当資料は当店ホームページに掲載しています 2016 年 6 月 8 日 http://www3.boj.or.jp/shizuoka/ 日本銀行静岡支店 最近の静岡県金融経済の動向 本稿は、16/4 月を中心とした金融経済統計、および直近の企業ヒアリング をもとに取りまとめている。 (概況) 県内の景気は、基調としては緩やかに回復しつつある。 最終需要の動向をみると、設備投資は企業業績が好調な大・中堅企業を中 心に一段と増加している。また、雇用・所得環境が緩やかに改善する中、 住宅投資は持ち直しているほか、個人消費も一部に弱めの動きがみられるが、 全体として持ち直しつつある。さらに、公共投資は下げ止まっているほか、 輸出は、新興国経済の一段の減速の影響等はみられるものの、先進国経済の 回復を背景に下げ止まりの兆しが窺われる。 他方、企業の生産はやや減少してきている。 雇用・所得をみると、労働需給はタイトな状況が続いているほか、所得面 は、一部に足踏み感がみられるものの、全体として緩やかに改善している。 消費者物価(除く生鮮食品)は、前年を下回っている。 1.需要項目別の動向 (1)個人消費・・・一部に弱めの動きがみられるが、雇用・所得環境が緩や かに改善する中、全体として持ち直しつつある 百貨店売上高(前年比:16/3 月▲1.4%→4 月▲2.5%<速報>)は、持ち 直しの動きが足踏みしているものの、スーパー売上高(同:16/3 月+1.1%→ 4 月+1.9%<速報>)は、緩やかに持ち直している。また、旅行取扱額(同: 16/3 月+2.9%→4 月▲1.6%)は、国内旅行を中心に持ち直しているほか、 県内の旅館・ホテルの宿泊客数や観光施設の入込客数は、増加している。 この間、乗用車新車登録台数(同:16/4 月+0.1%→5 月▲3.9%<速報>) をみると、軽乗用車はなお弱めの動きとなっているものの、普通・小型乗用車は 持ち直している。また、家電販売は、住宅投資が持ち直している中、緩やかに持 ち直しつつある。 1 (2)公共投資・・・公共工事請負金額は下げ止まっている(前年比:16/ 3 月▲0.7%→4 月+28.7%) (3)設備投資・・・企業業績が好調な大・中堅企業を中心に、製造業では生 産性向上関連や研究開発関連の投資、非製造業では小売店出店や物流拠点の 拡充関連の投資がみられるなど、一段と増加している。ただし、企業業績面 でなお厳しさが残る中小企業では慎重なスタンスを維持している (4)輸出・・・新興国経済の一段の減速の影響等はみられるものの、先進国 経済の回復を背景に下げ止まりの兆しが窺われる(輸出額前年比: 16/3 月▲1.7%→4 月▲3.1%<速報>) 自動車(前年比:16/3 月▲19.8%→4 月▲9.5%)は、新興国経済の一段 の減速や海外生産シフトから、減少している。また、先進国向けの緩やかな 増加の一方で、新興国経済の一段の減速から、一般機械(同:16/3 月+6.0% →4 月+0.9%)はやや弱めの動きとなっているほか、電気機械(同:16/3 月 ▲3.1%→4 月▲1.9%)は、全体として横ばい圏内の動きとなっている。 一方、自動車部品(同:16/3 月▲4.8%→4 月▲12.9%)は、新興国経済 の一段の減速の影響等はみられるものの、北米向けの増加から、下げ止まり の兆しが窺われるほか、二輪車等(二輪完成車前年比:16/3 月▲3.2%→ 4 月+13.5%)は下げ止まっている。また、楽器(前年比:16/3 月▲7.7% →4 月▲7.6%)は持ち直している。 (5)住宅投資・・・雇用・所得環境の緩やかな改善もあって、持ち直してい る(新設住宅着工戸数前年比:16/3 月+7.7%→4 月+16.1%) 2.生産、雇用・所得、物価の動向 (1)生産・・・やや減少してきている 電気機械、缶詰は緩やかに増加しているほか、楽器、木材等は持ち直して いる。また、織物は持ち直しの動きがみられているほか、飲料は持ち直しつ つある。さらに、二輪車・同部品、生コンクリート・セメントは下げ止まって いる。 一方、一般機械は、一部海外需要の減退から横ばい圏内の動きとなってい るほか、紙・パルプ、加工鋼材はやや弱めの動きとなっている。また、自動 車・同部品は、内外需の弱さや海外生産シフトから、さらに減少しているほ か、家具は減少を続けている。 2 (2)雇用・所得・・・労働需給はタイトな状況が続いている。所得面は、一部 に足踏み感がみられるものの、全体として緩やかに改善している 有 効 求 人 倍 率 ( 16 / 3 月 1.27 倍 → 4 月 1.36 倍 )、 新 規 求 人 倍 率 (16/3 月 1.97 倍→4 月 2.13 倍)はともに高い水準を維持しており、労働 需給はタイトな状況が続いている。 常用労働者数(指数・前年比:16/2 月+1.3%→3 月+1.4%<速報>)は 緩やかに改善している。一人当り名目賃金(同:16/2 月▲2.2%→3 月▲1.4% <速報>)、雇用者所得(同:16/2 月▲0.9%→3 月▲0.0%<速報>)は、 一部に足踏み感がみられるものの、全体として緩やかに改善している。この 間、春季賃上げ妥結状況をみると、平均妥結額は、現時点で中小・零細企業 を中心に、前年を下回っている。 事業主都合による解雇者は前年を下回った(前年比:16/3 月▲18.4%→ 4 月▲15.7%) 。 (3)物価・・・消費者物価(除く生鮮食品)は、前年を下回っている(指数・ 前年比:16/3 月▲0.6%→4 月▲0.7%) 3.企業倒産、金融面の動向 (1)企業倒産 企業倒産(16/5 月、負債総額 10 百万円以上)をみると、件数(35 件<前 年比:+66.6%>)、負債総額(87 億円<同:3.1 倍>)ともに総じて落ち着 いている。 (2)預金 預金は、法人、個人とも引き続き増加している(前年比:16/3 月末+1.9% →4 月末+2.1%)。 (3)貸出 貸出は、法人、個人とも引き続き増加している(前年比:16/3 月末+2.5% →4 月末+2.3%)。 (4)貸出約定平均金利 地元地銀・第二地銀 4 行ベースの貸出約定平均金利(総合、ストックベース) は、前月比上昇した(16/3 月 2.145%→4 月 2.156%)。 以 上 本件に関する問い合わせ先 日本銀行静岡支店営業課 TEL 054-273-4106、FAX 054-275-0001 3 静岡県内主要金融経済指標 計表1 個 人 消 費 百貨店売上高 前年比%(注1) 県 内 全 スーパー売上高 前年比%(注1) 国 県 内 ▲ 1.5 0.3 ▲ 0.8 ▲ 1.6 2月 2.0 0.5 3月 ▲ 1.4 ▲ 2.8 4月 p ▲ 2.5 p ▲ 3.6 p 5月 n.a. n.a. 1月 資料出所 国 0.7 ▲ 0.1 2.5 2.3 3.8 3.1 1.1 ▲ 0.3 1.9 p 0.8 n.a. n.a. p 15/ 12月 16/ 全 乗用車新車登録台数 (含む軽) 前年比% 県 内 全 国 県 内 全 国 県 内 ▲ ▲ ▲ ▲ ▲14.6 ▲ 4.4 ▲ 7.5 ▲ 9.3 2.2 ▲ 1.4 5.9 8.7 ▲ 1.5 ▲ 0.0 10.8 6.6 3.0 1.3 ▲ 4.1 ▲ 2.7 8.4 7.3 p ▲19.4 ▲11.1 ▲12.1 ▲18.9 ▲13.1 ▲17.7 p ▲36.1 ▲13.0 ▲12.8 ▲19.4 ▲ 9.1 ▲17.3 ▲14.6 0.2 38.2 2.9 ▲ 1.6 n.a. 6.5 1.0 6.6 9.1 0.1 ▲ 3.9 p 15/ 11月 12月 16/ 1月 2月 3月 4月 設 前年比%(注3、4) 29.8 0.6 ▲23.0 7.0 7.7 16.1 国 1.7 ▲ 1.3 0.2 7.8 8.4 9.0 資料出所 県 内 ▲29.4 ▲16.9 2.0倍 ▲ 0.6 2.5倍 ▲14.4 全 県 16年度計画 資料出所 国 全産業 ▲ 5.5 6.5 15年度計画 ▲11.9 16年度計画 ▲12.4 資料出所 20.7 ▲23.2 4.6 16.2 ▲ 0.2 製造業 13.8 23.6 7.6 業 収 ▲ 3.2 8.8 ▲ 9.2 日本銀行静岡支店 益 前年比% 内 全産業 製造業 1.6 ▲ 2.9 ▲ 1.1 2.0 ▲ 6.9 0.6 全 国 非製造業 ▲ 0.1 14.5 ▲ 7.5 全産業 製造業 5.9 4.3 ▲ 2.2 11.2 ▲ 1.9 ▲ 1.3 日本銀行静岡支店 非製造業 2.2 9.2 ▲ 2.8 日本銀行 pは速報値、rは改訂値 (注1)店舗調整後ベース (注2)旅行取扱額の県内は4社ベース (注3)県内の建築着工床面積は公共と民間の合計のうち非居住用 (注4)全国の建築着工床面積は民間のうち非居住用 (注5)全国企業短期経済観測調査、設備投資は土地投資を含む(リース会計対応ベース) 計-1 前年比% 全 国 非製造業 全産業 製造業 4.3 8.0 ▲ 4.8 6.8 10.8 ▲ 0.9 日本銀行 全 国 p ▲ 1.0 p 2.5 p 3.2 p 5.1 n.a. n.a. 日本銀行 国土交通省 静岡支店 資 国土交通省 企 15年度計画 投 県 内 14年度 経 常 利 益(注5) 14年度 備 設 備 投 資 額(注5) 建築着工床面積 前年比% 全 前年比% 全 国 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会 新設住宅着工戸数 旅行取扱額 前年比%(注2) 県 内 住 宅 投 資 内 軽乗用車新車販売台数 日本自動車販売協会連合会静岡県支部、静岡県軽自動車協会 経済産業省 県 乗用車新車登録台数 (除く軽) 前年比% 非製造業 3.1 6.7 ▲ 6.8 計表2 輸 出 入(注1) 県 輸 出 額 輸 入 額 公共工事請負金額 前年比% 前年比% 前年比% 内 全 ▲ 5.1 ▲ 5.7 16/ 1月 ▲13.5 2月 3.5 3月 ▲ 1.7 4月 p ▲ 3.1 県 内 ▲ 3.4 8.2 ▲ 8.0 ▲18.4 ▲12.9 ▲11.2 ▲ 4.0 ▲10.7 ▲ 6.8 p ▲11.0 ▲10.1 p ▲21.6 p 15/ 11月 12月 資料出所 国 全 国 ▲10.2 ▲18.0 ▲17.8 ▲14.2 ▲14.9 ▲23.3 15/ 11月 12月 16/ 1月 2月 3月 4月 常用労働者数(注3) 全産業 前年比% 内 県 全 国 1.26 1.27 1.28 1.28 1.30 p 1.34 内 9.2 ▲ 0.6 ▲ 5.4 ▲19.7 ▲ 0.7 28.7 3.3 0.1 ▲ 1.1 ▲ 0.7 ▲ 9.6 ▲ 0.4 ▲ 1.2 0.8 ▲ 2.6 3.5 2.5 ▲ 0.5 ▲ ▲ 2.2 ▲ 2.9 ▲ 5.2 2.8 ▲ 5.0 p 0.6 r 3.8 p 2.1 r 10.6 n.a. p 0.3 n.a. p ▲ 物 静岡市 12月 16/ 1月 2月 3月 4月 資料出所 ・ 所 雇用者所得(注3) 全産業 前年比% 全 国 県 内 価 全 国 全 国 ▲0.3 ▲0.1 ▲0.2 ▲0.2 ▲0.6 ▲0.7 0.1 15/ 12月 0.1 16/ 3月 0.0 6月予測 0.0 資料出所 ▲0.3 ▲0.3 況 (a×b) 解雇者 前年比% 全 国 ▲ 2.1 2.1 5.9 2.3 ▲ 4.6 2.1 ▲ 0.9 2.7 ▲ 0.0 r 3.7 n.a. p 2.3 感 業況判断 D.I.(注5) 「良い」-「悪い」回答社数構成比%ポイント 県 内 製造業 全産業 7 7 ▲ 3 非製造業 5 2 ▲ 4 9 11 ▲ 2 日本銀行静岡支店 総務省 pは速報値、rは改訂値 (注1)県内の輸出入は清水港、田子の浦港、御前崎港、静岡空港の4港合計値 (注2)鉱工業指数は、10年基準 (注3)事業所規模5人以上、10年基準 (注4)消費者物価指数は、10年基準 (注5)全国企業短期経済観測調査 計-2 0.4 0.4 0.3 0.2 2.9 1.7 事業主都合による 全産業 前年比% 県 内 ▲ 3.0 0.0 4.8 0.0 ▲ 4.8 0.0 ▲ 2.2 0.7 1.5 p ▲ 1.4 r n.a. p 0.3 業 全 国 得 静岡労働局、静岡県、厚生労働省 消費者物価指数 (除く生鮮食品) 前年比%(注4) 15/ 11月 用 県 内 静岡県、経済産業省 一人当り名目賃金(注3) 1.0 2.1 1.0 2.3 0.2 2.1 1.3 1.9 1.4 r 2.1 p n.a. p 1.9 資料出所 全 国 在 庫 全 国 (常用雇用指数 a) (名目賃金指数 b) 季調済 倍 1.24 1.25 1.24 1.25 1.27 1.36 県 内 前月比% 県 内 雇 県 季調済 生 産 東日本建設業保証、 北海道建設業信用保証、 西日本建設業保証 清水税関支署、財務省 有効求人倍率 鉱 工 業 指 数(注2) 公 共 投 資 全 国 全産業 9 7 1 日本銀行 県 内 全 国 8.0 ▲ 9.1 ▲ 7.6 2.6 ▲18.4 ▲15.7 ▲ 0.2 ▲ 2.7 ▲ 8.6 ▲10.8 ▲ 5.8 ▲ 3.9 計表3 倒 産(注1) 件、億円、前年比 % 件 数 15/ 12月 16/ 1月 2月 3月 4月 5月 資料出所 前年比 19 ▲13.6 19 ▲24.0 27 50.0 25 8.6 12 ▲52.0 35 66.6 負債総額 35 31 29 28 17 87 銀 行 券 億円 前年比 ▲11.6 ▲51.0 50.0 ▲ 2.8 ▲57.4 3.1倍 受入額 872 1,515 820 920 798 1,189 東京商工リサーチ静岡支店 支払額 2,794 670 1,176 1,342 1,671 798 受払(▲) 超過額 ▲1,922 845 ▲ 356 ▲ 422 ▲ 873 391 日本銀行静岡支店 実 質 預 金 (注2) 末残前年比 %、億円 県 内 15/ 11月 12月 16/ 1月 2月 3月 4月 月末残高 銀 行 1.1 0.5 2.4 2.4 2.5 2.5 1.0 0.4 1.9 1.8 2.1 1.8 214,556 139,154 都 銀 地 銀・ 第二地銀 信 金 ▲13.7 3.1 2.3 7.7 2.0 2.4 6.9 2.3 2.5 ▲ 7.6 1.9 2.2 1.7 2.0 2.2 ▲ 2.9 2.7 2.8 18,391 115,480 75,401 資料出所 貸 出 (注3) 末残前年比 %、億円 全 国 (注4) 2.9 2.4 2.6 3.1 3.4 4.2 8,400,689 県 内 銀 行 1.7 2.8 2.8 2.6 2.5 2.3 135,831 1.9 7.4 1.3 3.3 14.0 2.0 3.3 10.0 2.5 3.2 8.6 2.6 3.0 4.4 2.9 2.7 ▲ 1.9 3.4 98,436 11,111 86,230 都 銀 地 銀・ 第二地銀 日本銀行静岡支店 貸出約定平均金利 (参考)主体別預金 (注5) 末残前年比 % 一般法人 15/ 11月 12月 16/ 1月 2月 3月 4月 ▲ 6.0 3.1 2.8 ▲ 4.2 3.0 3.9 個 人 地公体 (参考)主体別貸出 (注6) (ストックベース) 末残前年比 % (注7) 水準 % 金融機関 一般法人 1.9 24.0 2.0 6.8 1.9 17.0 1.5 19.0 1.6 ▲ 2.7 1.7 ▲ 0.8 資料出所 個 人 57.5 ▲ 0.7 12.7 0.3 2.0 0.8 52.8 0.7 20.3 1.3 1.2 1.7 4.6 4.5 4.5 4.4 4.4 4.6 地公体 2.3 2.1 2.1 2.1 2.1 1.3 地 銀・ 第二地銀 2.168 2.150 2.159 2.164 2.145 2.156 信 金 1.696 1.682 1.681 1.676 1.653 1.646 日本銀行静岡支店 (注1) 倒産は負債総額10百万円以上の合計 (注2)集計値は県内所在店舗ベース、実質預金 = 表面預金(譲渡性預金は含まない)- 小切手・手形 (注3)集計値は県内所在店舗ベース (注4)全国は全国銀行と信用金庫の合計 (注5)主体別預金は全国銀行と地元12信用金庫の合計 (注6)主体別貸出は地元16行庫の合計 (注7)地元16行庫の県内所在店舗ベース 信金は、当月公表時に全国信用金庫協会の調査ベースに過去に遡及して変更 計-3 信 金 全 国 (注4) 1.2 3.2 1.5 3.1 1.5 3.4 0.9 2.8 1.3 2.8 1.4 2.9 37,395 5,330,126
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