講演資料

地方創生と新年度の施策について
平成28年6月15日
新潟県知事
泉田 裕彦
「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」の全体像
Ⅰ. 地方創生をめぐる現状認識
1. 我が国の人口減少の現状 ・・・ 人口減少に歯止めがかからない(H26出生率1.42、年間出生数約100万人)
2. 東京一極集中の傾向
・・・ 東京圏へ11万人の転入超過(H26) 若者層(特に若年女性)が流入
3. 地域経済の現状
・・・ 雇用・所得面で改善の一方、消費の回復に遅れ。人手不足も顕在化
【中長期展望】
Ⅰ 人口減少問題の克服
◎ 2060年に1億人程度の人口を維持
Ⅱ 成長力の確保
◎ 2050年代に実質GDP成長率
1.5~2%程度維持
Ⅱ. 地方創生の基本方針
~ 地方創生の深化 ~
1.総合戦略策定から事業推進段階へ
2.「地方創生の深化」を目指す
- ローカル・アベノミクスの実現 -
① 「稼ぐ力」を引き出す
② 「地域の総合力」を引き出す
③ 「民の知見」を引き出す
3.新たな「枠組み」「担い手」「圏域」
づくり
Ⅲ. 地方創生の深化に向けた政策の推進
1.地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする
〇
〇
〇
〇
生産性の高い、活力溢れた地域経済実現に向けた総合的取組
観光業を強化する地域における連携体制の構築
農林水産業の成長産業化
地方への人材環流、地方での人材育成、雇用対策
2.地方に新しい人の流れをつくる
〇
〇
〇
〇
地方移住の支援
企業の地方拠点強化、地方採用・就労の拡大
政府機関の地方移転
地方大学等の活性化 など
3.若い世代の結婚・出産・ 子育ての希望をかなえる
〇 少子化対策における「地域アプローチ」の推進
〇 若い世代の経済的安定
〇 出産・子育て支援、働き方改革
4.時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、
地域と地域を連携する
1
新潟県の人口の推移と見通し
万人
260
238
240
2060(平成72)年 214万人
220
200
1997(平成9)年 249万人(ピーク)
国立社会保障・人口問題研究所推計
(H19.5推計 187万人
→ H25.3推計 190万人)
2035年
214
214
2060(平成72)年 194万人
194
3万人の上振れ
180
180
国立社会保障・人口問題研究所推計(平成25年3月推計)
社会動態のみ改善(平成7年並の社会増)
自然動態のみ改善(理想とする子どもの数を持てる社会)
140
実績(1960~2014年)
169
2060(平成72)年 180万人
148
自然動態改善(理想とする子どもの数)+社会動態改善
自然動態のみ改善(年間3万人が生まれる社会)
192
168
国立社会保障・人口問題研究所推計(平成19年5月推計)
160
212
2060(平成72)年 148万人
134
2060(平成72)年 134万人
120
1960196519701975198019851990199520002005201020152020202520302035204020452050205520602065207020752080208520902095210021052110
(注)実績は、総務省統計局「国勢調査」等による。(各年10月1日現在の人口)
年
2
AI・IoTの活用促進
○生産性の向上、革新的なサービス・製品の創出による付加価値向上が期待されているAI・IoTの活用
を促進し、新たなビジネスモデルへの転換を図る県内企業を育成する。
○人手不足等が課題となっている分野の効率化を図るため、AI・IoTを導入し効果検証を通じた実証を
行う。
現状・課題
対応
・全国的に高齢化が進む中で様々な産業で人手不
足が生じている状況
・AI・IoTの活用により1人当たりの生産性 向上
を図る
AI・IoT技術の進歩
・情報処理能力の向上
・ディープラーニング
等の技術の進展
・UIJターン希望者からは「仕事がない」という声あり
雇用のミスマッチが発生
県の取組
《研究会の開催》
・ 企業や大学等が幅広く参画するセミナーや勉強会を開催し、AI・IoTの現状や活用方法等について情報共有や
研究を実施
《AI・IoTの導入実証》
・ 意欲的な企業によるAI・IoTを活用したモデル実証を通じた効果検証を実施
・ 人手不足が課題となっている建設現場等における負担軽減や作業の効率化につながるシステムを開発し、活用
に向けた実証を実施
取組事例を県内に波及させAI・IoTの活用を促進
生産性の向上
産業の高付加価値化
人手不足解消
3
起業・創業の促進
現状
H28の取組
○本県の開業率は全国42位と低位
(H26雇用保険事業年報)
○金融機関の積極的な貸出姿勢などを背景に、
創業意欲の高まりが見られ、創業融資が増加
傾向(日本政策金融公庫新潟支店)
起業に向けた取り組みを幅広く支援
■ U・Iターンによる起業の促進
■ 若者・女性を中心とした身近な幅広い起業の促進
NICOと連携した計画段階から起業後の経営安定化に至るまでの伴走型支援
ベンチャー企業の発掘・育成
・革新的ビジネス(新規性・成長性等)に対する助成
・創業準備オフィスの提供
幅広い起業を促進
・「起業チャレンジ奨励事業」等による創業支援
・ U・Iターンによる起業、若者・女性による創業を加速化
・「創業等支援資金」による金融支援【県制度融資】
意識醸成
・「創業セミナー」等による起業意識の醸成
4
地 場 産 業 の 振 興
○ 各産地、各業種、個別企業ごとに、多岐にわたる課題が存在
○ 各産地等の状況をきめ細かく反映した、オーダーメイド的な支援を実施
産 地 の 現 状 と 課 題 及 び 地 場 産 業 へ の 支 援
【産地の現状】
・ ライフスタイルの変化や新興国の台頭などにより
製造品出荷額は長期的減少基調
・ 国内市場の縮小による海外への販路開拓
・ 産地ブランド化の推進による製品の高付加価値化
【産地の主な課題】
・ 経営者の高齢化、後継者不在にともなう廃業加速
・ 職人の高齢化による工程維持・労働者確保
・ 輸入品拡大による売上低迷
・ 営業力、企画販売力の不足
・ 産地ブランド力の強化
技術
各産地が抱える課題
資金
中長期
的対応
○ 「地場産業振興
計画」策定支援
○ 計画に基づく
取組支援
産地の計画実現をサポート
市場
人材
情報
スポット
対応
産労部の各施策活用
・ 工技総研(技術指導等)
・ テクノスクール
(地場産業向けカリキュラム)
・ 販路開拓補助(既存事業)
・ 外部人材活用(NICO)
・ 制度融資(産労部ほか)
今 年 度 の 主 な 取 組
産地の中長期的な取組への支援
産地が策定する振興計画等に基づく様々な課題解決に向けた取組を支援し、地域経済の活力強化
を図る。
小規模産地の維持・強化に向けた支援
「最後者利益」の獲得につなげるため、規模や市場が小さい産地や伝統工芸品産地等の人材育成や
販路開拓等の取組を支援
5
新潟版グリーンニューディール政策の推進
○新潟版グリーンディール政策とは、再生可能エネルギーの導入を促進し、環境問題への対応と県内
産業振興を図るもの
【政策プラン目標】再生可能エネルギー発電能力を平均需要電力(1,924,941kW)まで増加(H28)
H23時点:92%
(目標差154,935kW)
本県地域資源
の特徴(強み)
H26時点:99.7%
(目標差5,007kW)
H27~H28見込:3ポイント+α増加
これまでの取組
今後の展開方向
再エネ電気
太陽光
・太平洋側と同等量の発 ○県直営のメガソーラー
電可能
○県有地を活用した民間メガソーラー立地
海エネ
・長大な海岸線(海流や
洋上風力発電の適地)
○海流発電装置開発と実証
○国実証フィールドに粟島沖が選定
○海流ポテンシャル調査
●海流発電装置の規模拡大、実証
●洋上風力発電のポテンシャル調査
地 熱
・全国3位の温泉地数
○地熱ポテンシャル調査
○バイナリー地熱発電実証(松之山温泉)
●地熱発電の導入促進
・バイナリー地熱発電調査(糸魚川温泉)
○小水力ポテンシャル調査
○県直営の水力発電(売電利益の確保・還元)
●小水力発電の導入促進
・農業用水路・ダム等
水力・小水力 ・全国4位の水資源量
再エネ熱
雪冷熱
(データセンター)
地中熱
●電力安定化の方策を研究
(EVリユース蓄電池活用)
・首都圏から好アクセス
○雪冷熱データセンター適地調査(4適地選定)
の豪雪地(立地の適地) ○立地事業着手(津南町)
●雪冷熱効果の検証
●データセンターの立地促進
・関連事業者の集積
(製品・掘削)
●地中熱設備の導入促進
○関連事業者の普及啓発活動を支援
【今後の展開方向】 ・多様な地域資源の活用可能性を追求
⇒
・太陽光発電における出力制御に対応
⇒
海洋エネルギー(海流・洋上風力)
再エネ熱(雪冷熱・地中熱)
「EVリユース蓄電池」研究
6
DMO形成促進
国(観光庁)
県の取組
観光地域づくりの舵取り役としての役割を果た
す、日本版DMO(Destination Management/marketing
Organization)候補法人の登録制度を創設
(平成27年12月)
観光地経営の視点に立ち、多様な関係者と
連携しながら、地域の資源や人材を生かした
地域づくりに取り組むDMOが多く形成される
形成
促進
よう支援
○ 担い手育成や組織のコンセンサス形成、
必要となる調査・分析等への支援
○ ビッグデータを活用した旅行者の動向
分析・情報提供
○ 複数のDMOによる連携の可能性の研究
登録数の増加
DMO候補法人の登録状況
(平成28年3月末現在)
○全国24法人
○うち、本県関係(区域となる県内市町村)
・雪国観光圏(魚沼市、南魚沼市、湯沢町、
十日町市、津南町)
・信州いいやま観光局(妙高市)
・妙高観光魅力創造協議会(妙高市)
7
攻めの農林水産業への転換に向けて
農林水産業を取り巻く状況
担い手の高齢化、他産業に比べて低い生産性
平成30年産以降を見すえた一連の農政改革
(経営所得安定対策や米政策の見直し等)
TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の署名
(米の国別枠の設置や牛肉・豚肉の段階的な関税削減等)
本県の施策の方向
TPP協定の発効いかんにかかわらず、
攻めの農林水産業への転換に向けた
施策を展開
○ 担い手の経営基盤の強化
○ 生産の効率化・最適化 等
今年度の主な取組
○ 攻めの農林水産業を担う人材育成と集中的な経営発展支援
○ 飼料用米等非主食用米への転換の推進によるコシヒカリ価格の維持と経営の安定化
○ 平成29年度の「新之助」デビューに向けた取組
○ 先進技術の導入等による園芸生産の高度化・大規模化
○ 次世代に継承できる収益性の高い畜産経営の育成
○ 輸出も含めた新たな需要の開拓
等
8
公共事業予算の前倒し執行
○ 現下の経済情勢及び国の予算執行の前倒しの動きなども踏まえ、本県としても
公共事業予算の前倒し執行に積極的に対応
○発注目標
【一般公共】
【県単公共】
上半期までに平成27年度2月補正予算冒頭分を含めて 80%程度
上半期までに平成27年度2月補正予算冒頭分を含めて 83%程度
発注時期の前倒しによる執行額イメージ
県単独公共
前倒し発注
早期の効果発揮
一般公共
上半期に約970億円を執行
対象事業 総額 約1,150億円
債務負担行為の活用
による早期発注
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
4月
9
県民意識調査結果 「くらしやすさに関する県民満足度」
● 平成18年度との比較では、全項目で満足層が増加し、不満足層が減少
(H18 → H27)
10
財源対策的基金残高
〔単位:億円〕
H20末(決算)
H21末(決算)
H22末(決算)
H23末(決算)
460
481
483
H24末(決算) H25末(決算)
H26末(決算)
H27末(見込) H28末(見込)
億円
600
454
500
490
495
501
507
447
400
300
200
100
0
11