平成28 年度 教育行政執行方針 白糠町教育委員会 目 次 Ⅰ はじめに Ⅱ 学校教育の充実 1 実社会で生きる実践的な力の育成 2 豊かな心と健やかな体の育成 3 信頼される学校づくりの推進 4 地域全体で子どもを守り育てる体制づくりの推進 Ⅲ 社会教育の充実 1 生涯学習を推進する実践活動の展開 2 社会教育活動の充実 3 文化活動への参加機会の拡充 4 スポーツの振興 5 社会教育施設の整備・充実 Ⅳ おわりに Ⅰ はじめに 平成28年第1回白糠町議会定例会開会にあた り、議員各位に教育委員会が所管する教育行政の 執行について、その基本方針と主要な施策を申し 上げます。 平成27年は、戦後70年の節目を迎え、広島 で行われた「平和祈念式典」には、過去最多とな る100か国の代表を含む約5万5000人が参 列するなど、世界的に平和への関心が高まった年 でありました。 一方11月には、純国産としては初のジェット 旅客機である、「環境適応型高性能小型航空機」 と呼ばれる、「MRJ(三菱・リージョナル・ジ ェット)」が名古屋空港で見事な初飛行を行い、 その操作性の高さやデザイン性・低燃費性能・静 粛性など、あらためて日本の技術力の高さを世界 に知らしめることとなりました。 -1- テレビでも『下町ロケット』というドラマが評 判となり、日本の中小企業のたゆまない企業努力 と、そこで働く人々の熱意・技術力・底力が再認 識されることとなった1年でありました。 日本の財産は、人が支える技術力を根底として、 そこに日本人の勤勉さや忍耐力が加わることで世 界に誇れるものとなってきました。今日の産業・ 文化振興の基礎は、それらを背景として築きあげ られたと言っても過言ではありません。 本町の教育に目を向けますと、未来の子どもた ちの健やかな育ちを願い、庶路小学校・庶路中学 校及び認定こども園の土地造成工事が終わり、新 しい校舎・園舎の改築工事が始まっております。 同時に、白糠町全町で平成30年度から実施す る予定の「小中一貫教育」に向けて、全ての学校 が研修テーマや研修内容に小中一貫教育を掲げ、 全教職員が一致して、その調査・研究に当ってお ります。 -2- さらには、本町教育の基軸である「ふるさと教 育」の推進に当って、実践7領域の一つである国 際理解教育を発展させるために、海外の学校との 交流を進めるべく、関係機関と協議を続けている ところでもあります。 さて、本年度は、5年間の実践を踏まえて改訂 された、「新たな教育行政のスキーム」の最終年 となります。町づくりの一翼を担う「ふるさと教 育」を一層充実させるため、新たなスキームの作 成に着手をしてまいります。 私たち教育委員会は、白糠町らしさを凝集した 「ふるさと教育」を基軸としながら、学ぶことの 楽しさや、友人との交流を通した笑顔あふれる子 どもたちと、生涯にわたり健やかで学び続ける喜 びを実感できる大人が、ともに力を合わせ、今を 生きることの充実感と、将来への希望を持ちなが ら暮らすことのできる町づくりに最善をつくして まいります。 -3- 以下、平成28年度の教育行政の執行に係る基 本方針と、主要な施策の内容についてご説明いた します。 Ⅱ 学校教育の充実 本町の「ふるさと教育」並びに学習指導要領の 確実な展開を図り、「未来に向けて自ら学ぼうと する人づくり」に努めるとともに、本町らしい小 中一貫教育の実施に向け、私たちは、強い決意の もと、以下4点の取組を推進いたします。 1 実社会で生きる実践的な力の育成 子どもたちが、「グローバル社会の中で、 周囲の人と進んでコミュニケーションを図り、 自己実現できる人」へと成長できるよう、以 -4- 下の2点を重点として事業を推進してまいり ます。 1つ目は、「基礎学力の定着」であります。 「基礎学力定着プログラム」を推進し、習熟 度別指導や学習支援ボランティアの活用を充 実するとともに、長期休業中のサポート学習 の実施や、家庭学習の習慣化を図り、基礎学 力の保障に努めてまいります。また、休業日 の有効活用を図るために、土曜授業を実施し てまいります。 2つ目は、「外国語によるコミュニケーシ ョン能力の向上」であります。外国語に「慣 れ・親しむ」段階から、実際に「使える」段 階へ転換を図るため、文通やビデオレター・ インターネット等を利用した海外との学校交 流の検討など、多様な場と機会の設定を考慮 してまいります。 -5- 2 豊かな心と健やかな体の育成 「確かな学力の育成」と密接不離の関係に ある「豊かな心」と「健やかな体」の育成を、 バランスと発達段階に応じた適合性を図りつ つ、以下の2点を重点として事業を推進して まいります。 1つ目は、「基本的な生活習慣の定着」で あります。「基礎学力の定着」を支える基盤 として生活習慣の確立は不可欠であり、生活 リズムチェックシートの活用など、家庭や地 域における教育力の再生を図ってまいります。 同時に「三愛運動」との連携を図り、道徳的 実践力の伴った心づくりに努めてまいります。 2つ目は、「健康の保持と体力の向上」で あります。食に関する指導の充実と、アレル ギー症状等に対する細やかな対応を行うとと もに、地域でとれた新鮮な食材をふんだんに 取り入れた「ふるさと給食」を展開してまい -6- ります。また、学校や家庭・地域における日 常的な運動機会の充実による体力向上にも努 めてまいります。 3 信頼される学校づくりの推進 学校が、教育効果を発揮するための基盤と なる「保護者や地域からの信頼」を構築する ため、以下の2点を重点として事業を推進し てまいります。 1つ目は、「地域に根差した学校づくり」 であります。町全体で子どもを育てるという 共通認識のもと、地域住民に愛される「開か れた学校づくり」を推進するために、コミュ ニティ・スクールの導入を検討するなど、保 護者、地域の意見が学校に反映されるよう努 めてまいります。 2つ目は、「教師の指導力の向上」であり ます。教員が「教えるプロ」としての力量向 -7- 上を図るため、各種研修会への参加を促すと ともに、白糠町らしい「小中一貫教育」への 取組に力を入れてまいります。また、本町独 自の「教師塾」を実施するなど、学習指導と 生徒指導を充実してまいります。 4 地域全体で子どもを守り育てる体制づくり の推進 町の宝・財産である子どもたちが、安全・ 安心な環境の下で育つことができるよう、以 下の2点を重点として事業を推進してまいり ます。 1つ目は、「防災教育と学校施設の充実」 であります。各種避難訓練の日常化を促進し、 子どもの危険予知能力と危機回避能力の伸長 を図ってまいります。また、庶路小学校・庶 路中学校及び認定こども園の改築については、 -8- 学校や保護者・地域並びに関係部局と連携し、 遅滞のないよう推進してまいります。 2つ目は、「健全育成事業の協働実践」で あります。子どもたちの安全・安心を一層向 上させるため、青少年育成員や地域住民と 「見守り・声かけ運動」の拡充を図るととも に、キャリア教育を念頭に置いた「ミニ社会 体験」を推進してまいります。 Ⅲ 社会教育の充実 本町に暮らす人々が心豊かで充実した生活を送 ることができるよう、あらゆる機会にあらゆる場 所で学習ができる町をめざします。 具体的には、教育行政スキームの実践プラン 「生活いきいきプラン」及び「親子にこにこプラ ン」に沿い、「まちぐるみ運動の展開」と「生涯 -9- スポーツの日常化」を核とし、以下5点の取組を 推進いたします。 1 生涯学習を推進する実践活動の展開 豊かな生涯学習社会を実現するため、以下 の2点を重点として社会教育活動を実践して まいります。 1つ目は、「まちぐるみ運動の推進」であ ります。三愛運動の実践活動を一層奨励する とともに、まちづくりにつながる学習機会の 提供を図り、これらの活性化に努めてまいり ます。 2つ目は、「ボランティア活動の推進」で あります。町民の技術や経験が生かされるよ う、ボランティア指導者の発掘に努めるとと もに、ボランティアの実践内容を積極的に紹 介し、その活用と拡大を図ってまいります。 - 10 - 2 社会教育活動の充実 白糠町の未来を担う青少年の健やかな育ち を期するため、以下の2点を重点として事業 を推進してまいります。 1つ目は、「家庭の教育力を向上させる支 援の充実」であります。青少年の健全育成は 家庭が基礎であり、子育てが家庭を基盤とし て根付くよう、多様な学習機会や情報の提供 に努めてまいります。 2つ目は、「青少年健全育成事業の推進」 であります。青少年の健全育成を図るため、 各種体験活動の充実を図るとともに、少年の 主張発表会や教育委員会が取り組む土曜学習 等、学社連携を強化する事業を展開してまい ります。 3 文化活動への参加機会の拡充 心豊かな生きがいづくりをめざす文化活動 - 11 - への参加機会を拡充するため、以下の2点を 重点として事業を推進してまいります。 1つ目は、「公民館講座や土曜サロンの充 実」であります。新たな人材の発掘と活用を 図るとともに、各種団体や関係部局と連携し、 地域資源を活用した多様な学習活動を推進し てまいります。 2つ目は、「文化団体の活動推進」であり ます。文化活動を発表する場を拡充し、自主 事業、連携事業の推進を図るとともに、文化 活動に関する情報や団体の活動内容を積極的 に紹介し、文化団体の活性化に努めてまいり ます。 4 スポーツの振興 町民一人ひとりがスポーツ活動を継続的に 実践し、健康で心豊かなスポーツライフを築 くことができる「生涯スポーツ社会」の実現 - 12 - をめざすため、以下の2点を重点として事業 を推進してまいります。 1つ目は、「生涯スポーツの充実」であり ます。「だれもが、気楽に、いつでも、どこ でも」参加できる一人1スポーツをめざし、 各種スポーツ教室等を通じ、生きがいや楽し みを重視した体力・健康づくりを推進してま いります。 2つ目は、「競技スポーツの充実」であり ます。各種スポーツ団体の活動や競技者の大 会出場等の支援をし、競技力の向上を図ると ともに、スポーツ大会を支援するボランティ アの拡充を通して、町民があらゆる形でスポ ーツ活動に参加できるよう努めてまいります。 5 社会教育施設の整備・充実 町民が安全で快適に各施設を利用できるよ う、適切な維持管理と修繕等の整備に努める - 13 - とともに、自主的な活動の活性化を促進する ため、以下の2点を重点として推進してまい ります。 1つ目は、「施設の長寿命化を図る保全・ 管理」であります。きめ細かな施設の点検や 定期的な点検に意を用い、適切な補修・改修 を継続的に進めて、施設の長寿命化を図って まいります。 2つ目は、「施設の活性化を図る工夫・改 善」であります。利用者のニーズに対応した 施設の運営管理に努めるとともに、スポーツ 施設については、指定管理者の力を十分に生 かし、住民サービスの一層の向上と利用拡大 に努めてまいります。 - 14 - Ⅳ おわりに 以上、平成28年度の教育行政の執行に係る基 本方針と主要な施策について述べてまいりました が、その実現に当っては、計画の後期5年目を迎 えた新教育行政のスキームとその実践プランを継 続的に推進していくことであると考えております。 さて、私たちが出会う10年後、20年後の社 会とは、いったいどんな社会なのでしょうか。そ れは、グローバル化の進展が社会に多様性をもた らし、急速な情報化や技術革新が人間生活を質的 に変化させる社会であると思われます。 そんな社会の中で起こり得る具体的な事象とし ては、大学を卒業した方々の65%が今は存在し ない職業に就き、今の仕事の47%が自動化され ている可能性があると言われています。 予測できない未来に対応するためには、社会の 変化に受け身で対処するのではなく、他者や社会 - 15 - と主体的に向き合って関わり合い、その過程を通 して一人ひとりが自らの可能性を最大限に発揮し、 よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していく ことが重要であります。 昨年、日本を大いに盛り上げてくれたことの一 つに、ラグビーのワールドカップがありました。 南アフリカ戦での試合終了間際の逆転トライは、 年間表彰でもファン投票で「W杯最高の瞬間」に 選出され、日本中を感動の渦に巻き込みました。 何度止められても「絶対に勝つ!」とボールを 大切につなぎ続ける姿を目の当りにし、「一人は みんなのために みんなは一人のために」と言わ れる所以を実感しました。 これは、我々が想像を超える新たな事態に直面 しても、他者や社会と主体的に関わり合う中で、 一人ひとりが可能性を発揮して役割を果たし、結 果として他者や社会に貢献していく姿と同様であ - 16 - り、私たちに共通する精神(スピリット)だと感 じます。 この心づくりの根源は、自分の足元を見つめ直 し、角度を変えてものごとを見つめ、他人のため に汗を流すことができる人の育成をめざす「ふる さと教育」であり、これからも自信を持って推進 してまいりたいと考えております。 議員並びに町民の皆様には、今後とも、特段の ご理解とご協力を賜りますよう心からお願いを申 し上げ、教育行政執行方針といたします。 - 17 -
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