単純接触効果の発展的話題

2016/6/13
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はじめに
単純接触効果の研究
について
今回の研究は・・・
イヤな刺激でも単純接触効果?
→刺激をイヤだと思う人と思わない人で比べてみよう
博士前期課程2年
社会心理学研究室
⇒(結果として)個人差の研究
山本晶友
単純接触効果の個人差研究でおもしろい(と独断で思う)ものを紹介
単純接触効果そのものについても少々
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目次
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退屈傾向と単純接触効果
単純接触効果「接触すればするほど好きになる」
退屈傾向と単純接触効果
⇒飽きるじゃん
親の特性と単純接触効果
①接触するほど好きになる
単純接触効果のおもしろいところ
②接触するほど飽きる(好ましさが低下する)
という2要因があるだろうという説を検証
退屈傾向と単純接触効果
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退屈傾向と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
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退屈傾向と単純接触効果
Bornstein, Kale, & Cornell (1990)
Bornstein, Kale, & Cornell (1990)
退屈の感じやすさを尺度で測定⇒平均値をもとに高 / 低群にわけた
「視覚刺激への反応についての研究です」
図形のカードを呈示
0回、1回、2回、5回、10回、25回、50回
⇒その後、図形について「好きー嫌い」「興味深いー退屈な」を評定
2項目の平均を好ましさの指標に
退屈傾向と単純接触効果
親の特性と単純接触効果
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
好
ま
し
さ
の
指
標
の
得
点
退屈傾向低群
退屈傾向低群は右上がりになった
(=単純接触効果)
退屈傾向高群
退屈傾向高群は右上がりにならず!
刺激の呈示頻度
退屈傾向と単純接触効果
飽きっぽい人は
単純接触効果が生じない…?!
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
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2016/6/13
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目次
退屈傾向と単純接触効果
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親の特性と単純接触効果
親がアルコール中毒な人はそうでない人よりも
アルコール中毒になりやすい
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
親がアルコール中毒なのかどうかによって
アルコールでの単純接触効果の生じ方が変わるのか検討
退屈傾向と単純接触効果
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親の特性と単純接触効果
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
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親の特性と単純接触効果
Newlin & Pretorius (1991)
Newlin & Pretorius (1991)
父がお酒を飲む程度を
味が異なり色が同じな4種のワインを用意
「禁酒」「かすかに」「適度に」「重度」から選ばせる
「苦さ味覚と遺伝の関係についての研究です」
「禁酒」⇒分析から除外
A
A
・・・・・・・・・
「かすかに」⇒尺度の回答で該当ゼロなら父が非アル中な群
B
B
・・・・・ B
5回
「適度に」「重度」⇒尺度の回答で基準以上なら父がアル中な群
C
C
・・・・・ C
5回
A
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
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親の特性と単純接触効果
父が非アル中な群は
20回のワインを好む
(=単純接触効果)
Newlin & Pretorius (1991)
□父が非アル中
■父がアル中
好
ま
し
さ
の
指
標
の
得
点
父がアル中な群は
単純接触効果認められず
(むしろ0回のワインをやや好む!)
20
5
5
0
退屈傾向と単純接触効果
A
味見して
苦さを評定
B
C
D
それぞれ
好ましさを評定
0回
D
退屈傾向と単純接触効果
20回
親の特性と単純接触効果
目次
単純接触効果のおもしろいところ
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退屈傾向と単純接触効果
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
アルコール中毒の父を持つ人は
酒の単純接触効果が生じない…?!
飲んだ頻度(左ほど頻度が高い)
退屈傾向と単純接触効果
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
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2016/6/13
単純接触効果のおもしろいところ
なぜ好き?
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現実の“好き”には
色々な理由がある!
よく見る
動きが
面白い
周囲の人も
好き
癒し系な
キャラデザ
単純接触効果は
それらに比べたら
そんなに大きくない理由
かもしれない
退屈傾向と単純接触効果
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
単純接触効果のおもしろいところ
そもそも
報酬がない
(条件づけなし)
報酬がある
(条件づけ)
退屈傾向と単純接触効果
引用文献
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よく見る
周囲の人も
好き
動きが
面白い
周囲の人も
好き
退屈傾向と単純接触効果
動きが
面白い
癒し系な
キャラデザ
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
単純接触効果のおもしろいところ
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Ariely (2009 熊谷訳 2013)
報酬がある
(条件づけ)
よく見る
報酬がある
(条件づけ)
「よく見る」以外の要素が全く同じキャラがいたとしたら
癒し系な
キャラデザ
でも・・・
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単純接触効果のおもしろいところ
周囲の人も
好き
社会科学の実験は顕微鏡やストロボのようなもの
人間の行動をコマ送りで見られるようにする
動きが
面白い
癒し系な
キャラデザ
親の特性と単純接触効果
それぞれの力を切り分けて詳細に調べる
条件づけの起こらない
要因が選好を決める!
単純接触効果のおもしろいところ
単純接触効果の研究も人間の行動のヒトコマに焦点をあてたもの!
退屈傾向と単純接触効果
親の特性と単純接触効果
単純接触効果のおもしろいところ
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退屈傾向が高いと単純接触効果が見られない
Bornstein, R. F., Kale, A. R., & Cornell (1990). Boredom as a limiting condition on the mere exposure
effect. Journal of Personality and Social Psychology, 58, 791-800.
父親がアルコール中毒だとワインで単純接触効果がおこらない
Newlin, D. B., & Pretorius, M. B. (1991). Nonassociative mechanisms in preferences for alcoholic
flavors: Differences between sons of alcoholics and sons of nonalcoholics. Addictive Behaviors,
16, 481-487.
実験は顕微鏡やストロボだ
Ariely, D. (2009). Predictably irrational, Revised and expanded edition: The hidden forces that shape
our decision New York: HarperCollins publishers. (アリエリー, D. 熊谷淳子 (訳) (2013). 予想通り
に不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 早川書房)
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