FRB 6 の利上げ 送り 〜利上げペース、最徐 への減速を強く 唆

ベアリング
インベストメント・アップデート
2016 年 6 ⽉ 16 ⽇
⽶ FRB 6 ⽉の利上げ⾒送り
〜利上げペース、最徐⾏への減速を強く⽰唆
ベアリング・アセット・マネジメント・リミテッド
グローバル債券チーム
円ベース・ポートフォリオ構築グループ
要旨

FRB は 6 ⽉の FOMC で利上げ⾒送り 〜最徐⾏運転を強く⽰唆

英国の EU 離脱問題が海外懸念材料に追加

⻑期均衡 FF レートも下⽅修正

⽶国 10 年国債利回りのコアレンジは 1.3%〜1.8%に再度下⽅シフトへ
えてきていることも同時に⽰されました。市場のコ
最徐⾏運転を強く⽰唆
ンセンサスである年内 1 回の利上げに FRB が歩み寄
⽶連邦準備制度理事会(FRB)は 6 ⽉ 15 ⽇まで開
った格好になりました。
催した⽶連邦公開市場委員会(FOMC)で、⼤⽅の
予想通り、政策⾦利の据え置きを決定しました。同
前回 3 ⽉に年内の利上げ⾒通しが 4 回から 2 回に下
時に公表された FRB 当局者 17 名の経済・⾦利⾒通
⽅修正されましたが、今回 6 ⽉に再度、実質的な利
しの分布(いわゆるドット・チャート - グラフ 1)
上げペースの減速が⽰されたことになりました。弊
では、当局者の⾒通し中間値として、年内 2 度の 25
グループでは、FRB の昨年12 ⽉の利上げを「⾒切
ベーシスポイント(bps)利上げを⾒込んでいるこ
り発⾞的」とし、発⾞後の利上げペースについて、
とが⽰されましたが、前回 3 ⽉には 1 名しかいなか
「最徐⾏が求められる」とみていました。今回のド
った年内 1 度のみの利上げを⾒込む当局者の⼈数が
ット・チャートの形状変化は弊グループの読み通り、
6 名に急増しており、FRB 内部では、今後の利上げ
FRB が最徐⾏モードに⼊ったことを⾃ら⽰したもの
ペースが鈍化することを⾒通しているメンバーが増
とみています。
グラフ1:ドット・チャート
(FRB メンバーによる FF ⾦利誘導⽬標⽔準⾒通しの分布図)
出所:Board of Governors of the Federal Reserve System
情報提供⽤資料
声明⽂では、「労働市場の改善ペースが鈍化したも
⻑期均衡 FF レートも下⽅修正
のの、経済活動全体の拡⼤ペースは⾼まった」とし
てバランスを取った格好ですが、その後のイエレン
FRB が⾦融緩和からの出⼝を進んで⾏き、最終的に
総裁の会⾒では、「完全雇⽤に近づけば、雇⽤者数
政策⾦利である FF レートをどの程度まで引き上げら
の伸びは鈍化していくのが普通だが、この数ヶ⽉の
れるかを⽰す、⻑期均衡 FF レート⽔準の⾒通しは、
伸びは低すぎる」ことを気にかけている姿勢が浮き
前回の 3.25%から 3.00%まで引き下げられました。
彫りになりました。7 ⽉に公表される 6 ⽉の⽶国雇
この数値も前回 3 ⽉に続き下⽅修正されています。
⽤統計が注⽬されますが、ここもとの雇⽤者の伸び
⻑期均衡 FF レートは、⽶国経済が健全な状態に戻っ
鈍化は鮮明で次回の雇⽤統計でトレンドが急回復す
た場合の景気に中⽴的な政策⾦利⽔準と⾔い換えら
ることは望みがたい状況です。イエレン総裁は「全
れますが、この⽔準が引き下げられたことは⽶国⾃
ての会合で利上げが議題に上がらない会合はない」
体の基礎体⼒の低下を⽰すものです。世界経済が⻑
としていますが、FRB としては雇⽤改善の持続性を
期停滞の様相を鮮明にする中、⽶国⾃体もその影響
確認してから利上げを市場に織り込ませていく作業
を免れないことを FRB も認めざるを得なかったもの
が必要になることから、次回 7 ⽉の FOMC での利上
と考えます。中⻑期的な成⻑期待を反映して市場で
げの可能性はほぼ消滅したと判断できます。
決まる⻑期⾦利の⽔準も⼀段と低い⽔準の⽬線で捉
える必要がありそうです。
英国の EU 離脱問題が海外懸念材料に追加
⽶国 10 年国債利回りのレンジは再度下⽅シフトへ
英国の欧州連合(EU)離脱のリスクも議論したこと
が会⾒で明らかにされました。これまで海外情勢と
弊グループでは、前回 3 ⽉の FOMC で打ち出された、
して意識されていたのが、①中国株下落、②欧州の
①利上げペース年2回に減速+②⻑期均衡 FF レート
⾦融システム不安台頭、③新興国経済、④原油価格
の下⽅修正の合わせ技で、⽶国の 10 年国債利回り
の先⾏きの不確実性、などでしたが、今回英国の問
のコアレンジの⾒通しを 1.5%〜2.0%に下⽅シフト
題が新たに加わりました。同国の EU 離脱を巡る国
させました。併せて「海外の経済・⾦融情勢」が⽶
⺠投票は 6 ⽉ 23 ⽇に控えていますが、離脱となっ
国経済⾃体の景気後退リスクを⾼める状況になれば、
た場合の不確実性、僅差で残留となった場合の英国
下限の 1.5%を割り込んで⻑期⾦利が低下する展開
国内での政治的なしこり、他の EU 加盟国への政治
も想定できるものと予想しました。今回の FOMC で
的な影響など様々な要因が 23 ⽇の国⺠投票後も引
の注⽬点は、①利上げペース最徐⾏の確認+②⻑期
続き、海外情勢の懸念材料の⼀つとして⽶国の利上
均衡 FF レートの下⽅修正、の 2 点です。⽶国の 10
げのハードルになっていくものと考えられます。
年国債利回りの今後のコアレンジは 1.3%〜1.8%に
⼀段下⽅シフトしていくものと⾒ています。
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Date Complied(東京): 2016 年 6 ⽉ 16 ⽇
Ref No. M20162Q53
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