第2章 盛土計画 13 第2章 1 盛土計画 法面勾配 盛土の法面勾配は、法高や盛土材料の種類に応じて適切に設定し、原則として30度 (約1:1.8)以下とすること。ただし、土質試験等に基づき地盤の安定計算をした 結果、崖の安定を保つために擁壁の設置が必要でないことが確かめられた場合は、この 限りでない。(政令第6条第1号ロ) 2 盛土法面 (1)盛土法面の勾配は30度以下とし、法面の高さは5mごとに幅1∼2m以上の小 段を設けること。なお、法面の最大高さは、原則として15m以下とすること。 (2)小段には排水のため、下段の法面と反対方向に2∼5%程度の下り勾配を付ける こと。 (3)盛土法面の高さが5mを超える場合は、「宅地防災マニュアルの解説(第二次改 訂版)」(宅地防災研究会編集)により、法面の安定計算を行い、安全性を検討す ること。この際、安全率が常時で1.5以上、地震時(大地震時)で1.0以上と し、計算を行うこと。 (4)法面の長さが合計20m以上となる高盛土については、原則として少なくとも法 長の1/3以上は擁壁工、法枠工等とすること。 水勾配 5m 以下 30°以下 小段W=1∼2m 30°以下 小段W=1∼2m 排水層 盛土 5m 以下 排水層 5m 以下 30°以下 排水溝 排水層 図2−1 盛土計画 14 排水層勾配 モルタル又はコンクリート 5∼6% 小段勾配2∼5% 排水層 0.3∼0.5m 1~2m 図2−2 小段拡大図 3 盛土地盤の改良等 盛土造成地では、区域内の地盤沈下や地盤のすべりが生じないよう、また区域外への 盛土造成による被害を防止するため、土の置換えや水抜きなどの措置を講ずることが必 要な場合がある。 よって、宅地造成工事を実施する際には、既存資料や事前の地質調査の結果等から十 分な検討を行い、災害の防止を図るよう計画すること。 4 軟弱地盤対策の検討 宅地造成工事を実施する箇所において、軟弱地盤が存在する場合には、造成計画によ る地盤沈下、地盤のすべり等の検討を行い、必要に応じ、対策を講じること。なお、軟 弱地盤の目安、軟弱地盤の検討、対策については、「宅地防災マニュアルの解説(第二 次改訂版)」(宅地防災研究会編集)により行うこと。 5 盛土の材料と転圧 (1)盛土材料は、有機質土等を除いた良質土を使用すること。 (2)現場において、切土からの流用土や付近の土取場からの採取土を使用する場合に は、これら現地発生材や採取土の性質を十分把捉し、施工性、経済性等を勘案して、 適切な施工を行い品質のよい盛土を築造すること。 (3)盛土に雨水その他の地表水又は地下水の浸透による緩み、沈下、崩壊又は滑りが 生じないように、まき出し厚さおおむね30cmごとにローラーその他これに類す る建設機械を用いて締め固めを行うこと。 15 6 段切り 法勾配が15度(約1:4)程度以上の傾斜地盤上に盛土する場合は、高さ50㎝、 幅1m程度以上の段切りを設けること。 図2−3 傾斜地盤上の段切りと排水処理 7 排水 (1)小段、法尻には、必要に応じて排水溝を設置すること。 (2)法肩付近の地表面には、法面と反対方向に適当な勾配を付けること。 (3)高盛土における小段からの排水は、縦排水溝を設置し流末へ導くこと。 (4)雨水その他の地表水又は地下水の浸透による緩み、沈下、崩壊又は滑りが生ずる おそれのある盛土の場合には、盛土内に地下水排除工を設置して、盛土の安定を図 ること。 1 : 3.0 図2−4 排水溝 16 1 : 3.0 図2−5 部分的に湧水のある場合の盛土における排水構造の例 8 盛土全体の安定性の検討(大規模盛土造成地) (1) 盛土の規模が次に該当する場合は、盛土全体の安定性を検討するものとする。 ① 谷埋め型大規模盛土造成地 盛土をする土地の面積が3,000㎡以上であり、かつ、盛土をすることによ り、当該盛土をする土地の地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超え、盛土 の内部に浸入することが想定されるもの。 図2−6 谷埋め型大規模盛土造成地の例1 17 図2−7 谷埋め型大規模盛土造成地の例2 ② 腹付け型大規模盛土造成地 盛土をする前の地盤面が水平面に対し20度以上の角度をなし、かつ、盛土の 高さが5m以上となるもの。 図2−8 腹付け型大規模盛土造成地の例 18 (2) 安定計算の方法 盛土の安定については、常時で安全率1.5以上を確保するとともに、大地震時 で安全率1.0以上となることを確認すること。その際、谷埋め型大規模盛土造成 地の安定性については二次元の分割法、腹付け型大規模盛土造成地の安定性につい ては二次元の分割法のうち簡便法により検討することを標準とする。 (3) 設計強度定数 安定計算に用いる粘着力(C)及び内部摩擦角(φ)の設定は、盛土に使用する土 を用いて、現場含水比及び現場の締固め度に近い状態で供試体を作成し、せん断試 験を行うことにより求めることを原則とする。 (4) 間げき水圧 盛土の施工に際しては、地下水排除工を設ける等して、盛土内に間げき水圧が発 生しないようにすること。 19 20
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