沿道景観の向上に係る技術研究開発実施方針 【目次構成】 Ⅰ 沿道景観の向上に係る技術研究開発の概要 ........ 2 1.目的 ........................................ 2 2.研究期間 .................................... 2 3.技術研究開発の範囲 .......................... 2 4.実施体制 .................................... 3 Ⅱ.本県の沿道景観および雑草に関する現状と課題 .... 4 1.沿道景観および雑草に関する問題点 ............ 4 2.沿道景観の向上および雑草抑制に関する課題 .... 5 Ⅲ.沿道景観の向上に係る技術研究開発実施内容 ...... 6 1.雑草の繁茂抑制 .............................. 7 2.除草作業等の効率化 .......................... 11 3.維持管理コストに配慮した景観向上策 .......... 14 Ⅳ.成果取りまとめと普及啓発 ...................... 15 Ⅴ.技術研究開発全体スケジュール .................. 16 平成27年3月 沖縄県土木建築部 都市計画・モノレール課 Ⅰ 沿道景観の向上に係る技術研究開発の概要 1.目的 本業務は、世界水準の観光地に相応しい良好な沿道景観を形成することを目的に、特 に道路空間における雑草の防除や緑の維持管理等に着目して沿道景観の向上に向けた技 術研究開発を行うものである。 2.研究期間 平成 26 年度から平成 28 年度までの 3 年間とする。 3.技術研究開発の範囲 本技術研究開発においては、防草方法や除草剤活用、機械による管理、マルチングな ど、雑草の防除に関するハード課題について技術研究開発を行うものである。 なお、雑草を含めた緑の維持管理手法である道路ボランティアとの協働のあり方など ソフト課題については、以下の業務において検討がなされるものであり、本技術研究開 発対象としない。 【業務名】花と緑の維持管理組織構築調査・支援業務(平成 26 年度~28 年度) 背景:沖縄県の緑の維持管理については、県の公共事業や緑化活動団体等への助成事業として行われている が、事業後維持管理の不足した一部の箇所においては緑地の衰退が見受けられ、景観にとってマイナ ス要因となっていることから、その対策が急務である。 目的:道路ボランティアを含め、持続的な緑化活動団体の育成に必要な手法を確立する。 4.実施体制 以下の通りとする。 最低 1 年間の経過観察を要する実証試験については、早急に初期施工を実施するため、 初期施工にあたっては、県道路管理課の道路維持管理業務のなかでの実施を検討し、試験 全体の効率化を図る。 沿道景観の向上 に係る 技術研究開発 検討委員会 技術研究 開発に関 する助言 資料提示 【アドバイザー】 【技術研究開発実施主体】 【役割】 ・実証試験の立案 ・実証試験場所や関係機関との調整 ・実証試験データ収集、分析等 ・雑草制御と景観向上方策検討 実証試験の協力依頼 相談 琉球大学 農学部 准教授 (芝生学・緑地学) 技術 指導 連携 県道路管理課(県土木事務所) 【役割】 ・ 試験場所の提供 ・ 維持管理業務・工事の一部として、実証 試験の初期施工を担う 発注 受注した造園業者 【役割】 ・ 別途受注した県道維持管理業務・工事の 現場において、実証試験の初期施工を実 施 (財)沖縄美ら島財団 (一社)沖縄県造園建設業協会 赤嶺 光 Ⅱ.本県の沿道景観および雑草に関する現状と課題 1.沿道景観および雑草に関する問題点 (1)雑草繁茂の問題点 ① イネ科のヒメオニササガヤ、キク科のセンダングサなど多様な草種があるが、草種 別の有効な防草・除草方法がない(現状として「雑草」という単一の対応のみであ る) 。植栽部においては、手取り除草せざるを得ず、作業の非効率性がある ② 植栽部においては、手取り除草せざるを得ず、作業の非効率性がある。 ③ 埋土種子や地下増殖部が除去できず、草刈り後の雑草再生を防ぐ有効な手だてがな い。 ④ チガヤなどの統一草種による繁茂の場合、景観形成上評価ができることが想定され るが、その活用方策の検討が不十分である。 ⑤ 道路間隙に繁茂する雑草は、抜き取りができず防除しにくい。 (2)除草対策の問題点 ① 防草資材としてシートやテープなどによる防草対策が実施されており、ある程度効 果はみられるが、県産材活用の視点が不十分である。 ② 従来の農薬の負のイメージや、住民感情への配慮から、除草剤の使用を控えている。 ③ 道路空間において、機械での管理が困難な道路構造となっている。 ④ アレロパシー効果があると想定される草種があるが、道路の防草資材としての検討 が不十分である。 ⑤ 防草対策として芝の有効性は示されているが、本県での活用方策検討が不十分であ る。 ⑥ 張りコンクリートによる防草は、景観形成を阻害する。 (3)雑草を取り巻く本県の特殊性 ① 亜熱帯性気候に属する沖縄においては、本土側と比較して、植物の生育スピードが 速いことから、除草作業が追い付いていない。 ② 本県の道路緑化率、街路樹の整備率は全国 1 位となっており、既存ストックが形 成されているが、雑草繁茂により陳腐化、老朽化している。 ③ 本土復帰後、道路緑化が推進されてきたが、既存道路の緑のボリュームに対して、 維持管理費用が不足している。 2.沿道景観の向上および雑草抑制に関する課題 (1)雑草の繁茂抑制 1)アレロパシー植物や芝など、植物の活用 沖縄総合事務局の防草検討会において検討され、防草効果があるとされるアレロパ シー植物等や芝について、本県における防草資材として活用検討が求められる。 また、主要雑草であるチガヤなどについては、その生育スピードや繁殖域の広さ、 安定性から、景観材としての活用が求められる。 2)マリチング資材として県産材等の活用 シートや舗装材など多種多様なマルチング材が実施されているが、県産材の活用の 観点からクリンカアッシュ等の活用が求められる。 3)地下茎、埋土種子の除去など土壌処理 既存の植栽桝において、埋土種子や地下茎の処理不足などが雑草繁茂の原因となっ ており、適正な土壌処理が求められる。 4)間隙雑草への対応 道路間隙雑草については、地上部の刈り払いのみ、もしくは刈り払い後のテープに よる防草対策が一般的であるが、現状として抜根が難しく、テープ下の残存茎の生育 によりテープのめくれ上がりなどが見られ、雑草繁茂を抑制できていないことから、 間隙雑草の防草方策の検討が求められる。 (2)除草作業等の効率化 1)草種別の適正な除草方法選択 これまでの除草作業のような雑草としての単一の対応ではなく、草種別の適正な除 草方法の検討が求められる。 2)除草剤の使用 除草の効率化のため、住民意向等に配慮しつつ、除草剤活用が求められる。 3)蒸気殺草や、その他機械化 従来の肩掛け式刈り払い機のみではなく、蒸気殺草機の活用や、NETIS 登録機材 を活用した機械化が求められる。 (3)維持管理コストに配慮した景観向上策 1)選択と集中による防草対策 本県の道路緑化率は全国 1 位であるが、そのボリュームに対して維持管理が追い付 いておらず、選択と集中によるメリハリのある防草対策が必要である。 2)道路における管理しやすさと景観向上の両立 機械化や除草効率化に向けて、管理しやすく景観向上にも資する道路断面構造およ び道路植栽の在り方検討が求められる。 Ⅲ.沿道景観の向上に係る技術研究開発実施内容(技術研究開発テーマ) ■モデル路線における総合的な技術研究開発の実施 前述の課題を踏まえ、今後技術研究を実施するべきアレロパシー植物活用や芝による 防草方法など技術研究開発テーマを整理(次頁以降)した上で、各技術研究開発テーマ については、主にモデル路線において実証試験や検討を実施するものとし、モデル路線 における総合的な技術研究開発を行うものとする。 【参考】防草、除草方法体系と技術研究開発実施内容の整理 1.防草・除草の体系と分類(農地、道路等) 除草・防草 対処法 物理的対処 2.本業務における技術研究開発実施内容 ①耕うん ②焼却・蒸気殺草 ③抜根(★) 蒸気除草による雑 草枯殺検討 NETIS 登 録 機 材 活用による作業効 率化検討 ④刈り払い(★) ⑤マルチング・防草 シート・シール・そ の他繁茂抑制策(★) ⑥張りコンクリート等(★) クリンカアッシュ 等マルチングによ る防草検討 テープ、充填剤等 間隙雑草への対応 検討 除草剤活用検討 化学的対処 ⑦除草剤等 防草に適した植栽 密度検討 アレロパシー植物 等活用検討 生物的対処 ⑧植物によるもの (芝による防草、ア レロパシー等) ⑨動物によるもの (ヤギ、家畜類) ⑩昆虫、微生物によ るもの 注1)体系図は、琉球大学農学部赤嶺先生指導のもと事務局により整理 注2)(★)は、県道の道路維持管理で実施されているもの 芝による防草検討 チガヤ等の景観材 としての活用検討 ①、⑨、⑩は道路におい ては適さないことから 扱わない。 ⑥は景観向上の観点か ら適さないことから扱 わない。 1.雑草の繁茂抑制 1)雑草抑制型緑化植物(アレロパシー等植物)活用および防草に適した植栽密度検討 【目的】 防草効果があるとされるアレロパシー植物等について、道路における防草資材とし ての活用を検討する。草種としては、沖縄総合事務局「道路植栽の維持管理に関する 調査検討業務」成果などを踏まえ、アレロパシー植物等(キキョウラン、ボルトジン ユ、アメリカンブルー、ワイセイムラサキオモト、ヤナギバルイラソウの 5 種)を選 択する 【実施方法】 ①アレロパシー植物等中央高密度試験(県道 34 号線で実施、平成 26 年度初期施工済み) 植栽桝への高密度植栽により、雑草進入についての効果を検証する。具体的には、 上記 5 種のアレロパシー植物等を用いて、植栽桝中央部へ 32 株/㎡の植栽を施し、縁 辺部を防草シートによる被覆を行い、防草効果の検証を行う。 ②アレロパシー植物等の適正密度検討試験(モデル路線での試験) 沖縄県道路緑化マニュアル等において、草本類の植栽密度は、おおむね 16 株/㎡が 一般的となっているが、草本類が成長し、植栽面を被覆するより前に、雑草進入が散 見される事例が多く、防草に適した植栽密度を検討する。 草本類の出荷当時の草幅、草高によって、植栽面の被覆度合いに差異が大きく、こ れにより雑草の発芽への効果が影響されることから、植栽密度および被覆度の 2 指標 を用いて比較する。 ③地下茎雑草へのアレロパシー植物検索および防草効果試験(モデル路線での試験) 飛散種子からの発芽抑制などについては、上記 5 種のアレロパシー植物等による防 草効果が想定されるが、地下茎へのアレロパシー効果については既存データが存在し ない。よって、地下茎植物へのアレロパシー効果をもつ植物検索および防草効果など の実験を実施する。 ④アレロパシー植物等敷草型防草効果試験(大学実験場での試験) アレロパシー想定植物のうち、県内で一般的にみられるモクマオウ、リュウキュウ マツについて、実験室レベルで、敷草による防草試験を実施する。具体的には、モク マオウ、リュウキュウマツなどの落葉を集草、敷草し、比較区として、(アレロパシ ー効果がない)ワラなどの敷草区、刈り払いのみ区間を設定し、雑草進入、草幅、草 高を定点観測する。 ■実施スケジュール 平成 26 年度 ①アレロパシー植物等による中央高密度植栽試験 初期施工 平成 27 年度 ①アレロパシー植物等による中央高密度植栽試験 経過観察 ②アレロパシー植物等の適正密度検討試験 初期施工、経過観察 ③地下茎雑草へのアレロパシー植物検索および防草効果試験 初期施工、経過観察 ④アレロパシー植物等敷草型防草効果試験 初期施工、経過観察 平成 28 年度 防草資材としての活用評価など成果等のとりまとめ 2)芝による防草検討 【目的】 防草基盤材として、芝の活用を検討する。芝種としては、第 1 回委員会での指摘や、 国内事例を踏まえ、芝草のうち、セントオーガスチングラス、センチピード、ノシバ、 ツルメヒシバ(トロピカルカーペットグラス)、コウライシバの 5 種を選定する。 【実施方法】 ①高刈芝による防草効果試験(県道 34 号線で実施、平成 26 年度初期施工済み) 上記 5 種の芝植栽を施し、通常の刈高 3cm に加え、6cm、9cm の高刈管理、および 比較区として植栽後放置する区を設定し、上記雑草の侵入程度、芝の伸長速度、防草 効果を検証する。 ②芝の適正な施工および維持管理試験(モデル路線での試験) 上記 5 種の芝植栽の施工について、張芝式と種子吹付式など工法や土壌下処理方法 の比較による防草効果の検証、除草作業や灌水、施肥の頻度、タイミングなどの検討、 住民等の芝景観評価等により、適正な施工や維持管理の検討を行う。 ③芝施工と景観形成に関する事例調査 平成 26 年度は芝景観の維持管理に関する事例調査を実施したが、平成 27 年度にお いては、芝施工と景観形成のあり方などについて国内外事例調査を実施する。 ■実施スケジュール 平成 26 年度 ①高刈芝による防草効果試験 初期施工 平成 27 年度 ①高刈芝による防草効果試験 経過観察 ②芝の適正な施工および維持管理試験 初期施工、経過観察 ③芝施工と景観形成に関する事例調査 平成 28 年度 防草基盤材としての、芝活用の成果等のとりまとめ 3)チガヤ等雑草の景観材としての活用検討 【目的】 委員会での指摘を踏まえ、本県の雑草として出現率上位であるチガヤを活用した修 景、および緑化資材としての活用を検討する。 【実施方法】 チガヤが統一的に繁茂している植栽帯において、高刈設定や客土設定(桝内の土を 掘り下げ)などにより、草丈を安定的に維持できる管理方法を検討する。 また、住民意識調査などを実施し、チガヤの景観材としての評価を分析する。 ■実施スケジュール 平成 27 年度 ・チガヤ高刈試験 平成 28 年度 ・住民意識調査の実施、景観材としての評価とりまとめ 4)クリンカアッシュ等県産材活用による防草効果検討 【目的】 クリンカアッシュによる防草効果、および地場産材として石灰岩による防草効果試 験を実施する。 なお、景観形成の観点から、既存NETIS技術にあるような締固めによる舗装工 法ではなく、刈り払い機による作業が行いにくい既存植栽部周辺への粒剤散布(粒径 は 10mm 以下の飛散しない程度の粒径)による防草補助材としての効果を検証するも のである。 【実施方法】 植栽マスの既存植栽周辺において散布処理し、その後、雑草進入、草幅、草高、土 壌アルカリ性/酸性調査を定点観測。 ■実施スケジュール 平成 27 年度 ・クリンカアッシュ、石灰石等初期施工、経過観察 平成 28 年度 ・マルチング等の活用評価、とりまとめ 5)土壌処理の適正化と既存植栽桝の改善手法検討 【目的】 既存植栽桝において除草の雑草種子や地下茎が残存していることなど、初期の管理 不良、土壌処理が不足していることにより、既存植栽桝の雑草管理がより困難になっ ていることから、適正な処理策を検討する。 【実施方法】 ・ 土壌処理手法(雑草地下茎の処理)など、これまでの桝改良工事の現状・課題整理 ・ 客土方法(厚さ、土壌種類等)、除草剤活用などによる地下茎や埋土種子対策につ いて検討。 ■実施スケジュール 平成 27 年度 ・現状、課題整理、土壌処理の適正化と既存植栽桝の改善手法検討 6)道路間隙における防草手法検討 【目的】 道路間隙雑草については地上部の刈り払い、もしくは刈り払い後のテープによる防 草対策が一般的であるが、現状として抜根が難しく、テープ下の残存茎の生育により テープのめくれ上がりなどが見られることから、NETIS 登録工法の活用を含めて、 道路間隙における防草手法について検討する。 【実施方法】 ・ 道路間隙への防草対策についての現状整理(関係者ヒヤリング等) ・ 道路間隙に、概ね単一種の雑草が繁茂している試験区を抽出 ・ 地下部の雑草処理(除草剤処理、Vカット除去など)および地上部の処理(シール、 充填剤など)パターン別に施工および効果比較分析 ■実施スケジュール 平成 27 年度 ・ 道路間隙への防草対策についての現状整理(関係者ヒヤリング 等) ・ 地下部の雑草処理(除草剤処理、Vカット除去など)および地 上部の処理(シール、充填剤など)パターン別に施工および効 果比較分析 2.除草作業等の効率化 1)植物動態把握および除草作業適正化検討 【目的】 雑草の効率的な刈り払いや防除方策の検討に向けて、主要雑草の植物動態調査を実 施するものである。 【実施方法】 出現率上位 5 種(ササガヤ、センダングサ、ススキ、チガヤ、ギンネム)について、 ①発芽、②開花、③出穂、④結実の動態時期、その時点での草張、草高など物理状況 を調査し、記録する。 調査間隔としては、各月ペースで対象雑草の動態(発芽、出穂、結実等)を経過観 察し、草丈、草幅、繁茂状況などを物理的に観測する。おおむね1種あたり 5 か所(南 部 2 か所、中部 2 か所、北部・宮古・石垣各 1 か所)で実施。 出現率上位 5 種(ササガヤ、センダングサ、ススキ、チガヤ、ギンネム)について、 ①発芽、②開花、③出穂、④結実の動態時期、その時点での草張、草高などの分析よ り、草種別の道路雑草別の刈取り時期等の適正化を検討する。 ■実施スケジュール 平成 26 年度 雑草管理に関する文献整理、県内 20 路線における道路雑草繁茂 (済) 状況等整理、先進地視察、雑草繁茂特性分析 平成 27 年度 主要な雑草の植物動態調査(1 年スパン) 平成 28 年度 道路雑草別の刈取り時期等の適正化 2)除草剤の活用方策検討 【目的】 除草の効率化のため、住民意向等に配慮しつつ、除草剤活用を検討するものである。 【調査内容】 ①除草剤の社会的条件の整理 ・農薬取締法など法制度等の整理 ・他県での除草剤活用詳細調査実施 ②除草剤活用に関する意識啓発を兼ねた県民意識調査 ・除草剤使用に関して、県民が感じる不安感や懸念事項等の把握、整理 ・除草剤の安全性や仕組みなど意識啓発を兼ねる調査 ③除草剤活用に関する説明資料整理 ・上記①意識分析に対する説明資料等の作成 ・上記①意識に配慮した処理方法整理 ④選択性除草剤の活用想定リスト作成 ・ 活用目的別(発生抑制 or 枯殺) ・ 使用時期、使用植物別(経葉処理剤 or 土壌処理剤) ・ 植栽植物および主要雑草別の選択性除草剤処理試験および、選択性除草剤リスト 作成 ⑤活用に向けた方策検討 ・住民に不安を与えない処理方法の検討(道路構造別の散布の仕方に関する検討) ・安全性等への配慮・工夫など、道路管理者、実務者等を含めた勉強会 ・道路ボランティア等の現場での試験的使用と成果まとめ ■実施スケジュール 平成 27 年度 ①除草剤使用に関する基礎資料整理 ②除草剤活用に関する意識啓発を兼ねた県民意識調査 ③除草剤活用に関する説明資料整理 ④選択性除草剤の活用想定リスト作成 ⑤活用に向けた方策検討 平成 28 年度 普及啓発等の取り組み 3)蒸気殺草機による雑草枯殺検討 【目的】 蒸気除草機(丸文製作所:静岡県)を用いて、植栽桝における殺草枯殺の効果につい て検証する。また、除草に手間がかかるとともに、抜根の難しい路肩や間隙部分につい ても殺草枯殺効果を検証する。 【実施方法】 蒸気除草機を用いて、桝および間隙部分に蒸気をあてることによる防草効果を検証す るため、時間を 10 秒、20 秒、30 秒と設定し、比較区として刈り払いのみの区を設定す る。 ■実施スケジュール 平成 26 年度 ・蒸気除草試験および経過観察 4)NETIS登録機材活用による作業効率化検討 【目的】 従来の肩掛け式刈り払い機のみではなく、NETIS 登録機材を活用して、刈り払い 作業等の効率化を検討する。 【実施方法】 NETIS 登録機材である安全性の高い刈り払い機やその他機材を、実際の維持管理 業務、工事等で使用し、その使用感や効率性を検討する。 ■実施スケジュール 平成 27 年度 ・ 維持管理業者ヒヤリング等から、効率化が想定される機材抽出 および、同機材をレンタルし、業者へ貸与 ・ 実際の維持管理業務において、同機材を活用しつつ、効率化に ついて分析 3.維持管理コストに配慮した景観向上策 1)雑草抑制と景観向上に向けた維持管理発注形態の検討 維持管理形態については、従来の仕様ではなく、指定管理者制度の適用や、性能規 定による維持管理などの効率的効果的な発注の在り方に関する検討を行う。 さらにこれに関連する事例調査として、国内外における維持管理単価などコスト面 での比較や維持管理の外部との契約のあり方などについて詳細調査を行う。 ■実施スケジュール 平成 27、28 年度 ・国内外事例調査 ・モデル路線等での維持管理形態実証試験 2)防草対策に関する景観評価とコストの検討 芝、アレロパシー植物、マルチングなど防草技術に関する景観評価を行うとともに、 イニシャルコストとランニングコストを含めたトータルコストの検討を行う。 ■実施スケジュール 平成 27 年度 ・防草対策の景観評価およびコスト検討 3)地域別、道路構造別でのメリハリのある防草対策と景観向上のあり方検討 市街地や郊外部など地域別、植栽桝、間隙部など道路構造別のメリハリある防草対 策と景観性の両立の在り方について検討を行う。 ■実施スケジュール 平成 27 年度 地域別、道路構造別類型化とランク分け 平成 28 年度 ランク別の防草対策および景観向上策の検討 4)沿道景観の向上に向けた植栽桝の簡易改善策検討 植栽桝改善については、芝やアレロパシー植物等の植物による植栽工事や、マルチ ングなどが想定されるが、本県のすべての植栽桝への対応には時間がかかることから、 簡易改善策を検討する。 【想定される簡易改善策】 ・老朽化、陳腐化した低木の集約や除去など ・破断した防草シートの撤去と、クリンカアッシュ等による暫定マルチング化 ■実施スケジュール 平成 27 年度 沿道景観の向上に向けた簡易改善策検討 5)管理しやすく景観向上にも資する道路断面構造および道路植栽のあり方検討 機械化や除草効率化に向けて、以下のような視点により、管理のしやすい道路構造 や道路設計のあり方を検討する。 ・安全性など道路構造令を満たしつつ、機械化に向けた断面や構造など見直し ・桝のバリアフリー化の検討(道路敷と桝の段差、桝内) ・管理のしやすい植栽手法の検討(混植/単植の検討と景観性の両立) ・低木の植栽の在り方の見直し(混植、単植など) ■実施スケジュール 平成 27、28 年度 管理のしやすく景観にも配慮した道路構造のあり方検討 Ⅳ.成果とりまとめと普及啓発 上記Ⅲを踏まえ、良好な沿道景観の形成に資する雑草管理に関するとりまとめを行う とともに、雑草の適正な管理に向けた普及啓発用の各種ツールを制作する。 【成果取りまとめの視点】 前述の技術研究開発の成果を活用し、沿道景観の向上と雑草抑制を図るため、以下の 視点に留意する。 第 1 段階:既存植栽桝における雑草の除去 ・地下茎や埋土種子の除草剤活用等 ・桝改良工事等における搬入土壌の工夫 ・道路間隙における地下茎根絶 第 2 段階:雑草除去後の雑草進入の初期防止策 ・アレロパシー植物、芝など植物による防草方策 ・マルチングその他の活用 第 3 段階:適正管理による雑草 ・指定管理者や性能規定などの新たな維持管理形態による適正管理 ■実施スケジュール 平成 28 年度 ①沿道緑化景観向上ガイドライン作成【別紙目次構成案の通り】 ②成果報告会や講習会など ②普及啓発活動やツール制作 ・ 配布用パンフレット等(一般向けのガイドライン概要版) ・ 普及啓発サイト開設等 報告書とりまとめ、沿道景観向上ガイドラインの作成、ホームページ開設など 5)管理しやすく景観形成にも資する道路構造および道路 植栽の在り方検討 4)景観向上に向けた植栽桝の簡易改善策検討 3)地域別、道路構造別でのメリハリある防草対策と景観向上 のあり方検討 2)防草対策に関する景観評価とコストの検討 1)雑草抑制と沿道景観向上に向けた維持管理発注形態の検討 (3)維持管理コストに配慮した景観向上策 4)NETIS登録機材活用による作業効率化検討 3)蒸気殺草機による雑草枯殺検討 2)除草剤の活用方策検討 1)植物動態把握および除草作業適正化検討 (2)除草作業等の効率化 6)道路間隙における防草手法検討 5)土壌処理の適正化と既存植栽桝の改善手法検討 4)クリンカアッシュ等県産材活用による防草検討 3)チガヤなど雑草の景観材としての活用検討 2)芝による防草検討 1)雑草抑制型緑化植物(アレロパシー植物等)の活用および 防草に適した植栽密度検討 (1)雑草の繁茂抑制 研究プログラム検討(研究開発テーマおよび研究内容、関係機関、実施体制) 雑草管理に関する文献検索、県内20路線における雑草繁茂状況等整理、先進地視 察、雑草繁茂特性分析 等 5.沿道景観の向上に係る技術研究開発委員会の設置運営 4.成果とりまとめ と普及啓発 3.沿道景観の向上 に係る技術 研究開発 実施内容 2.技術研究開発 方針等の検討 1.沿道維持管理に 関する現状整理 沿道景観の向上に係る技術研究開発 3カ年スケジュール(案) 業務項目 国内外事例調査等 初期処理 経過観察 活用に向けた方策検討 関係団体WG等 活用に向けた方策検討 除草処理試験 意識啓発および意識調査等 分析評価 除草時期、刈取り方 法適正化検討 分析評価 経過観察 植物動態調査 初期施工 住民意識調査・ 分析評価 分析評価 分析評価 平成28年度 経過観察 経過観察 初期施工 初期施工 経過観察 平成27年度 初期施工 平成26年度 Ⅴ.全体スケジュール 沿道景観の向上と雑草抑制に向けた全体とりまとめ 沿道景観および雑草に関する問題点 1.雑草繁茂の問題点 沿道景観の向上および雑草抑制に関する課題 【カッコ内数字は左記問題点との対応】 1.雑草の繁茂抑制 (2)マルチング資材として県産材の活用 ③埋土種子や地下増殖部が除去できず、草刈り後の 雑草再生を防ぐ有効な手だてがない。 ④チガヤなどの統一草種による繁茂の場合、景観形 成上評価ができることが想定されるが、その活用方 策の検討が不十分である。 ⑤道路間隙に繁茂する雑草は、抜き取りができず防 除しにくい。 ⑥防草資材としてシートやテープなどによる防草対 策が実施されており、ある程度効果はみられるが、 県産材活用の視点が不十分である。 (3)地下茎、埋土種子の除去など土壌処理 【①②③⑤⑬】 (4)間隙雑草への対処【⑤】 (1)草種別の適正な除草方法選択 【①②③⑤⑧⑫⑭】 (2)除草剤の使用【①②③⑤⑦⑫⑭】 ⑪張りコンクリートによる防草は、防草効果はある ものの、景観形成上阻害要因となる。 市街地 1-5)土壌処理の適正化と既存植栽桝の 改善手法検討 郊外部 2-1)植物動態把握および草種別除草作業 適正化検討 2-2)除草剤の活用方策検討(※) 3.維持管理コストに配慮した景観向上策 3-1)雑草抑制と景観向上に向けた維持管理 発注形態の検討 (1)選択と集中による防草対策 【⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭】 3-2)防草対策に関する景観評価とコスト の検討 3-3)地域別、道路構造別などでのメリハ リのある防草対策と景観向上のあり 方検討 3-4)沿道景観の向上に向けた植栽桝の 簡易改善策検討 (2)道路における維持管理しやすさと景観向 上の両立【⑤⑦⑧⑪⑫⑬⑭】 3-5)管理しやすく景観形成にも資する道路 構造および道路植栽のあり方検討 重点道路(※) A-1 A-2 A-2 その他道路 B-1 B-2 C 重点道路(※) B-1 C D D … … その他道路 ※重点道路については、フラワークリエーション事業対象 道路など、観光に資する道路を想定 1-6)道路間隙における防草手法検討 2-4)NETIS 登録機材活用による作業効率 化検討(※) ⑫亜熱帯性気候に属する沖縄においては、本土側と 比較して、植物の生育スピードが速いことから、除 草作業が追い付いていない。 ⑭本土復帰後、道路緑化が推進されてきたが、既存 道路の緑のボリュームに対して、維持管理費用が不 足している。 1-4)クリンカアッシュ等県産材活用に よる防草効果検討(※) (3)蒸気殺草やその他機械化【③⑤⑧⑫⑭】 3.雑草を取りまく本県の特殊性と問題点 ⑬本県の道路緑化率、街路樹の整備率は全国 1 位と なっており、既存ストックが形成されているが、雑 草繁茂により陳腐化、老朽化している。 1-3)チガヤ等雑草の景観材としての活用 検討(※) 2-3)蒸気除草機による雑草枯殺検討(※) ⑨アレロパシー効果があると想定される草種がある が、道路の防草資材としての検討が不十分である。 ⑩防草対策として芝の有効性は示されているが、本 県での活用方策検討が不十分である。 1-2)芝による防草検討(※) 2.除草作業等の効率化 ⑦従来の農薬の負のイメージや、住民感情への配慮 から、除草剤の使用を控えている。 ⑧道路空間において、機械での管理が困難な道路構 造となっている。 1.ガイドラインの位置づけと使い方 2.道路緑化の現状 3.雑草対策の現状 4.地域別および道路構造別防草緑化指針 1)地域別および道路構造別の防草緑化類型 技術研究開発成果 2.現状の防草対策の問題点 【②⑥】 【目次構成案】 1-1)雑草抑制型植物(アレロパシー等植 物)活用および防草に適した植栽密度 検討(※) その他 法面 ②植栽部においては、手取り除草せざるを得ず、作 業の非効率性がある。 【①②③④⑥⑨⑩⑬】 沿道緑化景観向上ガイドライン 分離帯 中央 (1)アレロパシー植物や芝など、植物の活用 (技術研究開発成果のひとつとして) 植栽桝 歩道 ①イネ科のヒメオニササガヤ、キク科のセンダング サなど多様な草種があるが、草種別の有効な防草・ 除草方法がない(現状として「雑草」という単一の 対応のみである)。 本技術研究開発テーマ【※印は実証試験を含む】 ⇒技術研究開発テーマについては、主にモデル路線にお いて実証試験や検討を実施するものとし、モデル路線 における総合的な技術研究開発を行う。 2)類型別防草緑化指針 A-1 エリア:芝張り防草 or アレロパシー植物防草・・・ A-2 エリア:芝張り防草・・・ Bエリア:・・・・・ Cエリア:・・・・・ Dエリア:張りコンクリート、マルチング・・・ 5.景観向上と雑草抑制に向けた段階的な技術活用 1)第 1 段階:既存植栽桝における雑草の除去 ・地下茎や埋土種子の除草剤活用等 ・桝改良工事等における搬入土壌の工夫 ・道路間隙における地下茎根絶 2)第 2 段階:雑草除去後の雑草進入の初期防止策 ・アレロパシー植物、芝など植物による防草方策 ・マルチングその他の活用 3)第 3 段階:適正管理による雑草 ・新たな維持管理形態による適正管理 A-1、A-2 エリア・・・指定管理制度、性能規定 その他エリア・・・従来型仕様発注・・・ 6.防草手法別の植栽工事および維持管理の留意点 例)芝張り防草 ・推奨種・・・ ・事前土壌処理・・・客土厚○○cm、○○土 ・初期管理・・・灌水○○回、 ・定期管理・・・機械系刈払い ・刈り高設定・・・夏季○○cm、冬季○○cm 7.除草剤活用手引き 1)除草剤の仕組みと安全性確保について 2)地域分類別活用想定(上記の類型別) 3)非選択性除草剤活用方法 4)選択性除草剤活用方法(草種別/植物別除草剤リスト) 5)除草剤散布方法検討 6)適正な散布時期、散布方法
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