7 浮き屋根式屋外貯蔵タンクの火災形態 浮き屋根式屋外貯蔵タンクの火災 には、次に示す 3つの形態が ある 。 ( 1 ) リム火災 浮き屋根式屋外貯蔵タンクでは、貯蔵してい る危険物が空気に接触 してい る部 分、すなわち可燃性蒸気を発生している部分は、シール機構と側板の ごく僅かな 隙間である ことか ら、落雷、地震時に発生す る液面揺動(スロ ッシン グ)に起因 する 附属設備の接触 による衝撃火花や他 からの延焼に起因する 引火 はとの部分 で発生すると考えられている 。 このシール機構で発生した初期 の火災がリム火災と呼ばれる形態であり、リム 火災に対しては固定式の泡消火設備であるハロ ゲン化物消火設備、又は二酸化炭 素消火設備によ り消火する こと が可能であ ると考えられて いる。 ( 2 ) リング火災 リム火災に対して適切な消火が行われなかった場合、火炎はシール機構上を延焼 し、やがて浮き屋根の全周にわた って火炎が発生す るようになる。 この状態が リング火災と 呼ばれる形態であり 、リング火災に対 しては固定式の泡 消火設備である第 3種固 定式泡消火設備により消火することが可能であると考 え られて いる。 ( 3 ) 全面火災 リング火災を適切に消火で きな かっ た場合 、 ポ ンツ ー ンは火炎により 次第に損傷 し、やがて損傷部位か ら消火用泡 (又は還元さ れた泡水溶液)や危険物がポ ンツ ー I V - 16 ン内に流入する ことによ って 、浮き屋根は必要となる浮力を失い、危険物中に沈降 していくよう になる。 浮き屋根が危険物中に沈降し、液表面がすべて露出した状態での火災形態が全面 火 災 と呼ばれる形態であり、第 3種固定式泡消火設備 により消火するこ とはできず、 外部から大量の泡 をタンク内に放射 して消火することが必要となる 。また 、貯蔵 さ れてい る危険物の種類や貯蔵量にもよるが 、ボ イルオーバーの発生する 可能性があ ることから、消火は短時間で行うことが求められる 。 なお、浮き屋根が必要な浮力 を失っ て危険物中 に沈降してしま うケースとしては、 次のようなケースも 考えられ、こ の場合は液表面が露出してい る状態で、何ら かの 火源により着火すると、リム火災やリング火災を経る ことなく全面火災が発生す る ことになる。 ア 地震による 液面揺動によって浮き屋根ポ ンツ ー ンが損傷し、 結果として浮 き屋 根が沈降してしま うケース イ 浮き屋根 の排水設備、 又は非常用排水設備の維持管理上に不備があった場合に おいて、降雨時に滞留した雨水の荷重がポンツーンの浮力を上回り 、結果として 浮 き屋根が沈降 してしまうケース 3つの火災形態の関連を整理し た結果を、図 4-7に示す。 ヒJ 漉裏面露出 リム火災 ' )ンゲ火災 全面火災 図 4-7 浮き屋根式屋外貯蔵タンクの火災形態の関連 IV-17
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