1.Deep X-ray Lithography ロードマップ LIGA というと、リソグラフィー

1.Deep X-ray Lithography ロードマップ
LIGA というと、リソグラフィー・メッキ・充填プロセスを意味することになり、技術が限定されて
しまうので、最近は Deep X-ray Lithography(DXL)という用語も良く用いられる。現在の DXL を第一
世代と呼び、第三世代までをロードマップにまとめてみた(図1−1)。第一世代では、まずx線露光
の解像度は波長λ×マスクとウエハーのギャップgの 1/2乗で表せる。従って、単純には解像度の向上
には短波長化が有効であるといえる。しかし、短波長x線はエネルギーが大きいためにレジストや基板
の原子に衝突して出てくる二次電子の量が増えるばかりでなく拡散距離も長くなり、光学像がぼやける
(解像度の悪化)ことになる。このため、一般の放射光の教科書や総説には波長 7-8 オングストローム
が最適であると書かれている。しかし、第二世代x線リソグラフィーではこの定説を見直し、二次電子
の影響を最小限にできるレジストの開発により、広い波長域を有効に活用させることが提案されている。
広い波長域の活用により、露光時間の大幅な短縮を目指す。さらにマスク形成材料を抜本的に見直すこ
とにより、高い透過率を持つメンブレンを有するマスクを作製する。現在、x線のマスクの価格は面積、
パターンの精度、パターンのサイズ、パターンのアスペクト比から決定されている。メンブレン部分と
マスク部分のコントラストをつけるには、高アスペクト比パターンになってしまうので、高価格になる。
低アスペクト比のマスクパターンで高透過率のメンブレンを用いることで露光時のコントラストが良
好につく。従って、高精度な露光パターンの形成が可能となるばかりでなく、深い加工が短時間で達成
できる。
第三世代では、フォトリソグラフィーの常套手段である位相シフト法を導入し、さらに縮小投影を行
う。この時の集光ミラーは炭化珪素(SiC)や白金(Pt)でコーティングしたものでなく、ルテニウム(Ru)や
ロジウム(Rh)に変更して短波長に対する反射率を高める。図1−2は、産総研の放射光リング(TERAS)
での露光時間を他の露光手段の場合と比較した図である。第二世代の算出の根拠は後述のダイアモンド
メンブレンの利用、現在提案されている短波長用レジストを用いた場合のものである。また、第三世代
の露光時間算出は、光源の高輝度化(第三世代リング)と集光によるもので、無理のない目標値として
示した。x線露光において、常に議論されるのが価格の問題である。しかし、ASET では図1−3に示
すとおり、x線露光に要する費用は KrF エキシマレーザーリソグラフィーよりも高いが、ArF エキシ
マレーザーリソグラフィーよりも安価であるとの試算を出している。図1−4は、第二世代で用いられ
るx線マスクの材料設計の例である。まずメンブレンとして SiN, SiC が今日、広く用いられているが、
ダイアモンドに置き換えることにより著しく透過率が増大することがわかる。これはシリコン原子によ
る吸収がなくなるためである。特に短波長(高エネルギー)領域で顕著である。ただし、現在通常に手
に入るダイアモンド膜はアモルファスでないため、結晶構造を反映し平滑でなかった。表面平滑化の一
つの手法としてクラスターイオンビームの利用が提案されている。クラスターイオンビームはクラスタ
ーがダイアモンド表面で炸裂し、表面を走ることにより平滑化させる技術である。将来的にはダイアモ
ンド開発は目覚しい勢いで進んでおり、通常の膜形成技術により平滑表面を有する膜を作製できると考
えられている。
レジスト剤に対してもロードマップの策定が必要と思われる。ただ、半導体リソグラフィー用の材料
の延長線上にあるか、全く別の発想で開発されるのかまだ明確にはなっていないのが現状である。現在
はPMMA, SU-8(エポキシ樹脂)が用いられているがこれはi, g線∼KrF~ArF~F2の流れとは全く異な
った発想といえる。ニーズ(求められているもの)は、厚膜化、金属、セラミックスを充填あるいはメ
ッキした後、剥離しやすいもの、逆にしにくいもの。現像液(アルカリ)耐性。高感度といった特徴の
レジストである。ただ、これらの物性は相反するものでありすべての同時達成は困難である。例えば、
PMMAでは樹脂そのものが光感光するため、低感度であるが剥離は容易であるというのが特徴である。
PMMAに感光剤、PAG(Photo Acid Generator)の導入による高感度化も期待できる。逆に、ハンドリン
グの観点からは、低感度というのは扱いやすい。エポキシ系はアルカリ不溶で剥離困難であるが強い膜
であるという特徴がある。高密度化(緻密化)による現像液耐性の向上も望まれる。最後にレジスト材
料ロードマップを図1−5に示した。
2000
2010
2020 (年)
図 1-1 Deep X-ray Lithography ロードマップ
図1−2 産総研の放射光リング(TERAS)での露光時間を他の露光手段の場合と比較した場合の
ロードマップ
図1−3 各種リソグラフィーのコスト予測(ASET データー)
エネルギー(eV)
図1−4 X 線マスク用メンブレンの透過率
図1−5 X 線レジスト高度化ロードマップ