心理と言語A 第6回 インタラクションを重視した第二言語学習法(1

心理と言語A 第6回
インタラクションを重視した第二言語学習法
(1)インタラクションの役割
廣森 友人
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A single conversation across the table with a wise man
is better than ten years mere study of books.
授業の目的


対話すること(インタラクション)はなぜ大切なのか,
その役割を理解する。
インタラクションを重視した英語学習・指導とはどの
ような方法なのかを理解する。
2
インプットの役割<復習>

言語習得にとって,インプットは必要不可欠
- インプットの役割
① そもそもインプットがなければ,何も始まらない
インプット
中間言語
アウトプット
② 自分の第二言語能力の「ギャップ」に気づく
③ 頭の中に英語の回路を作り上げる (予測文法)
- インプット仮説
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インプットの役割<復習>

言語習得にとって,インプットは必要不可欠
- インプット仮説に基づいた英語指導法
・Natural Approach
理解可能なインプットを大量に(母語習得のように)。
教師は(権威者というより)コミュニケーションの推進者。
・Total Physical Response (TPR)
教師が生徒にいろいろな指示を出し,生徒は全身
を使って反応する(無理にしゃべる必要はない)。
・Immersion Program
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インプットの役割<復習>
言語習得はインプットだけで可能?
① テレビからは言語習得はできない
- クールらによる実験(Kuhl et al., 2003)
生身の人間とテレビからのインプットを比較
- 両親が聴覚障害だった子どものケース
両親とも言葉が話せず,インプット源は主にテレビ
② 「受容的バイリンガル」の存在
- 2つの言語を聞いて理解できるが,1つは話せない

⇒インタラクション(対話すること)が必要
5
インタラクションの役割

インタラクション仮説(Interaction Hypothesis)
- ロングが提案したSLAモデル
(Long, 1983, 1996)
- 言語習得の基本はインプット
- インタラクションはインプットの理解を
助ける!
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インタラクションの役割
(大量の)インプット
インタラクションに参加
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インタラクションの役割

インタラクション仮説(Interaction Hypothesis)
- ロングが提案したSLAモデル
(Long, 1983, 1996)
- インタラクションはインプットの理解を
助ける!
意味交渉(negotiation of meaning)
→ 相手のインプットが理解しやすくなる
→ 言語理解(言語習得)が促進される
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インタラクションの役割

意味交渉(negotiation of meaning)
- お互いが意思や意味を伝え合うためのやり取り
- 具体例・・・3Cs
1. 明確化要求(Clarification request)
“What did you say?”
2. 理解度チェック(Comprehension check)
“Did you get that?”
3. 確認チェック(Confirmation check)
“Is this what you mean?”
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インタラクションの役割

なぜインタラクションは言語習得を促進するのか?
①はじめは理解できなかったインプットを理解可能な
インプットに変える。
例:NSは(NNSの反応により)インプットを調整する
(→「気づき」や「理解」を促進)
②中間言語を検証・修正するためのフィードバックを
与える。
例:「そうだよね~」「んっ?」などの相手の反応
(仮説検証の場→「内在化」を促進)
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インタラクションの役割

なぜインタラクションは言語習得を促進するのか?
③(半強制的に)アウトプットする機会を与える。
例:NNSは(NSの反応により)アウトプットを調整する
→ アウトプットに注意が向く (→気づき→更なるインプット)
→ 自動化の機会(→「統合」を促進)
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インタラクションの役割
ここまでのまとめ(別紙)
 空欄に入る選択肢
- notice correct forms
- made comprehensible during interaction
- communication breakdowns
- revise hypotheses

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インタラクションの役割
Input, made comprehensible through interaction, is
necessary for SLA, since interaction additionally provides a
means for identifying those aspects of output that cause
communication breakdowns.
Learners can use this information to revise hypotheses
about correct interlanguage forms and they can also, in
interaction, notice correct forms (e.g., feedback) and
incorporate these into their language system.
So Long argues, contrary to Krashen, that comprehensible
input is necessary but not sufficient. Input is optimally made
comprehensible during interaction, and interaction creates
opportunities for noticing, revising and testing of output
forms.
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インタラクション重視の英語学習法

インタラクションの具体例
- 図形描写(picture description)
写真を見て,英語で説明する(質問なしorあり)
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
(おまけ)「ひげ」いろいろ
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インタラクション重視の英語学習法

ペアワーク,グループワーク
- 意義(Long & Porter, 1985)
1)言語使用の機会を増やす
2)学習者の対話の質を改善する
3)個別指導を促進する
4)情緒的に安心できる雰囲気を作り出す
5)学習者の動機を高める
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