Title Author(s) Citation Issue Date URL 線状構造の動的不安定性 : 暴れるホースのモデル(基研研 究会「非平衡系の新局面-運動・機能・構造-」,研究会報 告) 島, 伸一郎; 水口, 毅 物性研究 (2001), 77(2): 320-321 2001-11-20 http://hdl.handle.net/2433/97107 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 研究会報告 ㍑線状構造の動的不安定性 一暴れ るホースのモデル一門 京大理 島 伸一郎、水口 毅 線状の構造 を持つ物質の示すパ ターンや運動は、様 々な分野において興味深い振舞 を示す。例 えば 、物理化学における鎖状高分子の振舞。流体力学における渦糸の構造や ダ イナ ミクス 。 生物学においては現象は ミクロか らマクロのスケールにわた り、DNA の振舞 、タンパ ク質の折 り畳み、繊毛の脈打 ち運動 、蛇の運動 、などがあげ られ る。こ れ らは本質的に非平衡現象であ り、弾性 、外力 、散逸 といったい くつかの要因がバ ラ ンスして起 こる。そ こで 、そこには各系の詳細 によらない、非平衡系特有の普遍的な 法則が見 出され るのではないか と期待 され る。 具体的な系 として、流体が流れていて、その吐 き出し口が 自由端になっているチュー ブの運動 について考える。その身近 さか らか様 々な研究が なされてお り、流量 を大 き くしてい くと、ある臨界値でその まっすぐな状態は不安定化 し、チューブは左右に振 動 し出す事が理論的に も実験 的に も知 られている。 しか し、今 までの研究で使われて 来た理論モデルは、厳密ではあるが微小振幅に対 してのみ有効であ り、また、その吸 い込み口の境界条件 もかすが い止め された ものに特化 している。そこで我 々は、現象 論的なアプ ローチをとることによ り、任意の振幅 、そ して 、よ り一般的な吸い込み口 の境界条件 について成 り立つモデルを作 った。 まず 、考える系 を明 らかにする。流体が流れていて、その吐 き出し口が 自由端になっ ているチューブ を考える。運動は二次元平面内に拘束 されていて、重力は働いていない もの とする。チューブの長 さは一定であるとする。また、チューブ を一次元的な物 とし て考え、その太 さは運動 に影響 を与えない とする チューブに働 く力は次の四種類 を 。 1 )まっすぐな形か らの曲 り具合に応 じて働 く弾性力 。( 2 )流体の速度は一定 考える。( とし、チューブ上の各点における流体の運動量の変化が及ぼす横方向の力 。( 3 )チュー ブの運動 に反 して働 く抵抗力 。( 4 )長 さが不変な事か ら来る束縛力。また、吸い込み口 の典型的な境界条件 として次の二種類 を考える。( 1 )かすが い止め した場合。つ ま り、 吸い込み口の位置 も方向 も固定する。( 2 )蝶番止め した場合。つ まり、位置のみを固定 し、全体が 自由に回転で きるようにする。 このような系 に対 し、Ⅳ 個の切片 を弾性的な関節でつないだ離散的モデルを導入 し、 その発展方程式 を導 く。最終的に、Ⅳ う ∞ の連続極限をとることで 、連続的発展方程 式 を非線形微分積分方程式 として導 く事がで きる 。 これは任意の振幅に対 して成 り立 ち、強 く非線形な振舞 をも記述で きる。かすがい止め と蝶番止めの違いは境界条件の 違い と言 う形で反映 され る。 次に、得 られたモデルの示す振舞 を流量を、コン トロールパ ラメタとして解析する 。 - 3 20 - 「 非平衡系の新局面 一運動 ・機能 ・構造 -」 発展方程式 は 、チューブが完全に まっす ぐな まま動か ない と言 う解 を、任意の流量 に 対 して持つ。そ こで 、この 自明な解の線形安定性解析 を行 った 。 その結果 、かすがい止 めにした ときは 、流量が ある臨界値 を越 えると Hopf分岐をおこし、チューブは左右 に 振動 し出す事が予想 され る。これは従来の結果 と一致す る。 また 、蝶番止 めに した時 ds t oneモードを伴 った熊手分岐を起 こし、チュー は 、流量が あ る臨界値 を越えると Gol ブは固定 され た吸い込み 口を中心に回転 し出す ことが予想 され る。 実際に数値 シ ミュレーシ ョンを行 うことで 、この振舞 を確認 した。分岐直後の典型 的な振舞 は図 1に示す通 りである。 さらに流量 を大 き くした ときの系の振舞 について言及 したい。数値 シ ミュレーシ ョ ンに よる解析 に よると、かすがい止め したチューブは周期倍分岐 を次 々と起 こした後 カオスに至 るようであ る。 また、蝶番止め したチューブは二番 目の分岐 としてに Hopf 分岐 を起 こした後 、周期倍化 して行 きカオスに至 るようである。 また 、我 々のモデルは流体 を吸い込んだ時のチューブの振舞 に対 して興味深い示唆 を与 える。 流体か ら受け る力 として 、我 々は運動量の変化のみ を考えてい る。 その結 果 、吸い込んだ ときと吐 き出した ときとでチューブは全 く同じ振舞 をす るこ とが予想 され る。 t -0. 75 1 . 0 ノ t . / {\ 5 t -2. 25 」 t -3. 00 t =9. 0 t -1 8. 0 J \ ) ノ ド ■\_ メ/ t -3. 75 t 4. 50 t -5. 25 t -6. 00 、\ t =45. 0 1 . 0 X _ 1 . 0 X I . 0 t -27. 0 t -5 4. 0 t -63. 0 t -36. 0 ′ → // \ 、ノ t -72. 0 1 . 0 図 1 :臨界 を越 えたあ る流量 におけ るチューブの運動 を、各時刻 tにおけ るスナ ップ a )吸い込み 口の方向 を固定 した シ ョットとして表示 した 。 黒丸は吸い込み ロを表す。( b)吸い込み口の方向を自由に したチューブは回転 し チューブは左右 に振動 し始め る。( 始め る。 - 321-
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