)
多い。 また森住 は, 1)一斉研修ではない 自己研修 を奨励するため, 自己研修参加者の一斉研
英語母語話者」志 向型 を助長す る ALTの招碑 を減 らし, 日本 人教
修 を免除す ること, 2) 「
員の海外研修派遣数 を増やす ことを提案 してお り, これ ら具体的で実行可能 な方法 については
是非導入 を求めたい。
悉皆研修」のあ り方 には極 めて多 くの未整理の問題が存在 し,今後の検証 と
このように,「
改革が必要だ と言 える。
3- 4 「集中研修会 5力年計画」の実態 とその評価
前記 した ように,「
集 中研修会 5カ年計画」の最大の問題 は,誰が参加す るのか, どの くら
いの期 間研修が行 われるのか, どのような内容の研修が誰 によってなされるのか,の 3点であ
ろう。 まず参加者 については,実際の研修では,県教育委員会の派遣 による指導者研修 会や海
集 中研修会」へ の参加 を免除 されている。 しか しそれ以
外研修 (3ケ月以上)の参加者は,「
外では, 自主的な研修活動 に参加 していて も免除 されない。次 に時期 と期 間については,原則
約1
0日)の研修 を,県 によっては夏休み中に一括 して行 うところと,年間にば
として 2週間 (
らまくところがある。そ して最後 に研修内容 と講師の選定 については,ほぼ県 に任 されている。
講師 としては,県内の大学で英語教育 にたず さわる教員に依頼する場合や,民間の 「
能力開発
Tスキルの向上や プレゼ ンテー ション能力開発 ,TOEI
C対策な どを目的
セ ミナー」 (
例 えば I
に した) を実施する企業から講師を派遣 して もらう場合, もしくはその両者の組み合わせが多
い。奈良県 はこの組み合わせであるが,愛知県の ように,民間の 「
能力開発 セ ミナー」か らの
講師 を中心 に している ところもあ り,地域 によ り,英語教育 (
指導力育成) に重点 を置 くのか,
それ とも 「スキル」習得 (
教員 自身の運用能力の向上) に重点 を置 くのか も,ばらば らである。
また英語教育 に重点 を置 く地域で も,その内容 には差がある。中には,参加者 自らにアクシ ョ
0
0
4年度で研修計画は 2
ン ・リサーチの課題 を課 して,研修 と研究の両方 を求める県 もある。2
年 を終 え,残すはあ と3年 となった。
0
0
3年度の研修会について調査 した英語教員研修研究会 (
石
研修 の成果 に関す る研究では,2
(
29)
田雅近代表)の報告が酒井志延 により 『
英語教育』 に掲載 されているので,要約する。
実施 :2
0
0
3年度,研修会直後 とその 2ケ月後
6
教育委員会中,3
2
教育委員会が協力 し,直後の回答者 は2
,
2
9
2
回答者 :研修 を実施 した6
名 ,2ケ月後の回答者は1
,
0
8
2名。
効果が高かった項 目 (5段 階中, 5か 4の回答が多かった項 目) :
*「授業 を批判的な態度で反省 しなが ら,絶 えず改善す る ようになった」直後で 8割以
上 , 2ケ月後で 6割以上。
*「自主研修の 目標や方法が明確 になった」 2ケ月後で 5割以上。
*「英語運用能力 を向上 させ るために,今後 自己研鐙 につ とめた りその方法 を工夫 した り
する」直後で 9割近 く。
「
『
英語が使 える日本人』の育成のための戦略構想」 と同構想が進める
57
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響 と問題点
t
t
p‥
〟www.
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1
5
r
e
p
o
r
t
・
ht
m を参照)
(
詳細 については,h
,
昨年度の研修 は,全体 として効果があ った」 と結論づけている。
英語教員研修研究会では 「
また,全体 としては 「
研修のインパ ク トは,中学教員の方が高校教員 より大 きかった と判定で
0
0
3
年度,つ ま り5カ年計画の初年度の調査 であることを念
きる」 としている。ただ しこれは2
頭 に置 く必要がある。つ まり,初年度は自ら参加 を申 し込んだ積極的な教員が多 く,それは 2
年 目以降徐 々に減 ってい くことが予想 され,今後 とも 「
全体 として効果があった」 とい う結果
になる保証はないか らである。
3- 5 本年度の集中研修会に参加 した奈良県の中学 ・高校英語科教員への意識調査よ り
0
0
3年度 と2
04年度 の,「
『
英語が使 える 日本
筆者は,奈良県教育委員会 の依頼 を受 けて,2
人』の育成のための戦略構想」及び 「同行動計 画」 による中高英語科教員への集中研修で講座
を担当 した。毎年,参加者約 1
2
0
名 は A班 ,B班 に分 け られ,二つの違 った 日程 でそれぞれ 7
- 8月中に11日間の研修 を受ける。各班 はさらに 2つのクラスに分けられ,それぞれが約3
0
名
の教員で構成 される。 1講座 は 2時間5
0
分で 目に 2講座実施 され,使用言語 は英語 とされてい
る。筆者の他 には,県外 の大学か らの英語教育研究者,県内の他大学か らの講師,企業研修機
関か ら招碑 された講師が講義 を担当 し,中高の教員 による実践報告 とワークシ ョップも実施 さ
れた。2
0
0
3
年度,筆者 に依頼 された研修 テーマは 「
Co
mmuni
c
a
t
i
v
eLa
ng
ua
g
e Te
a
c
hi
ng
」
で,2
0
0
4年度は 「
Li
s
t
e
ni
nga
ndSpe
a
k
i
ng
」 であった。講義の構成 は講師に任 されている。
0
0
4年 8月2
C
旧 に行 ったが,この 目は研修仝11日中
以下の意識調査 は,研修 2年 目にあたる2
の 7日目にあた り,研修のほぼ後半 に入 った ところである。調査は,それぞれ午前,午後 の講
義が終わった直後 に参加者 に依頼 し,記入 には約1
0分 を取 った。参加者のほぼ全員である5
1
名
]に, もう一班,約5
5
名へ講義す る予定であったが,台風のため休講
が回答 した. また同月 5E
とな り,調査対象者が当初の予定の半分 になって しまったのは残念であった。以下 に調査結果
と考察 を示す。
「(5カ年計画)英語科教員集中研修」参加者へのアンケー ト,調査結果
0
0
4年 8月2
0日 (
金)
実施 日 :2
場所 :奈良県教育研究所
回答者数 :5
1
名
結果 :下線部が回答者数
アンケー トにご協力 ください。
あなたについて : 所属は (
中学 ・高校)
性別は (男 ・ 女 )
Z
Z負 担を
些旦 塾 丞
0年未満 ・
2
0
年未満 ・
3
0年未満 ・4
0
年未満)
教員歴 は (5年未満 ・1
且名
旦名
星Z丞
堕丞
土星
5
8
天 理 大 学 学 報
1.研 修会- の参加姿勢 につ いて :
S Se
mi
na
r(奈 良県 での 「悉皆研修」 の呼 び名)- は 自主 的 に参加 を
「
今 回の NET
申 し込 み ま したか。」
⋮T
紬E
⋮
ア (
はい)
イ (
いい え)
ウ (どち らとも言 えない)
2
0
0
3
年度
(
昨年度) の同研修 会で は,参加 した約6
0
名 の半数以上が 「自主的 に参加 した」 と
04
年度 は 「自主的 に参加 した」 と答
答 えた (
著者が講義 中 に口頭で調査 )の とは対照 的 に,2
えた者が2
5
.
5%に とどまった。 これか らも分 か る ように,「悉 皆研 修」- の参加 はほぼ強制 で
あ る こ とが分 か る。研 修会はあ と 3年続 くが, 自主 的参加率 は年 を追 うご とに低 下 し,参加者
のモテ ィベ ー シ ョンも下が るこ とが予想 され る0
2. 自己研 修 について :
「あ なたは 自己研修 の一環 と して,純粋 な英語学習 (
教材研 究 は除 く) に どれ くらい
時 間 をかけてい ますか。
」
ア (日に数時 間)
イ (
週 に数時 間)
ウ (
月 に数時 間)
エ (
年 に数時間)
オ (
その他 , ほ とん どな し)
5名
_
2
7
名
7名
1
0
名
2名
(
9
.
80
/
.
)
(
5
2
.
9
%)
(
1
3
.
7
%)
(
1
9
.
6%)
(
3
.
9
%)
自己研修 にか け る時 間で は,「
週 に数時 間」 が約半分 と もっ とも多 いが ,1
9
名 (
約 4割)が
「月 に数時 間」 と答 えてお り,つ ま り, 自己研修 にほ とん ど時 間 を取 っていない状態 である。
奈良
一 方, 同 じ 8月 に,奈 良県 の 中高 の英 語 科 教 員 を対 象 に開催 した,あ る 自主研 修 会 (
NET FORUM,夏期研修 会) では,参加者 は2
0
数名であ った ものの ,6割近 くが
「自己研修
の時 間は, 日に数時 間」 と答 えてい る。 この点 で も,強制参加 の研修 会 と自主参加 の研修 会で
は,教 員 の研修- の意識が異 なるのか もしれ ない。
3, 自主研修- の参加状況
:
「あなたは, この ような 「
官製」 で はない, 自主 的 な英語教 育や授 業方法 の研修会 に,
この一年で どれ くらい参加 しま したか。
」
ア (1回-数 回)
イ (ここ 1年 はない)
ウ (ここ数年 はない)
エ (
参加 したこ とはない)
オ (
その他 )
(
2
1
.
6%)
(
1
9
.
6%)
7名 (
2
9
.
4%)
1
7
名 (
3
3
.
3%)
3名 (
5
.
9%)
1
1名
1
0
名
ア (
他の仕事で忙 しい)
イ (
指導法 に関心が ない)
エ (
いい研修会が ない)
ウ (
研修会の情報がない)
オ (
なん とな く。おっ くうだ)
カ (
その他 )
59
「
『
英語が使 える日本人』の育成のための戦略構想」 と同構想が進める
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響 と問題点
4. 自主研修 に参加 しに くい理 由 :
「
(
3.ア と答 えた以外 の人に)参加が少 ない, または参加 しない理 由は何 ですか。」
ll
極めて低
自主的な研修会
これを見る限り
いと言わざるをえな
い
への参加については
。
,
教員
今
そ
70
が圧倒的
6%)
の職務はますます
で
の理由はばらけている
の他
。
.
,教員
そのような状況にお
ただし
に必要であろう
いても自主的な研修会に絶えず参加している。
,教員が
で忙し
い
研修プ
教員から余裕がなくな
増え
に
て
の整理が同
の職務
ログラムの充実と共
いる
っ
。
,時
)
残り約
割は
8
ほとんど
年間に自主的に参加したと答え
(
60/
名
1
ているが
のみがこの
2
一
.
,
.「他
またその理由としては
当然予想が
参加していな
の仕事
ろう
ついたが
ていいだ
いと見
,
。
,」(
である
いることも事実
。
「
)
「英語が使える日本人」
」
の「教員
のための戦略構想(行動計画
の育成
「あなたは
教員
5
目標値に対する評価
の英語力
:.
,
目標値」(英検準1級
の英語力
TOEIC730)
TOEFL550
は妥当な数字だと思
います,」
か。
9%)
3
イ(高すぎる)
名
5.(
2%)
名
21
41
ウ(分からな
い).(
8%)
名
4
オ(そ
の他).
ア(ほぼ妥当).(
(
20
2%)
39
名
(低すぎる)
名
5
9%)
3
エ
.(7
割が
4
同じく約
ただし
約
設定された目標値を妥当なも
のと感じていることが分かる。
,
「分からな
割が
なぜ何らかの評価ができな
ているが
いのかに
ついては不明であ
い」と答え,
,る 。
」
がると思
いますか。
「
)
英語教育全般
「戦略構想(行動計画
」の教員研修計画で
の改善に関して成果が上,
6
この集中研修
に対する評価
:
.
(
)
17
9
旦製
ウ(分からな
い
.
.(
(0
%)
」
土
23
30/
イ(そう思う)
塁名
.
.名
0名
ア(大変そう思う) )
(あまり思わな
)
名
19
37
3%)
い
エ
.
60
天 理 大 学 学 報
オ (まった く思 わない)
4名
(
7.
8%)
大変象徴的な回答 になった。 この研修会 も 7日目,つ ま り後半に入 り,疲 れが 目立 って きた
のか,この研修制度で成果上が るか とい う問いに,「
大変 そ う思 う」 と答 えた者 は皆無 だった。
9
名 (
2
3.
3%)いたが,「あ ま り思わない」「まった く思わない」 を合 わせ ると
「そ う思 う」が1
2
3
名 (
4
5%)にな り,やは り研修-の参加 を強制 された とい う意識が強いのではないだろうか。
7.研修全般 に対する意見 :
「
最後 に,教員研修 (
国内 ・海外, 自主 ・官製) をは じめ,上記の質問に関 して,何
で も結構ですので,意見があればご記入 くだ さい。
」
ここでは,記入 された意見の中か ら主 な ものを取 り上げる。
1)本研修会について肯定的な意見 :
*自分ではなかなか研修 しようとしないので,こうい う 「
強制」 の形で も英語 に触れ ら
れるのは,結果的には自分 にとってはあ りがたい ことだ と思 っています。
*強制することにより,現状 よりは改善 されると思 う。
*刺激 にな ります。で も刺激 だけで終わ らないように したいです。
2) (
自主)研修が しやすい環境 を求める意見 :
*教員研修 は絶対必要だ と思 います。ただ し自主的 な もの。そのため に国や県教委 は
我 々の研修権 を十分 に保障 して欲 しい。
*自分の英語力や教授 の しかたをより上げるための研修 には非常 に興味があ り,参加 し
たい と思 ってい ます。 しか し毎 日毎 日生徒の問題や トラブルに終われて,そのことに
集中せ ざるを得ず,英語 に関わることがで きませ ん。 まず,少人数 クラスや教員数増
加 など,私たちが研修 に参加で きる余裕が生 まれるような体制 を整えていただ きたい
です。
*海外研修の機会 を増や して欲 しい。 自主的な研修会は魅力はあるが高価 なので補助 を
考えて欲 しい。
*自費で もよいので (とい うか 自費で当た り前),教員 をやめないで (
海外 に)行 ける
制度 をもっと広 げて欲 しい。
*いろんな研修会の情報 を,各学校 に教 えて欲 しい。
3)本研修会 について否定的な意見 :
*研修では s
ki
l
lにかた よ り過 ぎる風潮 になってい ます。英語 に侵略 される日本 とな り,
アメリカの5
1
番 目の州 を目指 しているので しょうか。
*Me
t
ho
dや Sk
i
l
lばか りの研修ではどうか と思 う。He
a
r
t
,So
ulがなければ無意味。
*英語が しゃべれる日本 人より前 に, 自分の意見 を持 った (
話す内容のある) 日本人 を
早急 に育成する必要があると思っています。
*教員の英語力 を上げることに何の意味 をみいだせ るか と思 う。た しかに英語力は大切
だが,それ以上 に大切 な もの (
授業での生徒 とのかかわ りかたや教授法)があるはず。
「
『
英語が使 える日本人』の育成のための戦略構想」 と同構想が進める
61
「
英語教員の資質向上のための主要な施策」の影響と問題点
英語がで きる教師が良い教師 とは限 らない場合が多い。
3- 6 上記,
「
意識調査」の結果から言 えること
この ささやかな意識調査か らも明 らかなことは,英語教員の資質 を向上するための職員研修
のあ り方全般,また具体的には 「
悉皆研修」の形態 について も多 くの問題があるとい うことで
ある。 まず第一 に,研修が奨励 され,研修が受 け られるように環境が整えられる必要がある。
現実では, 自主的な研修-の参加 は援助 されず,公的な研修- は,個 人の任務,例 えば夏休み
中の クラブ活動の指導 など,にかかわらず参加 を強制 されるなど,多 くの教員か らは, このこ
とに対する要望 と不満が噴出 している。近年,教員の生活はただで さえ忙 しくなっている。教
員がゆ とりを持 って研修 に参加で きる条件整備, また希望者 には, 自費での海外研修が しやす
くなる優遇措置などの検討 を強 く望 む。第二は,言語政策の観点に立 った,研修内容の整理 と
,
研修体制の確立の問題がある。い ま も 「
教員の資質」 とは何 を指すのかは明確 にされていな
い。それは単 に英語力だけのことなのか どうか, また英語力 に限って も,検定試験で測ること
がで きる点数だけなのか どうか,それす ら明確 にされていない。教員の コメ ン トに も,「
英語
がで きる教師が良い教師 とは限 らない場合が多い。
」 というものが見 られた。 この ように教員
研修だけを見て も,様 々な改善 されるべ き点が多いことが,意識調査の結果か らも分かった。
最後 に,筆者が 「
悉皆研修」 に講師 として参加 して感 じた,最大のことを述べ る。それは,
研修 を通 じて教員が 自ら学ぶ ことを楽 しむことが本来の研修 の意義であ り,その ような研修 な
ら教員 も喜んで参加するであろうということであった。そのための条件整備が最大の課題であ
る と感 じた次第である。手前味噌ではあるが,月刊 『
英語教育』(
2
0
02年11月号)の 「
戦略構
(
3
0)
想特集」で,筆者が担当 した小論文の一節 を, この項のまとめにかえて転記する。
教員 にとって研修 こそ命である。 しか しその前に, どうして も確認 してお きたいことが
ある。それは,教員 自らが学ぶ ことを楽 しんでいるか,楽 しめているか とい うことだ。研
修 こそ まさに,学ぶ ことを楽 しむ場でな くてはならない。 しか し今,多 くの中高教員か ら
「
教員の生活か らはゆ とりが消えつつあ り,研修 を楽 しむ余裕 などない」 とい う嘆 きが聞
こえて くる。研修 を企画する側 と教員の両者 にとって,危機意識 をこえた,研修本来の意
義に立ち返 る必要があるのではないだろうか。教員が学びを楽 しめないのに,子 ども達が
楽 しめるわけなどないのだか ら。
お わ
り に
本稿では,「
『
英語が使 える 日本 人』の育成のための戦略構想 」(
「
行動計画」
)の概要 とその
問題点 を整理 し, これか らの我が国の英語教育の課題 を探 ろうとした。 また,英語教育改革の
主体 となる教員の資質 をいかに して向上 させ るか とい う点 において,教貞研修が果たす役割 を,
「
戦略構想」が導入 した 「
英語科教員-の集 中研修」の問題点 を論 じることで,考察 しようと
した。 また,実際 に 「
英語科教員への集中研修」 に参加 した教員-の意識調査か ら,教員 と研
修 についての現実 を明 らかに しようとした。
今後 とも 「
戦略構想」 によって道筋 をつけ られた英語教育改革の流れは続いてい くだろう。
また 「
英語が使 える 日本人」 を育成するとい う教育課題 は, ます ます大 きな もの となって現場
に求め られるだろう。 しか し,その方途 を探 る際には, しっか りとした言語政策の視点に立 ち,
我が国に とっての EI
L(
国際語 と しての英語)のあ り方 を模索 しなが ら,外 国語 (
英語)教
62
天 理 大 学 学 報
青 の 目的 に対 す る議 論 を進 め て い く必 要 が あ る と考 え る。 また,英 語教 育 改革 を担 う教 員 の資
悉 皆研 修 」 を越 えて , 自主 的 な研 修 を奨 励 す
質 向上 の ため の研 修 につ い て は , 5年 で終 わ る 「
る体 制 づ く りを構 築 しなが ら,全 体 的 な研 修 制 度 と研 修 内容 の確 立 を 目指 さな くて は な らな い
と考 え るO教 員 - の意 識 調 査 か ら も明 らか に な ったが ,教 員 が 喜 んで研 修 に参 加 で きる内容 と
体 制作 りが ,最 終 的 に は我 が 国 の英 語教 育 の レベ ル ア ップ につ なが るの で は ない だ ろ うか 。
最後 に, 意識調 査 に協 力 して い た だ い た 中高 の先 生 方 に感 謝 申 し上 げ ,小 論 を閉 じる。
註
(1) 文部科学省 (
2
02)「『
英語が使 える 日本 人』の育成のための戦略構想一 英語力 ・国語力増進
プラン」
(2) 文部科学省 (
2
02)「『
英語が使 える 日本人』 の育成のための行動計画」
(3) Yi
JuChe
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台湾 Shi
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y)に よる講演 ,「
TheEngl
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n」 より。
(4) Hwaya Le
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y)による講演 ,「
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(5) Gar
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) による講演 ,「
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(6) Ri
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,I.2003.Cur
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nga
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aki
ng. TheLan
gua
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Te
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he
rVo
l
ume27,Numbe
r7,3
16.
(7) 「実用的英語運用能力 を保障 しない英語教育」 を批判 した衆院議員 の平泉渉氏 と 「
教 養 と して
の英語教育」 に執着 した言語学者 の渡辺昇 一氏 との間で交わ された議論。詳 しくは,平 泉渉,
1
9
7
5)『英語教育大論争』文芸春秋 , を参照。
渡辺昇一 (
(8) 1
9
8
9(
平成 1)年度版 (
前)学習指導要領 では 目標 を 「
外 国語 を理解 し,外 国語 で表現す る
基礎 的な能力 を養い,外 国語 で積極的 にコ ミュニケーシ ョンを図 る態度 を育 て る ともに,言語
や文化 に対す る関心 を深 め,国際理解 の基礎 を培 う」 とあ り,一般的 には 「コ ミュニケーシ ョ
ン能力の育成」が英語教育全体のキーワー ドとなった。
(9) 「
市場原理」 に基づいた 「
実用的英語教育推進」 を求める政財界の声 を受 け,当時の小淵首相
21
世紀 日本 の構想懇談会」 は 「
実用 的 な英語教育 の強化」 を提 言 し,中央
の諮問機 関であ る 「
教育審議会や教育課程審議会 は答 申の中 に,いっそ う 「コ ミュニケー シ ョン能力 を重視 した英
実践的 コ ミュニケーシ ョン能
語教育」 を盛 り込み,それ らは新 (
現)学習指導要領 に よって,「
力の育成」 とい う目的で具現化 されてい く。
(
1
0) 中村敬 (
1
9
8
9)『
英語 とは どんな言語 か』三省堂,津 田幸男 (
1
9
9
0)『
英語支配の構造』第三
書館 ,大石
1
9
9
0)『英語 イデオロギーを問 う』開文社出版 ,等 を参照。
俊一 (
(
l
l
) 宇 田川晴義 (
2
01
)『
地球市民へ の入門講座
グローバ ル教育 の可能性』三修社 を参照。
(
1
2) KpCat
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02)『「グローカル化」時代 の言語教育政策』 くろ しお出版
(
1
3) 岡戸 浩子 (
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1
4) Gar
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参照。
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「『
英語 が使 える 日本 人』の育成 のための戦略構想」 と同構想 が進 め る
63
「
英語教員の資質向上のための主要 な施策」の影響 と問題点
(
1
5) 現在筆者が編集委員会 と して参加 してい る三省 堂,高校 英語教 科書 ,「エ クシー ド ・シ リー
ズ」(
2
02年度 よ り使用 開始)で は技 能 の習得 の他 に,「
人 間教 育」 を柱 に立 て,三 つ の観 点
(1.「ことば」 に対す る感性 を磨 く教材 ,2.人間教育 (
人権教育) に資す る教材 ,3.異文
化理解教育 に資す る教材)か らの教材選定 を目指 してい る
。
(
1
6) 森住衛 「
『
英語が使 える 日本人』の育成のための戦略構想 (
行動計画)- その意義 と問題点」
『
桜美林 シナジー』第 2号 2
0
0
4年 1月
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7) Cr
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8) Je
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(
1
9) 鈴木孝夫 (
2
0
01
)『
英語はい らない』(
PHP新書)PHP研究所
(
2
0) 前掲,岡戸浩子 (
2
02)『「グローカル化」時代 の言語教育政策』 くろ しお出版
(
21
) 手塩 順孝 (
2004) 「なぜ言 語 政 策 とい う視 点 で英語教 育 を見 てい く必 要 が あ るので しょう
」
か? 『
多言語社 会がや って きた』河原俊 昭,山本忠行 (
編) くろ しお出版
3
6
頁 -3
7
頁
(
2
2) 唐須教光 (
2
0
01
)『なぜ子 どもに英語なのか』 (
NHK BOOKS) 日本放送出版協会
(
2
3) 大津 由紀雄 (
2
0
01
)「
公立小学校での英語教育一必要性 な し,益 な し,害あ り,よって廃すべ
し 『
小学校 での英語教育 は必要か』4
5
頁 -8
0
頁
」
」『英語教育』(200年,12月号)14頁 -16頁
(
2
4) 松川徳子 「
/
J
、
学校英語教 育の教科化の可能性
(
2
5
) 和 田稔 「
最近 の英語教育 をめ ぐる動 向」2
0
04
年 5月2
2日,天理大学 における奈良県英語検 定
実施委員会での講演 よ り。
(
2
6) 金谷憲,他 (
1
9
9
5)『
英語教 師論 英語教師の能力 ・役割 を科学する』河源社
(
2
7) 池 田真澄 「英語教 員研 修 プ ロ グ ラム ・その全 容 研 修 プ ロ グ ラム の問題 点」『
英 語教 育』
(
2
0
0
3年, 7月号)2
6頁 -2
7
頁
(
2
8) 前掲,森住衛 rF
英語が使 える 日本人』の育成のための戦略構想 (
行動計画)- その意義 と問
」『桜美林 シナジー』第 2号
題点
2
C
O4年 1月
」
(
2
9) 酒井志延 「昨年の研修 ,効果あった ? 『
英語教育』(
2
0
0
4年 ,1
0月号)3
7
頁
」
(
3
0) 中井英民 「怒涛の英語教育界 を生 きる 英語教師の英語力 を検定試験 で測 る!
? 『
英語教育』
(
2
0
0
2
年 ,1
1月号)1
4頁 -1
5
頁