2016-05-30 陳言さんのWeeklyコラム

陳言コラム-25
中国雑談
都市軌道交通は「大躍進」が到来するか?
世界経済が不透明感を増すなか、中国経済の行方がますます注目されるようになって
いるが、2016 年の第一四半期では中国経済は予想より高い成長率を手に入れた。今後
はどうなるか、心配する人は少なくない。
中国経済を見る場合、新しい要素を取り入れるべきではないかと思われる。新華社傘
下の『経済参考報』の 5 月 16 日付けの報道は、
「信頼できる筋からの情報」として次の
ように報じたことに筆者は注目する。「中央政府部門は軌道交通プロジェクトに関する
審査のハードルを大幅に引き下げようとしており、これにより、軌道交通の建設可能な
都市の範囲が拡大する見込みである。そのうち、軌道交通建設が申請できる都市の人口
の基準は、市街地人口 300 万人以上から 150 万人以上に引き下げられる見通しだ」
。ま
た報道は、
「業界筋」の話を引用する形で、
「軌道交通プロジェクトにより 1 兆元クラス
の投資がもたらされる」という見通しを示している。
国家発展改革委員会と交通運輸部が合同で公表した「交通インフラ重要プロジェクト
建設 3 年行動計画」は、
「2016 年から 2018 年にかけて、303 項目もの鉄道、道路、水路、
空港、都市軌道交通プロジェクトを重点的に推し進め、プロジェクト関連投資を約 4
兆 7000 億元とする」と指摘している。そのうち、鉄道と都市軌道交通プロジェクトは
交通インフラ建設の「重要演目」であり、「103 項目の都市軌道交通プロジェクトの事
前作業を重点的に推し進め、2000 キロメートル以上の都市軌道交通を新たに建設し、
関連投資を 1 兆 6000 億元とする」という。
興業証券が 5 月初めに公表した報告書は、次のように指摘している。
「2015 年末まで
に、中国の都市軌道交通は累計で 3286 キロメール開通し、2020 年までに、開通距離は
2015 年に比べ 150%以上増の 8500 キロメートルに達する見込みである。そのため、第
13 次五カ年計画期では、都市軌道交通への投資額が 2 兆元を超えると見込まれている」
また、興業証券の報告書は、
「中国経済が過剰生産能力の解消、過剰債務の縮減、構
造調整を進めるという背景の下で、都市軌道交通は産業チェーンの規模が大きく、GDP
(国内総生産)を牽引するうえで目立った役割を果たしているため、向こう 5 年で、都
市軌道交通が高速鉄道に代わり、地方政府の最優先投資対象になるだろう」と分析して
いる。
さらに同報告書は、
「地下鉄建設プロジェクトへの投資が 1 億元を出しては、それに
よってもたらされる GDP の成長が 2 億 6300 万元で、8000 人の雇用機会を創出するだろ
う」と指摘している。仮に都市軌道交通 1 キロごとの投資が 4 億から 8 億元としては、
向こう 5 年間で新たに建設される都市軌道交通が 4500 キロメートルに達して、第 13
次五カ年計画期に新たに増加する投資額は 1 兆 8000 億元から 3 兆 6000 億元になり、そ
れによってもたらされる GDP の成長は 4 兆 7000 億元から 9 兆 5000 億元に達するだろう、
という見込みだ。
だが、
『経済参考報』は中国人民大学の国家発展戦略研究院の劉元春·執行院長の話
を引用する形で、
「都市軌道交通建設は高コスト、低収益という特徴をもっており、資
金調達が都市軌道交通建設における難問となるだろう」と指摘した。
国家統計局局長で、国家発展改革委員会副主任も務めている寧吉喆は、このほど公式
の会議で、
「通年の経済·社会発展の所期目標を達成するには、インフラ投資は依然と
して重要な役割を果たしている」と指摘した。現在、国はすでに 5000 億元もの固定資
産投資を大幅に下部に委譲しており、重要プロジェクトの実施については、今年度に前
倒しして着手できるものであれば今年度に実施するよう求めている。ニーズがあり、建
設着手に前向きな地方の都市軌道交通プロジェクトは必ずや次の発展の重点となるこ
とだろう。
これで中国経済の成長速度は、今後数年、平均にして 6.5%が維持されるかもしれな
い。