(維持管理事項-3)スプリンクラーの散水障害区域内への造作禁止 /工事中のスプリンクラー位置表示の徹底 既存テナント区画の改装工事等において、スプリンクラーの散水障害となる区域内に造作物 を設けてしまい、消防検査等で指摘を受けるなどのクレームが起きている。 防災設備の機能を阻害させない為に、スプリンクラーの散水障害区域などの防災機器との離 隔距離が消防法等に定められ、その区域内に造作物の設置を禁止しているが、設計および施 工の際に法規制を検証せず、防災設備の調査を怠ったことが原因である。(参考資料参照) 店舗改装等の設計・工事に際しては、防災設備の種類や、防災機器の配置を充分調査の上、 所轄消防と事前協議を行うなどにより、法令に順じた施設造りを行うこと。 〔参考資料-1〕消防法によるスプリンクラーの散水障害区域 スプリンクラーヘッドを中心にした半径300mm の円と下方に 450mm で構成される円筒 の範囲(参考図参照) 〔参考資料-2〕消防用設備等の設置基準による感知器の配置 感知器の配置は壁面等より 600mm 以上、空調・換気設備の吹出し口より 1500mm 以上の離 隔を保つ。 ※ 間仕切り壁や空調・換気設備の移設・新設の際は、既設感知器との位置関係によっては、感知 器の移設等も必要となる。 併せて、過去のクレーム事例より学んだ、当社独自の管理基準を以下に示すので遵守するこ と。 1. 散水障害区域外であっても、ヘッドの近くに高熱を発する照明器具を取付けるとヘッ ドのヒューズが飛び、散水の恐れがあるので避けること。 2. 天井付近の温度が常に 40℃前後となることが予測できる部屋や部位(厨房や高温と なる演出照明設置部分など)はビル側に要請する等で、通常のヘッド(72℃対応品) を高温用のヘッド(96℃対応品)に交換しておくこと。 3. 照明点灯により室温が上がることが予測される部屋(小規模の電灯色試験室など)に は換気設備を設け、照明用スイッチと連動させること。 53 〔工事中のスプリンクラー位置表示の徹底〕 天井面に取付いている「スプリンクラー」には、常に天井内の配管へ水圧がかけてあり、天 井から突起したヘッドに衝撃を与えて破損させると、スプリンクラー機能が作動し、警報と 同時に1㎡当たり毎分80㍑の水が散水され、現場が水浸しになるばかりか、客先にも多大 の迷惑をかける。 全館リニュアル工事などの際は、事前に所轄消防と協議し工事中の防災管理体制を確立した 上で、スプリンクラー機能を停止し配管内の水を抜いておく対策も可能だが、一部のテナン ト工事などでは部分的にスプリンクラー機能を停止することは出来ない(※)ので、スプリン クラー配管内に水圧がかけられたまま工事を進めざるを得ない。又、保護カバー等の取り付 けは、万一の際に散水障害となる恐れがあるので採用すべきではない。 (※ 確実に防災機能を働かせる為、中間バルブ等の機構を設けてはいけない) 従って防止策としては、スプリンクラーヘッド直近の天井面に赤い警告テープを必ず表示し、 且つ朝礼等で作業員に注意喚起するほか無い。 スプリンクラーに水圧が掛けられたままの現場では、この警告テープが無い場合は一切の工 事を禁止する。 〔警告テープ施工事例〕↓ ※尚、スプリンクラーフレキ管養生の徹底は別記「特別管理事項」に移行したので、 同欄参照の事。 54
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