Patient Competency Rating Scale を用いた高次脳機能障害の病識評価

Patient Competency Rating Scale を用いた高次脳機能障害の病識評価
柴田孝1) 吉野修2) 浦田彰夫2) 野村忠雄2)
1)
富山県済生会富山病院
脳卒中センター
脳神経外科
2) 高次脳機能障害支援センター(富山県高志リハビリテーション病院)
【目的】高次脳機能障害の日常生活能力は、本人と家族では評価が異なることが知られている.今回、
Patient Competency Rating Scale (PCRS)を用いて、本人と家族との認識ギャップ(AG)の有無およ
び日常生活能力と神経心理検査との関係性を検討した.
【対象・方法】対象は、富山県高次脳機能障害支援センター利用者および日本脳外傷友の会(高志)
の高次脳機能障害者家族20組(本人評価:男性17例、女性3例、年齢:39.1.AN110.2歳、病型:脳外傷
9例、脳卒中9例、その他2例、受傷・発症からの期間:48.4.AN149.5ヶ月、家族評価:母8例、妻6例、
父2例、その他4例)である. PCRS では30種類の日常生活能力に対する質問を行い、患者・家族間にお
けるPCRSの差異を測定し、本人と家族とのAGの有無をMann-Whitney U検定で判断した. また、PCRS(本
人・家族)と神経心理検査(WAIS-III, WMS-R)との関係はスペアマン順位相関検定を行った.
【結果】AGあり家族は12組、AGなし家族は8組に認め、2群間においてWAIS, WMS-Rに有意差はなかっ
た.PCRS(本人)と神経心理検査(WAIS-III、WMS-R)とは相関は認めなかったが、PCRS(家族) とWMSRの視覚性記憶は有意な正の相関を認めた(r=0.56、p<0.05).
【結語】PCRSを用いたAG評価は、障害認識しにくい本人・家族を包括的に支援するうえで有用な情報
となる.