「現場実践を想定して学ぶ」 氏名: 井芹 洋輝 SNS: @goyoki 所属: WACATE 実行委員 分野: 組み込み 今回のようなテスト設計関連技術の勉強では、勉強成果の現場実践で困難を感じる事が少なくありませ ん。その理由の一つとして、勉強と現場での環境の乖離があると思います。 乖離としては、例えばコスト・リソース・時間の制約でありがちです。問題の時間や量は、ワークショ ップでは課題に合わせて設定されます。一方で現場での時間・リソース・コストの過不足は不明瞭で、し ばしば不足します。また例えば、テストベースも現場と乖離しがちです。現場のテストベースはいい加減 だったり不足していたりしますし、より流動的です。さらに、マネジメントの問題も現場ではより複雑怪 奇です。プロジェクト後半でテスト期間が減らされたり、バグが収束しなかったりと、テスト現場では問 題対応に暇がありません。 また、テスト設計特有の話として、そもそも成果物の良否がわかりにくい点も、この問題に拍車をかけ ます。テスト設計が悪くても、運よくバグがなければ悪さを見逃す可能性もあります。テスト設計が優れ ていても、本来テスト以外で検出すべき難しいバグに遭遇して見逃してしまうと、良さを過小評価してし まうかもしれません。網羅性が優れていても、テストベースが欠落していて実質的にテストが穴だらけと いうのもあります。 これは、学んだことを実践しても、その結果の良否の判断は簡単にできないという課題を生みます。 こうした問題がありますので、テスト関連技術を学ぶ際は、留意点として、現場での実践を想定するの が無難じゃないかと思います。 例えばワークショップにおいて、次を想定しながらテスト関連技術を学んでみてはどうでしょうか?こ のような想定を持つと「学習内容の穴や、実践上の課題に気づける。それらを補完するためのノウハウを 質問や他の技術者との会話で補完できる」「技術に組み込まれた問題対応アプローチに気づける」といっ た事ができるようになると考えています。これらは実践の一助になると思います。 ●自分の手での実践を想定してみる 実際に現場で実践する状況を想定してみます。そこでは既存のプロジェクトにどう組み込み、どのよう に成果を得るか、また実践上の課題はないか、考えていきます。 ●様々な視点で実践を想定してみる また、様々な視点でも実践を考えてみます。管理者としてどのように実施を管理するか、技術導入者と してどのように導入を説得し成果を提示するか、派生プロジェクト作業者として成果物をどのように保守 していくか想定してみます。そしてそこでの実践上の課題を考えてみます。 ●制約条件下での実践を考えてみる QCD のマネジメント上の制約や、技術的な困難さなどがある場面を想定して、技術の実践を考えてみま す。例えば以下を考えてみます。 ・テスト期間が1日だった場合、1週間だった場合、1 か月だった場合と、工数や期間について複数パタ ーンでの実践を考えてみて、工数制約に技術が対応できるか考えてみます。 ・テストベースの変更にどう対応していくか考えてみます。 ・テスト初心者で実践する場合、他拠点(例えばオフショア先)で実践する場合を考えてみて、リソース 制約に技術が対応できるか考えてみます。 WACATE は、実行委員と話す機会は多いですし、参加者にも現場のプロフェッショナルが複数います。 こういった想定をもって学び、そこでの知見について議論や会話で学習を深めるのも良いかもしれません。
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