医療機器−安全性情報 No

医療機器-安全性情報
No.17 JaSECT 安全対策委員会 2016.6
脳分離回路からの空気誤送における再発防止対策について
【経緯】
脳分離回路からの空気誤送について、安全性情報No.3「人工肺から空気を引き込む危険性ついて」(2009年5
月)で対策方法を既に情報発信しています。今回非常に稀なケースではありますが、ECUM回路からの空気引き込
みによる脳分離回路への空気誤送が発生しましたので、新たな再発防止対策を提示いたします。これまでの安全
性情報、安全速報と合わせてご参考いただき、各施設の脳分離体外循環法の注意点を明確にして安全な体外循環
を心がけましょう。
【回路模式図】
遠心ポンプを利用し、人工肺出口より ECUM 回路と脳分離回路が分岐されおり、ECUM 回路は送血回路圧にて循環
されていた。
ECUM 回路
血液濃縮器
脳送血ポンプ
貯血槽
脳送血
脳分離回路
人工肺
体送血
遠心ポンプ
【発生原因】
分離体外循環中、ECUM 回路と脳分離回路との分岐部手前が屈曲したことにより、貯血槽に接続された ECUM 回路
を通じて脳分離回路に空気が引き込まれた。
貯血槽より空気を引き込み
血液濃縮器
貯血槽
脳送血
人工肺
脳送血ポンプ
体送血
遠心ポンプ
留意点
・ 脳分離回路の構成は複雑になりやすい。
・ 回路の視認性が低下しやすい。
・ 回路の取り回しが複雑になりやすく、屈曲が起こりやすい箇所が発生する。
・ 操作が煩雑になりやすい。
対策
・ 主たる回路から脳分離回路などを分岐させる場合、一回路一目的にすることにより操作性および視野性の向
上に繋がります。
・ 屈曲防止部材(スパイラルチューブなど)の利用により屈曲しにくくなります。
・ 脳分離回路への気泡検出器設置を検討しましょう。
・ 気泡が検出された場合には、アラーム音だけでなくストップリンクなどの脳送血ポンプが自動停止する機能
をかけるとより安全です。
・ 脳分離回路にエアトラップや送血フィルター等を設置することも人工心肺回路同様に有効です。
【回路の一例】
ECUM 回路
Bubble
貯血槽
エアトラップもしくは
制御
血液濃縮器
送血フィルター
脳送血ポンプ
脳送血
気泡検出器
人工肺 人工肺
人工肺
体送血
遠心ポンプ
・ 脳分離回路にポンプを用いずに送血回路圧にて脳分離送血する方法も有効です。その場合は流量計と回路圧
測定装置を脳分離回路に設置しましょう。
【回路の一例】
貯血槽
ECUM 回路
流量測定装置
回路圧測定装置
血液濃縮器
圧調節用クレンメ
脳送血
流量計
人工肺
体送血
体送血ポンプ
上記以外にも様々な対策方法があるはずです。具体的な対策方法を各施設で検討してください。
参考情報
1)日本体外循環技術医学会安全性情報 No.3「人工肺から空気を引き込む危険性について」 2009.5
2)日本体外循環技術医学会安全速報「分離送血の注意点」 2010.6