別紙様式第2号 横浜国立大学 学位論文及び審査結果の要旨 氏 名 富樫

別紙様式第2号
横浜国立大学
学位論文及び審査結果の要旨
氏
名
富樫 信之
学 位 の 種 類
博士(工学)
学 位 記 番 号
工府博甲第491号
学位授与年月日
平 成 28年 3月 24日
学位授与の根拠
学位規則(昭和28年4月1日文部省令第9号)第4条第1項及び横浜国
立大学学位規則第5条第1項
学府・専攻名
工学府
物理情報工学 専攻
学位論文題目
作業空間オブザーバに基づく運動制御における等価質量行列の設計
に関する研究
(Research on design of equivalent mass matrix for motion control based on
workspace observer)
論文審査委員
主査
横浜国立大学
准教授
下野 誠通
横浜国立大学
教授
河村 篤男
横浜国立大学
教授
大山 力
横浜国立大学
教授
藤本 康孝
横浜国立大学
准教授
辻 隆男
論文及び審査結果の要旨
本論文は,作業空間オブザーバに基づく多自由度マニピュレータの運動制御において,
制御演算に用いる等価質量行列の誤差が与える影響について数理的に解析し,その設計法
についてシミュレーションおよび実験を交えて議論したものである。具体的には,マニピ
ュレータの姿勢変化に伴って実際の等価質量に変動が起こり,設計した値と差異が生じる
場合の影響について考察を行い,ゲイン変動や遮断周波数変動の観点から評価している。
そして,多自由度マニピュレータの位置制御および力制御において,安定解析,シミュレー
ションおよび実機実験を行い,考察した設計法の妥当性について検証している。これらの結
果から,作業空間オブザーバに基づくマニピュレータ制御のための,目的動作に応じた等価
質量行列の設計指針についてまとめている。
本論文の構成は以下の通りである。
第 1 章は,ロバストな加速度制御を実現する外乱オブザーバや作業空間オブザーバなど本
研究に関連する制御技術の研究開発動向と,それに対する本研究の位置付けおよび研究動
別紙様式第2号
横浜国立大学
機について述べている。
第 2 章では,外乱オブザーバや作業空間オブザーバの基本原理,多自由度マニピュレータ
の運動学や動力学についてまとめている。
第 3 章では,等価質量行列を逐次的に推定して作業空間制御に用いる手法の効果について,
ゲイン変動や遮断周波数変動の観点から,シミュレーションおよび実験により検証を行っ
ている。
第 4 章では,作業空間オブザーバに基づく多自由度マニピュレータの位置制御における等
価質量行列の設計法について,運動軸聞の干渉や安定性の観点から議論を行い,考察結果の
妥当性をシミュレーションおよび実験から確認している。
第 5 章では,作業空間オブザーバに基づく多自由度マニピュレータのカ制御における等価
質量行列の設計法について,検討をさらに深めている。カセンサを用いない広帯域な力制御
を達成するために,反力推定オブザーバを実装した系において,運動軸聞の干渉や安定性の
観点から議論を行っている。また,シミュレーションおよび実験から,考察結果の妥当性を
示している。
第 6 章は,本論文の結論と将来課題についてまとめており,今後の発展性について言及し
ている。
以上より,この分野での新しい知見を与える本論文は,博士(工学)の学位論文として十
分な価値を有しており,合格と判定した。