SEMとSPMの連携 -ゴム材料の含有成分の可視化

SEMとSPMの連携
SHEET No. 001
ゴム材料の含有成分の可視化
製品: 環境制御型SPM装置 AFM5300E
日立走査電子顕微鏡 SU3500
背景および目的
SEMは電子線を試料に照射し、放出される2次電子、反射電子、特性X線など様々な信号を検出して構造、組成、結晶性、元素分布などの情報を
得ることができます。一方、SPMは探針と試料表面の相互作用を制御し、高精度な形状計測や、硬さや摩擦、吸着などに敏感な力学物性情報、電
流、電気抵抗、表面電位、圧電応答、磁性などの電磁気物性情報を得ることができます。ここでは、酸化亜鉛や硫黄を含有するゴム材料のSEMに
よる反射電子像と特性X線マッピングおよびSPMによる形状像(AFM像)と、位相像(Phase像)1)を観察した結果を報告します。
1) Phase像・・・試料表面の硬さや吸着により、共振するカンチレバーの位相が変化することを利用した物性観察法
SEM
2次電子像(SE)
天然ゴム
特性X線
hν
BSE e-
発光
SE
反射電子像(BSE)
吸収電流
硫黄
SPM
表面形状
力学物性
(硬さ、摩擦、吸着、位相)
e-
電磁気物性
(電流、電位、電気容量、磁性)
ブタジエンゴム 酸化亜鉛
図1 SPM、SEMの検出対象とゴム材料への適用
Probe
観察結果
反射電子像(BSE像)では重たい元素のコントラストが明るくなり、EDXによる元素分析では、その領域に亜鉛や酸素が多く含まれていることが
わかりました。SPMのPhase測定では、2種のゴム成分の弾性率の差が大きくなる-10℃の冷却下で観察し、2種のゴム材料のミクロ相分離構造が明
瞭に観察されました。 SEMとSPMを連携すると、表面の形状や元素、組成、各種物性(力学物性や電磁気物性)のマッピング情報などを相補的に
取得でき、基礎研究はもとより材料、製品開発にも有用な観察、分析手段を提供できます。
SEM
反射電子像
(BSE)
EDX
Zn Lα
SPM
EDX
O Kα
天然ゴム
SU3500
ブタジエンゴム
表面形状像(AFM)
硫黄
位相像(Phase)
1 μm
AFM5300E
酸化亜鉛
図2 ゴム材料のSEM、SPMによる同一視野の含有成分の可視化
執筆者: 日立ハイテクサイエンス 応用技術部 岩佐真行
日立ハイテクノロジーズ アプリケーション開発部 振木昌成
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