Ⅱ設備(12.空調設備) ①重要項目の解説 「12.空調設備」の問題は、多義に渡り出題されるので絞り込み難い一面がある。 その中でも、2回以上繰り返し出題されている重要項目(H8~H27)を以下に示す。 本内容は、「出題問題一覧表」の色分け問題と連動する。 (1)ガラリ面積 ※過去に選択肢問題として6回出題有 ・外気取入れガラリと排気ガラリは、どちらも3m/s以下の風速が望ましい(一般的なガラリの有効開口率は0.33程度)。 ・このガラリの問題は、以下のような計算により風速を求めて、それが3m/s以下で妥当なものかが出題されている。 【参考例】1,800㎥/hの外気取入れガラリで、有効開口面積は0.05㎡程度が望ましい⇒間違い この条件でガラリ風速を求めると、(1,800/3,600)/0.05=10m/sとなる⇒3m/s以下でないので間違い 【参考例】風速14,400㎥/h、有効開口率0.4の外気取入れガラリの開口面積は、4㎡程度が望ましい⇒正しい この条件でガラリ風速を求めると、(14,400/3,600)/(4×0.4)=2.5m/sとなる⇒3m/s以下なので正しい (2)室内発熱負荷 ※過去に選択肢問題として5回出題有 ・空調負荷計算する場合の室内発熱負荷(照明、人体、機器等)は、以下のような出題がある。 【参考例】最大負荷計算での室内発熱負荷は、冷房時は負荷に含めるが、暖房時は安全側なので負荷に含めない。 【参考例】事務所ビルの室内発熱による冷房負荷は、OA機器や人員増加の影響が大きい。 【参考例】照明・コンセントの電気使用量を削減すると、冷房負荷も減るので、省エネルギー対策上、大きな効果がある。 (3)外気冷房方式 ※過去に選択肢問題として5回出題有 ・外気冷房方式は、室温より外気温度が低くなる時期に有効な省エネルギー手法である。 【参考例】外気冷房やナイトパージ(夜間外気導入)方式は、内部発熱が大きい建築物の中間期及び冬期に有効である。 【参考例】外気冷房方式は、内部発熱が大きく必要外気量の小さい建築物ほど、省エネルギー効果が大きい。 (4)氷蓄熱方式 ※過去に選択肢問題として4回出題有 ・氷蓄熱方式は、安価な夜間電力等を活用し、夜に製氷したものを昼に冷房用冷水として活用するシステムである。 【参考例】氷蓄熱方式は、水蓄熱方式に比べて冷水温度を低くできるため、冷水ポンプの消費電力を小さくできる。 【参考例】氷蓄熱システムは、水蓄熱システムに比べて低温となるので、冷凍機の運転効率は低下する。 (5)外気取入れ方法 ※過去に選択肢問題として4回出題有 ・空調立上げ時の外気取入れ停止や全熱交換器の採用では、以下のような出題がある。 【参考例】空調運転開始後、予熱(冷)時間において、外気取入れを停止することは、省エネルギー上有効な場合が多い。 【参考例】空調機の外気取入れに全熱交換器を使用することは、負荷の低減となり熱源装置容量を小さくできる。 【参考例】外気取入れ経路に全熱交換器がある場合、中間期等の外気冷房では、熱交換を行わないほうが省エネである。 (6)蓄熱方式 ※過去に選択肢問題として4回出題有 ・蓄熱槽(水蓄熱、氷蓄熱)を採用する方式には、以下のような出題がある。 【参考例】蓄熱方式を採用することにより、熱源装置の負荷のピークを平準化し、その容量を小さくすることができる。 【参考例】蓄熱方式を採用する目的には、ランニングコストの低減、熱源規模の縮小、安定した熱供給の確保等がある。 (7)成績係数 ※過去に選択肢問題として3回出題有 ・冷水出口温度により成績係数(COP)が変化する。 【参考例】遠心冷凍機の冷水出口温度を低くすると、低温に造る多くのエネルギーが必要なため、成績係数は低下する。 (8)変流量方式 ※過去に選択肢問題として2回出題有 ・供給水の変流量方式や供給風量の可変風量方式(VAV方式)は、下記のような出題がある。 【参考例】水蓄熱槽の利用温度差の確保には、定流量制御よりポンプ動力を低減できる変流量制御のほうが望ましい。 【参考例】空調設備においてVAV方式を採用する場合は、低風量送風時でも、必要外気量を確保することが望ましい。 (9)ポンプ動力 ※過去に選択肢問題として2回出題有 ・開放型蓄熱水槽などの開放回路と密閉型蓄熱水槽の密閉回路では、以下のような出題がある。 【参考例】冷温水配管系統の開放回路方式は、密閉回路方式に比べて、水頭圧がかかるためポンプ動力が増加する。 (10)冷却塔の大小 ※過去に選択肢問題として2回出題有 ・冷却塔は、機器により、以下のような出題がある。 【参考例】吸収冷凍機は、遠心冷凍機に比べて、凝縮器と吸収器の両方で冷却するので、冷却塔が大型化する。
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