司法書士試験 登記請求権 登記請求権に関する01から08までの記述に対し,○又は×また,その法的性質を次のⅠ,Ⅱ,Ⅲで答えよ。 Ⅰ 物権的登記請求権 Ⅱ 債権的登記請求権 Ⅲ 物権変動的登記請求権 01□□□ A所有の土地がAからBへ,BからCへと順次売買された。所有権の登 ☆2事例② ○ⅠⅡⅢ 記名義が依然としてAにある場合であっても,CはBに対して登記を請求 誰から誰に対する請 することができる。 求かを意識 02□□□ Aが所有していた土地をBが時効により取得し,所有権の移転の登記を Bに所有権はない○Ⅲ 経由しないままCに売却した場合,BはAに対し,所有権の移転の登記を 契約等は存在してい 請求することができる。 ないのでⅡはない 03□□□ A所有の土地がAからBへ,BからCへと順次売却され,それぞれ所有 ☆2事例⑤ ×Ⅲ 権の移転の登記がされ,現在の名義人は,Cである。AからBへの売買が AからBへの契約が 無効であっても,BはCに対し,その登記の抹消を請求することができな 無効ならBからCへ い。 の所有権移転も無効 04□□□ A所有の不動産についてAからB,BからCへと順次所有権の移転の登 ☆2事例④ ○Ⅰ 記がされた場合において,B及びCへの所有権移転の取得原因が無効なと Aは所有権者 きは,AはCに対してその登記の抹消を請求することができる。 ○ⅠⅢ 05□□□ A所有の土地がAからB,BからCに順次売買され,所有権の移転の登 ☆2事例⑥ ○ⅠⅢ 記がされた後,AB間の売買契約が強迫を理由に取り消されたときには, Bに登記がなくても AはBに対し,AからBへの所有権の移転の登記の抹消を請求することが Aは請求できる できる。 06□□□ A所有の土地がAからB,BからCに順次売買され,所有権の移転の登 ☆2事例④⑤ ○Ⅰ 記がされた後,AB間の売買契約が強迫を理由に取り消されたときには, cf.債権者代位権の転 Aは,Cに対し,BからCへの所有権の移転の登記の抹消を請求すること 用例 ができる。 ○Ⅰ 07□□□ A所有の土地について,ABの通謀により,Bへの虚偽の所有権の移転 Cは本当の所有権者 の登記が経由されていたところ,CがAからこの土地を買い受けた場合, cf.事例④⑤ CはBに対し,自己への直接の所有権の移転の登記を請求することができ cf.94条2項の第三者 る。 ○ 08□□□ Aは,その所有する土地をBに売却した場合,Bに対し,所有権の移転 ☆3 の登記を請求することができる。 登記請求権を10分間でマスターする講義 -2- 伊 藤 塾 1 各登記請求権の行使のために検討すべきポイント 検討すべきポイント (Ⅰ)物権的登記請求権 請求権者に物権があること (Ⅱ)債権的登記請求権 求める登記を基礎づける契約等が有効に存在すること (Ⅲ)物権変動的登記請求権 求める登記が物権変動の過程と一致していること(※1) (※1)Ⅰ,Ⅱの両方が存在しない場合にも,Ⅲを選択する。Ⅲの登記請求権は,実体と公示 が一致しない場合に,これを是正する最後の手段としての意味も有する。 2 出題頻度の高い事例の分析 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 登A ○ 登A ○ 登A ○ 所A ○ 所A ○ 所A ○ は,有効な契約(売買など)を表す。 は,契約が無効,又は制限行為能力や強迫を理由に取り消されたことを表す。 ○:該当する ×:該当しない 事 例 ポイントの検討 Ⅰ Ⅱ Ⅲ ⅰ Bは所有者(→Ⅰ○) ⅱ 契約あり(→Ⅱ○) ○ ○ ○ B○ ⅲ 物権変動の過程と一致(→Ⅲ○) 所 ⅰ Cは所有者(→Ⅰ○) ⅱ 契約あり(→Ⅱ○) ○ ○ ○ B C○ 所 ⅲ 物権変動の過程と一致(→Ⅲ○) ⅰ Bは所有者ではない(→Ⅰ×) ⅱ 契約あり(→Ⅱ○) × ○ ○ B C○ 所 ⅲ 物権変動の過程と一致(→Ⅲ○) ⅰ Aは所有者(→Ⅰ○) ⅱ 契約なし(→Ⅱ×) ○ × × B C○ 登 ⅲ 物権変動は生じていない(→Ⅲ×) ⅰ Bは所有者ではない(→Ⅰ×) ⅱ 契約なし(→Ⅱ×) × × ○ B C○ 登 ⅲ 復帰的物権変動がある(→Ⅲ〇) ⅰ Aは所有者(→Ⅰ○) ⅱ 契約なし(→Ⅱ×) ○ × ○ 登 ⅲ 復帰的物権変動がある(→Ⅲ〇) B C○ 3 登記引取請求権 登記義務者が登記権利者に対し,登記への協力を請求する登記引取請求権も認められる (最判昭36.11.24)。 * 登記記録上所有者として表示されている者は固定資産税を負担するので,この負担を登 記義務者から取り除く点に当該請求権の実益がある。 -3- 民 法
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