学校における差別事象・事件が発生したときの対応

◇学校における差別事象・事件が発生したときの対応◇
差別発言等があった場合、その場で指摘し合い、差別について考え、
差別解消に向けた学びに変えていくことが大切です。
平成 28 年4月改訂
滋賀県教育委員会事務局人権教育課
基本姿勢
事
象
発
生
直
後
の
対
応
対応の流れ
どんなに小さな問題でも、
ま
た個人的な関係が深くても
放置しないこと。
1 現場での事実確認
○その場でただちに事実の概要を確認する。
(いつ、どこで、誰が、誰に対して、どのような場面
で、どのように)
管理職の対応
○個人的な判断を避けて、すぐに人権教育(同和教育)
○概要の速報を受け、職員に対応の指示を出
担当者(係)に連絡をする。担当者は、管理職に報告
す。
し、今後の対応について指示を受ける。
○教育委員会に速報を入れる。
○校内人権教育(同和教育)推進委員会など
【聞き取りにあたって次頁留意事項を参照すること】
の協議によって速やかに指導の方針を確
立する。
2 詳細な事実確認と課題の分析
○必要に応じて関係機関等に連絡する。
○関係者で緊密な連携をとりながら進める。
○人間関係を大切にしながら、事実に即して科学的・民
【管理職不在の場合の対応も決めておくこと】
主的にすすめる。
○差別を絶対に許さない姿勢をもち、当事者から学ぶ姿
関係者への対応
勢で背景にあるものを探る。
○精神的状況の把握と
事
実
の
確
認
と
分
析
○関係者の総合的意見によって、事象を確認する。
ケアを丁寧に行う。
教育委員会
関係機関等との
3 臨時職員会議
との協議
連携
○全教員に報告し、課題の共通理解と取組の意志一致を図る。
○随時必要な
○保護者(関係者)
・事象の要因・背景を明らかにしながら、教育課題を明確にす
連絡・相談を
の思いを受け止
行いながら、
め、緊密な連携を
取組を進め
保ちながら取組
る。
を進める。
ること。
・差別に対する真摯な受け止めをするとともに、押しつけにな
らないように配慮すること。
・児童生徒(集団)を中心に据えた取組みをすすめるとともに、
学校の責任と主体性をもって取り組むこと。
4 具体的な指導と人権教育の再構築
○差別を受けた者の痛み・思い・願いを大切にして支え、励ますとともに人権侵害からの回復を最優先に
確
認
後
の
取
組
行う。当事者が児童・生徒である場合は、差別を受けた者の家庭との連携を深める。
○差別をした者に対して、性急な観念的説教に陥ることなく、動機や要因・背景を探りながら、その誤り
に気づかせるとともに、人間関係を築きながら、自らの生き方にせまる指導に努める。
○提起者や周囲の者が児童・生徒である場合は、その受け止め方に応じた適切な指導を行う。
○差別をした者の人権にも配慮をしつつ、保護者(関係者)に連絡をし、家庭に対する啓発活動を行う。
○関係機関等との緊密な連携を保ち、学校(学年、学級)全体の課題として取り組む。
○事実経過を記録するとともに、一連の取組を通して教訓と課題を引き出し、人権教育(同和教育)の深
化を図る。
☆ 6つの留意点
①訴えを正しく受け止め、その要因・背景を明らかにしながら
②学校の責任と主体性で、事象を教育的見地でとらえ
③児童生徒(集団)を中心に据えた取組みの中で
④個人情報の取り扱いにも十分に配慮して
⑤関係機関等と連携をしつつ
⑥学校全体の教育課題を引き出し 差別をなくす教育を推進する
※差別落書き、インターネット・携帯電話における差別書き込みへの対応は、次ページを参照
●参考〈事実確認(特に聞き取り)にあたっての留意事項〉
・確認は原則として担任や対象となる児童生徒と信頼関係のある教員を中心に複数であたる。
・差別を受けた者を守ることを最優先に考慮し、支援する態勢を整える。
・関係者の人間関係の保持・修復に重点を置き、信頼関係を構築しながらカウンセリングマインド
をもって事実の聞き取りを行う。
・事実関係の聞き取りとともに、行為をしかるのではなく、行為の動機(原因)等を聞き取る。
(どういう気持ち、意図、ねらい、でその行為を行ったのか)
・児童生徒・保護者・関係機関と継続的な連携をはかり、児童生徒の気持ち
の揺れを支えるとともに、差別解消への展望を与えるように取り組んでい
く。
・安心して事実を話すことができる環境づくりに努める。
・決して差別をした者が追いこまれ、孤立することのないように留意する。
●参考〈差別落書きの場合の対応〉
・発見した日時、発見者、場所、内容、用具、寸法、現場の状況(撮影した写真)などを記録
し、保存する。
・差別拡散防止のため適切な処置を行う。
(通路の壁などの場合は、表面を紙や布などで確実に覆う。
)
●参考〈インターネット・携帯電話・スマートフォンにおける差別書き込みの場合の対応〉
1 書き込み発見の連絡(児童生徒・保護者からの相談、教員等からの通報)
2 書き込み内容の聞き取りと確認・保存
・発見した日時、発見者、発見方法、掲示板・SNS等のページ名、アドレス(URL)を記録する。
(問題のページをどう操作すれば発見できるか。問題箇所の再現保存。
)
・パスワードが必要なページは、パスワードを聞き取る。
・書き込みを保存・印刷する。携帯電話の場合は、デジタルカメラで撮影する。
・携帯電話・スマートフォンでしか閲覧できない掲示板・SNS等があるので注意する。
・他人のアドレスを使った「なりすましメール」もあるので、十分留意して対応する。
・場合によって、他の生徒や校内にどのくらい広がっているかを確認する。
3 関係機関との連携・被害の拡大防止
・脅迫や重篤な名誉毀損等については、最寄りの警察署の生活安全課や法務局人権擁護課に削
除等の対応を相談する。
4 日頃からの取組み
・自尊感情を高め、豊かな感性を育む
・互いを認め合う集団づくり
・差別を許さない実践力
・相談できる児童生徒・教師の人間関係