心とからだの反応の意味と対応

トラウマ反応は、危機が終わって
誰にでも起こる自然な反応)
心 とからだの反 応 の意 味 と対 応
トラウマ
反応の
強さ
(長期の支援のための情報提供)
ストレス障害(PTSDなど)
災害:4%-10%
事故:15-20%
過覚醒のコントロール
文責:冨永良喜
暴力:40-50%
さまざまな心と身体の反応は、この受けいれ
がたい出来事を、心のなかにおさめていくため
ストレス障害のリスク要因は
の一つの道のりです。大変な出来事を経験した
自責感と強い回避
人の誰にでも起こる自然な反応で、自分の心と
身体を守る大切な反応です。反応の意味と対処
熊本地震は強い余震がつづく⇒Post ではない
Post Traumatic Stress Disorder(PTSD)
PTSDは回復の障害
を知って回復力を高めましょう!
人は、心とからだの反応を小さくしていく力(自己回復力)をもっている
心 とからだの反 応
意 味 と対 応
・身体を緊張させて、この出来事を、乗りこえよ
(過覚醒)
うとしているのです。
・いらいらして怒りっぽい
・ちょうどいい緊張感をもてるように、一度から
・物音がするとどきっとしたりびくっとする
だに力をいれて、力を抜いてみてください。
・非常に警戒して用心深くなっている
・体をほぐしたり、ストレッチをしたり、
・仕事に集中できない
体をゆるめてみてください。
・興奮したり、気分が高まっている
・寝つかれないので、アルコールをたくさん飲む
・興奮して、寝つかれない
のは、よい対処ではありませ
・睡眠が3時間しかとれないということが続く時
は、お医者さんに相談しましょう。
(再 体 験 )
・少しほっとすると、凍りついた記憶の蓋があいて、つら
・ちょとしたことで、ありありと思いだされて苦
いことが思いだされます。それは、回復の第一歩です。
しい(フラッシュバック)
段階1:コントロール:リラックス・楽しいイメージ
・夜中に目を覚ます
に置き換える。「考えないようしよう(思考回避)」
・こわい夢をみたり、うなされて起きて叫ぶ
ではなく、「体に一度力をいれ力をぬき、体の緊
(子ども)・地震ごっこ
張に気づき、そこが楽になればいいなーと思って
みてください」。
トラウマ・ストレス反応
マイナスの考え
凍りついた記憶の箱は、トリガー(関連するきっかけ刺激)
にふれると、氷が一瞬のうちに溶けて、トラウマの記憶の
箱に吸い込まれて、まるで今起きているように苦しくなる
(再体験反応:フラッシュバック・悪夢・津波ごっこ)。
(自分が悪かっ
た・どんなにがん
ばっても意味がな
い・人は信用でき
ない)
段階2:向き合う:背を立てて「今は落ち着いた自
分がいる」とメッセージを送りながら、そのこと
を少し離れてみるような気持で、つらい記憶に向
き合いましょう。
段階3:話す:思いだされたことを、信頼できる人
再体験反応(フラッシュ
バック・悪夢・地震ごっこ)
にお話をすることも、フラッシュバックを小さく
マヒ(本当のことと思えな
回避(安全な場所・人・ものを避ける)
い・思いだせない)
していきます。
解離(意識がとぶ・もう一人の自分・・)
( 災 害 後 * 3 ヶ 月 は 段 階 1 を 中 心 に、段 階 2 ・ 段
トリガー(関連する安全な刺激):トラウマアンケート、
地震関連の教材、避難訓練、震災作文….
階 3を急 がない・無 理 に 話 させない・自 発 的 に 話
トラウマ記憶:凍りついた記憶
過覚醒(びっく・イライラ・寝つかれない)
はじめたら聴 きねぎらう)
トラウマの5つの反応:再体験・マヒ、回避、マイナスの考え、過覚醒
恐怖条件づけと安全・安心プログラム
②
⑤
①
(マヒ・回 避 )
・そのことを話したり聞いたりがいやだ
・そのことを思い出させる場所を避ける
・それまで楽しかったことが楽しめない
・その時のことがよく思いだせない
・無口になり話すことをいやがる
少 しずつのチャレンジは、災 害 後 *3ヶ月 以
降 、あ る 程 度 、安 心 できる生 活 が は じ ま っ て
から。
*時期は、災害の規模・体験によって異な
ります。
ブザーがなって、電気ショックを動物が経験
すると、ブザーが鳴っただけで、トラウマ反
応(恐怖反応)が起きます(①)。
この地震で、建物診断でグリーン(安全)と
診断されたとします。安全な建物に身を置い
ても、恐怖反応(トラウマ反応)がなかなか小
さくなりません(②、③、④)。建物がブザー
になっているのです。まず、安全と頭で理解
できていても、恐怖反応が起きるということを
知っておきましょう。②、③、④で、楽しいこと、
リラックス法(安心)を体験しましょう。すると、
かならず、恐怖反応は少しずつ小さくなりま
す。
③
⑥
④
⑦
安全感は、建物診断、「備える防災」、「そのと
き防災(避難行動)」で高めることができます。
「どれくらい安全だと思う?最高に安全が10、
全く安全でないが0としたら?」と安全感を数
値でモニターするといいでしょう。
頭で安全とわかっていても身体が安心できな
いのです。ですから、身体が安心できるように
リラックス法や楽しい活動をして、からだが安
心できるようにしましょう!
・楽しい趣味や活動をいっぱいしましょう
・直後は、避けることも必要ですが、もう
安全になった場所には、少しずつチャレン
ジした方がいいです。
( 退 行 ・幼 児 がえり)
・人に甘えて、安心感をとりもどそうとします。
(子ども)
・安心できるとまた自分でできるようになります
・甘えたり小さい頃にもどったふるまい
・しからずに、子どもについていってあげ
・小さいころしていた癖がはじまった
てください。でも、親もつかれてしまうこ
・トイレやお風呂に、ひとりで行けない
とがありますので、無理をしないで。
(大人)・やめていたギャンブルをはじめた
(身体反応と行動の変化)
・お腹や頭が痛くなる
出来事やストレスとすぐに関連づけずに、
・食べ物を吐いてしまう
お医者さんにみてもらいましょう。
・もともとの病気(ぜんそくなど)が悪化
身体をケアすることは心をケアすることになりま
・しんどい・つかれた
す
・食欲がない
医療と望ましいセルフケアで回復します
・仕事や学校に行きづらい
(マイナスの考え)
・決して自分を責めないでください
・自分を責めたり、悪かったと思う
・心のなかでマイナスのつぶやきが続くと
・仕事に気力がわかない
うつや身体反応を引き起こします。
・ひとりぼっちになった
・人は、マイナスのつぶやきを、
・人が信じられない
プラスのつぶやきに変えていくことができます
(喪失反応)
・現実のこと本当のことと思えない
・涙がでない
・涙がとまらない/涙がでない
・いなくなった人が見える
時 期 に応 じた体 験 が必 要 です
安 全 ・安 心 ・絆 ⇒チャレンジ・表 現
無感覚→否認→怒り→・・喪の作業
亡くなった人を生かしていく作業。
亡くなった人にお手紙を書く
心のなかで、今はいない人と、お話ができるよう
になると、穏やかな気持になれます
悲しむときと楽しむ・日常生活をしっかりおくる
ことを切りわけましょう