6/23「国民投票」実施! 「英ポンド」の動きを予測

【2016年6月22日公開】
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~丸わかり! ロンドン発★欧州経済事情~
「松崎美子」が注目テーマを一刀両断!
『6/23「国民投票」実施!
「英ポンド」の動きを予測』
執筆者:(ロンドン在住/元為替ディーラー)
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待ちに待った英国の国民投票が明日実施される。先週、「残留」支持の労働党女性議員が射
殺された痛ましい事件が起きて以来、「残留」に同情票が集まったため、今週の賭け屋のオッズは
圧倒的に「残留」リードとなっている。
今回のコラムでは、最新の賭け屋でのオッズや世論調査結果、そして投票が終了してからの注意
点をまとめてみようと思う。
●大きく流れが変わった賭け屋のオッズ
これはオンライン賭け屋最大手の Betfair 社の最近 1 週間のオッズの変化を表わしたチャートで
ある。6 月 16 日(木)に事件が起きる直前には、残留支持が 60%台を割るところまで下がっていた。
しかし、それ以来、残留支持に大きくスウィングし、現在は 8 割に届くところまで伸びてきた。
(データ参照): Betfair 社 ホームページ https://betting.betfair.com/politics/brexit/
●世論調査結果の移り変わり
次は最近の世論調査結果をチェックしてみよう。
次は最近の世論調査結果をチェックしてみよう。
これは今月に入ってからの世論調査各社の調査結果である。左に赤い★をつけた分は、労働党
の女性議員が殺害された日が調査期間に含まれるものである。過去の傾向を見ると、YouGov 社
のオンライン調査はわりと「離脱優勢」になりやすかったが、今回は事件の影響を受けてか、50.2%
対 49.8%で、かろうじて「残留優勢」となっている。
それにしても、賭け屋さんのオッズがあそこまで「残留優位」であるのに、世論調査は意外と五分
五分の結果となっているのが、不思議である。
●投票当日の準備
6 月 23 日(木)の予定は、こんな感じである。ヘッジファンドや大手銀行が独自の出口調査を出
すといわれているが、どのような形式で、どのタイミングで出るのか、全くわからない。そして、その
出口調査結果が果たして正しいものであるかも、誰にもわからないため、素直にその動きについ
ていけば良いのか、悩むところである。
2014 年のスコットランド住民投票の時を思い出すと、投票 2 日前に Betfair 社の社長が、そして投
票終了と同時に調査会社 Yougov 社がそれぞれ「スコットランドは間違いなく英国に残留するだろ
う」という趣旨の発言をし、マーケットは最終開票結果を待たずに見切り発車をした。今回も同様
の発言が出てくるのであれば、私はそれに賭けて少額のポジションを持つことも考えているところ
だ。
ただし、英国の FX 会社はどこも、今週に入ってから取引マージンの引き上げが厳しい。そのため、
ポジションを持ってもちょっと気を許すと、強制終了となることも十分にあり得る。その意味からも、
資金・ポジション両面からのリスク管理の腕が問われる一週間となりそうだ。
●注目すべき選挙区
それでは最後に、国民投票終了後の開票結果で、特に気をつけてチェックしたい選挙区を挙げ
た。これらの選挙区は、残留・離脱の傾向が比較的はっきりしているため、万が一この選挙区の
結果が予想と違ったり、かろうじて予想通りの結果となったが、票差が極めて小さくなった場合に
は、注意する必要が出てくる。
●6 月 24 日(金)以降の「英ポンド」と「ユーロ」の予測
もし、投票当日の「英ポンド/米ドル」が 1.4600 ドルだとした場合、翌 24 日(金)の相場はどのよう
なレベルになるのか?それを考えてみよう。
・投票翌日の「英ポンド/米ドル」予測
まず、下図はいくつかの大手銀行が予想した「投票翌日に限った」英ポンド/米ドルの水準を表わ
したチャートである。
・投票翌日以降の予測
▼残留の場合
1)「英ポンド/米ドル」はショートカバーも手伝い、大きく上昇する。その時は、「ユーロ/米ドル」も英
ポンドについていくように一緒に上昇するという予測(ドル安相場)。
2)「英ポンド/米ドル」は上昇するが、「ユーロ/米ドル」は下落する。その根拠は、ヨーロッパでも英
国の次に国民投票を実施する国が出てくると考えられ、欧州での不透明感が高まり、ユーロ/米ド
ルは売られるという予測。
この場合は、『ユーロ売り/ポンド買い』という取引が有効だろう。
▼離脱の場合
1)Brexit となれば英ポンドの下落は投票翌日だけでは終わらず、数カ月単位で継続し、大暴落に
近い落ち方をする。場合によっては、日・米・英・欧の協調介入もあり得る。
2)Brexit 後は、欧州大陸のいくつかの国でも国民投票実施の動きが出てくるため、より不透明感
が高い欧州のユーロの下落が際立つ。そして英ポンド急落により、ある程度の「下値達成感」が
出たと認識された場合は、戻すかもしれない。
これも、先ほど書いた内容と同じで、『ユーロ売り/ポンド買い』という取引が有効になってくる局面
があるかもしれない。
-------------------------------------------------------------------------------【執筆者:松崎美子氏(ロンドン在住/元為替ディーラー)プロフィール】
東京でスイス系銀行 Dealing Room で見習いトレイダーとしてスタート。18 カ月後に渡英決
定。1989 年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店 Dealing Room に就職。1991
年に出産。1997 年シティーにある米系投資銀行に転職。
その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。英系銀行の元同僚と飲みに行き、
証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。
-------------------------------------------------------------------------------【本レポートの趣旨】
本レポートは松崎美子氏より発行されているレポートであり、情報提供のみを目的として
おります。
本レポート中のコメントは独自の見解に基づいたものであり、松崎美子氏、およびワイジ
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