患者の核医学診療施設の入退出に係る安全確保に関するガイドライン

患者 の核 医学診療施設 の入退 出 に係 る安全確保 に 関す るガイ ドライ ン
平成
日本核 医学会
26年 9月 8日
理事長
日本核 医学技術学会
井 上登 美夫
理事 長
渡邊浩
放射線診療従事者及 び患者 が核 医学診療施設 へ の入退 出 の際、診療用放射性 同位元素 (以
下、RIと 略す。)使 用室等 の管理 区域用 (RI専 用 )の ス リッパ 等 に履 き替 えることが慣例
的 に推 奨 され て きた。 しか し、医療法 施行規員」では患者 の履 き替 えに関す る規定 は一 切 な
く、労働 安 全衛 生法 に作業者 に対す る履 き替 えに関す る条文 が ある のみ で ある。 つ ま り、
患者 の履 き替 えは医療法施行規則 で義務付 け られ た もので はな い。 一 方 、患者 の高齢化 が
急速 に進行 してい る状況下 にお いて 、履 き替 えた RI専 用 ス リッパ や ス ノ コ等 が原因 で 、核
医学検査等 で患 者 の転倒 が危惧 され るケー ス が散見 され てい る。 この状況 に鑑 みて、医療
安 全 の確保 の 面 か らも、また、 ス リッパ 等 の履 き替 えに よる衛 生上 の 問題 か らも医療現場
で 改善 が要望 され て い る ところで ある。
平成
17年 度厚 生 労働科学研 究費補助金
(医 療安全 。医療技術評価総合研究事業 )「 医療
放射線分野 にお ける法令整備 等含 めた管 理 体制 に関す る研 究」 (主 任研 究者 :油 野民雄 )「 診
療用放射性 同位 元素使用 室 へ の入 退 出時 にお ける患者 のス リッパ 履 き替 えの必要性 につい
て の検討 J(分 担研 究者 :山 ロー郎 )に おいて 、 日常 の核 医学診療 にお いて 、施設 内 の一 部
の場所 (RI管 理 区域 内 の トイ レ)を 除 い て
RI汚 染及 び 汚染 の拡大 は殆 ど認 め られ ない こ
と、また 、RI汚 染 に よる他 の患者 の推 定被 ば く線量 も極 めて少 ない ことか ら、RI汚 染防止
を意 図 した 、RI専 用 ス リッパ 等 の履 き替 えの必要性 は殆 ど認 め られ な い ことが 明 らかに さ
れ た。 しか しなが ら、管理 と一 定 の運用基準 を設 け て 、放射線安 全管理 を徹底す るこ とを
求 める必 要 が ある と思量 され る。また、平成 22年 度厚 生労働科 学研 究費補助金 (地 域 医療
基盤研 究開発推進研 究事業 )「 医療放射線 の安全確保 と有 効利用 に関す る研 究」 (主 任研 究
者 :細 野員 )「 診療用放射性 同位元素使用 室 へ の入退 出時 にお ける患者 のス リッパ 等 の履 き
替 えの必要性 に関す る検討 」 (分 担研 究者 :山 ロー 郎 )に お いて
RI管 理 区域 内 の トイ レ等
の汚染拡大防 止措置 に関す るガイ ドライ ン (案 )が 提示 され た。
以 上 の こ とを踏 ま えて 、核 医学診療施設 の入退 出 に際 して 、履 き替 えを行 わ ない 場合 に
患者 の安全等 を確保 しつつ RI汚 染拡大防止 措置 を講 じるため、上記 ガイ ドライ ン案 を基 に
当該 実施 医療機 関にお いて 以下 の項 目を網羅 した RI汚 染拡大防 止 に係 るガイ ドライ ン (患
者入退 出 ガイ ドライ ン)を 作成 し、 これ を遵守す る こととす る。
なお、国際的 には患者 が履 き替 えを行 わ ない こ とに よる汚染拡大 の影響 が軽微 で あ る と
考 え られ てお り、患者 に履 き替 えを指 導 してい る国は欧米 な らび にア ジア 主要 国 にお いて
は皆無 で あるこ とを念 のた め 申 し添 える。 また 、
=部
では地方 医療行政機 関 の承認 の基 に
同様 のガ イ ドライ ン を策定 し既 に運用 してい る医療機 関 が あ るが、以下 の項 目を概 ね包 含
してい る場合 は改 めて作成す る必要 はない。
己
口
1
核 医学診 療施 設 の 出入 日か らむや み に RI汚 染 を拡 大す る こ とが な い よ うに 、 日常 の放
射線管理 に よ り、汚染拡 大防止 の対策 を講 じること。
2
迅速 に放射線演1定器 にて測定 し、
核 医学診療施設 において RI汚 染 が疑 われ る場合 には、
RI汚 染 の有無 を確認す るこ と。
3 RI汚 染 が発見 され た場合 は、適切 な RI汚 染除去剤 を用 いて除去す る こ と。 また、汚
染 除去 が 困難 な場合 には、床 面に汚染 の範 囲 を示 して 、 患者及 び診療 従事者 が 当該床 面 を
踏 まない よ う注意 を喚起す る こと。
4
特 に トイ レの床 面 が RIで 汚染 しや す い ことを十分 に認識 し、必要 に応 じて汚染 の発 生
と拡大防止 の ための工夫 をす ること。
以上