プログラム・演題抄録集『修正版』

第45回
長野県理学療法学術大会
‐プログラム・演題抄録集‐
テーマ
理学療法士に求められているもの
日程
平成 28 年 6 月 19 日(日)
場所
篠ノ井市民会館
主催
一般社団法人 長野県理学療法士会
後援
一般社団法人 長野県作業療法士会
長野県言語聴覚士会
担当
北信地区
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-0-
目次
目次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1P
交通案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2P
会場案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3P
参加者の皆様へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4P
演者・座長の皆様へ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5P
大会日程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6P
大会式次第 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7P
大会プログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8P
特別講演 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10P
一般演題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12P
医療・機器展示社一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40P
運営委員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41P
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交通案内図
拡 大 図
車でご来館の方へ
長野自動車道 更埴 IC より約 10 分
(上信越自動車道 更埴 JCT)
市民会館入口の交差点を目印に
お越しください。
※駐車場は篠ノ井支所と共有になり、
台数に限りがあります。
電車・バスなどでのご来館をお願いい
たします。
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会場案内図
メインホール
演題発表Ⅰ・Ⅳ
特別講演等
玄関ホール
玄関ホール
機器展示
受付
第1会議室
昼食会場
中会議室
第2会議室
演題発表Ⅲ・Ⅵ
昼食会場
大会議室
演題発表Ⅱ・Ⅴ
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参加者の皆様へ
1 学術大会参加費について
会員・一般 1.000 円、学生 500 円、会員外理学療法士 4.000 円となります。
ただし、今年度入会予定の方は会員扱いとします。
なお当日の受付を円滑にするために、つり銭のないようご用意してください。
市民公開講座のみ聴講される方は無料です。
2 受付について
開場は 9 時となっております。受付は玄関ホールにて 9 時 15 分より開始いたします。
履修ポイント取得のため受付を別に設けてありますので会員証をお持ちください。
3 会場での注意事項
講演・発表会場内では携帯電話等の電源はお切りいただくか、マナーモード設定をお願いいたします。
会場内は禁煙となっております。喫煙は指定の場所でお願いします。
4 駐車場について
会場駐車場の準備がございますが、市民公開講座では一般の方の駐車場も必要となるため、なるべく乗り合わ
せでお越しください。
5 昼食について
昼食は各自でご用意ください。2階会議室をご利用ください。会場に入れる数が限られますので、譲り合って
ご利用下さい。尚、ゴミは各自でお持ち帰りください。
6 託児所について
申し込まれた方は、担当者が案内いたしますので受付にお声かけください。
7 賛助会員展示・書籍販売について
展示コーナーにて賛助会員各社による医療・福祉機器の展示、医療関連図書の販売を行いますのでお立ち寄り
ください。時間は 15 時までとなっております。
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演者の皆様へ
1 演者受付について
○演者の皆様は会員受付終了後、演者受付にお越しください。
○受付終了後、プレゼンファイルの動作確認をお願いいたします。当日ファイルの差し替えは受け付けません。
また、PC の持ち込みもできません。
2 発表について
○セッション開始時には、会場前方の次演者席に着席お願いします。発表内容は、抄録と相違ないようにして
ください。
○口述の場合、発表時間は 7 分、質疑応答は 3 分。動画の場合、発表時間は 15 分、質疑応答は 5 分。ポスター
の場合、発表時間は 7 分、質疑応答は 3 分を予定しています。
○発表の際は、演台にセットしてある PC を使用し、演者自身で操作をお願いします。
○発表時間終了 1 分前に呼び鈴1回、終了時間に呼び鈴2回で合図いたします。終了時間になりましたら、速
やかに発表をまとめてください。ポスター発表は口頭指示にて行います。
○発表終了後、送付いただいた発表データは大会終了後に大会主催者側で責任を持って削除いたします。
座長の皆様へ
1 座長受付について
○座長の皆様は会員受付後、座長受付へお越しください。
2 セッションの進行について
○セッション開始 10 分前までに、担当セッション会場へお越しください。
○口述の場合、発表時間は 7 分、質疑応答は 3 分。動画の場合、発表時間は 15 分、質疑応答は 5 分を予定して
います。詳細の進行は座長に一任いたします。セッションが円滑に進行するようご配慮お願いします。
○発表時間終了 1 分前に呼び鈴 1 回、終了時間に呼び鈴 2 回で合図いたします。
○発表内容が大幅に異なる場合は、その場で注意をお願いいたします。
○質疑応答の際は、発言者の所属と氏名を述べさせてください。
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第 45 回長野県理学療法学術大会日程
メインホール
大会議室
中会議室
玄関ホール
9:15
受付
9:45
10:00
開会式
特別講演 市民公開講座
協賛会員による機器展示
テーマ:理学療法士に求められ
(10:00~15:00)・順不同
ているもの
エヌアイ(株)
講 師:山口 育子先生
かふね(有)
(NPO法人ささえあい医療人権
キッセイコムテック(株)
センターCOML 理事長)
マイクロストーン(株)
11:20
11:30
ヤマシタコーポレーション
休憩
(株)
メディカルケア(株)
第 44 回学術大会優秀賞
マツイ商会(有)
学術奨励賞 授与式
シナノ(株)
定期総会
明倫堂書店(有)
第 46 回長野県理学療法
学術大会大会長挨拶
12:30
13:30
休憩
演題発表Ⅰ
演題発表Ⅱ
演題発表Ⅲ
演題番号 1~4
演題番号 5~8
演題番号 9~14
座長 市村 健
座長 佐藤 公宣
座長 春日 信
(新町病院)
(長野赤十字病院) (篠ノ井総合病院)
14:30
14:40
休憩
演題発表Ⅳ
演題発表Ⅴ
演題発表Ⅵ
演題番号 15~18
演題番号 19~22
演題番号 23~27
座長 島津 寿江
座長 石尾 千春
座長 中島 慶一
(竹重病院)
(長野中央病院)
(千曲中央病院)
15:40
休憩
15:50
閉会式
16:10
終了
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15:00~片付け
大 会 式 次 第
開会式
9:45~10:00
開会宣言 ・・・・・・・・・・・・・・準備委員長 柳沢 利和(長野松代総合病院 附属若穂病院)
大会長挨拶・・・・・・・・・・・・・大 会 長
松井 克明(長野松代総合病院)
会長挨拶 ・・・・・・・・・・・・・長野県理学療法士会 会長 市川
授与式
彰(佐久総合病院)
11:10~12:30
第 44 回長野県理学療法士会 優秀賞
受賞
〈受賞者〉 有賀 一朗(まつもと医療センター中信松本病院)
「加速度計および三次元動作解析装置を用いた歩行中の重心移動幅の比較」
第 44 回長野県理学療法士会 学術奨励賞 受賞(2題)
〈受賞者〉 増澤 尚樹(岡谷市民病院)
「クモ膜下出血、重度右片麻痺により姿勢保持困難となった症例
~座位保持を目指して~」
〈受賞者〉 倉島 美穂(信州大学医学部附属病院)
「当院における慢性閉塞性肺疾患の増悪因子の後方視的検討」
受賞者挨拶
総評
長野県理学療法士会 会長 市川
閉会式
彰(佐久総合病院)
15:50~16:10
総評
学術局長 百瀬 公人(信州大学医学部保健学科理学療法学専攻)
閉会宣言
副準備委員長 北村 永介(長野保健医療大学附属リハビリテーションクリニック)
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―第45回長野県理学療法学術大会プログラム―
9:45~
10:00
10:00~
11:15
開会式
特別講演 市民公開講座
テーマ:「理学療法士に求められているもの」
講師:NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML 理事長 山口 育子 先生
11:15~
11:25
※休憩
11:25~
12:30
授与式・定期総会
12:30~
13:30
※昼休み
演題発表Ⅰ 運動器疾患
座長 市村 健 先生 (新町病院)
メインホール
1 口述・動画
自動挙上が可能となり日常生活動作が著明に改善した
左肩関節症の一症例
北アルプス医療センターあづみ病院
肩関節治療センター
三村 遼子
2 口述
右肩広範囲腱板断裂に対しリバース型人工肩関節置換術
を施行された一症例
北アルプス医療センターあづみ病院
肩関節治療センター
笹平 絵梨
3 口述
左肩関節拘縮を呈し、関節可動域改善を目的に非観血的
肩関節授動術を施行した一症例
医療法人アレックス 佐久平整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センターリハビリテーション科
他
玉寄 翔太
4 口述
腱板断裂術後において自動挙上動作の獲得に難渋した
一症例
北アルプス医療センターあづみ病院
肩関節治療センター
前田 翔子
演題発表Ⅱ 運動器疾患
座長 佐藤 公宣 先生 (長野赤十字病院)
13:30~
14:30
大会議室
5 口述
富士見町一般高齢者体操教室の効果
~夏期と冬期の違い~
富士見高原医療福祉センター富士見高原
病院 理学療法科 他
6 口述
運動耐容能の改善が得られた拡張型心筋症の1例
社会医療法人財団慈泉会相澤病院
7 口述
足関節外果骨折SER-stage3に分類され、保存療法が選択
された一症例
医療法人アレックス 上田整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センター リハビリテーション科
他
逆瀬川 雄介
非特異的腰痛を仙腸関節機能障害と評価して介入した症例
~疼痛除去テストを用いて~
医療法人アレックス 長野整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センター リハビリテーション科
他
金井 陽太郎
8 口述
演題発表Ⅲ 運動器疾患・内部障害
座長 春日 信 先生 (篠ノ井総合病院)
14:30~
14:40
多賀 将仁
望月 崇
中会議室
9 ポスター
温熱効果を用いた超音波療法による肩関節可動域の
改善効果について
まつもと医療センター
リハビリテーション科 他
岡崎 瞬
10 ポスター
両側Syme切断の後療法を担当した1症例
まつもと医療センター
リハビリテーション科 他
桑原 美智子
11 ポスター
全人工膝関節術後、慢性疼痛が見られた症例に対する
理学療法
上伊那生協病院
岩見 雄太
12 ポスター
足部への介入からバランス機能改善を目指して
上伊那生協病院 リハビリテーション科
理学療法課
山際 美紀
13 ポスター
誤嚥性肺炎予防
~脊柱アライメント・頸部周囲筋活動に着目して~
上伊那生協病院
片桐 将
14 ポスター
大腿骨頭壊死症に対する理学療法を経験して
上伊那生協病院
鷲尾 歩美
※休憩
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演題発表Ⅳ 脳血管疾患
座長 島津 寿江 先生 (竹重病院)
メインホール
15 口述
外傷性くも膜下出血により病識や意欲低下を認めた患者に
対するバランス練習アシストの使用経験
輝山会記念病院
総合リハビリテーションセンター
中島 茉美
16 口述
受傷後7年経過した時点でトイレ動作自立となった
若年脳損傷患者の一症例
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター
三才山病院
岡村 勇希
17 口述
パーキンソン病に対する短期間の高振幅運動療法の効果
を検討した一症例
まつもと医療センター 中信松本病院
リハビリテーション科 他
有賀 一郎
18 口述
頚部症状に伴い三叉神経第二・三枝領域に神経症状を
呈した一症例
信濃町立 信越病院
演題発表Ⅴ 評価・運動器疾患
座長 石尾 千晴 先生 (長野中央病院)
14:40~
15:40
東倉 加奈子
大会議室
19 口述
体幹の基本軸をベッドとの平行線とした股関節屈曲伸展
可動域測定の信頼性と測定誤差について
信州大学医学部附属病院
リハビリテーション部 他
常田 亮介
20 口述
当院にてTKA術後患者における膝蓋骨直上周径の経時的
変化
社会医療法人栗山会 飯田病院
鷲見 太一
21 口述
肩腱板断裂術後患者における肩関節可動域の
職種別比較
まつもと医療センター
リハビリテーション科 他
松岡 大悟
右特発性大腿骨内顆骨壊死に対して、自家骨軟骨移植術
及び高位脛骨骨切り術を施行した一症例を経験して
医療法人アレックス 佐久平整形外科クリ
ニック スポーツ関節鏡センター リハビリ
テーション科 他
高橋 健太
22 口述
演題発表Ⅵ 脳血管疾患
座長 中島 慶一 先生 (千曲中央病院)
中会議室
23 ポスター
初回発症から長期経過した両側性片麻痺症例に対する
理学療法経験
上伊那生協病院 訪問リハビリテーション課
加納 拓馬
24 ポスター
重度の感覚障害を呈した脳卒中患者の一例に対して
Gait Judge Systemを用いた治療経験
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター
鹿教湯病院
古山 幸太
25 ポスター
重度左片麻痺患者の起立動作獲得
上伊那生協病院
26 ポスター
当院ALS患者の短期一時入院(レスパイト)の現状、
PTとしての役割について
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター
鹿教湯病院
湯澤 喜作
27 ポスター
非麻痺側へ重心移動を困難にさせていた症例
~ リーチ動作の改善から歩行獲得を目指して ~
上伊那生協病院
川手 惇平
15:40~
15:50
※休憩
15:50~
16:10
閉会式
倉田 学
メインホール
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理学療法士に求められているもの
NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長
山口
育子
氏
NPO 法人ささえあい医療人権センターCOML(以下、COML)は、患者の自立と主体的な
医療参加を目指して 1990 年から活動してきました。日常の活動の柱は電話相談で、26 年間で
全国から届いた患者・家族のなまの声は 56000 件を超えています。
活動の理念として、決して患者と医療者が対立するのではなく、協働する姿勢を大切にして
きました。「協働」という漢字の持つ意味は、「同じ目標に向かって歩む立場の異なる者が、そ
れぞれの役割を担い合う」こと。慢性疾患を持つ患者が増えてきたということは、医療者の努
力だけで治療効果の上がる時代ではなくなってきました。特にリハビリにおいては、患者自身
の主体的参加意識なくしては成り立つものではないと思います。患者も自分はどのような努力
をすればいいかを理解し、役割意識を持って積極的に医療参加する意識が必要です。そして、
協働を実現するためには、医療者のサポートはもちろん、何よりも患者と医療者の良好なコミ
ュニケーションが欠かせないと思っています。
「2025 年問題」が目前に迫り、病床機能報告制度や地域医療構想が始まりました。かつて経
験したことがないスピードで高齢化が進む一方、人口減の歯止めが効かない地域もあります。
そのようななかで、医療・介護が切れ目なく利用でき、できるだけ住み慣れた自宅で過ごすた
めに、地域包括ケアの必要性が求められています。地域包括ケアがスムースに機能するために
は、これまで以上に多職種が横並びで連携し、患者も一員にしたチーム医療が欠かせません。
そのためには、医療者同士、そして患者・家族との円滑なコミュニケーションが求められると
思います。特に若い世代が比較的多い理学療法士の方々には、さまざまな世代の患者・家族に
対応するための臨機応変なコミュニケーション能力を高める努力が問われます。
また、理学療法士の活躍する場は、病院だけでなく、さまざまな施設へと需要は高まってい
ます。リハビリを必要とする患者がどこにいても受けられるように、医療と介護における理学
療法士の従事者数の圧倒的な差や待遇格差という根本的な問題への取り組みも急がれます。現
在、厚生労働省では医療者の需給問題の検討がおこなわれている真最中で、理学療法士、作業
- 10 -
療法士の需給分科会も始まりました。私も親会と医師、看護職員、理学療法・作業療法のすべ
ての分科会の構成員として議論に参加しています。その中から感じていることも、当日お伝え
できればと思っています。
ここ 20 数年間に患者を取り巻く医療環境は大きく変化し、患者の意識も変遷を遂げてきま
した。一時期、医療不信が高まった不幸な時代を経て、ようやく冷静に医療と向き合う素地が
芽生えてきたようにも感じています。同時に、医療現場では患者対応の見直しがはかられ、ど
の職種においても患者に対して丁寧な説明をするようになりました。しかし、本来、患者の権
利であったインフォームド・コンセントが、
「説明すること」と解釈されて広まったことによっ
て、医療者が必要と考える情報を一方的に提供するインフォームド・コンセントがほとんどに
なってしまっています。多くの情報を提供してくださっていても、それが患者の理解につなが
っているかといえば疑問が残ります。受けた説明を理解し、情報の共有に至ってこそ、成熟し
たインフォームド・コンセントだと思うのです。特に、理学療法の領域においては、リハビリ
の意味、方法、目指す目標などを患者と共有することが不可欠だと思います。患者の理解や想
い、置かれている状況などを理解する努力をしながら、共にリハビリに取り組むことが大切だ
と思います。
情報が溢れる時代を迎え、インターネットの誤った情報を鵜呑みにして翻弄している患者も
増えてきました。あるいは、医療への過度な期待、根拠のない不信感、医療者から説明された
情報を理解できていない患者も少なくありません。それらをクリアしたうえで、患者自身が自
らの価値観でどうやって意思決定し、それを医療者と共有しながら治療やリハビリを受けてい
くのか。更には、患者の安全が確保され、安心、納得するために、理学療法士には何が求めら
れるのかなど、お伝えしたいと思います。
講師紹介
大阪市生まれ。自らの患者体験から、患者の自立と主体的医療への必要
性を痛感していた 1991 年 11 月COMLと出会う。活動趣旨に共感し、1992
年 2 月にCOMLのスタッフとなり、相談、編集、渉外などを担当。2002
年4月に法人化したNPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの専
務理事兼事務局長を経て、2011 年 8 月理事長に就任。
- 11 -
演題番号 1
自動挙上が可能となり日常生活動作が著明に改善した左肩関節症の一症例
三村遼子,高橋友明,前田翔子,田島泰裕,雫田研輔,石垣範雄(MD)
,畑 幸彦(MD)
北アルプス医療センターあづみ病院 肩関節治療センター
Key Words:人工肩関節全置換術,日常生活動作,理学療法,
【はじめに】
【術後 3 ヵ月所見】
慢性関節リウマチ(以下,RA)による左肩関節
左肩関節可動域は改善され(肩関節屈曲 120°
症に対して人工肩関節全置換術(以下,TSA)を施
/90°,外転:45°/55°,下垂位外旋 55°/35°,
行され,自動挙上が可能となり日常生活動作(以
CTD37/38cm,結髪動作:可能,結帯動作:可能),
下,ADL)が著明に改善した症例を経験したので報
左上肢粗大筋力は, MMT にて 2~4 レベルと改善
告する.
された.疼痛においても左肩関節運動時痛,安静
時痛,夜間痛は軽減.それに伴い,ADL は FIM に
【症例紹介】
て合計 122/126 点(上半身更衣動作の項目におい
46 歳,女性,右利き,専業主婦.2000 年から
て 6/7 点に改善)と著明に改善された.JOA score
RA を発症し,2014 年頃から左肩痛が出現した.そ
も,総合点にて 81/100 点に改善された.
の後,左肩痛が増強し,2014 年当院を紹介受診し
た.2015 年 2 月に左 TSA 施行.翌日より術後理学
【考察】
療法開始となった.
本症例は,術前において肩関節可動域制限や疼
痛が著明であり,それに伴い ADL に支障をきたし
【初診時所見】
ていた.TSA 施行により肩関節機能の改善に伴い,
左肩関節に明らかな関節可動域制限を認め(肩
二次障害としての ADL 障害も改善され,術前困難
関節屈曲 110°/65°,外転:45°/測定不可,
であった更衣動作も自立レベルとなった.TSA 術
下垂位外旋 35°/10°,CTD35/51cm,結髪動作:
後の臨床成績について,石垣らは,TSA 術後にお
不可,結帯動作:可能)
,左上肢粗大筋力の低下も
いて, JOA score の総合点と疼痛の項目は術後 3
著明であり,徒手筋力検査(以下,MMT)にて 1~
ヵ月で有意に改善したと報告しており,また,青
2 レベルであった.疼痛においては,左肩関節運
木らは,RA における TSA は高い除痛効果を持つが,
動時痛,安静時痛,夜間痛を著明に認めた.それ
可動域は術前とほぼ同等であり,単なる肩関節可
に伴い,ADL は著しく制限されており,FIM 機能的
動域の改善が ADL 向上に結びつくわけではなく,
自立度評価(以下,FIM)は,合計 117/126 点(上
除痛,支持性獲得により達成される ADL の向上も
半身更衣動作の項目において 2/7 点と減点著明)
大きかったと報告しており,今回の我々の報告と
であった.日本整形外科学会肩関節機能判定基準
同調するものであった.
(以下,JOA score)は,総合点は 37/100 点と著
しく低下していた.
【治療プログラム】
術後理学療法プログラムは,2 週間の下垂位外
旋装具を装着.術翌日より外旋以外の他動関節可
動域練習,肩甲胸郭関節の他動関節可動域練習を
開始.術後 1 週より振り子運動,術後 2 週で右肩
関節の自動介助挙上練習が開始となった.術後 3
週に三角巾固定に変更となり,全方向の関節可動
域練習と自動挙上練習を開始.術後 4 週で上肢フ
リーとなった.
- 12 -
演題番号 2
右肩広範囲腱板断裂に対しリバース型人工肩関節置換術を施行された一症例
笹平絵梨◆,前田翔子,雫田研輔,田島泰裕,高橋友明,石垣範雄(MD),畑
北アルプス医療センターあづみ病院
幸彦(MD)
肩関節治療センター
key Words:広範囲腱板断裂,リバース型人工肩関節置換術,理学療法
【はじめに】
動域練習,肩甲胸郭関節の他動関節可動域練習を
2014 年 4 月よりリバース型人工肩関節置換術
開始.術後 1 週より振り子運動,術後 2 週で右肩
(以下,RSA)が本邦でも使用可能となり,一次修復
関節の自動介助挙上練習が開始となった.術後 3
不能な広範囲腱板断裂など従来まで治療が困難で
週で三角巾固定に変更となり,全方向の関節可動
あった症例に対する治療効果が期待されている.
域練習と自動挙上練習を開始.術後 4 週で上肢フ
RSA は,従来の解剖学な人工肩関節全置換術(以下,
リーとなった.
TSA)とは異なり,関節窩コンポーネントを球状ヘ
ッドに,上腕骨コンポーネントを凹型の半円形と
【術後 6 週間所見】
なる構造をしている.今回,右肩広範囲腱板断裂
術後 6 週間所見において,右肩関節可動域は改
に対して RSA を施行された症例の術前後の理学療
善を認め(自動屈曲 100°,自動外転 75°,自動
法を経験したので報告する.
下垂位外旋 5°),筋力においては,徒手筋力検査
にて著明な筋力の改善を認めた(屈曲 5-,外転 3,
【症例紹介】
下垂位外旋 3).疼痛においても,著明な疼痛の低
78 歳,男性,右利き,農家.2015 年 4 月,作業
下を認めた(NRS で安静時痛 0/10,動作時痛 4/10,
中に感電した後から右肩関節痛が出現.その後,
夜間痛 0/10).術前に認めた ADL 障害は,FIM スコ
疼痛が増悪し,右上肢が拳上困難となり日常生活
アは 126/126 点と改善された.
動作(以下,ADL)に支障をきたすようになった.
同年 7 月に当院に受診し,右肩広範囲腱板断裂と
【考察】
右肩関節拘縮と診断され,術前理学療法開始.同
本症例は,術前において肩関節可動域制限や疼痛
年 9 月に RSA 施行となり,翌日より術後理学療法
が著明であり,それに伴い ADL に支障をきたして
開始となった.
いたが,RSA 施行により肩関節機能が著明に改善
され,二次障害としての ADL 障害も改善された.
【初診時所見】
RSA 術後の臨床成績について,小林らは,RSA 術後
術前所見において,右肩関節に明らかな関節可
の理学療法で術後の可動域が改善し,ADL 能力の
動域制限を認め(自動屈曲 75°,自動外転 65°,
向上が得られたと報告しており,また,鈴木らは,
自動下垂位外旋-20°),筋力は徒手筋力検査にて
RSA 術後の症例において機能的な改善と疼痛の軽
著明な筋力低下を認めた(屈曲 2,外転 2,下垂位
減が得られたとも報告しており,今回の我々の報
外旋 2).疼痛においても著明な疼痛も認めた(NRS
告と同調するものであった。
で安静時痛 7/10,動作時痛 5/10,夜間痛 9/10).
それに伴い ADL も障害されており,FIM スコアで
122/126 点(減点項目は食事,入浴,更衣,整容)
であった.
【治療プログラム】
術後理学療法プログラムは,2 週間の下垂位外
旋装具を装着.術翌日より外旋以外の他動関節可
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演題番号 3
左肩関節拘縮を呈し、関節可動域改善を目的に
非観血的肩関節授動術を施行した一症例
玉寄翔太◆1) ,久保大輝 1),相良繭子 1),竹内大樹 2),青山倫久 2) ,渋川正人 3)
1) 医療法人アレックス
佐久平整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センター
リハビリ
テーション科
2) 医療法人アレックス
メディカルリサーチセンター
3) 医療法人アレックス
佐久平整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センター
整形外科
key words:肩関節拘縮,非観血的肩関節授動術,可動域改善
【はじめに・目的】
帯動作は L3 レベル、NRS0 であった。術後 1 ヶ月
左肩腱板損傷と診断され、保存療法において疼
痛軽減を認めるも関節可動域制限が著明であった
における問題点は自動肩関節最終可動域での保持
困難、肩関節の筋力低下であった。
ため、非観血的肩関節授動術(以下:授動術)を施
行した一症例を経験した。
【考察】
本症例結果より、授動術後の肩関節可動域の向
【症例紹介】
上が得られた。一般に癒着は炎症変化後の治癒過
50 代女性。主訴は「痛みで手が後ろに回らない」
で更衣動作や結帯動作に制限があった。
程に線維化が生じ発生するものと、循環障害によ
る筋硬結で起こると考えられるが、授動術後は線
維化された関節包が破断されるため、可動域制限
【術前評価】
は疼痛による防御性収縮の影響が大きいと考える。
JOA スコア 46.5 点(減点項目:疼痛、機能、可
押川らは肩関節拘縮に対する授動術前後の関節可
動域):自動挙上角度 80 度、自動外旋角度 0 度、
動域向上は腱板疎部領域の可動性が術後早期に改
他動挙上角度 100 度、他動外旋角度 30 度、結帯動
善されたとしている。しかし本症例では術後 1 週
作は臀部レベル、NRS8 であった。術前における問
間における可動域の改善は認められなかった。武
題点は夜間痛、自動肩関節最終可動域の疼痛であ
田らの報告では授動術後は反射性疼痛のため、肩
った。
甲帯周囲、肩関節の筋スパズムが著明となり、収
縮時痛と関節内圧を高め再癒着する危険性がある
【術直後評価】
としている。本症例においても授動術後の疼痛に
他動挙上角度 180 度、他動外旋角度 70 度
より、肩関節周囲筋に防御性収縮が生じたため、
術後 1 週における肩関節可動域の改善は認められ
【理学評価】
なかったと考える。また、本症例では術後の筋力
術後 1 週:JOA スコア 70 点(減点項目:疼痛、
強化によって術後 1 ヵ月の自動挙上角度は 130°
機能、可動域):自動挙上角度 110 度、自動外旋角
と関節可動域の向上がみられた。これらの観点か
度 20 度、他動挙上角度 140 度、他動外旋角度 30
ら授動術後の疼痛や防御性収縮に注意しつつ今後
度、結帯動作は L5 レベル、NRS5 であった。術後 1
も継続的に筋力強化を行うことで、更なる関節可
週における問題点は他動肩関節最終域の疼痛、肩
動域の向上は得られると推測する。
関節の筋力低下であった。
術後 1 ヵ月:JOA スコア 88 点(減点項目:機能、
可動域):自動挙上角度 130 度、自動外旋角度 30
度、他動挙上角度 155 度、他動外旋角度 50 度、結
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演題番号 4
腱板断裂術後において自動挙上動作の獲得に難渋した一症例
前田翔子, 雫田研輔, 高橋友明, 三村遼子,
田島泰裕, 石垣範雄(MD), 畑幸彦(MD),
北アルプス医療センターあづみ病院
肩関節治療センター
Key words:腱板断裂術後,上肢自動挙上動作困難,肩甲上腕リズム
【はじめに】
く,神経学的所見も認められなかった.
一般的に腱板断裂術後の治療成績は良好であ
る.今回,腱板断裂術後,他動関節可動域(以下,
以上のことから,肩甲帯周囲筋の筋力改善と肩
甲上腕リズムの再教育を開始した.
他動 ROM)は良好なものの,肩甲胸郭関節の機能
その結果,術後 8 週目において,左肩関節他
低下がみられ,自動挙上動作獲得に難渋した一症
動・自動挙上共に 150°と改善され,視診・触診
例を経験したので報告する.
においても安静時肩甲帯の winging は消失,上肢
挙上時の肩甲帯セッティングも可能となり,左僧
【症例紹介】
帽筋上部線維・三角筋の筋緊張亢進も改善された.
60 代女性.2014 年 2 月自宅にて転倒し受傷.
次第に疼痛増強,運動時痛も出現し当院にて左肩
【考察】
関節腱板断裂と診断され,2015 年 1 月に左肩関
節腱板断裂修復術を施行された.
今回の症例は,肩甲上腕関節の可動性は良好で
あるが,肩甲胸郭関節の機能低下を認め、自動挙
上が困難であった.前鋸筋や僧帽筋下部繊維の筋
【治療プログラム】
活動を促すことで,肩甲上腕リズムの獲得に繋が
術翌日から肩外転装具を装着,肩関節の他動
り自動挙上可能となったと考えられる.従って,
ROM 訓練を開始した.術後 3 週目から肩挙上位保
腱板断裂術後の後療法は,肩関節可動域練習のみ
持練習・肩甲帯周囲筋練習を許可し,術後 5 週目
ならず,肩甲胸郭関節機能改善を目的とした練習
より装具を除去し自動挙上運動開始となった.
が同様に重要であると考えられた.
【臨床経過】
術後 3 週時で左肩関節他動挙上は 150°であっ
たが,左肩関節挙上位保持は不能.視診・触診で
は安静時肩甲帯の winging と左僧帽筋上部線維
の筋緊張亢進が認められた.術後 5 週時では,左
肩関節挙上位保持は可能であったが,左肩関節自
動挙上 70°と自動挙上動作が困難であった.視
診・触診では,安静時肩甲帯の winging は残存
しており,自動挙上時の肩甲帯セッティング不良
と左僧帽筋上部線維・三角筋の緊張亢進による肩
甲上腕リズムの破綻が認められた.知覚障害はな
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演題番号 5
富士見町一般高齢者体操教室の効果~夏期と冬期の違い~
多賀
将仁 1)◆, 牛山直子 1),伊藤悠紀 1),黒部恭史 1),百瀬公人 2)
1) 富士見高原医療福祉センター富士見高原病院理学療法科
2)信州大学医学部保健学科
Key words:介護予防,地域在住高齢者,気候
【はじめに】
速度、最大一歩幅(左右)、片脚立位保持時間(左
高齢者医療・介護費の増加が社会問題となって
右)、ファンクショナルリーチ、6 分間歩行距離、
いる現在、厚生労働省は一次予防の重要性を述べ
最大等尺性膝伸展筋力であった。初回参加が夏期
ている。その動きをうけて、各地域で高齢者を対
の者(夏期群)と、冬期の者(冬期群)の 2 群に
象とした体操教室が開催されている。
分けて統計解析を実施した。対応のないt検定を
当院では富士見町包括支援センターからの依頼
用いて、夏期群と冬期群のベースラインの比較、
により、富士見町内在住の一般高齢者を対象とし
夏期群の変化量と冬期群の変化量を比較した。有
た体操教室を実施している。体操教室は 4 月~9
意水準は 5%未満とした。
月、10 月~翌 3 月の、1 クール 6 ヶ月で、年 2 ク
ール行われる。我々は以前、体操教室に 1 クール
【結果】
参加することで、6 分間歩行距離が有意に延長し
調査期間中の体操教室総参加者数は 119 名であ
たが、続けてもう 1 クール参加しても有意な変化
り、そのうち、夏期群 46 名、冬期群 19 名であっ
は認められなかったと報告した。富士見町は標高
た。夏期の初回評価と冬期の初回評価、夏期の最
900m に位置しており、夏期は比較的過ごしやすい
終評価と冬期の最終評価の間には有意差は認めら
ものの冬期は雪や路面の凍結により外出機会が制
れなかったが、初回の片脚立位保持時間について
限される。季節毎の環境要因が運動機会の違いを
は、冬期群の方が低い傾向にあった(右、左それ
もたらし、運動機能に影響を与えている可能性が
ぞれ、p=0.07、p=0.05)。変化量の比較では、左
ある。
片脚立位保持時間について、冬期群の方が有意に
大きく改善していた(p=0.02)。
【目的】
本研究の目的は、富士見町在住の一般高齢者を
【考察】
対象とした体操教室における夏期 1 クールの運動
各群のベースラインに有意差は認められなかっ
機能の変化量と、冬期 1 クールの運動機能の変化
たが、片脚立位保持時間は、冬期の方が低い傾向
量を比較して、体操教室の効果に環境要因が影響
にあった。冬期群では環境要因により運動機会が
を与えるかどうかを明らかとすることである。
減少し、元々の運動機能が低かったと考えられる。
そのため、体操教室に参加したことで、片脚立位
【方法】
保持時間が夏期に比べて有意に大きく改善したと
平成 25 年 4 月~平成 28 年 3 月までに初めて体
考えられる。一方で、その他のどの運動項目につ
操教室に参加した富士見町在住一般高齢者を対象
いても変化がみられなかったことから、本教室の
とした。2 週間に 1 度、90 分の教室を開催した。
運動負荷量は、機能改善を目的とした場合不十分
90 分の内訳は、講義 30 分、体操 30 分、ウォーキ
である可能性がある。
ング 30 分であった。教室の無い日には、自主トレ
ーニングの実施を促した。各クールの最初と最後
に体力測定を実施し、測定項目は、10m 最大歩行
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演題番号 6
運動耐容能の改善が得られた拡張型心筋症の 1 例
望月崇◆
社会医療法人財団慈泉会相澤病院
Key words:低心機能,運動処方,運動耐容能
【はじめに】
理解は不十分なこともあったが、退院時には改善し
急性期に心不全コントロール不良であり、低心機
た。
能患者に対する運動負荷量の決定に難渋したが、時
(退院時:54 病日)
期に応じた介入の工夫で入院から外来までリハビリ
<体重>54.3kg
テーション(以下:リハ)を継続し、心不全の増悪な
<臨床検査>NTproBNP:3503pg/ml
く運動耐容能の改善が得られた症例について報告す
<胸部 X-p.>CTR:58.0% 肺うっ血なし
る。
NYHA 分類:Ⅱ Forrester 分類:Ⅱ
(CI:2.26L/min/m2、PCWP:33mmHg)
【症例紹介】
性別:男性 年齢:49 歳 病前 ADL:全自立
6 分間歩行:280m
診断名:心不全、拡張型心筋症
連続歩行:1300m Borg scale 中枢 12 末梢 13
病前体重(入院より 1 年前):62.0kg
(外来リハ終了時:135 病日)
仕事:フォークリフトの運転(息切れ著明で退職)
<退院時~外来終了時運動処方>
【経過】
歩行練習(時間:20 分~30 分、頻度:毎日)
平成●年 7 月頃から乾性咳嗽を認め、9 月中旬よ
<体重>56.0kg 毎日測定する習慣あり
り労作時の息切れ、
10 月中旬より起座呼吸を認めた。
<臨床検査>NTproBNP692.3pg/ml
10 月●日当院入院。翌日より理学療法介入開始。
<胸部 X-p.>CTR49.0% 肺うっ血なし
【医学的所見と理学療法経過】
NYHA 分類:Ⅰ
(入院時:1 病日~4 病日)
6 分間歩行:450m
<体重>66.1kg
連続歩行:2400m Borg scale 中枢 12 抹消 12
<臨床検査>NTproBNP:2581pg/ml
【考察】
<胸部 X-p.>CTR:66.8% 肺うっ血あり
入院時は CTR の拡大や、NTproBNP の増加を認め、
<UCG>EF:22.1% diffuse severe hypokinesis
退院時は CTR の減少は認めたが、NTproBNP は依然と
<投薬>ハンプ
して高値であり、CI も末梢循環維持が可能な最低限
4 病日に心不全増悪、ドブタミン(4 病日から 22 病日
の水準であったことから、退院後の生活も過活動に
まで)、ミルリノン(12 病日から 39 病日まで)にてコ
伴う心不全増悪が懸念された。そのため、外来リハ
ントロール。
にて毎日の体重測定値や活動度を万歩計などで把握
主訴:長い時間歩けるようになりたい。
し、臨床検査データや胸部 X-p.所見の改善を一緒に
NYHA 分類:Ⅳ、会話にて息切れ
確認していくことで、本症例が安心して徐々に活動
歩行:室内自立、労作後の息切れ軽度
量を増加することができたと考える。運動耐容能を
【入院中の経過】
6 分間歩行で検討すると、Troosters らによる予測式
病態理解が不十分なことや低心機能であることか
を用いれば本症例は 627m となるため、退院時には予
ら、最低限の ADL 維持と病態理解の指導を中心に実
測値の約 44%だが、外来リハ終了時には予測値の約
施した。急性期は投薬状況、胸部 X-p.所見、尿量、
71%まで改善が図れたと考える。すなわち、退院後
血圧低下の有無、安静時 HR の増加の有無、自覚症状、
の歩行練習が、徐々に約 70%に近い運動強度で有酸
末梢冷感などを指標に歩行練習などを実施した。ま
素運動が毎日可能となり、退院後の運動耐容能の改
た、棟内歩行自立に伴い速歩を実施するなど、病態
善が図れたと考える。
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演題番号 7
足関節外果骨折 SER-stage3 に分類され、保存療法が選択された一症例
逆瀬川
雄介◆1),小林
1)医療法人アレックス
諭史 1),竹内
上田整形外科クリニック
大樹 2),青山
倫久 2),植谷
岳郎 3)
スポーツ関節鏡センター
リハビリテーション科
2)医療法人アレックス
メディカルリサーチセンター
3)医療法人アレックス
上田整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センター
整形外科
Key Words:足関節果部骨折,保存療法,脛腓間離開
【はじめに】
動域検査は足関節背屈 0°(active)。6 週目に足関節
足関節果部骨折は Lauge-Hansen 分類(以下 L-H 分
背屈可動域訓練と 1/2 荷重訓練を実施した。受傷後
類)が用いられ、その中でも SER-stage3 の場合にお
8 週足関節背屈 20°底屈 45°となり、スポーツ動作
いては観血的治療法を選択されるものが多く報告さ
を開始。16 週目に経過良好につき通院加療を終了し
れている。今回、右足関節外果骨折 SER-stage3 と診
た。
断され、腓骨骨折の転位が少なかったことから保存
療法が選択された症例を経験した。骨癒合や可動域
【考察】
制限などに配慮し理学療法を行った結果、良好な結
腓骨骨折について、山路らは 1mm 未満の転位では
果が得られたので報告する。尚、本症例には、本発
2~4 週間の保存療法で良好な成績が期待できたと報
表の目的と意義について十分に説明し同意を得た。
告している。また、荷重量には腓骨の骨癒合が影響
しており、脛腓間固定がない場合は術後 12 週で全荷
【症例紹介】
重と報告している。本症例は、SER-stage3 でありな
野球部に所属する 15 歳男性。体育授業中に右足を
がら腓骨の転位が少なく、前下脛腓靭帯を始めとし
捻って内反受傷した。同日他院を受診し、足関節外
た軟部組織の損傷は軽度であったと考えられた。し
果骨折と診断された。リハビリ目的で当院を紹介さ
かし、早期の背屈可動域訓練は脛腓間離開を誘発す
れ、受傷 3 日後に受診、理学療法が開始となった。
る可能性があった為、前下脛腓靭帯の修復を考慮し
6 週までは底屈・内反方向への可動域訓練を実施し
【医学的所見】
た。また、長趾屈筋や長母趾屈筋の拘縮予防目的に
初診時、右足関節周辺に疼痛と腫脹を認めた。足
足趾運動を積極的に行い、関節拘縮を予防した。6
関節単純X線像より腓骨骨折、脛骨後果骨折を認め、
週以降は単純X線画像を確認しながら長母趾屈筋、
腓骨の転位は1mm で、L-H 分類で SER-stage3 と判断
後脛腓靭帯、後方関節包に対してストレッチを実施
された。
脛骨後結節の外縁と腓骨内縁の距離は 2.7mm
した結果、脛腓間離開を認めることなく背屈可動域
であり、脛腓間離開は認めなかった。受傷後 5 週の
が獲得され、骨癒合が良好であったことで早期の荷
足関節単純X線画像でも脛腓間離開は認められなか
重訓練を施行でき、8 週でスポーツ動作を開始する
った。
ことが可能となったと考えられた。
本症例は腓骨骨片の転位と軟部組織損傷が少なか
【治療経過】
ったこと、骨癒合を優先し脛腓間離開が生じないよ
初診より 2 週はシーネ固定となった。固定中は患
部外トレーニングと足部の浮腫除去に努め、組織修
う配慮した理学療法を展開したことで、観血的治療
と同等の成績が得られたと考えられた。
復と拘縮予防を目的とした理学療法を行った。受傷
後 4 週、腫脹の軽減を認め 1/3 荷重を開始、関節可
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演題番号 8
非特異的腰痛を仙腸関節機能障害と評価して介入した症例
〜疼痛除去テストを用いて〜
金井
陽太郎1)◆,多田
智顕 1) ,青山
1) 医療法人アレックス
倫久 2)
,竹内
大樹 2)
,成田
崇矢3)
長野整形外科クリニックスポーツ関節鏡センター
リハビリテーション科
2)医療法人アレックス
メディカルリサーチセンター
3)健康科学大学
Keywords:非特異的腰痛,疼痛除去テスト,仙腸関節障害
【背景】
過時点(介入 5 回)では全 5 項目で改善が認めら
非特異的腰痛とは医師の診断、画像診断で原因
れた。特に疼痛関連障害項目(初回 43 点)、歩行
を特定できない腰痛と定義される(厚生労働省)。
機能障害項目(初回 64 点)では各項目 6 週経過
非特異的腰痛には様々な病態が含まれ、成田らは
時点で 100 点となり症状の改善を得た。
腰部痛の障害部位を機能評価する疼痛除去テス
【考察】
トを提唱している。今回、非特異的腰痛患者に対
非特異的腰痛には筋性、椎間板性、関節性由来
し理学検査、疼痛除去テストをもとに病態を機能
など様々な病態が含まれると報告されている。村
評価し介入した症例を経験したので報告する。
上らは非特異的腰痛には SIJ 由来の疼痛がある
【目的】
ことを報告し、SIJ 障害に特徴的な所見を報告し
非特異的腰痛の症例に対し、仙腸関節(以下
ている。本症例では理学所見より、SIJ 由来での
SIJ)障害と機能評価し介入した症例の報告を行
症状が考えられ、その他障害部位の可能性は低い
う。
ものと考えられた。成田らは疼痛動作時に障害が
【方法・結果】
生じている部位へ徒手的操作で力学的負荷を減
本症例は 30 歳代女性、腰部から左臀部、大腿
少させ、その時の症状の変化で障害部位を機能評
後面痛を主訴に当院受診、レントゲン検査にて異
価する疼痛除去テストを提唱している。本症例で
常所見認められず非特異的腰痛と診断、理学療法
は SIJ への疼痛除去テストを実施したところ症
処方となりました。理学所見より、神経学的検査
状の軽減を認め、その他部位への疼痛除去テスト
(筋力・知覚検査)異常所見無し、自動運動検査
では変化がなかったため、SIJ 障害であると機能
では、前屈、右側屈、右回旋時に左臀部に疼痛出
評価した。SIJ への機能改善を目的とした理学療
現・圧痛検査は陽性(上後腸骨棘、左 SIJ 部、傍
法を実施し良好な治療成績を得た。
脊柱起立筋)陰性(各レベルの椎間関節)、整形
今回の症例より、非特異的腰痛患者に対して治
外科的検査ではニュートンテスト変法、パトリッ
療介入を行う際、評価を行い、的確に機能障害部
クテストが陽性であった。成田が提唱する SIJ
位を捉えることが重要であることが考えられた。
への疼痛除去テスト実施後、動作時痛消失を認め、
その他組織の疼痛除去テストでは症状の変化を
認めなかった。理学所見、疼痛除去テスト結果か
ら SIJ 障害と機能評価し、SIJ 機能改善目的とし
た徒手的介入、運動療法を中心とした理学療法を
実施した。臨床スコアとして、日本整形外科学会
腰痛評価質問票を用いた。初診時と比較し 6 週経
- 19 -
演題番号 9
温熱効果を用いた超音波療法による肩関節可動域の改善効果について
岡崎瞬1)◆,有賀一朗1),松岡大悟1),磯村隆充1),玉井敦1),小林博一2)
1)まつもと医療センター
リハビリテーション科
2)同
整形外科
Key words:温熱療法,超音波,肩関節周囲炎
【はじめに】
では、超音波群が 1st 外旋・2nd 外旋で有意に大
超音波療法は温熱療法の中でも深達性温熱をも
きかった。③では、超音波群で全ての項目で有意
たらしコラーゲン線維や軟部組織の伸張性向上に
な改善を認めた。一方、運動療法群では屈曲での
有効とされる。今回、超音波療法の効果を検証す
み有意な改善を認めた。
る目的で、肩関節周囲炎と診断された患者に対し、
関節可動域の改善効果が認められるか調査したの
【考察】
で報告する。
超音波の温熱効果として、深達性温熱が特徴的
であり、諸家の報告では、
「軟部組織の温度を上げ
【対象】
ると伸張性が高まり、軟部組織が最高に伸びるの
肩痛を主訴に当院の整形外科を受診し、診察お
は、組織温度が 40~45℃の時である」や「超音波
よび検査を受け肩関節周囲炎と診断された方 30
の温熱効果として、3MHzで 0.58℃/分の温度上昇
例(32 肩)で、運動療法に超音波療法を併用した群
がみられた」と述べられている。また、照射部位
(以下、超音波群)15 例(17 肩)と運動療法のみの群
の前方(腱板疎部レベル)と後方(後方四角腔レベ
(以下、運動療法群)15 例(15 肩)とし、2 群に分け
ル)において「腱板疎部の瘢痕化は五十肩の原因と
比較検討した。
捉えているものが多い」や、
「肩関節の後方に位置
する関節包や腱板、内転筋、内旋筋の短縮は骨頭
【方法】
を上前方に偏移させ後下方への滑りが制限され
超音波の設定は、3MHz で照射時間率 100%、出
る」と述べられている。本研究での超音波照射部
力は 0.5~1.0w、照射時間は 5~8 分として温熱効
位は、関節可動域制限に影響を及ぼす部位と考え
果を期待した。照射部位は肩甲上腕関節の前方(腱
られる肩関節前方および後方部位に照射すること
板疎部レベル)と後方(後方四角腔レベル)とした。
により、温熱効果が軟部組織の伸張性を向上させ、
検討項目は、①病歴(年齢・性別・患側・介入頻
2 群間の関節可動域の比較で、超音波群が 3 か月
度)の比較。②介入開始時・1・3 および 6 か月後
後に 2nd 内旋、2nd 外旋、水平伸展で有意に増加
に肩関節の関節可動域の比較。③介入開始時・1・
し、6 か月後で 1st 外旋・2nd 外旋で有意に増加し
3 および 6 か月後に肩関節の関節可動域の改善率
たと考えられる。さらに改善率では、超音波群が
とした。①はχ二乗検定を用い、②は
全ての項目で有意な改善を認めたのではないかと
Mann-Whitney U 検定を用い、③は Friedman 検定
考えた。
を用いた。なお、危険率 5%未満を有意差ありとし
た。
【結語】
肩関節周囲炎患者に対し、超音波療法を行った。
【結果】
超音波療法による温熱効果は関節可動域の改善に
①は、全ての項目で 2 群間に有意差を認めなか
った。②では、3 か月後に、超音波群が 2nd 内旋・
有効であり、関節可動域拡大のために積極的に行
ってよいと考える。
2nd 外旋・水平伸展で有意に大きかった。6 か月後
- 20 -
演題番号 10
両側 Syme 切断の後療法を担当した 1 症例
桑原美智子1),有賀一朗1),稲田浩美1),玉井敦1),髙沢彰2),小林博一2)
1)まつもと医療センター リハビリテーション科 2)同 整形外科
Key word:両側 Syme 切断,リハビリテーション,断端荷重
【はじめに】
術後 13 週,義足が完成し,義足を装着して
Syme 切断は正常に近い歩行能力を有し,術後
の歩行訓練を開始した.初回は膝伸展位での歩
成績が良好といわれている.今回,両側 Syme
行であったため,立脚期から遊脚期にかけての
切断の後療法を担当し治療を行ったので報告
膝の振り出し動作を指導した.また鏡やビデオ
する.
撮影によるフィードバックを行い歩容の改善
を図った.その後,応用歩行として坂道歩行,
【症 例】
屋外歩行,階段昇降へと進めた.
37 歳、男性,職業は会社員である.現病歴は、
術後 15 週,T 字杖にて歩行自立し退院となっ
雪山の中を徘徊していたところを発見され近
た.
医に救急搬送された.両足部凍傷の診断で加療
されるも,両足部の壊疽により受傷後 33 日に
【考察】
手術目的で当院へ転院し両側 Syme 切断を施行
諸家によると,下肢切断における術後訓練で
した.
は,筋力強化や断端の成熟を得ること,早期か
らの両上肢,健側下肢の訓練が重要であること
【入院後経過】
や,Syme 切断は正常に近い歩容,歩行を獲得で
手術翌日より,筋力強化訓練,関節可動域訓
きると述べている.しかし本症例は両側切断で
練,歩行訓練を行った.筋力強化訓練では,上
あり,初期からの部分荷重が困難であった.術
下肢および体幹と行った.特に上肢・体幹は荷
後早期からの荷重訓練を行うために下肢筋力
重訓練での上肢支持が重要と考え push up 等を
訓練は必要だが,両上肢,体幹の筋力およびバ
行った.関節可動域訓練では膝の伸展制限が残
ランス訓練を行い,両側断端の荷重訓練を可能
存しないように注意した.歩行訓練は,バラン
としたと考える.また,疼痛や発赤に注意し
ス訓練も兼ね,マット上に両膝屈曲位で立ち体
soft dressing を徹底した.これらを行うこと
重を支え立位が可能となった後,膝を交互に振
で,上肢支持での両側荷重訓練を可能とし,か
り出して歩行するように指導した.
つ良好な断端の獲得ができ,両側切断例であっ
術後 3 週,断端荷重の許可が出たので荷重訓
ても良好な歩行の自立ができたと思われた.
練と断端管理を追加した.荷重訓練は,疼痛に
配慮し座位にてマット上での足踏みから始め,
【結語】
次にバランスを取りながら立ち上がり,立位,
両側 Syme 切断の後療法を担当した 1 症例を
平行棒内歩行,歩行へと進めた.また接地部も
経験したので報告した.両側 Syme 切断症例で
マットから床に移行した.断端管理は,断端の
の安定した歩行の自立には,上肢・体幹を効率
疼痛や発赤の確認と soft dressing を行い,包
よく使い,両側部分荷重訓練と良好な断端の獲
帯の巻き方を患者にも指導し,頻回に巻き直し
得が重要と思われた.
を行い断端の成熟を図った.
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演題番号 11
全人工膝関節術後、慢性疼痛が見られた症例に対する理学療法
岩見雄太◆
上伊那生協病院
Key wards:全人工膝関節置換術,慢性疼痛,外来リハビリテーション
【諸言】
的であり、また症状変化も認められず、再現性
今回、左変形性膝関節後、全人工膝関節置換
は得られなかった。そのため、機能的介入を進
術を施工された症例を担当させていただいた。
めながらも、心因性疼痛の関与を疑い、左膝に
本症例は術後約3ヶ月経過しても左膝痛を認
対するセルフエクササイズの指導を行い、不活
めた。本人の HOPE は園芸活動の再開であった。
動の回避を図った。園芸活動に対しても椅子を
治療介入を継続したが、疼痛の原因となる組織
使用するなど、膝に負担かからない状態で作業
病変の鑑別に難渋し、多角的視点から再評価・
行なうように指導した。
治療に至った一症例を以下に報告する。尚、今
回の報告にあたり書面にて対象者へ十分な説
【結果】
明を行い、同意を得た。
約 5 ヶ月間の介入で初回介入時と疼痛の変
化がみられなかった。園芸活動は動作指導を行
【症例】
70 代女性
い、簡単な軽作業なら行えるようになった。
、左全人工膝関節置換術施工。
23 日後、自宅退院されるも左膝の疼痛・痺れ、
【考察】
全身(頸部、腰部、下腿)の痛みあり 89 日後、
初診時に左膝関節膝蓋腱付着部外側に疼痛
外来リハビリテーション開始。初診時、主訴は
みられ、疼痛の再現性の評価行ったが結果は得
左膝関節、左下腿の痛み・痺れだった。左膝・
られなかった。そのため、機能障害だけでなく
左下腿の熱感・腫脹なし。左膝関節可動域は屈
心因性の関与を疑い、セルフエクササイズの指
曲:115°、伸展 0°、左足関節背屈:10、底屈:
導行ったが疼痛残存見られた。疼痛は改善みら
45。MMT は膝関節屈曲伸展、足関節底背屈とも
れなかったが、園芸活動は軽作業なら可能とな
に 4 レベル。疼痛は左膝関節膝蓋腱付着部外側
った。本人は「疼痛があるため園芸はできない」
にあり安静時 NRS:3/10、圧痛・左膝屈伸時
と考えていたが実際に行なってもらうと環境
NRS:4/10。感覚テストは異常なし。スペシャ
さえ整えれば動作可能だった。機能レベルでは
ルテストでは後方引き出しテストのみ陽性。左
改善みられなかったが活動レベルでは改善図
膝痛あるが ADL 自立レベル。車の運転も可能。
れ、本人の QOL 向上に結び付いた。
本人の主訴は左の膝が痛くて痺れている。HOPE
症状改善という結果は得られなかったが、疼
は膝の痛みがなく園芸がしたい。PT 目標は左
痛を引き起こしている病変組織を把握するた
膝の痛みの軽減・消失だった。
め、評価・治療を繰り返しながらリーズニング
していく重要性を感じられた一症例だった。
【治療】
疼痛部位が左膝蓋腱外側付着部付近であり、
病態として膝前面組織の組織病変を疑った。そ
のため膝前面組織へ力学的ストレスを負荷さ
せ疼痛の再現を得ようと試みたが、主訴が変動
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演題番号 12
足部への介入からバランス機能改善を目指して
山際美紀◆1)
1)上伊那生協病院
リハビリテーション部
理学療法課
Keyword:バランス機能,足部,深部感覚
【はじめに】
て,左前足部の表在感覚障害,左足関節内反位の
今回,起立や歩行時に後方へのバランス不良が
影響より後方へのバランス不良が生じたと考えた.
生じていたことから杖歩行不安定であった症例を
担当させて頂いた.足部可動域改善と深部感覚に
【治療・結果】
着目し介入したところ,良好な結果を得たため考
察を交え報告していく.また患者様には書面口頭
足関節可動性改善,足部内在筋柔軟性改善,立
位バランス練習を中心に介入を行った.
にて十分な説明を行い,同意を得た.
結果,左足関節背屈と左距骨下関節・左横足根
【症例紹介】
関節の回内可動域の拡大.荷重下での左前足部へ
80 代女性,自宅にて転倒,左恥骨仙骨骨折の診
断.療養中ショック状態で入院.敗血症後の廃用
の荷重が可能となり起立や歩行時の後方へのふら
つきが軽減した.
症候群の診断.既往に第 4 腰椎辷症,腰部脊柱管
狭窄症,両変形性膝関節症あり.
【考察 】
立ち上がりや歩行時の後方へのバランス機能改
【理学療法評価】
善は,左足関節背屈・足部回内可動域改善,左足
立位:両股関節屈曲・外転・外旋位,両膝関節屈
部内在筋筋活動向上による深部感覚入力の増加に
曲・内反位,左距骨下関節・横足根関節回外位,
よりバランス制御が向上したと予測した.
右後方重心(左前足部へに荷重に対し恐怖心あり)
足部可動性改善から左前足部へ荷重を促したが
起立:体幹前傾,股関節屈曲不十分で足部への前
荷重に対する恐怖心があり左前足部荷重困難であ
方重心移動が行えず左後方へふらつきあり.
った.本症例は表在感覚障害が生じていたため末
歩行:左立脚期で左足部内反(距骨下関節・横足
梢からの感覚入力低下による前足部荷重への恐怖
根関節回外),股関節屈曲位で股関節伸展不十分.
心があると考えた.そこで荷重下で左距骨下関節
関節可動域制限:左距骨下関節・左横足根関節回
と左横足根関節が連動して動くこと,左足部内在
内
筋の筋活動向上に対し介入することで深部感覚入
筋力:前脛骨筋・母趾伸筋 2
力が増加し前足部へ荷重可能となったと考える.
感覚:左足底表在感覚鈍麻
加え深部感覚入力によりフィードバック制御によ
バランス:立位上肢リーチ(左 5cm<右 10cm),
る姿勢応答筋協調が活動したことで,起立や歩行
Functional balance scale26/56 点
時のバランス機能向上がみられ杖歩行が安定した
と推測する.
【仮説・問題点】
表在感覚障害を持つ症例において足部可動性改
左前足部の表在感覚低下と左踵部に褥創があり
善も重要だが深部感覚入力を利用することがバラ
足部全体の表在感覚低下を予測した.また足関節
ンス機能改善に有効であった.姿勢や動作制限の
背屈筋群筋力低下が生じたことで臥床時足部底屈
要因を評価し介入することの重要性を感じた.
内反位となり,長期臥床の影響で下腿三頭筋内側
が短縮した.荷重下においても足部内反位となっ
ていたことで足部可動域制限が生じたと推測した.
そこで,立ち上がりや歩行より共通の問題点とし
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演題番号 13
誤嚥性肺炎予防
〜脊柱アライメント・頸部周囲筋活動に着目して〜
片桐将◆
笹川祐生
上伊那生協病院
Key word:頸部過伸展,頸部周囲筋,嚥下機能
【緒言】
甲骨内転の可動性改善から頸部屈曲位へアライ
今回,看取り方向になった終末期の症例を担当
メント修正行い喉頭拳上を促した.嚥下筋力の向
させて頂き,入院中に誤嚥性肺炎を発症された.
上を図るため,頸部・体幹屈曲運動にて頸部前面
今後,摂食を継続するにあたり誤嚥し難い身体環
筋の筋緊張・活動向上から嚥下機能改善を図っ
境を作る必要性感じ,誤嚥性肺炎の予防を目標に
た.
介入する機会を得たので報告する.尚,今回の報
告にあたり書面にて対象者へ十分な説明を行い
【結果】
同意を得た.
頸部の過伸展位軽減し,開口位から閉口位にな
り,やや喉頭拳上見られる.頸部周囲筋緊張・支持
【症例提示】
90 代女性
性向上.入院 85 病日になるが誤嚥性肺炎の発症
X 日,倦怠感あり,救急外来受診し
なく経過,介入の必要性が示唆される.
総胆管・胆嚢結石認められ入院.肝機能改善した
がADL低下あり,栄養状態の改善・リハビリ目
【考察】
的にて一般病棟へ入院.入院から 46 日後に熱発
頸部過伸展位軽減から食道入口部の拡大し,前
され誤嚥性肺炎の診断あり食事中止.入院から
頭・外側頭直筋,頭長筋,頸長筋の筋活動を主に促
52 日後に肺炎改善され経口摂取再開.既往で胃
した事により,頸部周囲筋活動・緊張向上し嚥下
全摘出あり.背臥位姿勢は,C4・5 間過伸展位で開
筋力発揮向上に繋がったと考える.また,開口位
口し喉頭下垂位,肩甲骨外転前傾位,胸椎後彎強
から閉口し舌骨筋群,顎舌骨・顎二腹筋機能向上
く,腰椎は前彎減少,骨盤後傾位で全体的に円背
から嚥下圧高まりやすく,喉頭拳上により嚥下時
傾向を呈す.可動域も,頸部屈曲 40°伸展 50°回
の喉頭拳上距離短縮から気管への誤嚥リスクが
旋 R:20°L:30°,肩関節屈曲 R:90°L:100°であ
軽減した.しかし,大きなアライメント改善,嚥下
り頸部・体幹での制限が著明.起居動作も困難で
機能・体力向上は困難だった.要因として経年的
あり,MMTも頭部屈曲 1,頸部屈曲・回旋 2,体幹
な円背姿勢により骨変形や摩耗,椎間板の変性,
屈曲 1.血液データ所見より総蛋白(4.9),アルブ
廃用症候群による体幹筋力低下よりアライメン
ミン値(1.7)と低栄養状態であった.
ト修正困難.老衰・胃全摘出の既往により高カロ
リー輸液を使用してもエネルギーを吸収する事
【治療】
が難しく,脂肪生成や筋力・体力の向上困難だっ
開口位であり上位頸椎過伸展位にあり,食道入
たと考える.今回,PT として誤嚥予防を考え,嚥
口部狭まり気管が拡大し咽頭部が狭窄する事で
下の基盤となる頸部・体幹に対して介入する事の
食物の気管への侵入招きやすいと考えた.また,
必要性を感じる機会となった.
喉頭下垂により舌骨が引き下げられ,舌骨舌筋,
顎舌骨筋,甲状舌骨筋の収縮力低下が起こり,さ
らに開口位により顎二腹筋,顎舌骨筋の筋力発揮
低下から口腔内を陰圧にし難く嚥下能力の低下,
喉頭拳上距離の延長による喉頭蓋の機能低下に
繋がっていると考えた.治療として胸椎伸展・肩
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演題番号 14
大腿骨頭壊死症に対する理学療法を経験して
鷲尾歩美◆
田畑加奈子
上伊那生協病院
keyword:大腿骨頭壊死症,骨変形,疼痛
【はじめに】
り、介入初期は股関節周囲筋緊張の緩和と ROMex を
今回左人工股関節置換術(以下 THA)後•右大腿骨
中心に実施。股関節周囲筋緊張の緩和•股関節屈曲外
頭壊死症(特発性大腿骨頭壊死症の病期分類 Stage
転可動域の拡大から臥位での疼痛は改善。ROM(右/
Ⅳ)の症例を担当させて頂く機会を得た。入院時左大
左°)股関節屈曲 90/90、外転 30/30。荷重時は疼痛
腿外側痛が主訴であったが、経過の中で徐々に右股
あり、ROMex の継続と外力負荷に抗すため骨頭位置
関節疼痛が主訴となり疼痛改善に難渋した。症例は
の修正•骨頭下方への滑り改善、中小臀筋出力向上に
入院中に右 THAope が決定し、THA 施行前の介入とし
対し介入。介入+47 日で病棟内松葉杖歩行自立。介
ても、疾患特性•骨変形を考慮し疼痛評価•介入を行
入+60 日頃より右 THAope の話が進み、介入+75 日に
うことで松葉杖歩行•階段昇降の獲得に至った症例
は退院後に ope 決定。退院時上肢による免荷がある
について報告する。
中での右股関節疼痛は改善するも、上肢支持なし立
位での体重側方移動時の疼痛は残存(NRS7~8/10)。
【症例】
70 代男性。10 年前より左大腿外側痛出現、5 年前
【考察】
に頚椎椎弓形成術(頸髄症)、4 年前に腰椎前方固定術施行
最終的に上肢支持なし立位での体重側方移動時の
(腰部脊柱管狭窄症)、杖歩行可能であった。2 年前より疼
股関節疼痛は残存したが、骨変形や疾患特性を考慮
痛増悪、松葉杖歩行となり両側変形性股関節症(右大腿
し疼痛評価•介入していくことで上肢の免荷がある
骨頭壊死症)の診断。12 日後に左 THA 施行。術後 16
中での疼痛は改善した。残存した疼痛は骨頭圧潰に
日より当院での理学療法介入開始。主訴は右股関節
よる骨折が要因であり、荷重時股関節機能のみでの
の鋭利な痛み“股関節の中が痛い”で、股関節運動•
関節側方安定性確保が困難であることにより生じる。
立位保持•歩行時に出現。股関節運動は外転•軽度内
疼痛要因が骨折であり手術により関節置換がされれ
転以外はどの方向に動かしても疼痛あり (自動/他
ば、現時点で疼痛軽減•股関節可動域拡大に対し介入
動運動)、歩行では立脚期(Mst)に疼痛が出現する。
することで、右 THA 後の疼痛は最小限に抑えられ経
疼痛は NRS8~9/10(荷重時>臥位)。疼痛に対する防
過は良好になると考えられた。大腿骨頭壊死症に対
御性収縮もあり股関節屈筋•内転筋筋緊張は亢進。
し疾患特性•骨変形を考慮し疼痛評価をし、股関節機
ROM(右/左°)は股関節屈曲45p/70p、
外転
(伸展位)
15/10、
能の限界を見極め術前の理学療法として何が必要か
内旋(屈曲位)10p/20、外旋(屈曲位)0~10p/20。可動域
考え介入することは重要である。
制限因子としては疼痛、関節内下方組織柔軟性低下が推測
された。右CE 角21°/Sharp 角49°、臼蓋に対し骨頭上方
変位しており3cm 大転子高位(右>左)
。骨頭は扁平化、
硬化像もあり。
【介入と結果】
報告に際し、書面にて同意を得た。右股関節疼痛
は骨頭上外側への亜脱臼ストレスの増大から骨頭圧
潰が生じることによると推測した。防御性収縮もあ
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演題番号 15
外傷性くも膜下出血により病識や意欲低下を認めた患者に対する
バランス練習アシストの使用経験
中島茉美◆,青木郁弥,小松一輝,兼子貴至,加藤譲司(MD),清水康裕(MD)
輝山会記念病院総合リハビリテーションセンター
Key words:病識低下,意欲低下,バランス練習アシスト
【はじめに】
リ意欲は低く帰宅願望も聞かれていた.転倒に対
バ ラ ン ス 練 習 ア シ ス ト ( Balance Exercise
する危険管理も不十分であった.最終評価時では
Assist Robot:BEAR)はトヨタ自動車株式会社と
自身の身体状況に対する認識が出現し危険行動
藤田保健衛生大学が共同で開発したバランス練
が軽減,またリハビリ意欲の向上を認めた.病棟
習支援ロボットである.今回外傷性くも膜下出血
内は独歩に移行し,ADL も自立した.
後,バランス障害,病識や意欲低下を認めた患者
に対し BEAR を実施した経過と考察を報告する.
【考察】
バランス能力や歩行速度に著明な改善を認め
【症例紹介】
た.FBS の項目では,360°回転や継足立位,片
80 歳代,男性.転落により,外傷性くも膜下
脚立位といった,左右への重心移動を要する課題
出血,両側第 10,11 肋骨骨折を受傷.病前は独歩
や,狭い支持基底面内で姿勢を安定させる課題に
で ADL は全て自立.仕事として農作業を行うなど
おいて改善がみられた.BEAR の構成の一部であ
していた.
る搭乗型ロボットの操作は,重心移動で操作を行
うため,立位の正中保持が条件となる.また倒立
【方法】
振り子モデルによりバランス戦略に必要な
練習プロトコールは従来訓練+BEAR 訓練,従来
Ankle Hip Strategy に類似し転移性も高い.バ
訓練のみの A-B-A 法にて 1 週間ごとに実施した.
ランス練習として適切であったと考えられる.ま
その前後に,Functional Balance Scale(FBS),
た TMT-A,B ともに改善を認め,特に注意の持続
Timed Up and Go Test(TUG),10m 歩行速度,改
が可能となった.覚醒の向上や自身の病態に対す
訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R),Trail
る理解もうかがわれた.搭乗型ロボットの操作は
Making Test(TMT)を実施した.
重心移動を可視化出来るため,自身の立位不安定
【初期評価と最終評価】
性の気付きに繋がったのではないかと考える.
Japan Coma Scale はⅠ-1→0,運動麻痺は右側
本症例はバランス能力の向上に加え,注意障害
で Br.StageⅤ-Ⅴ-Ⅴ→Ⅵ-Ⅵ-Ⅵ,感覚は表在・
の改善や身体に対する認識が芽生えたことがう
深部共に軽度鈍麻で変化は見られなかった.FBS
かがわれ,病識や意欲低下のある患者に対しても
は 44 点→56 点で,360°回転や段差踏み換え,
BEAR は有用であることが示唆された.
継足立位,片脚立位などの項目で改善を認めた.
10m 歩行は独歩にて 20.23 秒→9.35 秒,TUG は
13.76 秒→10.27 秒であった.また HDS-R 14 点→
28 点,TMT-A は 18 分 27 秒→3 分 28 秒,TMT-B
は実施困難→4 分 2 秒であった.病棟内生活では,
初期評価時の移動は車椅子であり,病識やリハビ
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演題番号 16
受傷後 7 年経過した時点でトイレ動作自立となった若年脳損傷患者の一症例
岡村 勇希,泉從道(医師),
林田美江(医師)
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院
Key words:慢性期リハビリテーション,トイレ動作,若年脳損傷
【はじめに】
多くの問題点を有する一方で、縦手すりに掴ま
一般的に脳損傷患者の機能回復は受傷から 6
る、壁に寄りかかるという条件であれば、立位は
ヶ月がピークであり、その後回復はプラトーに達
見守りで可能であった。そこで上肢で引き込まな
すると言われている。今回受傷より 7 年でトイレ
いような環境設定下における支持物ありでの自
動作が自立となった若年脳損傷患者を経験した
制内での移動練習や、壁や手すりへの寄りかかり
ので若干の考察を交え報告する。
立位での重心移動練習など、介助なしで可能な練
【症例紹介】
習を集中的に実施した。またトイレ動作介助量軽
20 歳代
男性
頭部外傷後後遺症
瀰漫性軸索
損傷、両側片麻痺、高次脳機能障害(注意障害、
減を目標に、便座から縦手すりまでの距離が短く
重心制御が容易なトイレでの動作練習を行った。
短期記憶障害、脱抑制)
その結果、2015 年 2 月に上記の環境でのトイ
レ動作は修正自立となった。FIM の点数 72 点か
【経過】
ら 81 点へと向上した。
(移乗:4、トイレ移乗:6、
2007 年受傷し A 病院に緊急搬送される。その
トイレ動作:6)
後リハ目的にて B 病院へ転院するも自宅復帰は
困難。受傷後約 3 年目に当院医療療養病棟へ入院
【考察】
される。入院後普通型車いす自走可能となるなど
の改善がみられたが、基本動作全てにおいて軽介
受傷から 7 年が経過した若年脳損傷者を担当
した。
助から中等度介助を要しており、リハビリ中に集
過介助となっていたプログラムの難易度を見
中できずに眠ってしまう、日課が覚えられない、
直し、PT の身体接触を必要としないレベルに下
女性職員への過剰な関心による注意障害などの
げたことで学習効果が得られ、支持物ありでの立
身体機能・高次脳機能障害が共に残存した。ボツ
位バランスが向上したと考えられる。この結果、
リヌス療法やロボットスーツ HAL®、介助下での
プログラム変更後約 10 ヶ月後にトイレ動作は修
サイドステッパーでの歩行練習などリハビリを
正自立となり、FIM 点数の増加がみられた。
行ってきたが、ADL における大きな改善はみられ
なかった。
受傷後長期間経過した慢性期患者においても、
環境調整や治療プログラムの見直しにより ADL
担当者変更となった 2014 年 4 月時点の身体機
能力が改善することが示唆された。
能評価は 12 段階上田片麻痺 grade 上肢・下肢・
今後の課題として、自立しているトイレ環境は
手指(R/L=11・11・11/2・6・2)、四肢体幹動
限定的であるため、行動範囲を広げていくための
作時振戦(陽性)、左側上下肢、頚部・体幹可動
応用力を身につけていく必要性を感じた。
域制限、FBS4 点、FIM:運動 47(移乗:3、
:トイ
レ移乗:3、トイレ動作:1 など)認知 25
72 点
合計
であった。
【結果】
- 27 -
演題番号 17
パーキンソン病に対する短期間の高振幅運動療法の効果を検討した一症例
有賀一朗 1),岡崎瞬 1),後藤恵子 1),松本優喜子 1),大原慎司 2) ,武井洋一 2)
1)まつもと医療センター中信松本病院リハビリテーション科
2)同神経内科
Key words:パーキンソン病,運動療法,LSVT-BIG
【目的】
Timed up and go test(TUG)を測定した.介入
パーキンソン病(PD)に対する運動療法の効
前後の各測定値の変化量を先行研究で報告され
果は複数の研究で報告されている.近年,Lee
ている Minimal Detectable Change(MDC)を用
Silverman Voice Treatment Big(LSVT-BIG)は
いて比較した.MDC より大きな値を示したとき,
注目を集めている運動療法である.LSVT-BIG は
測定誤差ではなく実際に変化したと判断した.
身体を“大きく”動かすことを意識し,PD の運
動障害の特徴である運動緩慢や運動低下を改善
【結果】
することを目的としており,通常の治療期間は
本症例は高振幅運動療法を有害事象なく完遂
4 週間と決められている.しかし,この治療期
した.介入前後の測定値の変化量は 10 m 歩行テ
間では時間の確保が難しいこと,経済的な負担
ストの快適で 0.35 m/s,最大で 0.46 m/s,6 分
が増えることなどの問題がある.そこで本症例
間歩行テストで 139 m,TUG で-5.15 s,FRT で
では,LSVT-BIG の治療期間を 4 週間から 2 週間
3.5 cm であった.介入前後で測定したすべての
に短縮した運動療法(高振幅運動療法)を PD
項目で改善が認められ,FRT 以外の計測項目で
患者に実施し,その効果について報告する.
MDC に達した.
【方法】
【考察】
対象は 60 代の女性 PD 患者(Hoehn and Yahr
今回の症例では,高振幅運動療法は LSVT-BIG
stage I),主訴は歩きにくい,動きにくいであ
と同様に運動機能が改善した.計測項目の改善
り,症状を改善するために 2 週間入院した.な
は障害の程度や内容による影響を受ける可能性
お,入院期間中に投薬コントロールは行わなか
がある.今後は症例数を増やし,障害の程度や
った.高振幅運動療法は LSVT-BIG と同様な運動
内容による効果の違いについて検討したい.
内容を行い,介入は認定の理学・作業療法士が
担当した.1 時間の治療を週に 6-7 回, 計 2 週
間(13 回)実施した. 1 時間の介入の構成は
50%がストレッチやステップ動作,リーチング動
作などの全身運動を,残り 50%を個人が目標と
する基本動作を繰り返し練習した.本症例は歩
行および方向転換の動作を中心に練習をした.
すべての運動は小さい動作の感覚を“大きな”
動作へ修正することを目的とし,指導した.
介入前後で快適・最大 10m 歩行テスト,6 分
間歩行テスト,Functional reach test(FRT),
- 28 -
演題番号 18
頚部症状に伴い三叉神経第二・三枝領域に神経症状を呈した一症例
-大後頭神経三叉神経症候群 great occipital nerve trigeminal nerve syndrome(GOTS)で
ある可能性について-
東倉
信濃町立
加奈子
信越病院
Key words:三叉神経,後頭神経,関連痛
【はじめに】
【治療介入】
大後頭神経と三叉神経は隣接し一部は同一の神
頚部の可動域と運動時痛の改善を目的に各筋に
経に接続する。そのために大後頭神経の絞扼性神
ダイレクトストレッチとホールド&リラックスを
経障害を生じる症例では三叉神経第一枝の神経支
行い筋緊張の緩和を図った。筋緊張の緩和が得ら
配領域である眼窩部や前頭部の頭痛などとして症
れた後、各椎間関節の運動を引きだすように頚部
状を感じることがあり、関連痛の一種 GOTS として
の運動を行った。また普段の生活において筋緊張
知られている。しかし今回経験した症例では三叉
を亢進させすぎないように作業時の姿勢改善や体
神経第二・三枝神経支配領域に症状を呈し、一般的
幹頚部の筋力強化・ストレッチなどのセルフエク
な GOTS の症状とは異なっていたためここに報告
ササイズの指導を行った。
する。
なお本症例には発表の主旨を口頭と文書にて説
明しこれに同意を得ている。
【介入後所見】
ROM(°)頚部 屈曲65 伸展70 回旋左75/
右80 側屈左50/右 45
【症例紹介】
筋緊張 亢進は改善
40歳代女性、主訴は口腔内・舌前方のピリピ
疼痛 頚部の各運動最終域において頚部後面の疼
リとしたしびれで頭痛を伴う事もある。また頚部
痛改善
のツッパリ感と動かし難さ、動かした時に頚部後
しびれ 口腔内・舌前方にピリピリとしたしびれ
面に痛みを感じる。特に PC 操作などのディスクワ
NRS 0.5/10
ークを長時間行うと症状が強い。
【初回所見】
【考察】
ROM(°)頚部 屈曲60 伸展10 回旋左55/
本症例は口腔内・舌前方の神経症状と頚部の症状
右65 側屈左30/右 25
を主訴としていたが、当初は口腔内・舌について
筋緊張 頭板状筋 頭半棘筋 僧帽筋上部におい
はその原因がわからず頚部の症状に対して運動療
て亢進
法が処方された。しかし治療経過のなかで頚部の
疼痛 頚部の各運動最終域において頚部後面に疼
症状の改善と口腔内・舌の症状の改善が連動して
痛 NRS4~5/10
いる事から本症例の症状は GOTS の一症状である
しびれ 口腔内・舌前方にピリピリとしたしびれ
可能性に至った。三叉神経の侵害刺激は橋から頚
NRS4/10
髄にかけて伸びる三叉神経脊髄路核に入力してい
関節の動き 上部下部ともに各椎間関節の動き乏
る。三叉神経脊髄路核は広く上部頚神経領域から
しい
の入力も受けるため関連痛として頚神経領域の症
姿勢観察 若干胸椎の後弯増強し頸椎の前弯減少
状が三叉神経領域の症状として感じられる事があ
したストレートネック傾向にある
り GOTS として知られる。その症状は三叉神経第一
画像所見 頚部の骨・関節などに明らかな骨折や
枝領域の症状が多く、第二・三枝領域の症状はあ
変形などは認められない
まり報告されていない。しかし本症例の症状から
頭部頚部において三叉神経領域に腫瘍や血管障
は三叉神経第一枝領域のみならず第二・三枝領域
害などの神経の感覚異常を起こすような所見は
にまで症状を呈する可能性が示唆された。
認められない
- 29 -
演題番号 19
体幹の基本軸をベッドとの平行線とした
股関節屈曲伸展可動域測定の信頼性と測定誤差について
常田亮介◆1),三澤加代子1),川内翔平1),井戸芳和1),百瀬公人2),
上原将志1),吉村康夫1,3),加藤博之1,3)
1)信州大学医学部附属病院リハビリテーション部
2)信州大学医学部保健学科
3)信州大学医学部整形外科
Key words:股関節,関節可動域測定,信頼性
【目的】
解析には級内相関係数(以下,ICC)を用いた.また
日本リハビリテーション医学会が定めた股関節
絶対信頼性の評価のため Bland-Altman 分析を用
屈曲伸展可動域(ROM)測定は,基本軸を「体幹へ
い,系統誤差の有無を検討し最小可検変化量を算
の平行線」と定めている.しかし,体幹は不明瞭
出した.
な指標であり,先行研究でも股関節の可動域測定
は難しく信頼性は低いとする報告もある.Nancy
【説明と同意】
らは基本軸のランドマークを検査台とする方法を
本研究は本学医学部倫理審査委員会の承認(承
述べているが,その信頼性を検討した報告は渉猟
認番号:3341)を得て,ヘルシンキ宣言に基づき,
し得た範囲ではなかった.今回,股関節屈曲伸展
本研究の内容を十分に説明し参加の同意を得た.
ROM 測定の基本軸を「ベッドへの平行線」として
測定の信頼性の検討を行った.
【結果】
検者内信頼性 ICC(1.1)は,検者 A で屈曲 0.85,
【方法】
伸展 0.90.検者 B で屈曲 0.91,伸展 0.84 であっ
対象者は健常成人 20 名の左右 40 股関節とした. た.Bland-Altman 分析では,検者 A,B とも加算
対象者の内訳は、男性 8 名,女性 12 名で平均年齢
誤差,系統誤差を認めず,それぞれの最小可検変
25.8±5.2 歳であった.同一対象者の股関節屈曲
化量は検者 A で屈曲 8.67°,伸展 4.70°,検者 B
伸展 ROM 測定を 2 名の理学療法士(臨床経験 3 年
で屈曲 7.58°,伸展 5.65°であった.
目検者 A,同 10 年目検者 B)が行い,測定値の読
み取りは他の理学療法士 1 名で行った.
検者間信頼性 ICC(2.1)は,屈曲 0.86,伸展 0.86
であった. Bland-Altman 分析では,屈曲,伸展
ROM 測定に使用するベッドは水準器により水平
であることを測定前に確認した.関節可動域測定
ともに加算誤差,比例誤差は認めず,最小可検変
化量は屈曲 7.01°,伸展 5.31°であった.
の基本軸をベッドへの水平線と規定し,移動軸は
日本リハビリテーション医学会の定めた方法に基
【考察】
づき大転子と大腿骨外側上顆を結ぶ線とし,両側
本研究では健常成人を対象として股関節屈曲伸
股関節の屈曲と伸展の他動関節可動域を測定した. 展 ROM 測定の基本軸をベッドへの水平線として測
測定は検者 A と検者 B がランダムに測定した.基
定し,信頼性を検討した.本方法は ICC が 0.80
本軸を正確に規定する為に東大式角度計に水準器
以上かつ加算誤差,比例誤差がなかったことから,
を取り付け,測定値は 1°単位刻みで読み取りを
検者内信頼性および検者間信頼性は良好であり,
行った.検者内信頼性を検討するため,同一検者
絶対信頼性を有すると考えられた.
が同一の対象者を 3 日以上(平均 3.6±1.1 日)の
今回の結果では基本軸をベッドへの平行線とし
間隔をあけて,再度同一の測定を行った.検者間
た測定方法は信頼性の高い測定方法であり,ラン
信頼性は同一対象者に対して検者 A と検者 B で検
ドマークを明確に規定としたことが高い信頼性の
討した.検者内信頼性と検者間信頼性の統計学的
要因と考える.
- 30 -
演題番号 20
当院にて TKA 術後患者における膝蓋骨直上周径の経時的変化
鷲見太一◆,北原美佳,武村彩乃,久保田香恵,玉置裕子,池田裕貴,平沢さとみ
社会医療法人栗山会 飯田病院
Key words:TKA,大腿周径,術後 4 週目
【目的】
ったが標準偏差が±2.23 とばらつきが多い結果
当院では人工膝関節全置換術(以下 TKA)にお
となった。
いて 3 週間のクリニカルパスを用いている。術前
後の大腿周径の傾向の把握と他評価との比較を
【考察】
行う為の先行研究として検証を行った。
全体の平均値上では急性炎症期である抜去後
がピークとなり、その後徐々に低下する傾向がみ
【対象・方法】
られた。4 週目まで入院し、術前に到達した群(25
対象者は平成 27 年 10 月より当院にて末期変形
関節)では術前後の差(抜去後)においてばらつ
性膝関節症と診断され TKA を施行された患者 57
きが多くみられた。術前に到達していない群(11
例 76 関節(平均 74.3±7.06 歳)、男性 13 例、女
関節)との比較はばらつきの度合いと標本数の少
性 44 例、片側 TKA38 例、両側 TKA19 例を対象と
なさから、差があるという検証は難しく、個体差
し、術前と術後硬膜外麻酔抜去後(以下抜去後)
による影響が強いと考えられる。尚、4 週前に退
と術後 1 週経過毎に、膝蓋骨直上(以下直上)の周
院した患者のデータは測定されていない為、これ
径を測定し、経時的変化を追った。
らのデータを含めて検討する事によりばらつき
が少ないデータを得ることが可能と考えられる。
【結果】
また、既往歴や血液検査、関節内血腫等、腫脹以
全患者 57 例 76 関節の直上の平均周径は、術前
37.8±3.41cm、抜去後 40.4±3.58cm、1 週目 39.9
外の要素による影響も考慮する必要があると考
えられる。
±3.44cm、2 週目 39.1±3.50cm、3 週目 38.5±
3.26cm であった。57 例中 33 例は 4 週到達前に退
【まとめ】
院し、3 週以降の測定は非実施である。
今回、TKA の術前後の直上周径の経時的変化を
入院 4 週目に到達した患者 24 例は、片側 TKA12
追った。抜去後の周径がピークとなり、その後
例、両側 TKA12 例の合計 36 関節であった。この
徐々に術前値に近づいていくが、生理現象の個体
36 関節の直上周径は 37.6±3.45cm であり、全患
差や様々な個人因子の影響の可能性が示唆され
者の術前直上周径平均 37.8±3.41cm と近似した
た。今後、個人因子を含めたデータの総合判断や
結果となった。しかし、24 例 36 関節中、11 関節
退院後の追跡調査を行う事で、より正確な予測を
は術前直上周径を実測値で上回っていた。この
行える可能性が示唆された。
11 関節は術前直上周径と抜去後の差が 2.7±
0.9cm であった。それに対し、残りの術前値を下
回った 25 関節は術前後の差が 1.3±2.23cm であ
った。11 関節群の術前後の差は 25 関節群と比較
し、平均値上では差が大きい結果となり、ばらつ
きが少ない結果が得られた。25 関節群は 11 関節
群よりも術前後の差が平均値上少ない結果とな
- 31 -
演題番号 21
肩腱板断裂術後患者における肩関節可動域の職種別比較
松岡大悟◆1),有賀一朗1),岡崎 瞬1),磯村隆充1),玉井 敦1),小林博一2)
1)まつもと医療センター
リハビリテーション科
2)同
整形外科
Key word:肩腱板断裂,就労,関節可動域
【はじめに】
られた。
肩腱板断裂術後患者においての先行研究によ
【考察】
ると、手術側の使用は、術後 3 ヵ月より軽作業、
腱板断裂後の治療について唐澤らは腱板機能
術後 6 ヵ月より重労働を許可している。これは、
回復前に過剰な運動負荷をかけると外在筋によ
腱板を骨鋲着後、腱接合部の修復完成に 24 週要
る代償運動が強く生じてしまい、再断裂の危険も
したという動物実験に基づいている。しかし、退
増加するので注意を要すると述べている。また、
院後長期にわたる就労制限の遵守や安静度の理
疼痛を誘発しない、関節可動域制限を残さないこ
解や就労の実態については未確認である。そこで
とで腱板機能と肩甲上腕リズムを確実に回復さ
手術側の早期からの使用は治療の遅延に影響す
せることが重要であると述べている。森原らは腱
ると考え、職業別により肩腱板断裂術後の肩関節
板筋活動の高活動量とされる動作では上肢を空
可動域に差が出るか調査したので報告する。
間保持した状態で行うものが多く含まれている
と報告している。今回の調査では軽作業群と重労
【方法】
働群の 2 群間において、術後 3 ヵ月の肩関節可動
当院にて肩腱板断裂手術 mini-open rotator
域での屈曲にて軽作業群に有意に改善を認めた。
cuff repair を施行した患者 13 例 14 肩を対象と
このことから、腱板機能回復前に早期から上肢挙
した。対象を問診にて就労内容により desk work
上した状態で使用したことにより、外在筋の代償
などの軽作業群(4 肩)、建設業などの重労働群
運動が強く生じた結果、肩関節屈曲での関節可動
(10 肩)の 2 群に分けた。評価項目は、病歴(年
域に影響を与えたと考えた。更に、関節可動域制
齢、性別、手術側)を調査し、次に肩関節可動域
限は肩甲上腕リズムの回復に影響することから、
(屈曲、外転、伸展、外旋 1st、外旋 2nd、内旋
早期からの上肢の使用は避けるべきであると考
2nd、水平屈曲、水平伸展)、 C7-thumb-distance
える。
について術前、術後 3 ヵ月及び 6 ヵ月での比較を
行った。
【結語】
統計学的検討は、性別、手術側はχ二乗検定を、
1) 肩腱板断裂術後患者に対し、職業別の回復過
年 齢 、 肩 関 節 可 動 域 、 C7-thumb-distance は
程における肩関節可動域ついて調査した。
Mann-Whitney U 検定を用いて行い、危険率 5%未
2) 軽作業群と重労働群の 2 群間にて、術後 3 ヵ
満を有意差ありとした。
月の関節可動域での屈曲にて軽作業群に有意に
改善を認めた。
【結果】
3) 手術側の早期からの使用は関節可動域の回復
2 群間の比較で、病歴は、全ての項目において
に影響すると考える。
有意差を認めなかった。肩関節可動域は、術前お
よび術後 6 ヵ月で有意差は認めなかったが、術後
3 ヵ月の屈曲にて軽作業群で有意に改善が認め
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演題番号 22
右特発性大腿骨内顆骨壊死に対して、自家骨軟骨移植術及び
高位脛骨骨切り術を施行した一症例を経験して
高橋健太◆1),久保大輝 1),相良繭子 1),竹内大樹 2),青山倫久 2),渋川正人 3)
1)医療法人アレックス
佐久平整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センターリハビリテーション科
2)医療法人アレックス
メディカルリサーチセンター
3)医療法人アレックス
佐久平整形外科クリニック
スポーツ関節鏡センター
整形外科
Key words:HTO,FTA,全身的なアプローチ
【目的】
【考察】
従来、特発性大腿骨骨壊死に対する手術療法と
通常、人工関節は膝関節屈曲可動域が 120〜
して、人工膝関節全置換術や人工膝関節単顆置換
130 度とされている。本症例は術後に右膝関節屈
術、高位脛骨骨切り術(High Tibial Osteotomy:
曲可動域 150 度まで向上した。人工関節を使用
以下、HTO)がある。人工膝関節置換術は、軽
しないことで深屈曲を可能にすることができる。
度の運動を行うことは可能だが、アクティビティ
大腿脛骨外側角(Femoro Tibial angle:以下、
ーが高くなるにつれてインプラントの磨耗が進
FTA)は、術前 180 度、術後 170 度。HTO は
み、15 年程度経過すると再置換を行うことがあ
FTA170 度に補正した。現在は荷重制限もなく生
る。その点、HTO は自家組織のみの手術法であ
活できており、特に関節面の痛み、関節水腫など
り、アクティビティーが許可される。
の関節内症状の出現はない。また術後 MRI の状
今回、右特発性大腿骨内顆骨壊死に対して自家
態からは移植した関節面も良好である。現在は右
骨軟骨移植術及び HTO を施行した一症例を経験
膝関節屈曲 140~150 度を維持している。HTO に
したので報告する。
よって膝関節を外反位に修正しているため、股関
節外旋可動域、後脛骨筋等の足関節周囲筋の柔軟
【症例と経過】
性向上を今後図っていくなど全身的なアライメ
症例は 66 歳女性。転倒を回避した際、右膝内
ントへのアプローチが必要であると考える。
側部に疼痛が生じた。保存療法を施行するも症状
軽減を認めず、MRI 撮影にて、右大腿骨内顆に
骨嚢胞を認め、右特発性大腿骨内顆骨壊死と診断。
年齢とジョギングなどの軽スポーツをしたいと
いう希望から、人工関節を選択した場合、再置換
の可能性が高まることが考えられたため、HTO
を選択した。右膝関節屈曲可動域は、術前 120
度、術後 135 度、3 ヶ月後に 150 度となった。
- 33 -
演題番号 23
初回発症から長期経過した両側性片麻痺症例に対する理学療法経験
加納拓馬◆,清水美知留
上伊那生協病院
訪問リハビリテーション課
key word:両側性片麻痺,Back Knee,Lateral Sway
【緒言】
で立位姿勢の安定化を図った。並行して四つ這い
今回、両側性片麻痺症状により歩行困難さを呈
した症例を担当する機会を得た。初回発症から
位にて非対称性の運動を行うことで全身の協調
的な運動を促通した。
20 年以上経過しながらも、歩容において良好な
結果が得られたため報告する。
【結果】
上肢支持なく骨盤前傾位、腰椎から下部胸椎伸
【症例提示】
展位で立位保持可能となった。歩容は左立脚初期
80 代男性
4 度の脳梗塞発症歴があり、画像所見
での Back Knee 出現頻度が減少し、立脚後期に股
上、右中大脳動脈領域部に広範な梗塞巣と両半球
関節伸展相が得られクリアランスは十分であっ
にラクナ梗塞を認めた。既往に右大腿骨頸部骨折。
た。10m 歩行時間は平均 36 秒と短縮した。また T
初診時、BRS 右/左:上肢Ⅵ/Ⅴ
下
字杖歩行も 20m 程度近位見守りレベルで可能と
肢Ⅵ/Ⅴ(背屈不可)、感覚障害は深部・表在とも
なった。しかし右下肢優位に荷重する傾向は残存
に左半身優位に軽度低下。筋緊張は左足関節底屈
した。
手指Ⅵ/Ⅵ
筋・両僧帽筋・菱形筋に高緊張、左股関節外転筋・
左体幹筋に低緊張を認めた。
【考察】
立位姿勢は前方での上肢支持下で上部胸椎伸
本症例は両側性片麻痺を呈したが、両下肢支持
展・右回旋・右側屈位、腰椎から下部胸椎後弯・
性は得られていた。左立脚初期で Back Knee が出
右側屈位、骨盤後傾・左回旋位・後方偏移、両膝
現する原因として、骨盤・腰椎から下部胸椎部伸
関節伸展位を呈し、右前足部優位に荷重。左片脚
展筋の機能不全と左底屈筋の緊張亢進によるも
スクワット動作は可能であった。歩行は Pick Up
のが予想されたが、動作時における底屈筋の緊張
型歩行器を使用し左立脚初期から Back Knee を認
亢進増強が認めなかったため、下部体幹へ治療介
め、左スイングではクリアランス不十分。10m 歩
入した。治療経過に伴い徐々に改善が得られたが、
行時間は平均 3 分。
左立脚期での骨盤 Lateral Sway が出現したため、
左側腹筋へアプローチしたところ左股関節外転
【倫理的配慮】
筋緊張の改善も得られ骨盤動揺は軽減した。この
ヘルシンキ宣言に基づき対象者・家族に内容を
十分に説明し書面にて同意を得た。
結果より下部体幹伸展筋・左側腹筋の機能不全が
左立脚期での Back Knee、骨盤動揺により寄与し
ていたと示唆された。
【治療】
また異なる神経制御を受ける左右半身による
身体アライメントと歩容評価から、腰椎から下
全身運動を通じて脳梁を介した神経ネットワー
部胸椎部の後弯・右側屈位増強による体幹伸展
クの再構築を図るため、四つ這いで非対称的な運
筋・左側腹筋の機能不全が上肢支持を用いた姿勢
動を実施した。結果、全身の協調的な動作の改善
制御に影響していると予想した。そこで上部胸
を得たと考えた。
椎・肩甲帯部の屈曲・回旋方向へのアプローチと
腰椎から下部胸椎部の体幹伸展筋・左側腹筋の機
能改善を図り、座位・立位で骨盤の運動を誘導し
ながら両下肢荷重での運動制御を促通すること
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演題番号 24
重度の感覚障害を呈した脳卒中患者の一例に対して
Gait Judge System を用いた治療経験
古山幸太◆,矢澤俊二
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター
鹿教湯病院
Key words:脳卒中患者,Gait Judge System,視覚的フィードバック
【はじめに】
フィードバックしながら踵接地から立脚中期に
今回,重度の感覚障害を呈した脳卒中患者に対
対するステップ練習へ理学療法を再考した.
し Gait Judge System(以下:GJS)を用いた歩行
分析結果を基に理学療法を再考し,歩行能力が向
【結果】
上した症例について考察を加え報告する.
1st peak は 10.4Nm,
2nd peak は 7.6Nm に増加,
なお,症例からは発表の同意を得ている.
歩行能力は 10m 歩行が 11 秒 19 歩,TUG は 17 秒
に短縮した.身体機能の改善は認めなかったが,
【症例紹介】
ADL では左足部の引きずりが改善し屋外歩行も
30 歳代男性.平成 27 年 2 月上旬に右被殻出血
自立に至った.
を発症し,開頭血腫除去術を施行.ADL 改善目的
で 3 月下旬当院の回復期病棟へ入院.
【考察】
本例は重度の感覚障害が残存しており,左立脚
【理学療法評価(109 病日目)】
初期の踵接地や立脚後期での蹴り出しのイメー
12 段階式片麻痺機能検査は左下肢 3,感覚は表
ジが困難で倒立振り子が機能され難い状態であ
在・深部とも脱失,左足関節背屈角度は 5 度,左
ったと予想された.しかし,GJS を導入し視覚的
下腿三頭筋の筋緊張は Modified Ashworth Scale
フィードバックを利用したことで症例自身が歩
で 1,左下肢 MMT は 2 であった.歩行は T 字杖と
容や踵で踏む力を客観的に捉えることができ,踵
金属支柱付 AFO を使用し,10m 歩行最大速度(以
接地の再学習によりロッカーファンクションの
下:10m 歩行)は 17 秒 23 歩,Time up & Go Test
再建に繋がったと考えられる. 症例からも「踵が
(以下:TUG)は 32 秒であった.歩容は左足底全体
どのくらい踏めているのか分かりやすかった」と
にて接地し,立脚後期以降では足部の引きずりが
反応が良かった.視覚的フィードバックについて
頻回で見守りが必要であった.
先行研究では,運動イメージが想起されやすく実
際の運動と同様の神経機構である補足運動野が
【問題点と理学療法の再考】
賦活すると報告しており,本例でも底屈モーメン
理学療法評価から左足部の引きずりは,立脚初
トを視覚的にフィードバックしたことで運動イ
期での股関節伸展筋活動の低下により立脚後期
メージのズレが改善され,歩行能力が向上したと
で安定性が得られず下腿三頭筋の遠心性収縮が
考える.
十分に機能していないことが要因と考え,股関節
伸展位でのステップ練習を主眼に行ったが歩容
【まとめ】
に変化はなかった.そこで GJS を導入し底屈モー
重度の感覚障害を呈した脳卒中患者に対し,
メントや歩容の可視化を図った.導入時の底屈モ
GJS を用いた視覚的フィードバックの有用性が
ーメントは 1st peak が 7.2Nm,2nd peak は 4.2Nm
示唆された.
であった.症例に対して底屈モーメントを視覚的
- 35 -
演題番号 25
重度左片麻痺患者の起立動作獲得
倉田学◆
上伊那生協病院
Key words:重度片麻痺,起立動作,重心移動
【緒言】
図り動作経験を増やした。
今回、右視床・被殻出血で重度左片麻痺を呈し
た患者様の起立動作獲得に向け右側安定性獲得、
【結果】
最終病日 138 日目評価、Brs 上肢Ⅱ下肢Ⅱ~Ⅲ。
骨盤選択運動、左側体幹・下肢への運動感覚促通
を中心に治療介入し起立動作を獲得できた為、考
視診・触診では、左足部浮腫改善。上下肢表在感
察を踏まえて報告する。本報告にあたり対象者に
覚は軽度鈍麻、深部感覚は中等度鈍麻。
口頭にて十分に説明し同意を得た。
座位は自立可能で、軽度胸腰椎後弯、軽度後傾
位、やや右側重心を呈すも正中位への修正可能。
【症例】
起立動作は体幹伸展・骨盤前傾し足底感覚が入
70 歳代男性、主病名は右視床出血。病日 17 日
ると前足部へ重心移しやすくなり、右体幹突出し
目評価、Brunstrom stage(以下 Brs)上肢Ⅰ下肢
右下肢優位、鉛直方向に体幹・下肢共に伸展活動
Ⅰ。視診・触診では、左肩関節亜脱臼 0.5 横指分
が起こり、支持物なしで見守り可能となった。
あり三角筋・三頭筋低緊張。左足部軽度浮腫あり。
立位は体幹伸展保持、右下肢荷重優位で左下肢
上下肢表在感覚は中等度鈍麻、深部感覚は重度~
伸展活動弱化あるも支持物なしで見守り保持可
中等度鈍麻。
能となった。
座位は骨盤後傾・左回旋位、胸腰椎後弯左回
旋・側屈位を呈し、右側上下肢での抵抗により左
【考察】
後方への転倒傾向を認めた。右側への荷重を誘導
座位保持~立位動作困難な理由は、左側上下
すると骨盤・腰椎伸展・左側屈方向への運動は得
肢・体幹低緊張や表在・深部感覚低下、左右非対
られず、左側での抵抗が増強した。
称アライメント変化により骨盤や体幹、下肢の筋
起立~立位では体幹伸展活動発揮困難で骨盤
選択的運動、左下肢伸展活動得られず右側上下肢
活動発揮困難や運動感覚低下によるものと考え
介入実施した。
で左側に押してしまい困難。
左側上下肢・体幹低緊張や表在・深部感覚、姿
勢アライメント改善みられ左下肢・体幹・骨盤運
【介入】
動感覚促通され、体幹伸展・骨盤選択運動が可能
体幹伸展活動と骨盤選択運動の困難さあり体
となり前足部へ重心移動できる事。足底感覚が得
幹機能および骨盤選択運動の改善を図り右側で
られ前庭脊髄系が賦活され左側下肢伸展活動が
姿勢コントロールできるように介入を図った。感
促通された事により起立動作改善に繋がったと
覚障害は中等度~重度鈍麻あり、視覚代償し下肢
考える。残存した問題は、起立動作は右下肢優位
伸展運動を促通した。足部に浮腫もあり足底感覚
になり左下肢伸展活動が不十分であり、更なる左
が得られにくく内在筋活動低下する事で足部動
下肢運動促通と両下肢に乗れた中での体幹・骨盤
的安定性低下があり、下肢筋群活動得られにくい
選択運動促通の必要性があると考えられる。
と考え改善を図った。起立練習で体幹伸展・骨盤
選択運動誘導から下肢荷重を促し伸展活動促通
静的・動的動作を十分に評価し問題点を抽出し
介入を繰り返す事の重要性が示唆された。
- 36 -
演題番号 26
当院 ALS 患者の短期一時入院(レスパイト)の現状、PT としての役割について
湯澤 喜作,桜井
和美
鹿教湯三才山リハビリテーションセンター
鹿教湯病院
Key words:短期一時入院,地域との連携,ALS
【はじめに】
【現状と考察】
地域包括ケアシステムの運用が開始され,住み
短期一時入院の利用により介護者は一時的に
慣れた地域で最後まで生活を続けられるよう在
休養が図られる.また入院と在宅生活を定期的に
宅を中心とした医療・介護を提供する体制の整備
繰り返すことで,病状の経過や心情の変化を読み
が進められている.しかし医療依存度が高い神経
取り本人の価値観を考慮しつつ福祉機器・サービ
難病等の在宅患者において,介護者へ過度の負担
ス等の変更が行える.このサイクルが継続的な在
が掛かる,ショートステイ等介護保険サービス施
宅生活の支えになると考える.
設への入所を断られるといったケースを経験し
介入中は常に退院先での生活を見据え,病院に
た.これらの問題がある中で当院では上小医療圏
対する依存やリハへの過度な期待が起こらない
内の常時介護を必要とする在宅 ALS 患者を中心
ことを念頭に置いている.本人・介護者に対し事
に短期一時入院を実施している.受け入れの現状,
前に入院の目的やルールを明確にし,信頼関係を
PT としての役割を紹介しつつ今後の課題を挙げ
築いた中で展開していくことが必要と考える.
整理したので報告する.
経過の中で病態の変化や御家族の事情等によ
り入院が長期化するケースもあり,病院として柔
【短期一時入院の実際と PT の役割】
軟な対応が求められる場合がある.平成 27 年 4
対象は原則当院の外来を受診しており,当セン
月時点では 3 名の ALS 患者が短期一時入院を利用
ターの居宅支援等を利用している患者としてい
していたが,現在は 1 名のみが定期的に在宅と病
る.入院の目的は御家族の休養・冠婚葬祭等とし
院を往復しているという状況である.
ているが,患者の疾患の進行における問題が関わ
ALS という比較的進行が早いと言われる疾患
っている場合が多い.入院期間は人工呼吸器を装
を持つ者が地域で生活を続ける仕組みについて
着している患者は 14 日以内で月 1 回まで,人工
今後も模索が必要であると考える.他施設のスタ
呼吸器を装着してない患者は 28 日以内で年 4 回
ッフや介護者を含め地域で ALS 患者を支える
までを原則としている.
方々に対して,出前講座や難病コミュニケーショ
PT の役割として,まず入院前に院内で事前ミ
ン支援講座等の事業を通して PT として支援して
ーティングを開催し入院の目的や生活環境等の
いく.そして長期的な在宅生活の実現や受け入れ
確認を行っている.入院後は患者の状態を評価し
施設拡大に向け 1 歩ずつ貢献していきたい.
つつ運動療法の実施,ポジショニングや介助方法
の変更,ベッド周囲・車いすの調整等をチームで
意見交換しながら進めている.そして退院時には
必要に応じて御家族や地域スタッフ等へ介助指
導,情報提供を行い在宅生活へとつなげている.
情報提供書は共通の書面を使用し情報の統一を
図っている.
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演題番号 27
非麻痺側へ重心移動を困難にさせていた症例
~リーチ動作の改善から歩行獲得を目指して~
川手惇平
上伊那生協病院
Key words:重心移動,非麻痺側過活動,リーチ動作
【諸言】
保持可能となった。だが、体幹の抗重力伸展が
右片麻痺を呈し、非麻痺側へ重心移動を困難
困難で、肩甲帯での固定、腋窩部から胸郭の伸
にさせ、歩行麻痺側振出を阻害していた患者様
張性低下、腰背部過緊張が要素として考えられ、
を担当した。今回、リーチ動作の非麻痺側への
肩甲帯モビライズ、骨盤前後傾・側方傾斜の運
重心移動の改善が歩行獲得に至ったためここ
動促通実施。結果、正中線上での姿勢保持可能。
に報告する。
リーチ動作では左へ体幹の抗重力伸展保持し
た中での重心移動が可能となった。歩行でも重
【症例】
心移動改善され、右振出改善に至り監視レベル
・80 代男性・脳梗塞後遺症・右不全片麻痺と失
に改善した。
語認め発症から 54 病日後で当院入院。BRS 上肢
Ⅲ、下肢Ⅲ、手指Ⅱ.右深部感覚:2/10、座位、
【考察】
立位:頭部が右側へ偏移し、骨盤後傾・右へ側
麻痺側腹部の底緊張と固有受容感覚の低下
方傾斜し重心は右後方。腹部低緊張、左肩甲帯、
が左肩甲帯、胸郭、腰背部、大腿直筋で代償固
腰背部、左大腿直筋緊張高い。脊柱はストレー
定した姿勢を呈した。歩行における左側立脚で
ト、両肩挙上・内旋位、右肩甲骨外転。左股関節
は、固定した姿勢が支持基底面に対して質量中
外転・外旋位、足底接地していない。リーチ動
心を制御できず、体幹の抗重力伸展活動を困難
作:上肢挙上に先行し正中線より頭部・体幹・
にさせ、左への重心移動を阻害していた。また、
骨盤が右後方に崩れ、左坐骨上へ重心移動して
リーチ動作においても体幹の抗重力伸展を保
いけない。リーチ約 10°から肩甲骨外転、肩挙
持した重心移動が困難で、歩行との共通の課題
上し、上肢は屈曲・外転・外旋し約 100°まで
であった。機能的なリーチとは、支持基底面上
挙上。左座骨へ誘導しても同様に右後方へ崩れ
での肩甲帯・体幹の安定性が必要とされ姿勢制
認め 130°まで挙上可能だが胸郭は広がらず、
御を背景に実現され、リーチ動作改善が歩行の
腋窩部伸張性も乏しく体幹の崩れ増強。 歩行
体幹機能改善に繋がり、結果左への重心移動が
中等度介助にて。左立脚期に、十分な重心移動
可能となったと考える。歩行において、支持側
得られないまま右下肢をスウィングし体幹が
体幹では網様体の活動が立脚期に先行して体
右へ崩れる。
幹の安定を図るため、左立脚期に網様体系の活
報告に際し、患者様、家族に説明し書面にて同
動が体幹の安定へ作用し、左への重心移動を可
意を得た。
能にさせ、右スウィングの改善に至った。動作
を構築する上で姿勢制御が背景にあり、麻痺側、
【介入経過】
非麻痺側双方の視点から介入していくことが
左への重心移動が困難だった理由として、右
重要であると感じた 1 症例であった。
腹部の低緊張、麻痺側肩甲帯・胸郭・大腿直筋
の過活動、固有受容感覚の低下、脊柱・左股関
節内外旋の可動域制限を考え、感覚入力と股関
節、脊柱可動性改善を実施すると正中位で座位
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-メモ-
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医療・機器展示出展社一覧
株式会社エヌアイ
有限会社かふね
キッセイコムテック株式会社 公共・医療ソリューション事業部
マイクロストーン株式会社 佐久平事業所
株式会社ヤマシタコーポレーション 長野営業所
メディカルケア株式会社
マツイ商会有限会社
株式会社シナノ
有限会社明倫堂書店
(順不同)
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第45回 長野県理学療法学術大会運営委員会
学術大会長
松井 克明
長野松代総合病院
準備委員長
柳沢 利和
長野松代総合病院附属若穂病院
副準備委員長
北村 永介
長野保健医療大学
附属リハビリテーションクリニック
会計
荻原 聡子
長野松代総合病院
井上 菜摘
長野松代総合病院
村越 佑紀
長野松代総合病院
渡島 寛人
千曲中央病院
中曽祢 博史
長野松代総合病院
小林 武雅
長野松代総合病院
神田 泰明
長野松代総合病院
長谷川 純一
長野松代総合病院
荻原 智紀
長野松代総合病院附属若穂病院
八木 あかね
長野松代総合病院
機器展示
北澤 敦
長野松代総合病院附属若穂病院
託児所
竹前 真貴
長野松代総合病院附属若穂病院
講師接待
片山 郁美
長野松代総合病院
駐車場
半田 敬典
長野松代総合病院附属若穂病院
母袋 聡一
篠ノ井総合病院
北澤 瑞樹
長野松代総合病院
受付
会場係 会場統括
記録
発
行
一般社団法人 長野県理学療法士会
第 45 回 長野県理学療法学術大会準備委員会
長野松代総合病院附属若穂病院
〒381-0101 長野県長野市若穂綿内 7615-1
TEL:026-282-7111
FAX: 026(282)7117
E-mail: [email protected]
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