下肢静脈瘤という病気 下肢静脈瘤の重症度 「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」とは足の静脈が瘤 (こぶ)のように膨れる病気です。日本では1000万人以上の患者さ 1段階 んがいると推測されていますが、年齢や体質のせいとあきらめて 我慢して過ごす方が多いかと思います。命にかかわることは少な 軽 症 毛細血管の拡張 この時点では特に治療は必要ありま せん。 いですが自然に治ることはなく徐々に進行して足をおかしていく 2段階 こともあるため軽視できない病気です。 緊急の治療は必要ありませんが、将 来的に症状が出てくる可能性がありま す。 最初は血管が膨らんでいるだけですが進行するとむくみやだる さ、夜に足がつるといった症状が出てきます。瘤が破れて出血し 3段階 たり炎症を起こして赤く腫れて痛むこともあります。しかし一番 4〜5段階 ゆくなる けて皮膚が黒くなったり硬くなり、かゆみが続き最後にはぼろぼ ろになった皮膚から汁が出て大きな穴があいたり腐ってくること が望ましいです。 昔は足の血管に針を刺して造影検査をしていましたが、現在は 超音波エコー検査で診断がつけられるようになりました。この検 査は痛くなく外来で行うことができます。 むくみやだるさの出現 年々悪化していく恐れがあり治療を 行うのが望ましいです。 の問題は皮膚がおかされることです。足がうっ血し長い年月をか もあります。こうなるとなかなか治らないため早めの診断と治療 静脈瘤 重 症 皮膚が黒ずんでか ばい菌がつくと急激に悪化すること もあり、早めの治療が必要です。 6段階 皮膚に穴があいたり 腐ってくる 治療に長い月日がかかってしまいま す。こうなる前に治療を行うのが望ま しいです。 治療は弾性ストッキング着用が基本です が、症状のある方は薬では治らず年々ひど くなる恐れがあることからきちんとした治 治療法の比較 療をお勧めしています。治療法は色々あり 硬化療法 ますが済生会山口総合病院では標準治療で 静脈瘤に薬を注射してつぶしてしまう方法です。 ある静脈抜去術(ストリッピング手術)を 行っています。以前は1週間の入院が必要 利点: 侵襲が少ない、小さい静脈瘤には有効 でしたが現在は日帰り手術も可能で、通常 欠点: 痛み、皮膚の色素沈着、大きい血管には不向き、 再発率が非常に高い は大事をとって2泊3日の入院としています。 傷の大きさも足の付け根に2〜3cmの小さな レーザー治療 傷が付くほかは特殊な医療機器を用いるこ 新しい治療法です。静脈瘤の中にカテーテルを入れて内側からレーザー とで傷が不要であったり専用フックを用い で焼きつぶしてしまう方法です。平成23年1月より1社の機種は保険がきく て数mmの小さな傷とすることもできます。 ようになりました。 利点: 傷が小さい 手術時間が短い 欠点: 長期成績が確立していない、つっぱり感や皮膚色素沈着が残るこ とがある、不向きなケースがある、新しい機種は保険がきかない 済生会山口総合病院 血管外科 外来 月曜・水曜 午前中 ストリッピング手術 以前からなされている標準治療です。足の付け根や膝下など何カ所かに 下肢静脈瘤 専門外来 (担当医 斎藤 聰) 水曜 午前中 〒753-0078 山口県山口市緑町2-11 お問い合わせ(代表) TEL 083-901-6111 FAX 083-921-0714 傷をつけ、血管の中にワイヤーを通して静脈瘤を引き抜く方法です。効果 が確実なため済生会山口総合病院ではこの治療法を行っています。 利点: 再発が少ない 効果が確実で安定している 欠点: 傷が大きい、入院が必要、術後の痛み 上記の欠点は最新の方法により改善されています。傷は小さくなり入院 も短期間になりました。
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