第6章 セロトニン神経系の重要性

第6章
セロトニン神経系の重要性
片頭痛はミトコンドリアの機能低下による頭痛です。
ミトコンドリアは食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギー
を作り出していて、エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコン
ドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえる
ものなのです。
そして、私達が日中活動している際に常時活動している神経系がセロトニン
神経系です。このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、
ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時に「セロトニン神経系」の働き
まで悪くなってきます。
このように、片頭痛では、生まれつきミトコンドリアの機能低下があること
から、同時にセロトニン神経系の機能まで低下しています。
しかし、これとは別に、これから述べますように生活習慣の問題から”単独
でも”後天的に、セロトニン神経系の機能は低下し、慢性頭痛の発症に関与し
ています。
「セロトニン神経系」は、脳の中
心にある「脳幹」の、さらに中央
に位置する「縫線核」という部分
にあります。そして、大脳皮質や
大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小
脳、脊髄など、あらゆる脳神経系
と結合し、脳の広い範囲に影響を
与えている神経系です。
「脳内セロトニンの働き」としては、大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調
節する、自律神経を調節する、筋肉へ働きかける、痛みの感覚を抑制する、心
のバランスを保つ、といった主な5つの働きがあり、
「セロトニン神経系」は、
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私達が”日常生活を送る際の生命活動”に直結する重要な神経系です。
「セロトニン神経系」とは
「セロトニン神経系」とは、セロトニンを含有し、神経伝達物質として”セロ
トニン”を用いる神経細胞群とその
標的細胞の受容体からなります。
神経伝達物質とは、神経細胞のニ
ューロン間で、信号をやり取りする
ための物質のことです。この細胞の
シナプスからは、特定の神経伝達物
質が放出され、受容体で受け取られ
るという仕組みがあり、この情報伝達が神経へとつながっているのです。
この細胞膜にある特定の受容体は、その器官ごとに受容体が異なっており、
各部位に分布しています。
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セロトニン神経系は、生活習慣の問題により機能が減弱し、その結果、「脳
内セロトニンの不足」が引き起こされてきます。
脳内セロトニンの低下は、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強くあら
われ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずか
な刺激にも敏感に反応してしまい、さまざま
な自覚症状を訴えるようになります。これが、
脳過敏の原因になってきます。
このように、セロトニン神経系とは、「脳内
セロトニン」を神経伝達物質として情報伝達
を行う神経系のことで、脳内セロトニンは神
経終末で合成され放出されます。
セロトニン神経系の働き
セロトニン神経の活動レベルは一日の中で絶えず変化していますが、その活
動が活発であればセロトニンの分泌が多くなり、弱くなれば分泌が少なくなり
ます。
分泌が多ければ、それだけ情報も伝わりやすくなるというわけです。
セロトニン神経が働くのは、おもに覚醒時です。
朝起きてから夜寝るまで、セロトニン神経は休むことなくインパルスを出し
続けています。つまり、起きている間中、セロトニンの分泌は行われています。
そして、睡眠中には、そのインパルス活動が弱くなり、セロトニンはほとん
ど分泌されなくなります。そのため脳内のセロトニンの濃度が下がり、脳全体
を覚醒する作用もなくなります。
セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンと相対する性質があります。
セロトニンは脳の覚醒を促し、メラトニンは睡眠に作用します。
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メラトニンが分泌している間
はセロトニンの分泌は少なく、
逆にセロトニンが多く分泌され
ている間はメラトニンの分泌は
少なくなります。
太陽の光(のような非常に強
い光・明かり)を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップ
し、代わりに脳の覚醒を促すセロトニンの分泌が活発化されるのです。
昼夜逆転の生活をしていたり、日中部屋の中にばかりいると、セロトニンと
メラトニンの分泌のバランスが崩れ、不眠症になったり、片頭痛が起きやすく
してしまうのです。
「脳内セロトニン」の働き
ここで述べる「脳内セロトニン」の働きとは、「神経伝達物質」としての作
用で、生理活性物質としての作用とは異なっています。
1.大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する
2.自律神経を調節する
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3.筋肉へ働きかける
4.痛みの感覚を抑制する
5.心のバランスを保つ
1.大脳皮質を覚醒させ意識のレベルを調節する
セロトニン神経は、大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する役割をし
ています。
大脳皮質には、意識のレベルを調節すると
いう働きがあります。ここに作用しているの
が、セロトニン神経です。
人は眠っている間意識がなくなりますが、
朝起きると覚醒します。
朝起きて、意識がスッキリして爽快な時も
あれば、ぼんやりしている時もあります。
意識と一口にいっても、「スッキリ」「ぼんやり」「イライラ」などさまざま
なレベル、状態があります。
セロトニン神経が作り出しているのは、起きている時の「スッキリ爽快」な
意識の状態です。
2.自律神経を調節する
「ホメオスターシスの三角形」の一角に「自律神経系」があり、この「自律
神経系」を調節する働きをするもので、最も重要な働きをしています。
セロトニン神経は、自律神経を調節する役割を担っています。
自律神経は心臓機能、血圧、代謝、呼吸などを司っており、交感神経と副交
感神経という 2 つの神経によって成り立っています。
交感神経は起きて活動しているときの神経で、副交感神経は眠っているとき
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の神経です。
朝起きると自律神経のバランスが変わり、副交感神経から交感神経にシフト
します。
シフトしたら、片方の神経の活動
が全くゼロになるわけではありませ
ん。
交感神経と副交感神経は、互いに
シーソーのようにバランスを保ちな
がら、強くなったり弱くなったりを
繰り返しています。
セロトニン神経は自律神経に対
し、このシフトがうまくいくよう働
きかけています。
朝起きると、交感神経の方が優位にならなければなりません
そこで、セロトニン神経は交感神経を適度に緊張させ、体をスタンバイ状態
にします。
しかし、この働きがうまくいかなくなると、寝起きが悪くなったり、自律神
経失調症などになる場合があります。
3.筋肉へ働きかける
セロトニン神経は、筋肉へ働きかける役割を担っています。
セロトニン神経は直接体を動かすのではなく、筋肉を緊張させることで、影
響を与えています。セロトニン神経が働きかけるのは、抗重力筋です。抗重力
筋とは、重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のことです。まぶたが開き、
首が立ち、背筋が伸び、歩いたりできるのは、この抗重力筋のおかげです。セ
ロトニン神経が活性化していると、まっすぐな姿勢や生き生きした表情になる
ことができます。反対にセロトニン神経の働きが弱まると、背中が丸まったり
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顔の表情がどんよりしてしまいます。
このため、セロトニンが不足してきますと、「体の歪み」を引き起こしてき
ます。
4.痛みの感覚を抑制します
セロトニン神経は、痛みの感覚を抑制する役割を担っています。
セロトニン神経が活性化されていると、鎮痛効果が現れます。
痛み自体がなくなるのではなく、セロトニン神経の活性化により痛みの感覚
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をコントロールすることで、痛みを感じにくくなります。
反対にセロトニン神経が弱まると、ささいなことで体の痛みを感じるように
なります。
脳内セロトニンが低下すれば、頭痛が出現しやすくなってきます。また片頭
痛におけるアロデイニアと関連しています。
5.心のバランスを保つ
セロトニン神経は、心のバランスを
保つ役割を担っています。
人の心は外側、内側の両方から影響
を受け、絶えず変化しています
嬉しいことがあれば気分も高揚しま
すし、悲しいことがあれば気分が沈み
ます
人の心はそうやってできていますの
で、そういった変化が起こることは決して悪いことではありません。
しかし、その振り幅が大きすぎると問題が生じます。
自分で自分の気持ちがコントロールできなくなり、日常生活に支障をきたし
てしまいます。セロトニン神経は、そういった状態にならないよう心のバラン
スを保ってくれる作用があります。自律神経と同様、セロトニン神経はちょう
どいいバランスをとってくれる効果があるのです。このようにして、ドーパミ
ン、ノルアドレナリン、セロトニンがバランスを取り合っています。これは重
要な点です。
とくに、セロトニン不足は、慢性頭痛とくに緊張型頭痛の発症要因となって
きます。慢性頭痛が慢性化した際に、うつ状態になってきます。
セロトニンの2つの側面
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これまでご覧になられて、セロトニンとか脳内セロトニンとか混同して訳が
わからなくなられている方も多いと思われますので改めて説明しておきます。
セロトニンは”生理活性物質”であり、”神経伝達物質”でもあるのです。
化学構造式から、生理活性物質として考える場合は「インドールアミン」と
呼ばれ、神経伝達物質として考える場合は「モノアミン」と呼ばれる傾向があ
ります。また、その構造式からの名称である 5-ヒドロキシトリプタミンの略字
として 5-HT とも表記されます。
セロトニンは、人体には、10mg 程度存在します。セロトニンの 90 %以上は、
腸(小腸)に存在します。小腸のエンテロクロマフィン細胞(EC 細胞)が産
生して放出したセロトニンを、血小板が、腸の血管内で取り込みます。血小板
(濃染顆粒)には、セロトニンの約8%が存在し、血小板が凝集すると放出さ
れます。消化管のセロトニンは平滑筋を収縮させ消化管運動を亢進させます。
血小板から放出されるセロトニンは血管を収縮させる働きがあります。また、
セロトニンは炎症のときの発痛物質(ブラジキニンなど)による発痛作用(痛
み)を増強させます。血液中のセロトニン(血小板に含まれるセロトニンなど)
は、血液脳関門を通って、脳に移行することはありません。
これが、セロトニンの”生理活性物質”としての役割です。
”生理活性物質”としての「セロトニン」
「片頭痛体質(酸化ストレス・炎症体質)」を
基盤として、ちょっとしたことで(ストレス
など何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂
肪酸」が過剰に発生することによって血小板
が凝集することによって、血小板から血管外
へ「セロトニン」が放出され、血管を収縮さ
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せます。その後、役割を果たした「セロトニン」は減少しやがては枯渇し、今
度は逆に血管は拡張します。
血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が
起きます。さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど
炎症を起こす物質が放出され、血管を刺激して痛みが出てきます。この二つに
よって、片頭痛が起きてきます。
このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、最初
の引き金となる「セロトニン」は”生理活性物質”としての作用です。
セロトニンは、ストレスが高まると、神経終末からの分泌が増加し、セロト
ニンは中枢神経系にも生体内の 2 %程度と少ないですが存在し、「神経伝達物
質」として他の神経伝達物質のドーパミン(喜び、快楽)、ノルアドレナリン
(恐れ、驚き)の情報を制御し、精神を安定させる、重要な働きをしています。
このように神経伝達物質としてのセロトニンは、不安感情、衝動、性行動、
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食欲、体温などを調節を行っていると考えられています。
そして、慢性頭痛とくに片頭痛の発症に重要な位置を占めています。
以上のように、セロトニンといっても、「生理活性物質」としてのセロトニ
ンと「神経伝達物質」としてのセロトニンは厳然と区別されなくてはなりませ
ん。このことを専門家ですら混同される方もおられることは由々しき問題とさ
れなくてはなりません。
それでは、「生理活性物質」としてのセロトニンについてもう少し詳しく見
てみましょう。
セロトニンの大部分は「腸」で作られる
よく腸内環境は大事といわれていますが、その意味の一つとして「セロトニ
ンの生成が行われているから」ということも考えられます。
脳に存在し、精神を安定させる神経伝達物質、セロトニンの 95 %が腸で作
られることが指摘されています。
なぜ大事にしたいかといいますと、常在細菌もトリプトファンからナイアシ
ン(ビタミン B3)をつくってくれるからです。常在細菌がナイアシンをたくさ
んつくってくれれば、その分を体内でつくる必要がなくなって、脳内セロトニ
ン用の材料となるトリプトファンを余分に確保できるのです。
脳と腸は神経でつながっているので脳にしかないと思われているセロトニン
は腸にも存在します。
腸の状態が悪いとセロトニンもスムーズに分泌されないことが判明していま
す。便秘や暴飲暴食による腸の疲労状態を改善することが、幸せかどうかを感
じることに大きく関係しています。
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腸の疲労状態を改善することが、幸せかどうかを感じることに大きく関係し
ています。
しかし、腸で作られたセロトニンが「脳関門」を通過できるのか? という
疑問が当然湧いてきます。
腸で生成されたセロトニンは、果たしてきちんと脳へと送り届けられるので
しょうか?
中枢神経系においては、セロトニンそのものは血液脳関門を通過できないた
め脳内で合成されなければなりません。基本的に脳で使われるセロトニンは、
脳内で合成されます。
セロトニンのほとんどは腸で作られますが、脳のセロトニンは脳内で作られ、
また腸のセロトニンは脳の中に入れません。
ということは、腸のセロトニンと脳のセロトニン別物として考えなくてはな
りません。
それでは「腸」でセロトニン増やしても無意味ないのではないか、というこ
とになります。
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脳に作用できないのであれば精
神安定に対して有効に作用できな
いのでは?ということになります
が、答えはどうなのでしょうか。
腸の神経細胞は、独立したネッ
トワークで他の消化管と協調して
働いているととともに、他の臓器
にも直接司令を出す重要な器官で、
脳と同様に自律神経回路によって、
神経細胞と神経細胞の間に神経伝
達物質を飛ばしながら情報を伝達
しています。
つまり、腸は脳とは別に全身の自律神経を管理しているということになりま
す。
脳と腸、両者が全身の神経を管理し合っているということです。
ホルモンのように(”生理活性物質”として)働き、消化器系や気分、睡眠覚
醒周期、心血管系、痛みの認知、食欲などを制御しています。
セロトニンは、脳内だけではなく、”生理活性物質”として、様々な体内機能
に関与していることが分かっています。
例えば、下痢や便秘などの大腸の不調は、自律神経を介して脳のストレスに
なります。
つまり、ストレスの悪循環がおきやすいのです。
セロトニン云々関係なく、腸の状態は脳に反映されやすいので、腸内環境の
良し悪しは情緒の安定に必要不可欠なのです。
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以上、お分かり頂けたでしょうか?
月経周期とセロトニン
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Diksic らによれば、健常男性は女性より約 52%脳内セロトニンを産生する能
力が高く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女
性では脳内セロトニン合成が男性の 4 倍減少する、と言われています。
(Diksic M. et al.,94: 5308-5313, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1997)
月経周期と片頭痛の関連は 1970 年代に報告され、特に性ホルモンとして知
られるエストロゲンの血中濃度の変化と深く関係していることが示唆されまし
た(Somerville, 1971)。エストロゲンはセロトニン合成を促進し、セロトニン
は血管収縮を引き起こすことから、排卵や月経に伴うエストロゲン血中濃度の
急激な低下がセロトニン濃度の低下、ひいては脳血管の拡張を引き起こすとい
う仮説が提唱さ
れました。また、
卵巣切除ラット
を用いた実験で
は、エストロゲ
ンを補充してや
ることでセロト
ニン放出を増加、
あるいは血管径
を収縮させることが出来ることが示され(Pardutz et al., 2002; Mehrotra et al.,
2007)、性ホルモンであるエストロゲンがセロトニンを介し脳血管径に影響を
与え、月経周期に同期した片頭痛発作を誘発している可能性が示唆されました。
セロトニン神経の起始核である縫線核にはエストロゲンの受容体が豊富であ
り、性周期に伴う気分の変動についても、エストロゲン濃度の変動が影響して
いることが考えられます。
このため、片頭痛は男性より女性に多い頭痛なのです。
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そして、季節的に、春は、脳内のセロトニンの変動が大きく、ほぼすべての
片頭痛の方々が一番苦手とする季節であるという事実があります。
脳内のセロトニンがイライラを解消する
脳内のセロトニン(セロトニン神経)は脳の中心(縫線核)にあり、その数
は数万個と非常に少ないのですが、一個の神経が数万にも枝分かれして脳に広
く分布し、あらゆる脳神経系と結合していますので、脳の広い範囲に影響を与
えるのです。
セロトニン神経は目覚めとともに活発化する交感神経に作用し、目覚めてか
らアクティブな行動をするために体を適度な、スタンバイ状態・にする働きが
あります。また、心の面ではさわやかな目覚めや平常心を保つ働きがあります。
脳神経の伝達回路には、セロトニン神経以外にも、快感や陶酔感を増幅する
「ドーパミン神経」や、さまざまなストレスによって覚醒反応を引き起こす「ノ
ルアドレナリン神経」があります。セロトニン神経はこの2つの神経に対して
抑制作用があり、興奮と不安状態を解消し、心の状態を中庸に保つ作用があり
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ます。したがって、セロトニンの働きが弱くなると、不安やイライラが強くな
るというわけです。
脳内のセロトニンは、ビタミンB6の作用により、トリプトファンというア
ミノ酸を原料として作られます。女性は男性より約3分の2と、脳内セロトニ
ンを合成する能力が低く、原料となるトリプトファンが欠乏すると脳内セロト
ニンの合成が男性の4分の1に減少するといわれています。脳内のセロトニン
を増やすには、トリプトファンをいかに脳内(縫線核)に取り込むかが重要と
なってくるわけです。
ところが、セロトニンが増加するとそれを抑制する作用が働きます。増えた
セロトニンを元の状態にまで減少させようとするのです。この働きを「オート
レセプター」といいます。ですから、もしセロトニンを高める何らかの方法を
実践したとしても、反対の作用も働くため、すぐに効果があらわれることはあ
りませんし、むしろマイナスに作用することもあります。こうしたことから、
セロトニン神経の活動レベルを高く維持すること(改善)は、簡単なことでは
ないのです。
しかし、オートレセプターを繰り返し刺激し続けることによって、セロトニ
ン神経の活性を高めることは可能です。オートレセプターが変化するには1~
2ヵ月を必要としますから、改善は気長に継続することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群もセロトニン不足から
‥
睡眠中に気道がふさがることから起こる
睡眠時無呼吸症候群。じつはこの原因にも
セロトニン不足がかかわっていると考えら
れます。
セロトニンは寝ているあいたにはあまり
働くことがなく、おもに昼間に活動します。
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とはいえ、睡眠とも深いかかわりがあります。
セロトニンを分泌する縫線核は、呼吸中枢にセロトニンを送って呼吸量を調
整しています。縫線核は毛細血管中にセンサーを持っていて、血液中の酸素量
などをチェックしているのです。体内の酸素量が不足したときにはセロトニン
の分泌量を増やし、呼吸中枢を刺激します。
したがって、セロトニンが不足すると中枢神経を充分に刺激できなくなりま
す。そうなると酸素不足のままか、より不足した状態におかれることになりま
すので、息苦しくて睡眠が何度も中断し、熟睡できないことになります。
睡眠サイクルにはレム睡眠(夢を見る時期)とノンレム睡眠(深い眠り)が
あります。
セロトニンは一日中分泌されていますが、睡眠中はセロトニン神経の活動は
弱くなっていて、深い眠りを演出し、朝方になるとセロトニン分泌量が増え、
覚醒するというリズムがあります。
しかし、セロトニンが眠りを深く保てるのは、十分なセロトニン量があると
いうことが前提です。つまり、人は眠りについてすぐ、ノンレム睡眠が表れま
すが、セロトニン不足の人たちはいつまでも寝付けず、深い眠りができないの
はこのためです。
呼吸時の気道支える筋肉は、覚醒時(起きている時)はセロトニン神経を介
して制御されています。
呼吸は一種のリズム運動と考えることが出来、リズムを意識して呼吸をする
ことで、セロトニン神経を活性化させることが出来ると考えられます。
セロトニンと呼吸の関係を意識的に利用する『セロトニン呼吸法』というも
のもあります。
しかし、睡眠中はセロトニン神経の働きが抑制されることから、気道閉塞を
起こしやすくなります。
これが睡眠時無呼吸症候群(SAS)と言う睡眠障害の原因の一つです。
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セロトニン神経の活動は睡眠中に弱くなり、深い眠りを演出します。朝方に
なるとセトニンも増えるのです。
セロトニンは朝日を浴びることにより活性化され、日光を浴びてから 14 ~ 15
時間後にメラトニンが活性化を始めます。このことから、セロトニンは午前6
時~午後6時、メラトニンは午後6時~午前6時(分泌のピークはO時~2時)
に活躍するホルモンといわれています。
生活のリズムが乱れ、生体時計が適正にセットできなくなると、これらのホ
ルモンを分泌する規則性が失われ、セロトニンやメラトニンの不足を引き起こ
す原因となります。
片頭痛体質改善のためには、規則正しい生活のリズムを心掛けることが大切
なのです。
低体温症もセロトニンが原因?
集中力が落ちたり、摂食障害を起こしたり、糖尿病の原因となる低体温症や
肥満にも、セロトニン不足が関係しています。
一日の体温の変化は、朝起きると筋肉や神経の働きを高めるために体温は
高くなり始め、夜に向け体温は上昇していきます。
そして、就寝前に最も体温は高くなり、就寝後の体温は急激に低下し、目覚
めまで緩やかに低下していきます。
この一日の体温の変化はセロトニンの分泌量の一日の変化とほぼ一致してい
るのです。
体温をコントロールしている温熱中枢はセロトニンの刺激により作動してい
ます。
脳中枢(縫線核)でセロトニンは産生され、そこに血液の温度変化を感知
するセンサーがあります。
そして、その感知した情報を温熱中枢に伝えるのがセロトニンの役割です。
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ところが、セロトニンが不足していると温熱中枢へ体温が下がっていても正
しく情報が伝わりませんので、一日中体温は低く(低体温症)、冷え性にもな
りやすく、体の機能をいつまでも活発化する事ができなくなるのです。
体を温めても、いつまでも体が温まってこないのはセロトニンが不足してい
るからなのです。
縫線核はセロトニンの産生とともに、血液の温度センサーとしての働きがあ
ります。
セロトニンが少ないと血液の温度を感知しても体温を調整する温熱中枢に充
分な刺激を与えられず、温熱中枢を活性化できなくなります。そのため、セロ
トニンが少ない人は1日中体温が低いままで冷え性になりやすく、体の機能を
いつまでも活性化できないことになります。
人間の体は、暑い時には汗をかいて体温を下げようとしたり、寒い時には毛
穴を閉じて体温を奪われないようにしています。
これは自律神経による体温調節の働きですが、セロトニン神経はこの自律神
経に影響を与える役割を持っています。
現代社会では、冷房や暖房の普及により室内では一年中快適な気温で生活で
きるようになりました。
しかし、これは自律神経にとってはあまりよくない状態で、自律神経はある
程度暑さや寒さの刺激があるほうが活性化します。
空調で気温が保たれるようになると、かえって体温調節がうまく働かなくな
ってしまいます。
体温は自律神経のバランスによって変化しています。
寝ている時やリラックスしている時は副交感神経が、起きている時には交感
神経が優位になりますが、そのバランスを取ってくれているのがセロトニン神
経です。
冷え性は自律神経のバランスが崩れていることが原因の可能性が大いにあり
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ます。
私の知っている片頭痛の人のほぼ全員が低体温症です。セロトニン不足の影
響が大きいと見ています。
~“安らぎ”と“満腹感”の深い関係「セロトニン」~
セロトニンは、脳内の様々な神経伝達物質に作用して「精神を安定させる」
役割を持っていて、鬱病や神経症などの治療に使われることで知られています
が、実は「満腹感」を感じさせ、食欲を抑制する作用も持っているのです。強
いストレスを感じたりイライラする時に甘いものや肉類などを食べたくなった
経験はありませんか?セロトニンは、精神安定作用と食欲コントロール作用を
合わせ持っているので、不足すると「精神的不安定」と「食べたい!」という
欲求がよく連動して現れます。特に甘いものや肉類を食べると一時的にセロト
ニン分泌が増え、一時的でも気持ちが落ち着くのでこうしたものへの欲求が強
くなると言われています。
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実は女性は男性に比べて元々セロトニンの脳内合成が少ないので、ストレス
を感じるような状況におかれると、セロトニンが枯渇状態になって、情緒不安
定になったり甘いものを中心とした過食へと走る行動が男性よりも強く出る傾
向があります(ですから女性はケーキが大好きなんです!)。その上「月経前
の体調不良期(PMS 期)」には、セロトニンの受け取りを阻害する物質が出る
ため、更にその傾向が顕著になるとも言われています。
こうした情緒不安定&食欲亢進状態を落ち着かせて、食べ過ぎを防ぐために
はセロトニン分泌を増やして食欲を抑制することが効果的なのですが、甘いも
のや高カロリーの肉類を食べることで一時的にしのいでいたのでは結局は過食
となり肥満を招いてしまいます。そうしたものを食べることではなく、日常的
な行動でセロトニン分泌増加に効果的、と言われていることを行う必要があり
ます。食べることで気を紛らわせるのではなく、十分に休息し、ストレス解消
&気分転換を上手に行って気持ちを安定・リラックスさせることがセロトニン
分泌増加につながり、過食を防ぐことになるのです。食欲を上手にコントロー
ルするためには気持ちが安定し、充実していることも大切なのです。
また、セロトニンが不足すると食後の満足感を得ることができませんので、
常に食欲が旺盛な状態となり、食べることにブレーキが利かなくなります。さ
らに血糖のエネルギーヘの代謝までもが阻害されますから、肥満や糖尿病にな
りやすくなるのです。
逆に、脳内のセロトニンが充分にあれば、食後に満足感や充実感を得られま
すから、肥満は解消していくことになります。さらに、セロトニンが増すこと
によって各組織の機能が活発になるため、基礎代謝が上がり、脂肪を効率よく
燃焼させることができるようになります。
一見すると痩せているように見えても、セロトニンが不足していると、内臓
脂肪がたっぷりついてしまうことが起こり得ます。痩せ型で間食が我慢できず、
内臓脂肪率が高く、高脂血症や高コレステロール血症という人は、セロトニン
不足が原因かもしれません。
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また、姿勢の悪い人や正しい姿勢を続けられない人も、脊髄を通って背中や
背筋の筋肉を刺激するセロトニンが不足している可能性があります。さらに、
消化管の嬬動運動などを活発化する働きもセロトニンにはあることから、片頭
痛の人は同時に便秘症であることが多くなります。
片頭痛とアロデイニア
「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になり、本来は痛くない刺激を痛み
と感じるアロディニア(異痛症)があります。
片頭痛患者が示す症状の中には、顔に風が当たると痛い、メガネやイヤリン
グが不快、髪を結んでいるのがつらい、くしやブラシが痛くて使えないといっ
たものがありますが、これらは頭部アロディニアと呼ばれています。さらに脳
が過敏になると、頭部だけではなく、手足のしびれや腕時計、ベルトが不快に
なることもあり、これらは頭蓋外アロディニアに分類されます。
日本では片頭痛の患者さんの 60 ~ 80%ぐらいが、アロディニアを伴うとい
われていますが、発症 5 年以上経たないと、アロディニアは出てこないことが
多いようです。
頭部アロディニア
顔に風が当たると痛い
髪の毛がピリピリする
髪の毛を結んでいるのが辛い
ブラシやくしが痛くて使えない
眼鏡、イヤリングが不快
痛い側が枕に当たると寝ていられない
頭蓋外アロディニア
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手足のしびれ感
ピリピリ感
腕時計が不快
ベルトがきつい
布団や毛布が体に触れると不快
顔の知覚を脳に伝える三叉神経が片頭痛によって刺激されると、顔や頭皮な
ど頭部の末梢が過敏に知覚して頭部アロディニアが起こります。この末梢感作
を通過して、片頭痛の情報が視床(中枢神経)に到達すると、感覚神経の痛覚
需要の領域が拡大し、頭痛側と反対側の上肢を中心とした違和感が生じてきま
す。これが頭蓋外アロディニアです。
片頭痛患者の約7割に認められるという
アロディニアですが、アロディニアが形成
されると、トリプタン製剤は効きにくくな
ると言われています。
Burstein による報告では、アロディニアの
有無でトリプタン服薬2時間後の頭痛消失
率を比べたところ、アロディニアがない患者では 93 %と極めて高い頭痛消失
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率が認められました。一方で、アロディニアのある患者の頭痛消失率は 15 %
であり、顕著な差が認められました。
片頭痛発症 20 分以内にはアロディニアの出現はないとされているため、ア
ロディニア発現前の早期の段階でトリプタン製剤を服用することが勧められま
す。アロディニアがある患者においては、服薬タイミングが重要であるされて
います。
このアロディニア症(異痛症)は、「脳内セロトニンが減少している」ため
”痛みを抑制する事が出来ず”に容易に痛みが出現しやすくなるということを
意味しています。
臨床的には中枢性感作が成立したことを示す徴候として重視されています。
片頭痛患者の 50 ~ 80%にアロディニア症が認められると報告されています。
また、頭頸部にアロディニア症が認められる場合は三叉神経脊髄路核レベル
で、上肢などの頭頸部以外の部位でアロディニア症が観察された場合は視床レ
ベルでそれぞれ感作が成立したと考えられています。これまで片頭痛患者のア
ロディニア症発生に関連する因子が検討されたり、慢性片頭痛ではアロディニ
ア症の程度が強いといったデータは既に報告されており、アロディニア症が片
頭痛の病態にとって重要な徴候であることは多くの研究結果によって支持され
ています。結局のところ片頭痛慢性化の重要な予知因子と考えられ、「セロト
ニン神経系の働きの悪さ」が示唆され、この面での対策が重要になってきます。
一昨年7月 20 日に行われた「Headache Master School Japan (HMSJ) -Osaka」
のなかで 柴田護(慶應義塾大学 神経内科)先生が「片頭痛の anatomy」を講
演され、アロデイニアの発生機序を解剖学的に提示され、まさしく「セロトニ
ン神経系」の解剖そのものであることを明らかにされました。ただ、残念なが
ら、ここでお示しすることは学会事務局から禁止されており、残念な限りです。
こうした点は、片頭痛そのものと「セロトニン神経系」の関与を証明してい
るものと言えます。
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このアロディニア症(異痛症)は、「脳内セロトニンが減少している」ため
”痛みを抑制することが出来ず”に容易に痛みが出現しやすくなるということ
です。
逆に考えれば、アロデイニアがあるということは「脳内セロトニン低下」を
意味します。
こういったことから、アロデイニアが出現してくる以前の段階で対処しなく
てはなりません。このように先手、先手と対処しなくてはならないということ
です。
ということは片頭痛は、あくまでも予防すべき頭痛であるということです。
このようにセロトニン神経系は、慢性頭痛全般に関与し、とくに片頭痛の共
存症とされる疾患を理解するために重要な役割を果たしています。
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「脳内セロトニン」を低下させる要因
(1)「セロトニン神経系」はどうして衰えてしまうのでしょうか?
「セロトニン神経」には、歩行、呼吸、
咀嚼などの基本的なリズム運動によって活
性化されるという特性があります。毎日の
生活の中で、こうしたリズム運動を自然に
繰り返していれば、セロトニン神経は正常
レベルに保たれます。したがって、こうし
た運動を極端に抑えた生活を継続すること
は、セロトニン神経の減弱を招きます。例
えば以下のような生活習慣には要注意です。
日光を浴びることが少ない
朝は出かける直前まで寝ている
昼夜逆転生活になっている
固いものをあまり食べない
階段を使わずエレベーターやエスカレーターを使う
30 分以上続けて歩くことができない
運動不足である
デスクワークが多い
朝食をとらない
ごはんやパンなどの炭水化物をあまり食べない
魚より肉をよく食べる
ダイエットのため食事制限をしている
また、加齢による身体機能の衰えも運動不足に繋がります。セロトニン神経
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の活性には太陽の光も影響しますから、インドア指向の最近の子供たちの生活、
とくに連日、息をつめてゲームをやり続けるという習慣などは、セロトニン神
経が減弱しやすくなるのです。
そして、以下のような要因によって、脳内セロトニンは低下してきます。
ストレスによる影響
疲れなどで、体に乳酸が溜まったとき
基礎代謝が低いことや、生活のリズムが乱れ自律神経が乱れること
生理周期との関連
食事はバランスが大事で、偏食が原因になります
運動不足
(2)ストレス・・
ストレスを受けると、脳にある視床下
部がそれを感知し、副腎から副腎髄質ホ
ルモン(カテコールアミン)と副腎皮質ホ
ルモン(コルチゾールなど)の分泌を促し
ます。また間脳の橋の青斑核にあるノル
アドレナリン神経からはノルアドレナリ
ンが、交換神経末端からはアドレナリン
が分泌されます。
さらに、ストレスが続くと交感神経が
過敏となり、アドレナリンやノルアドレ
ナリンの分泌が高まります。セロトニンは過剰に分泌されたこれらのホルモン
を抑制して、自律神経のバランスを整える働きも担っています。人間の感情の
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基本は、"快"と"不快"です。快を感じた時にはドーパミンが分泌され、不快を
感じた時にはノルアドレナリンが分泌されます。どちらにしても過剰の分泌は
問題ですので、この時、セロトニンが働いて過剰分泌にブレーキをかけます。
脳の中で”快・不快”を感じるのは
大脳辺縁系といわれる場所です。辺縁
系には記憶の中枢である「海馬」や、
情動を感じる「扁桃体」があります。
扁桃体の刺激は視床下部という場所
に伝わり脳内に色々なホルモン物質が
出て自律神経を刺激します。幸せな気
分はセロトニンやエンドルフィンが放出され、不快や恐怖ではアドレナリンや
ノルアドレナリンが放出され交感神経の働きを強めます。
嫌なことを経験しますと、海馬が”嫌な記憶”を扁桃体に伝えます。扁桃体
では不快・恐怖・緊張といった反応が起こり、この刺激は視床下部に伝わりア
ドレナリンやノルアドレナリンが放出されます。アドレナリンは血管を収縮さ
せますから肩や頸の筋肉の血流が減って筋肉の栄養が不足し、筋肉でできた老
廃物を外へ運び出せなくなります。このため筋肉が凝ってしまうのです。これ
により、肩こりが起こり、緊張性頭痛が引き起こされます。
このようにして、体がストレスを受けると、
最終的にストレスの影響を緩和するために副
腎皮質ホルモンが分泌されます。
副腎皮質ホルモンはセロトニンが神経細胞
を伝わっていく時にセロトニン回収口を塞い
でしまいます(脳内セロトニンは生成量が少ないので、8割程度は回収しなが
ら溜まりを作り、一部だけを神経の伝達に使う仕組みになっています)
。
副腎皮質ホルモンが回収口を塞ぐと、一時的に神経伝達に使われるセロトニ
ンは増えるのですが、ストレスが長く続くと貯まりが少なくなって、セロトニ
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ン不足を起こすことになります。
このようなことが繰り返し起きます
と、セロトニンの再回収口は完全に機能
を失い、慢性的なセロトニン不足を招き
ます。
縫線核に細胞体を持つセロトニン神経
系(セロトニンが神経伝達物質)は脊髄
後角でシナプス接続して、痛みを抑制し
ます。
以上のことから、慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロト
ニン不足」を来すことによって、痛みを制御ができなくなって、頭痛を感じや
すくなります。
(3)疲労
乳酸とセロトニン
疲労状態の時、体内には乳酸が蓄積しています。セロトニンの分泌を妨げる
のが疲労です。乳酸はセロトニンの分泌を抑制します。
セロトニン神経が神経末端からセロト
ニンをシプナス間隔に放出しますと、そ
れは標的細胞のセロトニン受容体に作用
して、興奮や抑制を起こします。余った
セロトニンは、再利用ために、放出側の
神経端末に再取り込みされます。その運
搬役がセロトニン・トランスポーターです。
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この運搬役の働きは、乳酸によって促進されます。再利用のためにせっせと
リサイクル機能を高めてくれるわけで、このこと自体はけっして悪いことでは
ありません。ところが、再取り込みだけが、必要量を上回るほど進んでしまう
と問題です。セロトニン放出が標的細胞に十分な影響を与えることなく、直ち
にもとの神経端末に戻ってしまいます。セロトニン神経のインパルス発射およ
び放出はたとえ正常でも、再取り込みが進みすぎるために、標的細胞には十分
に届かないことになります。
これでは、セロトニンが貯蔵庫に蓄えられるだけで、有効に活用されないこ
とになります。セロトニンのデフレ状態です。
活発化したトランスポーターは必要以上にセロトニ
ンを取り込んでしまい受容体と結びつく量を減らして
しまうのでセロトニンは役割を果たすことができず、
身体はセロトニン不足と同じ状態になってしまいま
す。
心身の疲労により生産された乳酸が血液に蓄積する
と、脳をはじめ身体の機能が低下してきます。
こうしたことから、「疲労はセロトニン神経の大敵」とされています。
<乳酸と疲労>
疲労を感じるのは、脳の特定の神経回路が関係しています。運動したり激し
く活動すると、筋肉中に乳酸という疲労物質が溜まり、疲労物質が体内に増え
た状態であると、疲れや倦怠感の原因となります。疲労による倦怠感は、この
ような体内に蓄積する乳酸の影響である事が多く、乳酸の量を減らす事で疲れ
をとる事ができ、倦怠感も無くなります。乳酸は、入浴によって血液の循環を
促すことで、血中の乳酸が老廃物として回収されて、浄化されるためとされて
います。
筋肉や血中に乳酸が溜まるほかに、セロトニンという物質も疲れによる倦怠
- 31 -
感や、だるさに影響するとされています。激しい運動をすると、乳酸が増加す
るのに対し、セロトニンが減少することが解明されています。セロトニンは、
自律神経の交感神経と副交感神経の働きを制御していると考えられており、セ
ロトニンは減少する事で2つの自律神経がバランスが崩れます。この為、交感
神経が活性化していると、緊張状態が続く事になります。
緊張した状態が続
いて副交感神経に切り替わりにくくなると疲労して倦怠感が引き起こされ、身
体はだるくなって、冷えや肩こり、また腰痛や頭痛といった症状を招きます。
疲労とは、必ずしも肉体的なものでは無く、頭脳労働や精神的な心労も含むと
考えます。したがって、運動していないのに体がだるい時は乳酸と全く無関係
とはいえません。
「乳酸」は疲労物質 !?
乳酸は、実は疲労を引き起こす物質ではなく、むしろ疲労を緩和させるため
に現れる物質だということが分かっています。確かに激しい運動や重労働の後
に体がへとへとになり、腕を上げたり歩いたりすることができなかったりした
とき、筋肉中には乳酸が溜まっているのは事実です。
筋肉を動かすとき、人の身体は酸素を燃やすことでエネルギーを作り出し、
そのエネルギーを使います。しかし、その運動が激しすぎると体への酸素の供
給が追い付かなくなります。「乳酸が溜まった筋肉はうまく収縮できないため
痛みや炎症が起こる」と、長い間誤解されていたのです。無酸素運動を続ける
と血液中に乳酸が増えるのは事実ですが、この乳酸のせいで疲労するわけでは
ありません。むしろ乳酸は、“細胞の疲労を保護する”働きがあり、疲労を回
復させるためのエネルギーとして使われているのです。
実際の疲労の原因は、「脳内セロトニン」の不足と、「血中還元型コエンザイ
ム Q10」の不足なのです。
実は乳酸は疲労回復する
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疲労は乳酸の蓄積によるものと言われていますが、実は今では乳酸はむしろ
筋肉の疲労を抑えて脳神経活動のエネルギー源となる疲労回復物質だという見
解があります。
冤罪の乳酸に代わり、疲労の真犯人と見なされているのは「活性酸素」です。
ヒトは呼吸し酸素を炭酸ガスに変える経路で、食事由来の糖からエネルギーを
生み出しています。
その過程で毒性の強い活性酸素が産生されますが、普通
は抗酸化システムが速やかに
始末しますので問題にはなり
ません。ところが、身体活動
や脳の酷使が過ぎますと大量
の活性酸素を処理し切れなく
なり、細胞や神経細胞がキズ
つきます。その結果、エネル
ギー代謝や中枢神経系に異常
が生じます。さらに細胞の損
傷が引き金となり、脳に疲労を伝える「TGFβ」という物質が増加します。
気分や判断力に関係する神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンの代謝
に異常が生じ、脳が「疲れた」と感じるのではないか、と推測されています。
疲れの原因物質
TGF-β
肩こりは、筋肉がこわばっている状態を言いますが、この状態の時は血管が
圧迫されている状態で、すなわち血行が悪くなっています。血行が悪いと、酸
素不足を起こしています。この時、筋繊維の細胞は、グリコーゲンからエネル
ギーを作る時に通常なら、2%の活性酸素を発生するところ、酸素不足の状態
だと5~10%もの活性酸素を発生します。この為、細胞がダメージを受けや
すく、細胞修復のためにTGFーβなどの免疫物質が出されます。この為、疲
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れを感じます。
疲れの原因物質は、TGF―βなどの免疫物質
筋繊維中の細胞では、グリコーゲンがエネルギーに変えられ、その過程で酸
素を作り出しています。しかしそれと同時に活性酸素も作られ、これが細胞に
ダメージを与えます。
このダメージを修復するために免疫細胞は、多くの免
疫細胞を集める合図を出します。この合図がTGF-βなどの免疫物質で、こ
の合図によって免疫細胞が集まり傷ついた細胞を修復します。TGF-βなど
の免疫物質は、傷を修復している間中出続けます。
しかし、TGF-βなどの免疫物質が疲れの原因物質と言われるのは、合図を
するだけでなく、脳に影響するところにあります。特に自律神経中枢に影響を
及ぼし機能を低下させます。自律神経の機能は、血圧や体温、睡眠、日内リズ
ムを調節する働きをしています。このため、TGF-βなどの影響を受けると
これらの副交感神経系のリズムが崩れ体調の異常が起こります。
脳の自律神経中枢へTGF-βなどが送られる経路は、血流によってあるい
は、末梢神経の神経伝達により脳で感知されると考えられています。TGF-
βは、代謝によって消えるので、血行を良くすることが疲れを解消することに
もなります。
疲労の見張り番とセロトニンの効果
脳には、疲れの見張り番がいて、丁度目の奥、眉間の奥辺りの脳幹にありま
す。これが疲れを感知すると、脳幹に脳を休ませるよう命令します。脳幹の縫
線核は脳のあちこちにセロトニンを出し、脳をリフレッシュさせます。
しかし、セロトニンは合成量に限界があるため、やがて疲れを感じてもセロ
トニンが出なくなります。疲れていても休ませることができずに脳が働き通し
になり疲労が解消できません。
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また、TGF-βは、セロトニンを阻害する物質でもあります。疲労状態
が続けば、脳をリフレッシュするセロトニンも阻害され、余計に疲労解消がで
きないことになります。
(4)基礎代謝が低いことや、生活のリズムが乱れ自律神経が乱れること
一般的に朝起きると筋肉や神経の働きを高める
ために体温は高くなり、夜に向けて体温は上昇し、
就寝前にもっとも高くなって就寝後に体温は低下
を始めます。この変化は、セロトニンの分泌量変
化とほぼ一致しています。
縫線核はセロトニンの産生とともに、血液の温
度センサーとしての働きがあります。
セロトニンが少ないと血液の温度を感知しても
体温を調整する温熱中枢に充分な刺激を与えられ
ず、温熱中枢を活性化できなくなります。そのため、セロトニンが少ない人は
1日中体温が低いままで冷え性になりやすく、体の機能をいつまでも活性化で
きないことになります。
また、セロトニンが不足すると食後の満足感を得ることができませんので、
常に食欲が旺盛な状態となり、食べることにブレーキが利かなくなります。さ
らに血糖のエネルギーヘの代謝までもが阻害されますから、肥満や糖尿病にな
りやすくなるのです。
逆に、脳内のセロトニンが充分にあれば、食後に満足感や充実感を得られま
すから、肥満は解消していくことになります。さらに、セロトニンが増すこと
によって各組織の機能が活発になるため、基礎代謝が上がり、脂肪を効率よく
燃焼させることができるようになります。
一見すると痩せているように見えても、セロトニンが不足していると、内臓
脂肪がたっぷりついてしまうことが起こり得ます。
- 35 -
慢性的にセロトニンが不足すると、基礎代謝が低下して、脂肪が蓄積しやす
くなるとも言われています。
これはセロトニン不足が体温低下の原因である事と関連しています。
体温が 1 ℃下がると基礎代謝は 12 %減少するからです。
慢性的なストレスを受けていると、ストレスホルモンのコルチゾール が慢
性的に高い状態になってしまい、セロトニン不足を招いたり、 数々の悪影響
を通して脂肪蓄積に結びついてしまいます。
基礎代謝を上げたいのならば、自律神経の乱れに気をつけましょう!
自律神経が乱れて、朝方に副交感神経が活発なままだと体温が上がりません。
体温が上がらなければ基礎代謝が下がりますので、自律神経を整えて基礎代謝
を上げる事を心掛けましょう!
近年の研究で「なぜ太るのか?なぜ痩せられないのか?」という問題に対し
て、脳の問題が大きく関わっている事が分かってきました。
その鍵となるのが「セロトニン」という物質です。セロトニンは、交感神経
のバランスコントロールする神経伝達物質です。
セロトニンは、映画を観て感動したり、恋人が出来たりして満ち足りた気分
になると、脳内に分泌される神経伝達物質(ホルモン)で、精神を安定させて脳
を元気にする働きがあります。
ダイエットをするにあたって、基礎代謝を下げないようにする為には、寝起
きの悪さを改善して基礎代謝を上げる事を心がける事が必要になります。
何故?寝起きが悪いのでしょうか?
結論から言いますと、自律神経が関係しています。寝起きが悪いという方は
自律神経が乱れている可能性があります。
自律神経とは、自分の意思ではコントロール出来ない自動的に働く神経の事
を言います。そして自律神経は更に2種類の神経に分類されます。
1 つめは活動を司る交感神経、2 つめは休息を司る副交感神経です。
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睡眠は副交感神経が密接に関係しています。もし、睡眠を心掛けようと意思
を働かせても、眠れないのは休息を司る副交感神経が上手く働いていないから
なのです。
自律神経とは交感神経と副交感神経がバランスよく入れ替わる事で、人間の
身体の恒常性を保っています。
そして、なんらかの要因でこの自律神経に乱れが生じると交感神経と副交感
神経がバランスよく入れ替わる事が出来なくなります。
眠りたくても、眠れないのは交感神経が副交感神経と上手く入れ替わって
いないからです。そして、寝起きが悪いのは副交感神経と交感神経が上手く切
り替わってはいないからです。
副交感神経が働いている時は、交感神経が働いている時よりも体温が下がり
ます。
体温が低ければ、基礎代謝も下がりますので、起床したら体温を上げなけれ
ばなりません。
その為にも、自律神経の乱れを防ぐ事が必要になります。
基礎代謝を上げる為には、朝方の生活を心掛けましょう!
自律神経のバランスをコントロールしているのは、セロトニンという神経伝
達物質が深く関わっています。このセロトニンが少なくなると自律神経のバラ
ンスが崩れる要因になります。
セロトニン不足を防ぐ事が基礎代謝を下げないようにする事にも関係してき
ます。セロトニン不足を防ぐ為には朝日を浴びる事が効果的です。
また、朝日を浴びる事によって、メラトニンというホルモンの分泌をストッ
プさせます。
このメラトニンというホルモンは「天然の睡眠薬」と呼ばれて
います。
朝日を浴びる事によって、メラトニンの分泌をストップさせて、その時から
約 14 時間後に再分泌され、分泌開始から 2 時間後がピークになります。
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ですので、基礎代謝を下げない為にする事として、自律神経を乱れを防ぐセ
ロトニン不足を避ける為に朝日を浴びる事。それを効率よく行う為にもメラト
ニンの分泌を正常に働かせる事が大切になります。
以上を心掛ける事によって、自律神経がバランスよく働き、寝起きでもスグ
に交感神経が活発化して、体温が上がります。
体温が上がれば、基礎代謝も上ります。
(5)生理周期
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホル
モン)は、月経周期でその分泌量は大きく変わります。
特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質で
あるセロトニンも急激に減ります。
その時に頭の中の血管が拡張することで片頭痛が起こると考えられていま
す。このエストロゲンが減少するのが排卵日や生理の初日前後です。
つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニ
ンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすいということなので
- 38 -
す。
以上のように、だいたいこうした時期は、女性の場合、初潮を迎える 13 歳
頃に一致します。こうした年代に女性の場合は、片頭痛を発症してきます。
女性は健常男性より 約 52% 脳内セロトニンを産生する能力が低く、またセ
ロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロト
ニン合成が男性の 4 倍減少する、と言われています。
エストロゲンが低下することでセロトニン神経の機能が低下し、脳内セロト
ニン濃度が低下すると考えられています。
(6)食事の問題
1.食事はバランスが大事で、偏食は「脳内セロトニン低下」の原因になりま
す
セロトニンを増やすためは、セロトニン合成にかかわる酵素、補酵素やビタ
ミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、およびマグネシウム、亜鉛の不足を
起こさないことが大切です。
トリプトファンはセロトニンの原料であると同時に、ナイアシンの原料で
もあり、ナイアシンの合成が優先されます。
そのため、腸内環境が悪化しているために、ナイアシンが不足しています
と、折角、脳内に取り込まれたトリプトファンもナイアシンの合成に使われて
しまい、セロトニンの合成へはまわってきません。
ナイアシンは魚介類や肉類などの食品に含まれており、腸内細菌により産生
もされますので、適量の魚介類・肉類を摂食し、腸内細菌を健全に保っている
限りにおいて、ナイアシンの摂取不足を起こすことはありません。
この条件が整った状態で、セロトニンはトリプトファンを原料として、ビタ
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ミンB6、亜鉛、マグネシウムなどを補酵素として合成されます。
ビタミンB6は、ニンニク、唐辛子、マグロ、カツオ、レバーなどに多く含ま
れています。
亜鉛の多い食品は牡蠣が有名ですが、牛肉にも多く含まれます。
マグネシウムは非常に不足しやすいミネラルですので、ニガリやマグネシウ
ム水溶液から日常的に摂るのが好ましいでしょう。
これらのビタミン剤やミネラルはサプリメントである栄養素を多く摂ったか
らといって効果が上がるというものではなく、全ての栄養素の不足を起こさな
いというのが改善のための基本となります。
一つでも成分が不足しますと、一連の反応は進まなくなります。
特に偏食も無く、平均的な食事をしていても、マグネシウムは最も不足し
やすい栄養素です。
ビタミンB6
食品・腸内細菌
↓
トリプトファン
(60個)
⇒
⇒
↓
⇒ ⇒
⇒
ビタミンB3(ナイアシン)
↓
優先
(1個)
↓
→
→
→
→
セロトニン
↑
ビタミンB6
亜鉛、鉄分
マグネシウム
2.肉・牛乳(乳製品)・卵の摂りすぎは、「脳内セロトニン低下」の原因
「セロトニンを増やすためには、トリプトファンをたくさん含んでる食べもの
をとればOK」と思われている人も多いと思われます。
- 40 -
セロトニンは「トリプトファン」というアミノ酸を原料としてカラダのなか
でつくられます。腸や血液に含まれる大部分のセロトニンは、脳に入っていき
ません。つまり、単純にトリプトファンが多い食べもの、たとえば「牛レバー
やバナナをせっせと食べよう」なんて本や雑誌を見かけることがありますが、
実際にそうしたからといって脳内セロトニンが単純に増えるわけではありませ
ん。
腸内や血液中のセロトニンは脳に入っていきませんが、トリプトファンはち
ゃんと脳に入っていくことができます。ですから、トリプトファンをたくさん
取り込むことができれば、脳内セロトニンも充分につくることが可能になりま
す。
しかし、トリプトファンが通る場所に問題があってここは、ほかの必須アミ
ノ酸も通っていく場所でもあるのです。この必須アミノ酸というのは、「フェ
ニルアラニン」とか「口イシン」というものですが、食品によってはトリプト
ファンよりもこれらの必須アミノ酸のほうが多く含まれるものがあるのです。
これらの必須アミノ酸がトリプトファンの邪魔をするため、トリプトファンが
通過しづらくなってしまうのです。その代表的な食べものが、肉類や乳・乳製
品なのです。……。
つまり、牛レバーにはトリプトファン
よりもほかの必須アミノ酸が多いため、実
際には思ったほどトリプトファンがとれな
いのです。
私たちのカラダの筋肉や骨などはタン
パク質で出来ていて、このタンパク質を構
成しているのは 20 種類のアミノ酸です。そのうち、9 種類は必須アミノ酸と呼
ばれる体内では合成できないアミノ酸。その必須アミノ酸の中でもバリン、ロ
イシン、イソロシンは総称して BCAA と呼ばれる持久系のアミノ酸で、大切な
栄養素です。
この持久系アミノ酸 BCAA は、まぐろの赤身、肉や卵などの食品に含まれて
- 41 -
いるほか、最高の栄養といわれる母乳にも含まれています。
このように BCAA が多い環境では脳への取り込みが阻害され、脳内セロト
ニンがあまり増えないことがありますので注意が必要です。
BACC は動物性蛋白質に含まれており、食品では牛乳、鶏卵、マグロ、牛
肉などが挙げられます。食べ物はバランスが大事なので、極端に摂取を制限す
ると逆に体調不良の原因になるので注意です。牛乳、鶏卵、マグロ、牛肉の摂
りすぎは逆に「脳内セロトニン」不足を招くことに繋がりますので、注意が必
要です。
(7)運動不足
この脳内セロトニンの低下を来す要因として、運動不足が挙げられています。
「脳内セロトニン不足」の要因としての「運動不足」のタイプ
固いものをあまり食べない
階段を使わずエレベーターやエスカレーターを使う
30 分以上続けて歩くことができない
運動不足である
デスクワークが多い
セロトニン不足の要因の一つである運動不足タイプは、上記のようなものが
挙げられます。
現代人にとって運動不足は大きな問題となっており、セロトニン不足の大き
な一因にもなっています。
一定のリズムで同じ動作を繰り返す「リズム運動」がセロトニン神経を活性
化させます。リズム運動をすると、セロトニン神経が活性化し脳内のセロトニ
- 42 -
ンが増えます。代表的なリズム運動としては「歩行」「咀嚼(そしゃく)」「呼
吸」が挙げられます。しっかり歩いて、しっかり噛んで食べて、しっかり呼吸
をする、基本的なことですが現代生活ではおろそかになりがちかと思います。
デスクワークが中心の生活の人は、運動する時間を設ける、なるべくエレベ
ーターやエスカレーターではなく階段を使う、など工夫して生活の中にリズム
運動を積極的に取り入れて、脳内のセロトニンを増やしましょう。
激しい運動をする必要はありません。
- 43 -