マクロ経済学Ⅰ - 2016 年度前期 中間試験:解答例 2016 年 6 月 15 日 解答例 ※正答は赤字、解説は(もしあれば)青字で印字してあります。 問1 ~ 問6 以下の空欄に該当する用語を選べ。 GDP(国内総生産)とは、( 問1 )、( 問2 )、( 問3 )の三つの側面から見るこ とができる。( 問1 )から見たとき、それはすべての産業の( 問4 )を足し合わせ たものであり、( 問2 )から見たとき、それは( 問5 )、利潤、地代など諸々の所 得の総和であり、( 問3 )から見たときには、( 問6 )、投資、政府支出、純輸出 を足し合わせたものである。 問1:a. 生産面 b. 分配面 c. 所得面 問2:a. 生産面 b. 分配面 3:a. 生産面 b. 分配面 ᘀ 問4:a. 売上高 d. 支出面 c. 所得面 d. 支出面 c. 所得面 b. 中間投入財 d. 支出面 c. 付加価値 d. 原材料費 問5:a. 借金 b. 貸金 c. 鍍金 d. 賃金 問6:a. 消費 b. 浪費 c. 国費 d. 歳費 (※宿題No.1問1~問5参照) 問7 ~ 問9 以下の空欄に該当する用語を選べ。 ケインジアンの世界では、生産量は( 問7 )の大きさに依存するが、新古典派の世 界では、生産量は( 問8 )サイドによって決まってしまい、需要の変化はすべて ( 問9 )の動きに吸収されてしまうと考える。 問7:a. 供給 b. 需要 c. 一般理論 d. 雇用保険 問8:a. 供給 b. 需要 c. 一般理論 d. 雇用保険 問9:a. 為替レート b. 生産量 c. 失業率 d. 物価 (※宿題No.1問6~問8と同一) 1 問10 ~ 問12 以下の空欄に該当する用語を選べ。 GDPはつねに消費、投資、政府支出、そして( 問10 )を足し合わせたものに等しく なっている。このようにつねに成立している関係式のことを( 問11 )という。これ に対して、乗数理論の背後にある考え方はこの式を( 問12 )と見て、均衡が成立す るようなGDPを決める式となっている。 問10:a. 輸入 b. 輸出 問11:a. 恒等式 c. 純輸出 d. 輸出入 b. 近似式 c. 方程式 問12:a. 恒等式 b. 近似式 c. 方程式 d. 不等式 d. 不等式 (※宿題No.2問6~問8と同一) 問13~ 問22 以下の説明が正しければ a 、誤っていれば b を選べ。 問13:いろいろな産業の付加価値の和であるGDPは、いろいろな産業の生産額を足 し合わせたものよりも大きくなっているはずである。b 問14:GDPは一国の経済活動を集計したグロスの概念であり、ネットの概念で他国 との経済活動を比較するためには原材料などの中間投入財を差し引いて比較 しなければならない。b 問15:国内純生産は市場価格表示されたものである。a 問16:GDPは生産・分配・支出といった経済の三つの局面における等価関係でとら えることができるが、タイム・ラグが存在することからインフレ期には等価 関係が成立しない。b 問17:消費の伸び率はそれほど大きくなくても、消費がGDPに占めるシェアは大き いので、寄与度の大きさは消費の伸び率よりも大きくなる。b 問18:政府部門や海外部門を考慮に入れなければ、限界消費性向が0.9であるときの 乗数は10になる。a 問19:投資が10億円増えた場合、GDPは限界消費性向の値によらず、ちょうど10億 円増大する。b 問20:限界貯蓄性向が低いほど乗数の値が大きくなる。a 問21:平均消費性向が大きくなれば乗数の値も大きくなる。b 問22:実際の乗数プロセスには時間がかかるので、限界消費性向が0.8であっても、 1年目の乗数(=外生的な需要の増加に伴う1年目のGDP全体の増え方)は5よ り小さくなる。a (※宿題No.1問9~問16およびNo.2問9~問13参照) 2 問23 ~ 問29 以下の空欄に該当する数値を選べ。もし正答が見つからない場合は、正答に最も近 い数値を選択せよ。 衣料品、食料品、住宅サービスの3部門からなる簡単な経済を考える。この経済の 2005年と2010年の価格と数量が以下のように与えられているとする。この経済の 2005年と2010年の名目GDPはそれぞれ( 問23 )および( 問24 )である。また、 2005年を基準年とする2010年の実質GDPは( 問25 )であり、2010年のGDPデフレー ターは( 問26 )と求められる。さらに、2005年を基準年とする2010年のラスパイレ ス物価指数、パーシェ物価指数およびフィッシャー物価指数はそれぞれ( 問27 )、 ( 問28 )および( 問29 )である。ただし、フィッシャー物価指数はラスパイレス 物価指数とパーシェ物価指数の幾何平均(=これら2つの物価指数の積の正の平方 根)と定義される。 年 2005 2010 問23:a. 16,800 衣料品 食料品 住宅サービス 価格 数量 価格 数量 価格 数量 75 40 25 120 125 90 60 50 30 100 120 100 b. 17,250 c. 18,000 d. 18,750 2005年の名目GDPは以下のように計算される。 2005年衣料品価格 2005年衣料品数量 2005年食料品価格 2005年食料品数量 2005年住宅サービス価格 2005年住宅サービス数量 75 40 25 120 125 90 3,000 3,000 11,250 17,250. 問24:a. 16,800 b. 17,250 c. 18,000 d. 18,750 問23と同様の手順に従い、2010年の名目GDPは以下のように求められる。 2010年衣料品価格 2010年衣料品数量 2010年食料品価格 2010年食料品数量 2010年住宅サービス価格 2010年住宅サービス数量 60 50 30 100 120 100 3,000 3,000 12,000 18,000. 問25:a. 16,800 b. 17,250 c. 18,000 d. 18,750 2005年価格の2010年実質GDPは以下のようになる。 3 2005年衣料品価格 2010年衣料品数量 2005年食料品価格 2010年食料品数量 2005年住宅サービス価格 2010年住宅サービス数量 75 50 25 100 125 100 3,750 2,500 12,500 18,750. 問26:a. 96.0 b. 97.4 c. 102.7 d. 104.2 問24と問25の結果から、2010年のGDPデフレーターは以下のように求められ る。 2010年名目GDP 18,000 100 100 96.0. 2010年実質GDP 18,750 問27:a. 96.0 b. 97.4 c. 102.7 d. 104.2 各品目の基準年の数量を使用し、以下のラスパイレス指数を得る。 60 40 30 120 120 90 100 75 40 25 120 125 90 2,400 3,600 10,800 100 3,000 3,000 11,250 16,800 100 17,250 97.4. 問28:a. 96.0 b. 97.4 c. 102.7 d. 104.2 パーシェ指数は問26で求めたGDPデフレーターに一致する。 問29:a. 96.0 b. 96.7 c. 100.0 d. 100.7 定義よりフィッシャー指数は以下のように計算される。 16,800 18,000 100 96.7. 17,250 18,750 問30 ~ 問35 以下の空欄に該当する数値を選べ。もし正答が見つからない場合は、正答に最も近 い数値を選択せよ。 家計、企業、政府および海外の4部門からなる開放マクロ経済を考える。消費 C は租 税 T を考慮した国民所得 Y の関数として C 0 . 75 Y T 50 で与えられる。投 資 I 、政府支出 G および輸出 X は外生的に I , G , X 40 , 60 ,50 と決定されてい る。また、輸入関数は M 0 . 13 Y で与えられ、租税関数が T 0 . 16 Y であること も知られている。このとき、この経済の均衡国民所得は( 問30 )であり、財政収支 は( 問31 )、貿易収支は( 問32 )である。また、この国の完全雇用所得水準が 4 420である場合、この国の経済は( 問33 )であり、その大きさは( 問34 )である。 さらに、完全雇用を達成するために、政府支出を現在の水準から( 問35 )させる必 要があることもわかる。 問30:a. 300 b. 350 c. 400 d. 450 均衡式 Y C I G X M に与えられた条件を代入し、以下の均衡国 民所得を得る。 Y C I G X M 0 . 75 Y T 50 40 60 50 0 . 13 Y 0 . 75 Y 0 . 16 Y 200 0 . 13 Y 0 . 5Y 200 0 . 5Y 200 Y * 400 . 問31:a. 均衡しており b. 4の赤字 c. 2の赤字 d. 4の黒字 問30の結果から均衡国民所得水準で評価した税収は T 0 . 16 400 64 と なり、財政収支は T G 64 60 4 、即ち4の黒字である。 問32:a. 均衡しており b. 2の赤字 c. 2の黒字 d. 4の黒字 問30の結果から均衡国民所得で評価した輸入額は M 0 . 13 400 52 とな り、貿易収支は X M 50 52 2 、即ち2の赤字である。 問33:a. インフレギャップ b. デフレギャップ c. インフレギャップでもデフレギ ャップでもない状態 d. インフレギャップでもありデフレギャップでもある 状態 均衡所得水準 Y 400 が完全雇用所得水準 Y この経済にはデフレギャップが生じている。 * 問34:a. 5 b. 10 c. 15 F 420 を下回っているため、 d. 20 デフレギャップの大きさを測るためには、下図に示すように、完全雇用所得 水準で評価した総需要を計算する必要がある。ここで、総需要は C I G X M 0 . 5Y 200 となることが問30の計算から既にわかっ ており、完全雇用所得に対する総需要は 0 . 5Y F 200 0 . 5 420 200 210 200 410 となる。従って、デフレギャップは総供給420と総需要410との差10とわかる。 総供給 総需要 総供給 総需要 デフレギャップ 45° Y* YF 所得 5 問35:a. 10増加 b. 10減少 c. 20増加 d. 20減少 経済を完全雇用所得水準で均衡させるためには、総需要をデフレギャップの 大きさにちょうど等しい額だけ上方にシフトさせればよい。従って、求める 政府支出の増分は10である。 講義で説明した方法を使い、政府支出の増分を以下のように求めることも 可能である。政府支出を G 増大させて総需要を上方にシフトし、その結果、 F * 現在の均衡国民所得がちょうど Y Y Y 420 400 20 だけ増大 すると完全雇用国民所得が達成されることに注目する。必要となる政府支出 の増分を求めるため、まず均衡式に政府支出以外の項目を代入し、 Y C I G X M 0 . 75 Y T 50 40 G 50 0 . 13 Y 0 . 75 Y 0 . 16 Y 140 G 0 . 13 Y 0 . 5Y 140 G 0 . 5Y 140 G 0 .5 Y G を得る。左辺に Y 20 を代入することにより、最終的に、政府支出の増分 は G 0 . 5 20 10 と求められる。 問36 ~ 問38 以下の空欄に該当する数値を選べ。 海外への貿易はなく、経済には3つの生産要素、すなわち労働、土地、資本があると する。この経済の支出は消費80、投資30、政府支出10であるとする。また、労働に 分配される(税引き前)所得は75、土地に分配される所得は15であるとする。政府 の財政収支は均衡しており、政府の補助金や固定資本減耗を考えないとき、政府の 税収は( 問36 )である。また、GDPは( 問37 )になり、さらに、資本に分配され る額(税引き前)は( 問38 )である。 問36:a. 0 b. 10 c. 30 d. 120 政府の財政収支がバランスしているため、政府の税収は政府支出と同額の10 となる。 問37:a. 80 b. 90 c. 110 d. 120 支出面からGDP を計算すると、GDPは消費、投資、政府支出の合計80 + 30 + 10 = 120となる。 問38:a. 15 b. 30 c. 45 d. 60 GDPの三面等価の原則を利用する。生産要素は労働・土地・資本の3種類の みであり、総所得120(=支出面から計算したGDP)のうち労働に75、土地に 15分配されることがわかっているため、資本に分配される額は120 - (75 + 15) = 30と計算できる。 6 問39 ~ 問40 以下の空欄に該当する数値を選べ。 ある年の国民経済が以下のようであったとする。このとき、国民純生産および国民 所得はそれぞれ( 問39 )兆円および( 問40 )兆円である。 国民総生産 260兆円 固定資本減耗 輸出 30兆円 在庫品増加 輸入 20兆円 間接税 補助金 10兆円 6兆円 15兆円 5兆円 問39:a. 240 b. 250 c. 260 d. 270 国民純生産は以下のようになる。 国民純生産 国民総生産 固定資本減耗 260 10 250兆円.. 問40:a. 235 b. 240 c. 255 d. 260 国民所得は以下のようになる。 国民所得 国民純生産 間接税 補助金 250 15 5 240兆円. 得点の分布 受験者数:150 平均:32.36 標準偏差:5.27 メディアン:33.50 7
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