欧州中央銀行の金融政策 - 岡三アセットマネジメント

情報提供⽤資料
経 済 環 境 レ ポ - ト
2016年6⽉7⽇
欧州中央銀⾏の⾦融政策
-当⾯は様⼦⾒姿勢を継続、中期的な緩和スタンスは不変-
欧州中央銀⾏(ECB)は、6⽉2⽇の政策理事会において⾦融政策の現状維持を決定しました。同
時に公表した経済予測では、2016年の成⻑率・物価⾒通しを⼩幅に上⽅修正したものの、インフレ
率は2018年時点でも物価⽬標値を下回る⾒通しを⽰し、⾦融緩和の⻑期化を⽰唆しました(図表2
に、ECBの政策⾦利と消費者物価の推移を掲載)。
ECBは当⾯、様⼦⾒姿勢を継続すると⾒られます。ただ、低インフレが続くなか、9⽉の政策理
事会では追加の⾦融緩和に踏み切る可能性が⾼いと考えられます。
また、英国において実施される欧州連合(EU)離脱の是⾮を問う国⺠投票において、EU離脱派
が多数となって⾦融市場が混乱する場合には、追加⾦融緩和の実施を早めることが予想されます。
ポイント①
-包括的⾦融緩和策が実質的にスタートー
6⽉2⽇の政策理事会では、3⽉に決定した包括的⾦融緩和策のうち、実⾏時期が未定であった社債の
買⼊れを6⽉8⽇から開始することを正式に決定しました(図表1)。企業の信⽤リスクの軽減を図ると
共に、資⾦調達コストの低下を通じて企業の⽣産や投資活動を刺激することに狙いがあると思われます。
また、買⼊れ対象資産が国債や公共債に加えて社債にも広げることで、4⽉から実施されている量的⾦
融緩和の増額(⽉額600億ユーロから800億ユーロへ)の操作性や実効性が⾼まることが期待されます。
さらに、同様に実⾏時期が未定であった4年物⻑期資⾦供給オペの第2弾(2017年3⽉まで四半期ごと
に合計4回の予定)の1回⽬について、6⽉22⽇に実施することを正式決定しました。
ポイント②
-物価⽬標の達成には相当の距離-
ユーロ圏の経済予測は、2016年の成⻑率・物価⾒通しが⼩幅ながら前回(3⽉)に⽐べて上⽅修正さ
れました。1-3⽉期の実質GDPが、前期⽐0.5%増と予想を上回る⾼成⻑になったことが背景にあると⾒
られます。また、物価⾒通しについては、春先以降に原油市況が反発していることが影響を与えている
と思われます。実際、除くエネルギー・⾷料のコアベースについては下⽅修正されています。
(図表1)ECB政策理事会の決定事項(6⽉2⽇)
(図表2)ECBの政策⾦利と消費者物価の推移
(%)
(期間:2005年1⽉〜2016年6⽉)
6.0
政策⾦利
5.0
中銀預⾦⾦利
4.0
消費者物価(前年⽐)
限界貸出⾦利
3.0
2.0
1.0
0.25
0.0
▲ 0.4
0.0
▲ 1.0
2005年1⽉
2007年11⽉
2010年9⽉
2013年7⽉
2016年5⽉
(注)下線部分が今回の政策理事会で公表された内容
(注)消費者物価の直近は2016年5⽉
(出所)欧州中央銀⾏の資料より岡三アセットマネジメント作成
(出所)Bloombergのデータより岡三アセットマネジメント作成
<本資料に関してご留意いただきたい事項>
■本資料は、投資環境に関する情報提供を⽬的として岡三アセットマネジメント株式会社が作成したものであり、特定のファンドの投資勧誘を⽬的として作成し
たものではありません。■本資料に掲載されている市況⾒通し等は、本資料作成時点での当社の⾒解であり、将来予告なしに変更される場合があります。また、
将来の運⽤成果を保証するものでもありません。■本資料は、当社が信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するもの
ではありません。■投資信託の取得の申込みに当たっては、投資信託説明書(交付⽬論⾒書)をお渡ししますので必ず内容をご確認のうえ、投資判断はお客
様ご⾃⾝で⾏っていただきますようお願いします。
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2016年6⽉7⽇
⼀⽅、中期の⾒通しについては、慎重なスタンスが維持されています。2017年の成⻑率予想は据え置
かれたものの、2018年の予想は⼩幅に下⽅修正されています(図表3)。個⼈消費など下⽅修正されて
いる需要項⽬が多く、ユーロ圏の景気回復⼒がさほど⾼まらないと判断していることが⾒て取れます。
また、原油市況の緩やかな上昇が続く予想にもかかわらず、消費者物価は2018年時点でも前年⽐
1.6%の上昇に留まる⾒通しです。物価⽬標値(2%をやや下回る⽔準)の達成には、相当の距離がある
ことが窺われます。中期の成⻑率・物価⾒通しは、⾦融緩和の⻑期化を⽰唆していると考えられます。
ポイント③
-量的⾦融緩和の延⻑が有⼒な選択肢-
欧州中央銀⾏は当⾯、様⼦⾒姿勢を継続すると予想されます。6⽉からすべての措置が開始される包括
的⾦融緩和策を着実に実⾏し、その効果を⾒極めることを優先するためと⾒られます。また、景気・物
価の下振れリスクが短期的に後退していることも、様⼦⾒姿勢を継続する理由として挙げられます。
ユーロ圏の景気は当⾯、消費を中⼼に底堅い展開が予想されるほか、下落が続いている消費者物価も、
エネルギー価格の前年⽐のベース効果から、プラス圏への浮上が視野に⼊ってきています。
ただ、次の⼀⼿は追加緩和策と予想されます。⾦融政策や⾦融緩和効果の限界が囁かれるなか、⻑期
にわたる⾦融政策の現状維持は、⾦融市場での⾦融緩和の打ち⽌め感を台頭させ、ユーロ⾼を通じて景
気や物価⾒通しに悪影響を与える影響があるためです。そのため、9⽉の政策理事会では、追加の⾦融緩
和に踏み切る公算が⼤きいと予想されます。⾦融緩和のオプションとしては、現在、2017年3⽉までと
なっている量的⾦融緩和の延⻑(半年間程度)が有⼒視されます。また、4年物⻑期資⾦供給オペについ
ても、第2弾の結果次第では、第3弾が実施される可能性があります。
なお、6⽉23⽇に予定されている英国のEU離脱に関する国⺠投票が⾦融市場の混乱を招くような事態
となる場合には、これらの追加⾦融緩和の実施を早めることが予想されます。
(図表3)ユーロ圏の経済予測
(単位:前年⽐、%)
2015年
2016年
2017年
2018年
(実)
(予)
(予)
(予)
2016年
2017年
2018年
実質GDP
1.6
1.6
1.7
1.7
0.2
0.0
▲ 0.1
⺠間消費
1.7
1.9
1.7
1.5
0.0
▲ 0.1
▲ 0.1
政府消費
1.3
1.5
0.8
0.9
0.0
▲ 0.3
▲ 0.3
固定資本形成
2.7
3.2
3.4
3.3
0.5
▲ 0.2
0.0
輸出
5.2
3.2
4.2
4.4
0.2
▲ 0.1
▲ 0.2
輸⼊
6.0
4.7
4.7
4.8
0.1
▲ 0.6
▲ 0.3
失業率(%)
10.9
10.2
9.9
9.5
0.2
0.3
0.4
消費者物価(前年⽐、%)
0.0
0.2
1.3
1.6
0.1
0.0
0.0
除くエネルギー・⾷料(〃)
0.8
1.0
1.2
1.5
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 2.1
▲ 1.9
▲ 1.7
▲ 1.4
0.2
0.4
0.6
90.7
90.0
89.0
87.4
0.8
1.0
1.8
3.2
2.9
2.8
2.8
▲ 0.1
0.2
0.3
財政収⽀(%)
政府債務残⾼(%)
経常収⽀(%)
前回との⽐較
(注1)財政収⽀、政府債務残⾼、経常収⽀は名⽬GDP⽐、前回予測は2016年3⽉
(注2)失業率、財政収⽀、政府債務残⾼は低下が上⽅修正
(出所)欧州中央銀⾏の経済予測資料(2016年6⽉)より岡三アセットマネジメント作成
以上(作成:投資情報部)
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