Title Author(s) Citation Issue Date URL High Resolution NMR Spectra of Polyacrylonitrile and Its Model Compounds( Abstract_要旨 ) Murano, Masao Kyoto University (京都大学) 1969-11-24 http://hdl.handle.net/2433/213264 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University ー 【 生 お土 L u博 68 山政 学 位 の 種 類 の学 巨 野 氏) 論 1 的理 、 村 // ′ 学 位 記 番 号 理 博 第 283 号 学位授与 の 日付 昭 和 4 4年 11月 2 4日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5条 第 2項 該 当 学位論文題 目 Hi gh・ Re s o l ut i o nNMR Spe c t r a of Po l yac r yl o ni t ri l e a ndI t sM二 o de lCompo unds (高分解能 NMR によ るポ リア ク リロニ トリル とそのモデル化合物 に関す る研究) (主 論 文 調 査 委員 査) 教 授 波多 野博行 論 文 内 教 授 大 杉 治 郎 容 の 要 教 授 国近 三 吾 旨 核磁気共 鳴 ( NMR)法 によ るポ リア ク リロニ トリルの立体構造 に関す る研究 が, その 2量体 および 3量 体 モデル化合物を用 いた研究 とあわせて考察す ることによ って行 なわれた。 また溶媒 によ って その構造が 異 な ることも明 らか にされた。 主論文第 1部 は, ポ リア ク リロニ トリルの NMR スペ ク トル と, その 2量体 モデル化合物 2, 4-ジシ アノペ ンタンおよび 3量体 モデル化合物 2, 4, 6- トリシアノヘプ タンの各異性体 の NMR スペ ク トル を比較 し, それ らの化合物の立体規則性 と立体構造 につ いて研究 した もので ある0 合成 した両 モデル化合物は メゾ, ラセ ミ両異性体 に, あるいはアイ ソタクチ ック, ヘテ ロタクチ ック, および シンジオ タクチ ックの トライア ッドに相 当す る 3 種 の異性体 にそれ ぞれ分離 した。 2 両体 の両異性 体 につ いては, メチ レン基 プ ロ トンに, 3量体 の 3種 の異性体 につ いては, メチ ン基 プ ロ トンに, それぞ れ注 目す ると, それ らのプ ロ トンは高磁場 側か ら順 に, ア イソタクチ ック, ヘテ ロタクチ ック, および シ ンジオ タクチ ックな化合物の順 に帰属 され ることがわか った。 このよ うなモデル化合物 に関す る解析結果 よ り, ポ リア ク リロニ トリルの メチ レン基や メチ ン基 のプ ロ トンの帰属が決定 された。 アイソタクチ ックメチ レン問のケ ミカル シフ トの差 は, 重合度が大 き くな ると減少す ることか ら, ポ リ マ- では メチ レン基 プ ロ トンが等価 にな ると考 え られ, これ よ りポ リマ- の ラセ ン形成 とその転換 が起 こ ることが推定 された。 α位 あ るいは β位を重水素化 したポ リア ク リロニ トリルおよび メチ レン基 または メチ ン基 プ ロ トンよ り デ ィカ ップル させ たプ ロ トンの吸収を測定 し, 溶媒 によ る変化を解測 した結果 か らポ リマ- 中のそれ ぞれ の異性体部分 の割合が算 出 された。 その結果 3量体 に関す る知見 に もとづいて シンジオ タクチ ックの部分 がやや多い ことがわか り, ポ リア ク リロニ トリルの 6 0 o C におけ るラジカル重合物は, シンジオ タクチ ッ クの部分が5 5 -6 0 %, アイソタクチ ックの部分 が4 0 -4 5 % で あることが明 らか にされた。 また尿素包接化 合物を放射線重合 させ たポ リア ク リロニ トリルでは, モ ノマーの配 位が限定 され るため, ほ とん どアイソ ー1 8 9- タクチ ック構 造 を と る ことが 明 らか に され た。 主 論文 第 2部 は, ポ リア ク リロニ トリル お よびその α 位 を重水素 化 した化合 物 の メチ レン基 プ ロ ト ン が, 溶媒 によ り異 な った スペ ク トル を示 す ことを明 らか に し, その うち と くに顕著 な差 異 を示す Na CNS- D20 お よびニ トロメ タン- エチ レ ンカーボ ネー ト混合 溶媒 を選 んで比較検 討 した もので あ る。 Na CNS- D 20 中では ア イ ソタクチ ックメチ レンプ ロ トンが非 等価 とな り, ニ トロメ タン- エ チ レ ンカ- ボ ネー ト混 合 溶媒 中で は等 価 とな り, それ ぞれ の スペ ク トルが解 析 され た。 参 考 論文 その 1 は, スチ レ ンとメ タア ク リロニ トリル との共 重合体 にお け るモ ノマーのつ なが りを高分 解能 NMR スペ ク トル を解 析 す る ことによ って 明 らか に した もので あ る。 その 2 は, ポ リビニル ア ミンおよび ポ リビニル アセ トア ミ ドの立体構造 を, これ らの 2 塁体 モ デル化合 物 の異性体 の構 造 と対 比 して高分解 能 NMR を用 いて 明 らか に した もので あ る。 その 3は, 各 種 の エチ レン フ タレ- トの単 独 重合体 お よび これ らの共重合 エステル につ いて, また その 4は, エチ レンテ レ フ タ レー トとセパ ケ - トな どとの共重 合 エ ステル につ いて, さ らに また その 5は, 求 リア ク リロニ トリル につ いて, それ ぞれ, それ らの構造 を NMR を用 いて研究 した もので あ る。 そ の 6- 9は, ポ リア ク リロニ トリルの 2量体 モデル化合 物 2, 4- ジシアノペ ン タンおよび 3量体 モ デル化合 物 2, 4, 6- トリシアノヘ プ タンの合成 とそれ ぞれ の異性体 の分 離 を行 ない, その構造 を解析 した研究 で あ る。 その 1 0は, エ チ レ ンテ レ フタレー トとイ ソフ タレー トとの共 重合体 の, その 1 1は, ポ リア ク リロニ トリ ル の, その 1 2 は, 同 じ くその重 水素 置換体 の NMRスペ ク トル とその構造 に関 して報告 した もので あ る。 その 1 3お よび 1 4は, ラジカル重合 の際 ポ リマ - の立体 規 則性 と温度 との関係 を 明 らか に した 報 告 で あ る。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 高 分解 能 核磁 気共 鳴 ( NMR)の発 達 に伴 って, これ が高 分 子 化合 物 の立体配 置 の研究 に応用 され, また モ デル化合 物 と関連 させ て解 析 す ることによ って その立 体構 造 の解 明に も有 用 で あ る ことが 明 ら か と な り, これ に よ って各 種 の高分子 化合 物 の立体 構造 が次 々と明 らか に され るよ うにな った。 ア ク リロニ トリ ル の重合体 ポ リア ク リロニ トリルは, これ ら高 分子 化合 物 の うち代 表 的なかつ重 要 な化合 物 の一 つで あ る か ら, その構造 につ いて は X 線 回折 法や赤外 吸収 スペ ク トル法 な どによ って種 々の研究 が行 なわれて きた もので あ る。 しか しなが ら, この化合 物 の立体構 造 と くに溶媒 内で種 々の状 態 で存在 す る場 合 の構造 につ いて は, これ らの研究 で明 らか にす ることは困難 で あ った。 申請 者 は, 高 分解 能 NMR法 によ るポ リア ク リロニ トリル の立体構造 に関す る研究 を最 初 に行 ない, ま た そ の 2 量体 および 3 量体 モデル化合 物 を用 いた研究 を併 せ行 な うことによ って, この化合 物 の立体構造 を 明 らか にす る ことに成 功 して い る。 さ らにその構 造 に与 え る溶媒 の影響 を詳細 に検 討 して い るが, これ は溶媒 内にお け る この化合 物 の構 造 に関す る重 要 な知見 を加 えた もの とい うこ とがで き る。 主 論文 第 1部 において は, ポ リア ク リロニ トリル とそ の 2量体 モ デル化合 物 2, 4- ジシ アノペ ン タン とその 3壷体 モデル化合 物 2, 4, 6- トリシアノヘ プ タンの各異性 体 につ いて, それ ぞれ の -1 9 0- NMRスペ ク トルを解析 し, シンジオ タクチ ック, ヘテ ロタクチ ックおよびアイソタクチ ック構造を明 らかにしてい る。 また種 々の重水素置換体, 尿素包接化合物の放射線重合物などについて も研究 し, その構造を確実 な もの としてい る。 種 々の溶媒を用いた研究では, それぞれの構造 の割合 も明 らか にされてい る。 主論文第 2 部 においては, ポ リアク リロニ トリルおよびその重水素置換体 について特異 な溶媒を選んで その構造を詳細 に検討 し, 溶媒 中における構造を明 らか にしてい る。 参考論文は, ポ リアク リロニ トリル とそのモデル化合物の合成法, それぞれの異性体への分離法をは じ め, いずれ も NMR スペ ク トルの測定 によ って種 々の高分子化合物の構造 を明 らか にした もので ある。 要す るに, 申請者村野政生は, 高分解能 NMR を用 いて ポ リアク リロニ トリル とそのモデル化合物 とに ついて, 従来全 く不明で あ った立体規則性 と構造 とを明 らかにし, 溶媒 の影響を詳細 に検討す ることによ って, 溶液内における構造 に関す る研究を行 ない, 立体規則性 と構造 との関係を明 らかにした もので, 数 多 くの興味 ある重要な知見を高分子化学および構造有機化学の分野 に加 え, この研究領域の発展 に寄与す るところが少 な くない。 また主 論文および参考論文を通 じて申請者が高分子化学 および物理 化学 に豊富な 知識 と優れた研究能力 とを有す ることを認め ることがで きる 。 よ って本論文は理学博士の学位論文 として価値が あるもの と認 め る0 - 191 -
© Copyright 2024 ExpyDoc