PhotogrammetryとUAVを用いた地形図作成と 地盤災害調査への応用 Geo-disaster Mitigation Engineering 志賀 正崇、小長井一男 研究概要 近年、コンピューターの演算処理能力の向上や解析手法の高度化により、複数の写真を 用いて特定の物体をコンピューター内で3次元モデル化することが容易になっている。 Unmanned Aerial Vehicle(UAV、無人航空機)も技術の向上により大衆化が進み、災害 発生後の早期の状況把握等にも広く活用されている。本研究では、上記の技術を組み合 わせ、UAVで撮影した画像・動画を用いた地形図作成を行うと共に、2013年から継続する 使用したUAV(Phantom3 Professtinal) (http://www.dji.com/jp/product/phantom-3proより) ネパールの地盤陥没、2016年熊本地震後の地盤災害調査への適用を試みた。 PhotogrammetryとUAVを用いた地形図作成 Photogrammetry(写真測量)は3次元の物体を異なる地 ① ドローンによる画像撮影 点から撮影した複数の画像から、視差情報を解析した後、 物体の寸法や形状を再構成する測量技術である。近年は この技術をプログラムとして再構築し、デジタルカメラで撮 影した画像から地形モデルを作成する試みが多く行われて いる。本研究ではPhotomodeler Scannerを用いて解析を ② Photomodelerによる点データの 作成 ③ 測線毎にOrthophotoを生成し、 Photoshopで一つの画像に結合 ④ 測線毎にDEMデータを生成し、同一点 を探した後すべての測線結合 行った。 UAVはDJI社のPhantom3 Professionalを主に用 いて撮影を行った。これらを使用した結果、最小で数cmメッ シュの地形モデルを作成することができた。 ⑤ 結合した写真をQGISに取り込み ジオリファレンスを行う ⑥ QGISを使用し等高線図の 作成 ⑦ オルソフォトの作成 地盤災害調査への応用 ネパール・ポカラのアルマラ地区では原因不明 の陥没孔が2013年末から多数発生しており、陥 没孔分布の全貌と発生メカニズムの解明が急が れている。清田研究室では2015年12月に調査を 実施した。陥没孔の位置把握と経過観察を目的と して、計18回のUAV飛行を行い、6.7cmメッシュの 地形モデルを得ることに成功した。 2016年4月に発生した熊本地震では、南阿蘇村 、阿蘇市の多くの場所で地滑りや地盤沈下が発生 した。阿蘇市狩尾地区では、長さ約10キロにも及 ぶ帯状の沈下が発生した。その一部でUAVを飛行 させ、地形モデルを作成すると共に、現地調査で は観測されなかった微小な段差を発見できた。 KIYOTA Lab., Institute of Industrial Science, University of Tokyo 2016
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