常「J.Barney」

リソース・ベースト・ビュー
ポジショニング重視か、ケイパビリティ重視か
ジェイ B.バーニー
国士舘大学
経営学研究科
16-MC007
常添楽
リソース・ベースト・ビュー(RBV)とは
▪ 資源依存型戦略理論の一つで、競争優位の源泉を企業の内部資源に求める戦略理
論である。
▪ オハイオ州立大学の経営大学院教授、J.Bバーニーによって展開された 。
▪ 従来の戦略理論は、ポーターの競争戦略、PPM、SWOT分析など、様々あるが、
魅力的な産業の発見と業界内でのポジショニングの確立に注目し、戦略実行に必
要な資源や能力は、戦略策定後に企業外部から調達するという考えに基づいてい
る。これに対して、資源依存型アプローチによる戦略形成は、内部要因(自社内
の構成要因)に注目して戦略を考える点が異なっている。
リソース・ベースト・ビューの基本的前提
▪ 企業の資源の強み・弱みを分析するこのアプローチは、2つの根本的な仮定に基
づいている。
▪ ①企業は生産資源の集合体であり、個別企業ごとにそれらの生産資源は異なって
いる。企業ごとの経営資源の異質性の前提である。
▪ ②リソース・ベースト・ビューはセルツニックとリカードの研究を承継し、「経
営資源の中にはその複製コストが非常に大きかったり、その供給が非弾力的なも
のがある」と想定している。これは、経営資源の固着性の前提である。
持続的競争優位を獲得するための要因
▪ 持続的競争優位を左右する要因は所属する業界の特質ではなく、その企業が業界
に提供するケイパビリティである。
▪ 希少かつ模倣にコストのかかるケイパビリテイは、他のタイプの資源よりも持続
的競争優位をもたらす要因となる可能性が高い。
▪ 企業戦略の一環としてこの種のケイパビリテイの開発を目指し、その為の組織が
適切に編成されている企業は、持続的競争優位を達成できる。
バーニーの戦略論
▪ ポーターによれば、魅力の乏しい業界では収益性を獲得することは難しいため、
このような業界を選択すべきではないというのに対して、バーニーは競争が激し
く魅力の乏しい業界においても、高い収益性を実現している企業があると主張し
ている。ウォルマート、アマゾン、デルなどがその事例である。流通業界という
極めて魅力に欠ける業界に位置しながらも、ウォルマートは持続的競争優位を維
持しアメリカだけにとどまらずヨーロッパにまで進出している。
▪ バーニーは上記のように競争優位を獲得するには稀少かつ模倣にコストのかかる
ケイパビリティを装備し、それを通じて顧客ニーズに応える戦略を採ることであ
ると述べている。具体的には「VRIO」というフレームワークを用いることで、
その企業のケイパビリティが競争優位を獲得できるかどうかということをはかっ
ている。
バーニーのVRIOフレームワークとは
▪ バーニーが主張する「VRIOフレームワーク」とは、「経済価値(Value)はどの
程度か」「希少性(Rarity)はどの程度か」「模倣困難性(Imitability)はどの程
度か」「組織力(Organization)はどの程度か」の視点から「ケイパビリティ
(能力)」を評価する尺度である。
▪ VRIOはヴリオと読みます。
VRIOフレームワークによる経営資源の特性分析
(ケイパビリテイの潜在的競争力チェックする4つ問い)
出所:
J.Barney(2002),Gaining and
Sustaining Competitive
Advantage, Prentice Hall,
P.160、
岡田正大訳『企業戦略論』
(上)、250頁。
林倬史・関智一・坂本義和・
立教大学ビジネスデザイン研
究科(2006)
『経営戦略と競争優位』税務
経理協会、16頁。
VRIOでは、継続的競争優位を保つためには4つの要
因が全て揃うことが必要
企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
(ジェイBバーニー)を参考に作成
V:経済価値
R:希少性
I:模倣困難性
×
×
×
競争劣位
○
×
×
競争均衡
O:組織
○
○
×
VRIの調整項目 一時的
競争優位
○
○
○
継続的
競争優位
持続的競争優位を確保する方策
1自社独自の経験価値を築く
2サプライヤーとの間に密接な関係を築く
3顧客との間に密接な関係を築く
4従業員との間に密接な関係を築く
フレキシブルな企業形態に変える
▪ ・オールド・エコノミーでは、製品ライフサイクルが長く、テクノロジーの進歩
が遅く、顧客の嗜好変化も予測可能である。企業はバリューチェーンの広い範囲
にわたって垂直統合を進める。
▪ ・ニュー・エコノミーでは、製品ライフサイクルが短く、テクノロジーの進歩が
速く、顧客の嗜好変化が予測しにくい。企業形態がさまざまな形の戦略的アライ
アンスである。
ケイパビリティの競争
▪ ケイパビリティは希少で模倣にコストがかかるという特徴があり、その企業独自
の歴史、サプライヤー・顧客・従業員との間に築かれた関係性を反映しているこ
とが多い。
▪ 自社ならではの持続的競争優位を築く能力があり、それをよりフレキシブルな企
業形態を通じて実現できる企業ならば、ニュー・エコノミーという「素晴らしき
新世界」で大きな成功を収めることができる。
以上です。
▪ ご清聴ありがとうございました。