| 地域 の明 日 を拓 く | ようになってくるのは時間の問題です。地域 ろか、自治体そのものの存続さえ危ぶまれる このままでは、この町での事業の存続はお の土地を好きになって何度も訪れてもらえる 観光資源に頼らずに町を外部に売り込み、こ 人が訪れてくれるようにはならないのです。 そこで終わってしまい町に外部から継続的に 「今こそ外へ向けた発信を」 に育ててもらった一事業者として、これから ようにするにはどうしたらいいのか?それは 地域の現況 の事業の存続とともに地域の衰退を少しでも この街の「人」を好きになってもらうほかに 言うまでもなく、軽米町とその周辺地域は 加してきました。その中で気づいたことは、 企画や街コンの開催など様々な地域活動に参 年部に籍をおき、町の若者とともに夏祭りの 貨店等で開催される物産展に出店しています。 当社では、事業の一つの柱として全国の百 年の創 業で、地域の人たちが普段食べる麺類を作っ 止めるよう努力し続けていかなければなりま 古舘製麺所は、県北軽米町に明治 てきたお店です。岩手県生めん協同組合に加 無いのではないかと考えます。 人口流出と高齢化が進み大きな問題となって 地域の活性化を目的に内側に向けてアクショ 物産展の最大のメリットはお客様と実際に顔 年間、商工会青 います。先の国勢調査の速報値で日本が初め ンを起こしても一過性で終わってしまい、効 を合わせ、言葉を交わして商品を買っていた 私は昨年卒業するまでの て人口減少社会に突入したと話題になりまし 果的な対策にならないということです。軽米 だくという所にあると思います。インターネ 高が一番少ない製麺所だそうです。 年前と比べ軽米町の人口は減り続け、今では 町のような観光資源に乏しい町では、町内の ットが各家庭に普及して、地方の小売業者で 50 が総人口に占める割合を示す高齢化率は実に 当時の約3分の2に、 たが、近隣町村と合併して今の形になった 歳以上の高齢者人口 イベントで一時的に人を集めても、それは地 物産展で学ぶこと せん。 (軽米町) 古舘製麺所 盟している会社では、創業が一番古く、売上 古 舘 拓 も全国あるいは世界を相手に簡単に物を売る 10 42 域のコミュニティー維持には当然重要ですが、 65 当時の約6倍の %にもなっています。 33 28 岩手経済研究 2016 年5月号 地域の明日を拓く が来てもらうための方策の一つにもなると思 ことではないでしょうか。先に述べた町に人 得て商品と自分を好きになってもらうという はお客様一人一人に顔を覚えてもらい信頼を を売るのも大事ですが、それより大切なこと う「繋がり」が大きいと感じています。商品 等で出会ったお客様と直接顔を合わせたとい しかし、それを支えているのは全国の物産展 ないながらも売上高は年々増えてきています。 ット通販を開始してから、金額はまだまだ少 ことができる時代になりました。当社でもネ 確認することができた素晴らしいイベントで たのです。人と人の繋がりは大事だと改めて お客様の複数が、その後軽米町を訪れてくれ 方もいらっしゃいました。そして、この時の とおっしゃり、三陸の海産物を買ってくれた 客様の中には、 涙ながらに「応援しているから」 日多くのお客様で賑わい、買い物に訪れたお との思いで開催したイベントは大盛況で、連 でお世話になった方々に元気な姿を見せたい 年部物産展を開催しました。震災復興の支援 企画で、東京都板橋区の大山商店街で初の青 昨年の2月、岩手県商工会青年部連合会の した。 また軽米町商工会では昨年から年に2回、 東京の岩手県のアンテナショップ「いわて銀 河プラザ」で「かるまいブランド いわて銀 す。郷土料理の「かっけ」のお振る舞いをし すが、このイベントも毎回好評を博していま を全国の消費者に発信するという取り組みで 優れた商品を商工会がブランド認証し、それ の原料を使ったあるいは軽米町で生産された 売るだけではなく、地域の人とそのモノが生 より積極的に外へ出て行き、ただ単にモノを 発信による人と地域のPRが欠かせません。 ていくためには、このような外へ向けた情報 どんどん衰えていく中で、私たちが生き残っ 地方の人とお金が減り続け、地域の活力が 「モノ売り」からの脱却 たところ、あの味が忘れられないと、東京か を伝え、地域そのものを売り込むよう努力し まれた背景を含めたストーリーとしての文化 方もいらっしゃいました。 らわざわざ軽米町の食堂まで訪ねてこられた 河プラザ」を開催しています。これは軽米町 in 岩手県商工会青年部連合会の皆さん 続けて行かなければならないと思っています。 岩手経済研究 2016 年5月号 29 います。 東京・大山商店街での震災復興イベントの様子
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