状態変化:化学反応

物理化学II
状態変化:化学反応
化学平衡(2)
•平衡に対する圧力の影響
•化学平衡の温度による変化
復習
化学平衡は、反応物ー生成物間の標準反応ギブスエネルギー
によって決まる
N2O4(g)⇄2 NO2(g)の反応で298Kにおける平衡
定数はいくらか?
標準生成ギブズエネルギー
N2O4(g):+97.89 kJ/mol
NO2(g):+51.31 kJ/mol
N2O4(g)⇄2 NO2(g)の反応で298Kにおける平衡
定数はいくらか?
標準生成ギブズエネルギー
N2O4(g):+97.89 kJ/mol
NO2(g):+51.31 kJ/mol
標準反応ギブズエネルギーΔrG̊を求める
N2O4(g)の 標準生成ギブズエネルギー
N2O4(g):+97.89 kJ/mol
2 NO2(g)の 標準生成ギブズエネルギー
2NO2(g):+102.62 kJ/mol
標準反応ギブズエネルギーΔrG̊を求める
N2O4(g)の 標準生成ギブズエネルギー
N2O4(g):+97.89 kJ/mol
2 NO2(g)の 標準生成ギブズエネルギー
2NO2(g):+102.62 kJ/mol
Δ r G  =102.62 − 97.89 = 4.73 kJ mol-1
lnKはいくらになるか?
Δ r G  =102.62 − 97.89 = 4.73 kJ mol-1
lnKはいくらになるか?
ln K =-Δ r G  /RT =
-(4730 J mol-1 )
= −1.909
(8.314 J mol-1 K -1 )(298 K)
Kはいくらになるか?
Kはいくらになるか?
化学平衡に及ぼす圧力の影響
化学平衡は、反応物ー生成物間の標準反応ギブスエネルギー
によって決まる
標準状態でのギブスエネルギー
温度:298.25 K
圧力:1 bar(=105 kPa)
濃度だったら:1 mol/L
平衡定数は標準反応ギブスエネルギーと温度のみによって
決まるので、圧力が変わっても変化しない
標準状態でのギブスエネルギー
温度:298.25 K
圧力:1 bar(=105 kPa)
濃度だったら:1 mol/L
平衡定数は標準反応ギブスエネルギーと温度のみによって
決まるので、圧力が変わっても変化しない
圧力を変化させる2通りの方法
気体を圧縮
圧力を変化させる2通りの方法
気体を圧縮
不活性気体を注入
化学平衡に及ぼす圧力の影響
気体を圧縮した場合
A⇄2Bの反応を考える
はじめAがnモルだけ存在(Bは存在しない)
圧縮
pA
2pA
2pB
pB
全圧p= pA+ pB
全圧=2pA+ 2pB=2 p
気体を圧縮した場合
圧縮
pA
2pA
2pB
pB
全圧p= pA+ pB
平衡時のモル数
全圧=2pA+ 2pB=2 p
A
B
(1-αe)n
2 αe n
モル分率
分圧
αe:反応率
気体を圧縮
平衡時のモル数
A
B
(1-αe)n
2 αe n
モル分率
分圧
圧平衡定数
平衡でのモル分率比
(平衡定数ではない)
圧力が2倍になったときKpの値を維持するため
にKxが1/2倍になる
(参考)ルシャトリエの法則
平衡状態にある反応系において、状態変数(温
度、圧力(全圧)など)を変化させると、その変
化を相殺する方向へ平衡は移動する。
A⇄2Bの反応を考える
圧縮
pA
2pA
2pB
pB
全圧p= pA+ pB
全圧=2pA+ 2pB=2 p
全圧を下げるために分子数が減少(Aが増える)
不活性ガスを注入
pA
pA
pB
pB
全圧p= pA+ pB
pC
全圧=pA+ pB+ pC
分圧は変わらない
A⇄2Bでは
不活性ガスを加えても、平衡組成は変化しない
演習1
クメン(2-プロピルベンゼンC9H12)を定圧下で
ベンゼンとプロピレンに分解する
C9H12 (g) = C6H6 (g) + C3H6 (g)
(1)この反応を562℃, 1.0 barで行ったところ、
反応率は95%であった。圧平衡定数Kpを求めよ。
(2)562℃, 5.0 barで反応させるときの反応率と
各成分の平衡分圧PC9H12、PC6H6、PC3H6を求めよ。
平衡の温度による変化
標準状態でのギブスエネルギー
温度:298.25 K
圧力:1 bar(=105 kPa)
濃度だったら:1 mol/L
平衡定数は温度の影響をうける
van t Hoffの式
lnKをTで微分
標準反応エンタルピー
ギブズ-ヘルムホルツの式を代入
van t Hoffの式
van t Hoffの式
van t Hoffの式
温度T1からT2まで積分
(ΔrH˚が一定の時)
演習2
N2O4(g)⇄2 NO2(g)の平衡では、25℃、1.00bar
で18.46%が分解している
(1)25℃におけるKを求めよ
(2)ΔrH˚=+57.2 kJ mol-1で一定として、100℃
におけるKを求めよ
演習3
ある反応の平衡定数は400Kと500Kの間で、
lnK=A+B/T+C/T3の式に合うことがわかっている
(A=-2.04, B=-1176 K, C=2.1×107 K3)
(1)450Kにおける標準反応エンタルピーを計算せよ
(2)450Kにおける標準反応エントロピーを計算せよ