平成28年度事業計画及び予算 1.事業方針 平成 28 年度は、平成 26 年度にスタートした「KEC 新中期計画」(活動スローガン“Change and Challenge”)の仕上げの年となります。したがって、平成 28 年度は、平成 26 年度から構築してきたベース を活かし、「既存事業の強化・拡大」及び「新規事業への参入」の実現により業界への貢献を拡大する年 度となります。 1.1 総務部門 既存の試験事業の強化・拡大に向けて、試験事業部門と連携して、平成 27 年度に購入 したけいはん な試験センター隣接地に「けいはんな新電波暗室棟」の建設を進めていきます。本新電波暗室棟には、 車載及び MIL 分野の試験需要増加への対応のための小型電波暗室等の増設を行い、平成 28 年度中の 完成を目指して建設を進め、平成 29 年度からの稼働開始が可能となるよう準備を進めていきます。 1.2 専門委員会推進部門 既存の委員会事業の強化・拡大に向けて次の 2 点の重点取組みを進めます。まず、1 点目として、技 術者の「実践力+ステータス」強化に向けた支援の更なる拡大を図っていきます。平成 28 年度は「技術 講座」においては、基礎的な内容に加え、ノウハウ事例やこれまで提供できていない設計技術等、総合設 計力の向上につながる内容を提供していくことにより、若手技術者を中心に技術者の実践力強化にさら に貢献できるようにしていきます。また、「ワーキンググループ(WG)」の活動においては、継続して現場課 題の解決につながる実践的内容に重点的に取り組むとともにその成果を学会や対外的なセミナーで積 極的に発表するといったことも含め、より多くの技術者の実践力強化につながるよう発信を拡大していきま す。また、あわせて、「資格」の更なる普及・拡大に向け PR をより戦略的に進めることで、資格の受験者数 の拡大にもつなげ、資格の価値をさらに高めていくことにより、資格を通じた技術者のステータス強化にも 貢献をしていきます。 また、2 点目の取組みは、新規・成長分野の情報発信強化及び試験事業との連携による相乗効果の発 揮で、これにより、会員企業への貢献を拡大していきます。平成 28 年度も、主要セミナーでは、新規・成 長分野のテーマを中心に取り上げ、特にビジネスに直結する応用・実用化事例の情報提供をより充実さ せて、会員企業が新しい事業展開を行う上で支援となる情報の提供をより強化していくとともに、そういっ た新規・成長分野をテーマとしたフォーラムのけいはんな(KEC)での開催を定例化する(さらに開催頻度 を増やす)など、KEC の試験能力情報の PR をさらに強化していくことで、新規・成長分野での試験事業を 通じた会員企業への貢献も一層拡大できるよう進めていきます。 1.3 試験事業部門 既存の試験事業の試験料収入拡大に向けた重点取組みとして、新規分野の拡大に向けた取組みを 進めていきます。平成 28 年度は、平成 27 年度に引き続き、太陽光発電、EV 充電器を中心に新エネルギ ー分野の拡大に継続して取り組んでいくとともに、平成 27 年度に十分に伸ばしきれなかった鉄道分野及 び産業用ロボット分野にも注力して拡大を図っていくことで、新規分野の受注拡大に取り組んでいきま す。 また、新規事業の構築に向けた重点取組みとして、新規・成長分野において、EMC 評価以外の重要な -1- 評価分野に入っていくための取組みを継続して進めていきます。これまで検討を進めてきた生活支援ロ ボットの安全性評価、EV 充電器の安全性評価については、平成 28 年度は、継続した取組みを進めなが ら、顧客獲得に結びつけること即ち事業参入を実現することを目指します。また、平成 28 年度は、新たな 評価検討項目として、産業機器(産業用ロボット等)の安全性評価についての検討を追加して進めていき ます。 なお、平成 28 年度の試験料収入の計画は、ほぼ平成 27 年度並みの 640 百万円の計画といたします。 1.4 平成28年度事業計画 平成 28 年度の事業計画は下記の計画といたします。平成 28 年度の収支見込み(税引き前の正味財産 増減額)は、114 百万円の計画となっております。 <平成 28 年度 事業計画> 単位:百万円 会 費 収 入 等 収 試 験 料 収 入 入 そ の 他 収 入 平成27年度 平成28年度 計画 実績 計画 42 41 39 前年比 (%) 95 600 645 640 99 35 44 44 100 677 730 723 99 費 242 244 250 102 管 理 費 支 減 価 償 却 費 出 退 職 給 付 費 用 210 217 220 101 123 127 128 101 10 10 11 110 585 598 609 102 92 132 114 86 計 人 件 計 収 支 2.事業計画の詳細 2.1 総務事項 平成 27 年度に購入したけいはんな試験センター隣接の事業用地に、新電波暗室棟の建設を計画しま す。 (1) 目的 主に、[車載+MIL]分野の更なる試験需要増対応、付随して、生駒第 2 試験サイト(3m 法対応中型 電波暗室)の将来的な代替を目的とします。 ① 設備追加による既存電波暗室の有効活用だけでは、将来的には[車載+MIL]分野での需要増に 対応できない可能性があると考え、車載用小型電波暗室を新設します。 ② 生駒第 2 試験サイト(3m 法対応中型電波暗室)は、電波暗室は 1 基だけで、けいはんな試験セ ンター及び生駒第 1 試験サイトと離れた場所にあるため管理の手間が大きく、近年は稼働率低下 傾向にあります。よって、けいはんな試験センターの隣接地に 3m 法対応中型電波暗室を建設し、 -2- 生駒第 2 試験サイトの将来的な閉鎖も視野に入れた運用に移行します。 (2) 建設スケジュール 平成 28 年 3 月の理事会にて基本計画の承認、平成 28 年 5 月の理事会及び 6 月の通常総会に て建設計画の承認を受け、京都府による建築確認後に着工し、平成 28 年度中(平成 29 年 3 月)の完 成、平成 29 年度から稼働開始するスケジュールを目標とします。 <建設スケジュール> 平成27年度 1月 2月 3月 4月 基本計画承認 土地購入契約 理事会 12月 ▽ 全般 ▽ 構想検討 5月 6月 計画承認 理事会 総会 7月 11月 12月 1月 2月 着工 ▽ ▽ 業者 選定 平成28年度 9月 10月 8月 完成 ▽ 設計 3月 建屋・電波暗室 工事 土木工事 ▽ 設備工事 ▽ 基本計画説明 行政手続き ▽ 建設計画提出 建築確認 ▽ 審議 ▽ (3) 建屋 目的を達成するための建屋構想を検討した結果、以下に示す構想を採用することとしました。 <新電波暗室棟構想> 構 造 鉄骨 2 階建て 床 面 積 1 階:約 351m2 2 階:約 351m2 計:約 701m2 1 階 寸法:約 7m×約 6.5m×約 3.5m(H) 車載用小型電波暗室 主要 施設 CISPR25 ドラフト サイト特性:0.15MHz~2.5GHz ±6.0dB(目標) 3m 法対応中型電波暗室 寸法:約 12m×約 9m×約 6m(H) NSA:30MHz~1GHz ±2.5dB(ANSI C63.4-2014) ±2.0dB(VCCI 技術基準) SVSWR 特性:1~6GHz 5.5dB、6~18GHz 5dB ターンテーブル:直径 2m、耐荷重 2t 2 階 (車載用小型電波暗室) 主要 施設 1 階の車載用小型電波暗室と同等の電波暗室 1 基を将来設置でき るようにスペース等を確保 会議室、倉庫 - NSA:Normalized Site Attenuation 正規化サイトアッテネーション SVSWR:Site Voltage Stand Wave Ratio サイト定在波比 -3- <新電波暗室棟外観イメージ> -4- (4) 試験設備 電波暗室自体、その付帯設備(ターンテーブル等)、施設電源以外で、試験に必要な測定器等の 導入計画を以下に示します。設備投資金額を平成 28 年度から平成 30 年度の 3 年間で可能な限り 平準化を図ること、優先順位の高い設備は平成 28 年度または平成 29 年度として新電波暗室の稼働 に間に合わせること(平成 29 年度の設備投資を期首に設定することにより、新電波暗室の稼働開始 に間に合わせる)を方針として計画しました。 <新電波暗室棟に使用する試験設備の投資計画(単位:百万円)> 車載用小型 放射イミュニティ試験用 電波暗室 エミッション試験用 H28 年度 H29 年度 49 7 56 23 23 BCI 試験/RI(無線携 帯)試験用 小計 3m 法対応中 エミッション試験用 型電波暗室 放射イミュニティ試験用 49 49 計 18 18 18 97 30 小計 計 30 H30 年度 30 40 40 30 40 70 60 58 167 ・BCI:Bulk Current Injection 伝導イミュニティ試験 ・RI(無線携帯):Radiated Immunity 車内で使用されるハンディ無線機を模擬した近接照射イミュニティ試験 ・平成 28 年度の設備投資の詳細は、2.3.2 項参照 ・MIL 対応の試験設備は、高額で車載用の設備より稼働率が低いため、当面は新電波暗室用には導入 せず、既存設備で対応 (5) 資金計画 新電波暗室棟関連の投資は、土木工事、建屋建設、付帯設備、施設電源を合わせ合計約 375 百 万円となります(試験設備を除く)。平成 27 年度末のキャッシュ残高は、約 720 百万円であるため、借 入金なしでキャッシュフロー上問題ないと判断します。 (6) 人員計画 平成 29 年度期首からの新電波暗室棟稼働に対応する人員強化計画を以下に示します。 ① 車載用小型電波暗室の稼働対応については、平成 28 年 4 月採用の 1 名を車載分野の試験に 充てて、車載分野の人員強化を図ることにより、対応します。 ② 3m 法対応中型電波暗室の稼働対応については、平成 29 年度にさらに試験人員 1 名の採用を 計画する予定です。 -5- 2.2 委員会活動 2.2.1 重点取組みの推進 公益事業の一翼を担う委員会活動として、従来から注力してきた製品開発の上流工程へのお役立 ち拡大を念頭に、平成 28 年度は、新中期計画の最終年度として、実践力(実戦力)及びステータスの 強化支援と、新規・成長分野の情報発信強化、試験事業との相乗効果発揮による会員企業の事業拡 大への貢献に向けさらに踏み込んだ取組みを推進していきます。 実践力及びステータスの強化については、即戦力につながる研修プログラムの更なる充実と、技術 者の「自信」につながる資格制度の展開強化を 2 つの軸として、継続した取組みを進めていきます。 実践力強化について、新中期計画の当初 2 年間は EMC/製品安全の両分野ともに、多くの製品に 適用可能な普遍的で基盤となる設計力の構築に向け実習研修も取り入れながら内容の充実を図って きました。平成 28 年度は、あらためて「製品開発に必要な技術は何か?」という視点で強化すべき 内容や研修全体のリソース配分を見直し内容の更なる充実を図っていきます。 これまで取り組んできた論理的な設計技術、リスクやハザードを評価しながら国際規格を踏まえた設 計技術に加え、イミュニティ対策やノウハウを活用した設計手法、ライフエンドを見越した信頼性設計等、 これまで提供できていなかった設計技術を取り入れ総合設計力につながる実践力の強化を推進してい きます。 また、分科会/ワーキンググループ(WG)活動においては、測定の信頼性や効率化、新規格・規制 の検証から改善策の提案等の現場課題の解決に直結した実践力あるテーマで活動していくとともに、 対外的な発表も積極的に推進し業界への貢献を目指していきます。 一方、資格制度については、平成 28 年度も KEC が提供する各資格の価値や位置付けをよりわかり やすく発信し、資格取得に向けたモチベーションアップを図る一方、企業内の教育制度との連携や、 試験合格に向けた模範的な取組み事例の紹介等、戦略的な取組みにより資格の更なる普及・拡大を 図り、資格を通じた技術者のステータス強化を図っていきます。 新規・成長分野の情報発信強化及び試験事業との相乗効果発揮による会員企業の事業拡大への 貢献に向けては、ビジネスに直結する応用・実用化情報を重点に話題の情報を提供していくとともに、 KEC が得意とする技術分野のセミナーをけいはんな(KEC)にて開催し、施設見学や評価試験相談の 場も提供する等の方法で試験事業の連携をさらに深めながら、会員企業の事業拡大・起業に向け貢献 できるよう取り組んでいきます。 2.2.2 専門委員会の活動計画 (1) 研究専門委員会 産学官連携のもと、学術委員や企業委員の最新情報を元に、対象とする新規・成長分野や先端技 術の分野において注目すべき項目を棚卸し、その動向を年間ベースでとりまとめながら、KEC セミナー や KEC テクノフォーラム、光・電波フォーラム等の情報発信の年間計画に落とし込んでいきます。 発信情報については、先端技術に偏ることなく実用・応用的視点を重点に紹介していくことに努めま す。 (2) EMC 専門委員会 -6- 電子業界や会員企業、ワーキンググループ参加企業が直面する EMC に関わる現場課題に焦点を 当てた取組みを平成 28 年度も推進していきます。 IoT に代表される急速な技術発展とともに大きな変化を遂げる電子業界において、開発遅延や製品 コスト増の一大要因となっている EMC 課題に対し、その対象となる製品分野にも注意を払いながら、 課題解決に向けた設計や部品・材料、評価、規格規制等について、最新の情報・動向を紹介していき ます。 また、会員企業より起案されたこれら現場課題の解決につながる調査研究テーマを、ワーキンググ ループ活動として推進していきます。 (3) 製品安全専門委員会 安全技術・安全規格・信頼性技術の観点より、それぞれをテーマに掲げる分科会体制にて活動を行 っており、製品安全専門委員会においては、分科会相互の情報共有の場の形成と、セミナーの開催や 分科会活動を通して得られた活動成果の社会へのフィードバックの場の形成を図り、公益活動としての 製品安全分野での貢献を図っていきます。 また、設計者に焦点を当て平成 25 年度より本格的にスタートさせた製品安全技術講座においては、 平成 26 年度から市場商品を題材に、その分解分析によるリスクアセスメント評価や、安全試験の実演 など実習面を強化する一方、規格関連の講義を充実させるなど取り組んできましたが、平成 28 年度は さらにこれらを充実強化するとともに、これまで提供できていなかった設計技術も取り入れ総合設計力 の構築につながる講座を提供することにより、より実践性のある研修へと進化させていきます。 (4) iNARTE/Japan 専門委員会 グローバル展開が益々加速する電子業界において、EMC 及び製品安全に携わる技術者の技術力 を公正に認定し、そのステータスアップを図り「自信」につながる国際資格として iNARTE EMC 及び iNARTE PS 資格の更なる普及展開を、iNARTE(Exemplar Global, Inc.)との連携の下で推進していき ます。 ① iNARTE EMC 資格の更なる普及・拡大 平成 25 年 2 月の資格試験において、有資格者の累計が 1,000 人を突破しましたが、業界の標 準資格としての責任を担い、その位置付けをさらに盤石なものとするため、これに留まることなく資 格者増を目指していきます。 平成 28 年度は、東京での資格試験をより広い会場で実施し、会場満席課題の緩和に努めます。 今後も専門講習会の開催、模擬試験の東京・大阪開催、広報活動の強化等による積極的な啓蒙 活動を推進していくとともに、平成 24 年度に導入した終身資格をさらにアピールし、退職等による 資格者の減少を防止します。 ② iNARTE PS 資格の認知度向上、取得者数の拡大 平成 25 年度は受験者が前年比倍増を果たしたものの、平成 26 年度、27 年度は前年同数、ある いは微増に留まりました。 平成 28 年度も各種セミナーでの資格紹介をさらに強化し、資格の認知度向上に努める一方、 企業への巡回 PR においては企業内の教育制度との連携を強化し、資格の紹介や取得奨励を訴 求するなど、より効果的な訴求を図っていきます。 加えて、受験対策講習会や対策テキストの充実、製品安全専門委員会や外部委員会の活用に -7- よる PR 等の各種手段を講じて、前年度比 1.5 倍を目標に受験者数拡大を図っていきます。 (5) EMC 設計技術者資格推進委員会 EMC 設計技術者資格は、製品開発の上流における「EMC 設計」に焦点を当て、その技術力を評価 認定する国際資格として KEC と iNARTE が平成 23 年に共同で創設したものです。 平成 25 年度の第 4 回試験では、前年第 3 回に比べ約 2 倍、さらに平成 26 年度の第 5 回は、第 4 回の 64%増と、増加傾向にありましたが、平成 27 年度は前年同数に留まりました。 資格の主たる対象とする電気設計技術者の数は多く、絶対数としての伸びしろは大きいと期待され る状況にあり、平成 28 年度は受験者数の前年度比 1.5 倍を目指して、企業への巡回 PR や各種セミナ ーでの紹介に加えて、本委員会委員一丸となり、自らが伝道師として資格の認知度向上、受験者増に 向けた普及展開活動を推進していきます。 2.3 試験事業 平成 28 年度は「新中期計画(平成 26 年度~28 年度)」の 3 年目となり、前年度に実施した重点取組 みの事業化を行い、幅広い技術分野の適応力を強化していきます。そのために、2.3.3 項の重点取組み を継続的に実行し、その成果により、一層のお役立ち活動のできる事業基盤づくりに取り組むとともに、 お客様獲得に向かって邁進していきます。 2.3.1 試験料収入計画 平成 28 年度の試験料収入計画は、前年度に続き大手企業における EMC 試験の内製化加速による 影響が大きくなることが予想され、また、前年度の一部主要顧客の EMC 対策の長期化による自主測定 の利用増の特殊事情を考慮し、前年度実績から若干減の 640 百万円を確保する計画とします。 (1) AVC 分野は138百万円を計画 大手企業における EMC 試験の内製化に伴う影響を受け、受注件数の減少が想定されます。さら に、会員各社からの試験料金のコストダウン要望にお応えしなければならないことが試験料収入減 の要因となっています。なお、近年、デジタル家電機器がネットワーク化されるに伴い無線モジュー ル搭載機器が増加していることを踏まえ、平成 26 年度に投資した無線機テスタと関連する新規試験 規格への対応拡大の PR を強化し、無線搭載機器の受注拡大を図り、大幅な収入の落込みを食い 止めます。 (2) 新規分野は147百万円を計画 太陽光発電用パワーコンディショナ、EV 充電器等の試験受注を拡大するとともに、前年度に計画 未達であった鉄道、産業ロボットについては、関連団体を介して関連企業への PR 強化と認証機関と 連携を図っていくことで受注拡大に努めていきます。 (3) 医療機器分野は20百万円を計画 前年度と同様に新規開発の評価及び量産品の品質管理試験の受注が見込めるため、前年度計 画並の計画にしました。海外の認証機関や各都道府県の公設試験所との連携を図り、新規顧客開 拓を促進します。 -8- (4) 車載分野は282百万円を計画 省エネ部品関連の継続受注やメーカ規格改訂対応の受注増に加え、前年度下半期に投資した 第 6 電波暗室用計測器でさらに受注対応能力を高めて受注拡大に努めていきます。 (5) MIL 分野は48百万円を計画 国産旅客機の開発による EMC 評価が延期となり、防衛関連の需要減で計画数値を下げましたが 受注確保に努めていきます。 (6) 製品安全試験は5百万円を計画 電気用品安全法(改正を含む)対応の家電機器の受注確保に努めます。また、無線関連 IT 機器 に対する試験能力拡大を PR し、公設試験所や認証機関と連携して新規顧客開拓に努めます。 <平成 28 年度 試験事業収入計画 ( 単位:百万円 )> 依頼試験 自主測定 合計 H27実績 H28計画 前年比 H27実績 H28計画 前年比 H27実績 H28計画 前年比 AVC機器 81 77 95% 64 61 95% 145 138 95% 新規分野 22 25 112% 113 122 108% 136 147 108% 医療機器 15 10 66% 14 10 72% 29 20 69% 車載機器 51 55 108% 211 227 108% 262 282 108% MIL機器 15 12 78% 52 36 69% 67 48 71% 安全試験 3 5 173% 0 0 - 3 5 179% その他 0 0 3 0 - 3 0 187 184 457 456 645 640 合計 2.3.2 - 98% 100% - 99% 施設整備計画 平成 28 年度施設整備は、まずは既存設備用としては、投資額 56 百万円で計画します。 AVC 分野では無線機器試験拡大化に対応すべく LTE 変調モジュールを導入し、新規分野では、 太陽光発電用 DC 電源の増強で 20kW 超の受注拡大を図ります。さらに AVC/新規分野共通として雷 サージ試験(IEC61000-4-5)及び測定規格最新版(ANSI C63.4-2014)に対応すべく、雷サージ試験 器と ANSI 規格対応床置き吸収体を導入します。 車載機器分野では、EMC 規格改訂に対応したストリップライン、無線携帯用アンテナの導入及び試 験器の改造を行うとともに、サージ試験器の新設で 2 ライン化を図り、受注拡大を図っていきます。 新車載電波暗室用としては、放射イミュニティ試験用設備の大部分を平成 28 年度に導入とし、投資 額 49 百万円で計画します。具体的には、EMC 試験用共通設備として LISN、電源、PC、放射イミュニ ティ試験用として各周波数での送信アンテナ、電力増幅器、方向性結合器等を導入して、次年度から の運用に備えます。 -9- 2.3.3 重点取組みの推進 重点取組みとしては、「新規分野の拡大に向けた取組み」を継続して進めるとともに、「新規事業の 確立に向けた取組み」を加速して新規・成長分野における重要評価分野への参入を目指します。 (1) 新規分野の拡大に向けた取組み 平成 27 年度には、新規分野の EMC 試験の拡大に向けて、新エネルギー分野、鉄道分野等に 注力した取組みを進めてきましたが、鉄道分野と産業用ロボットの試験の受注を十分伸ばすことが できませんでした。したがって、平成 28 年度は、新エネルギー分野を継続して拡大していくとともに、 鉄道分野と産業用ロボットに関しては、平成 27 年度の状況を踏まえて、下記の取組みに注力して 進めます。 またこれらの新規分野に関して、専門委員会推進部門と連携してセミナーをけいはんな試験セ ンターで実施し、講座とともに試験設備の見学会を行い顧客拡大に努めていきます。 ① 新エネルギー ⅰ)太陽光発電(平成 28 年度試験料収入計画:45 百万円) 一般家庭用の太陽光発電での買取価格の値下がり、電力自由化による登録事業者の拡大 により、公共産業用の太陽光発電システムが主となる中で、海外向け評価試験や公共機関用 20kW 超太陽光発電用パワーコンディショナ等の受注拡大を図っていきます。また、国内の JET 認証同等 EMC 試験においては、蓄電機能付パワーコンディショナの EMC 試験の実施により受 注拡大に取り組みます。 ⅱ)EV 充電(平成 28 年度試験料収入計画:22 百万円) 電気自動車の充電器市場が伸び悩む中、充電手段として充電ケーブルを使用せず利便性 の高い WPT(無線給電)の今後の普及拡大が予想されるため、その試験需要の取込みを通じ た受注拡大に努めていきます。また、CHAdeMO 改訂規格による EMC 評価を行うメーカが平成 27 年度から出てきており、平成 28 年度にはその受注拡大を狙って、関連企業への PR を継続し て行っていきます。 ⅲ)その他(平成 28 年度試験料収入計画:42 百万円) 蓄電+回生、HEMS、コジェネレーションシステム等について、前年度から継続しての受注を 目指します。特に近年伸びてきている蓄電(+回生)関連の受注拡大を図っていきます。 ② 鉄道分野(平成 28 年度試験料収入計画:7 百万円) 鉄道インフラのトップセールスにより、今後、海外市場での伸びが期待できます。その海外向け EMC 評価については、前年度実績のなかった認証試験について、今年度も継続して認証機関と の連携を図るとともに、関連企業へのアプローチを行って認証試験の受注確保を図ります。さら に業界団体への参入を行い、その加盟企業の試験需要の取込みを図り、EMC 評価の受注拡大 を行っていきます。 ③ 産業用ロボット(平成 28 年度試験料収入計画:7 百万円) 産業ロボットは中国等の新興国でも人件費の高騰で需要増が見込まれてきています。その海 - 10 - 外向け評価については、前年度実績のなかった認証機関との連携による認証試験に関して、認 証機関との連携をさらに強化するとともに、関連企業へのアプローチを行って、認証試験の受注 確保を図ります。また、関連団体への参入を行い、その加盟企業へのアプローチや計測器メーカ (代理店)経由での関連企業への PR で、EMC 評価の受注を拡大していきます。 (2)新規事業の確立に向けた取組み 製品の評価や認証には EMC 試験以外の安全試験(電気安全、機械安全、環境試験等)等も重 要な評価分野となってきます。平成 28 年度も新規・成長分野における重要評価分野の事業化検討 を継続して進め、これまで検討を進めてきた生活支援ロボット及び EV 充電器の安全性評価につい ては、この平成 28 年度に事業参入を目指します。また、新たな検討項目として、産業機器(産業用 ロボット等)の安全性評価についての検討を進めていきます。 ① 生活支援ロボットの安全性評価 ⅰ) 電気安全試験(及びリスクアセスメント・サポート)での事業参入に向けて、業界団体(生活支 援ロボットビジネス研究会、ロボットイノベーションコンソーシアム、日本ロボット工業会等)の加 盟企業へのアプローチとともに、関連機関(JARI(日本自動車研究所)、JASPEC(一般社団法 人日本福祉用具評価センター)等)からの紹介及び連携で顧客獲得を目指します。 ⅱ) リスクアセスメントサポート能力については、現状個人レベルでのサポート対応力となってい るため、その組織能力向上に向けて、サービスロボット安全技術者認定講座参加等によりリスク アセスメント手法の習得メンバーの拡大を図るとともに、JARI との連携やロボットイノベーション コンソーシアムへの参画により情報収集し、顧客に対してのリスクアセスメントのサポート能力の 向上を図ります。 ② EV 充電器の安全性評価 海外向け普通充電器の電気安全試験での事業参入に向けて、関連企業へのアプローチを行 い顧客獲得を進めるとともに、認証機関の登録試験所の資格取得を進めていき、EMC 試験との ワンストップ化で顧客拡大を目指します。 ③ 産業用ロボットの安全性評価 産業用ロボットの安全性評価の実現を目指して、安全規制の 1 つである電気安全評価項目の 調査及び実現性の検討とともにリスクアセスメント実施のために必要な知識の調査と習得を行っ ていきます。 - 11 - 3.予算 3.1 収支予算 平成28年度収支予算 [損益ベース] (単位:千円) 科目 平成28年度 平成27年度 実績 計画 前年差 前年比(%) Ⅰ一般正味財産増減の部 1.経常増減の部 (1) 経常収益 ① 受取入会金 600 600 0 100 基本会費 40,050 38,340 △ 1,710 96 特別会費 0 0 40,050 38,340 △ 1,710 96 644,772 640,000 △ 4,772 99 10,256 12,167 1,911 119 7,172 6,428 △ 744 90 資格取得収入 26,189 24,860 △ 1,329 95 ③ 事業収益小計 688,389 683,455 △ 4,934 99 受取利息 312 0 △ 312 0 雑収入 843 240 △ 603 28 1,155 240 △ 915 21 730,194 722,635 △ 7,559 99 553,971 563,521 9,550 102 33,858 34,738 880 103 退職給付費用 10,235 10,819 584 106 経常費用計 当期経常増減額 598,064 609,078 11,014 102 132,130 113,557 △ 18,573 86 固定資産売却益 0 0 - - 受取補助金 経常外収益計 0 0 0 0 - - - - 0 0 - - 固定資産除却損 経常外費用計 △ 26 0 - - △ 26 0 - - 当期経常外増減額 △ 26 0 - - 132,104 113,557 ② 受取会費小計 電磁波計測試験収入 講演・講習収入 資料収入 ④ 雑収入小計 経常収益計 - - (2) 経常費用 事業費 管理費 2.経常外増減の部 (1) 経常外収益 (2) 経常外費用 貸倒損出 当期一般正味財産 増減額 - 12 - △ 17,041 86 3.2 公益目的支出計画 平成28年度 公益目的支出計画 [損益ベース] (単位:千円) 科目 平成28年度 平成27年度 実績 計画 前年差 前年比(%) - - Ⅰ 一般正味財産増減の部 1.経常増減の部 (1) 経常収益 受取会費 0 0 35,226 35,927 701 0 0 0 35,226 35,927 701 102 人件費 50,494 53,233 2,739 105 会議費 11,739 11,776 37 100 旅費交通費 4,523 6,163 1,640 136 通信運搬費 1,374 1,223 △ 151 89 消耗品費 1,673 1,039 △ 634 62 979 1,090 111 111 賃借料 2,389 3,174 785 133 諸謝金 5,203 6,033 830 116 533 290 △ 243 54 1,068 1,767 699 165 16,473 17,620 1,147 107 6,084 4,516 △ 1,568 74 102,532 107,924 5,392 105 △ 67,306 △ 71,997 △ 4,691 107 経常外収益 0 0 - - 経常外費用 0 0 - - 当期経常外増減額 0 0 - - △ 67,306 △ 71,997 事業収益小計 雑収益 経常収益計 102 - (2) 経常費用 印刷製本費 支払手数料 委託費 試験更新料 その他 経常費用計 当期経常増減額 2.経常外増減の部 当期一般正味財産増減額 - 13 - △ 4,691 107
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