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氏名
大迫 一史 Osako, Kazufumi オオサコ カズフミ
所属・役職
海洋科学系 食品生産科学部門 食品品質設計学講座・准教授
研究分野
(キーワー
ド)
食品加工学 食品貯蔵学 環境と一体化した食品加工業 伝統食品 新規加工品開発
東南アジア 磯焼け
研究1:海洋環境保全のための水産加工に関する研究
「磯焼け」と言われる日本各地で見られる藻場の消失が大きな環境問題として存在します。藻場は
「海のゆりかご」とも言われ,沢山の種類の魚の赤ちゃんの生育場として非常に重要な役割を担っ
ていますが,これが消失することは水産資源の減少に繋がります。原因生物として,アイゴやガン
ガゼといった海藻を餌とする生物が近年増えていることが指摘されています。解決策として,これ
らの生物を漁業の一環として漁獲してしまえばいいのですが,一方で,これらの生物は肉に臭いが
あったり,味が悪いといったことから漁獲してもその利用価値が低いという大きな問題があります。
漁獲してもお金にならなければ漁師さんたちもこれを獲ろうとは思わないからです。
アイゴ Siganus fuscescens
ガンガゼ Diadema setosum
そこで,現在
① 磯焼けの原因となる生物はなぜ商品価値が低いのか,味が悪い?臭いがよくない?
ということを明らかにしたうえで,
② なぜ味が悪いのか?なぜ嫌な臭いがするのか?その原因物質は何か?
ということを研究します。次のステップとして
③ その物質を取り除く,あるいは別の好ましい物質に変換するためにはどのような方法がある
か?
ということを研究し,最終的には
④ どのような加工品に加工したらおいしく食べることができるか?
といった,加工法の開発をします。
このような研究によって,漁師さんたちが漁獲したくなるように利用価値が低い生物の価値を上げ,
最終的には「磯焼け」という大きな環境問題の解決の一助になることと考えています。
研究2:生分解性フィルムの開発
環境にやさしい生分解性フィルムの開発に関する研究を行っています。現在世の中には合成高分子
(プラスティック)を原料としたフィルムが主流ですが,これは低温で焼却時にダイオキシンが発
生したり,また,環境中に捨てられた場合そのまま残ってしまうという問題があります。これを解
決するために,水産加工ゴミ(魚の骨や皮など)を原料とした,環境中に捨てられても微生物が分
解可能なフィルムの開発に関する研究を行っています。
研究3:その他
上記以外にも,社会からの要請があり,当方で対応可能な技術開発についてはその時々に応じて研
究しています。現在,民間企業や都道府県の研究機関などと共同研究を行っており,そのうちいく
つかは実際に商品として世の中で販売されています。
遠い将来をしっかり見据えた基礎的な研究とともに,現在の社会が目の当たりにしている問題を解
決することによって世の中に貢献し,また,これらの研究を担う学生にとっては大きな遣り甲斐に
なるものと考えています。
教育
学部の教育として,食品貯蔵学を中心に,生物化学Ⅰ,化学実験,食品工学演習,食品工学実験,
食品生産科学入門実験,食品生産学実習などの講義や実験を,また,大学院では食品加工技術論な
どの講義を行っています。
毎年私の元には,卒論生は3名程度,また,博士前期課程は5~7名,後期課程は4~5名が在籍し
ています。
また,外国からの留学生も積極的に受け入れており,日常会話に英語が飛び交う国際的な研究室で
す。
社会貢献活動
全国各地の水産加工業者の方から電話やメールで新商品開発の相談などに随時乗っております。ま
た,場合によっては,相談をいただいた方のところまで赴き,現場で直接協力しております。
また,国際協力機構(JICA)などから依頼され,日本の水産加工技術を海外の技術者に供与をす
るために,外国で講義や指導を行うといったこともしています。
学生の
みなさんへ
私の研究は食品加工学ですが,これを行うためには,化学,生物,および物理の知識が必要
です。また,論文を書いたり読んだり,外国の方とコミュニケーションをとるのには英語の
習得が必要です。こうした基礎的な知識や体力は,中学校や高校でしっかりと身につけてく
ださい。
企業・法人
のみなさん
へ
水産加工についてのご相談や共同研究等のご相談は随時受け付けております。
産学・地域連携推進機構の研究者総覧DBは下のとおりです:
<http://olcr.kaiyodai.ac.jp/db/profile.php?yomi=OSAKO,Kazufumi>
HP等
食品加工学研究室のHPです<http://www2.kaiyodai.ac.jp/~osako/index.htm>