合同セミナーのアブストラクト ・担当:尾形 庄悦 ・セミナー用テキスト 酒井 文雄 著 「平面代数曲線」 共立出版, 2012. ・セミナーの内容 大学の数学科に入学を希望する学生であれば、代数幾何学や代数多様体とい う言葉を一度は聞いたことがあるであろう。この本では、代数幾何学の入門とし て、平面代数曲線を題材にして具体例を多く扱い、丁寧に解説してある。 目次を並べてみると、 • 第 1 章 歴史的曲線 • 第 3 章 アフィン曲線 • 第 5 章 射影曲線 と続き、特に、実数体上の平面曲線を具体例として取り上げ、楽しく解説してある。 アフィン曲線の一般的な定義を述べてみる。K を体として、(代数学の講義で、 まだ、体の定義を習っていないなら、実数全体 R や複素数全体 C を K だと思っ て)K の n 個の直積 K n を K 上の n 次元アフィン空間といい、An (K) または、単 に An と書く。X1 , . . . , Xn を変数とする K 係数の多項式全体を K[X1 , . . . , Xn ] で 表す。r 個の多項式 F1 , . . . , Fr ∈ K[X1 , . . . , Xn ] に対して、 V (F1 , . . . , Fr ) = {(a1 , . . . , an ) ∈ An ; Fi (a1 , . . . , an ) = 0 i = 1, . . . , r} をアフィン代数的集合といい、これが「既約」であるとき、アフィン代数多様体 という。さらに、この代数多様体が「1 次元」であるとき、アフィン曲線という。 このように、一般の代数多様体を扱うには、代数学の可換環、特に多項式環が 必要になる。平面代数曲線を扱うときには、2 変数の多項式 1 個で十分である。代 数学の準備のために、第 2 章 多項式と第 4 章 終結式がある。 このセミナーでは、必要に応じて、第 2 章、第 4 章を参照する。 ・目標 第 1 章と第 3 章は読み終えて、第 5 章 4 節のベズーの定理の主張を幾分でも理 解することを目標にする。 1
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